パラリンピックの陸上競技は、第1回大会であるローマ1960大会から継続して行われています。
ルールはオリンピックとパラリンピックでほぼ同じですが、それぞれの選手の障がいや種目の特徴に合わせて一部変更されています。車いすや義足などの道具を用いて競技を行う選手の姿を、テレビで見たことのある人も多いはずです。選手は、障がいに合わせてこのような道具や助けとなる人も使いながら競技に臨みます。
また、パラリンピックの選手は出場競技数に制限がないため、複数の競技で活躍する選手も存在します。
この記事では、パラリンピック陸上競技の種目や見どころについてご紹介します。
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パラリンピック陸上競技紹介
パラリンピックには、それぞれ異なった障がいを持つ選手が出場します。障がいによる差をできるだけ少なくし、公平に競技を行うために「クラス分け」といった制度があります。
以下では、パラリンピック陸上競技の種目やクラス分けについて説明します。
競技種目
東京2020パラリンピック実施種目は、男女別の競技に100m、200m、400m、800m、1500m、5000m、マラソン、走り幅跳び、走り高跳び、こん棒投げ、円盤投げ、やり投げ、砲丸投げがあります。
また、男女混合で行う競技に4x100m メドレーリレーがあります。
パラ陸上でしか見られないものとしては「こん棒投げ」や「ユニバーサルリレー」のバトン渡しがあります。
「こん棒投げ」は、握力がなくて細いやりが握れないなど、障がいの重い選手のために考案された投てき種目です。
ボウリングのピンに似た木製の棒(底の部分は金属製)を使用します。投てきサークルに固定された車いすや台に座り、こん棒をどちらか片方の手で握ってから投げるのが条件です。
こん棒は長さ約40cm、重さは397gでやり投と同規則で行われますが、投げ方は自由です。特に障がいの重い脳性まひや切断・機能障がいの車いすで競技するクラスなど、出場できる選手は限られています。
「ユニバーサルリレー」は男女2名ずつで構成され、異なる障がいの種類の選手を組み合わせて走る競技です。
走順は、第1走が視覚障がい、第2走が切断や機能障がい、第3走が脳性まひ、第4走が車いすとなります。
オリンピックとは違いバトンは使用せず、SPEEDタッチで次の走者へ繋ぎます。
クラス分け
パラリンピックには、クラス分けと呼ばれる制度があります。
パラリンピックの出場対象となる障がいは、視覚や知的の障がい、麻痺や四肢の欠損など多岐に渡ります。そのため、同じような障がいの選手でクラスを分けることで、できるだけ公平にレースが行えるようにしています。スポーツによって必要な身体の機能や技術が異なるため、競技ごとに異なるクラス分けがあります。
このようなクラス分けは、パラリンピックの本番前に行われ、専門資格を持つ判定員が医学的・運動機能的な面から決定します。
障がいの種類によりクラスが分けられる場合、クラスは視覚障がい・知的障がい・脳性まひ(車いす)・脳性まひ(立位)・低身長症・下肢切断・上肢切断・脳性まひ以外の車いす(頸髄損傷、脊髄損傷、切断、機能障がい)などに分けられます。レースはこのクラスごと、あるいは隣り合うクラスを合わせた統合クラスごとに行われます。
東京2020パラリンピックの展望
パラリンピック競技は1種目の決勝レースの数が多いのが特徴で、選手にとってはメダル獲得のチャンスが多いともいえます。東京2020パラリンピックでは日本人選手の活躍も期待されています。
以下では、東京2020パラリンピックの概要や注目選手について説明します。
東京2020パラリンピック情報
※2020年3月24日(火曜日)、東京2020組織委員会と国際オリンピック委員会(IOC)は東京2020大会の開催延期を発表しました。
変更後の競技日程については、今後の発表を待つ必要があります。以下は2020年3月24日現在の情報です。
・開催日程
2020年8月28日〜9月6日
・会場
オリンピックスタジアム
・マラソンコース
東京2020オリンピック競技大会のコースと同様、オリンピックスタジアムをスタート・フィニッシュとして、浅草雷門、日本橋、銀座、増上寺、東京タワー、皇居外苑など東京の名所を回る42.195㎞のコースとなっています。
五輪「再延期」の可能性について初の言及:組織委理事「中止は絶対に避けたい」
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リオ2016大会では陸上競技だけで約70の世界新記録が誕生
100mや800mなどのトラック競技における見どころは、東京パラリンピックに向けて新星ルーキーが現れる可能性が高いことです。
例えば、短距離選手の井谷俊介は、デビュー間もない2018年のアジアパラ競技大会において、100mでのアジア新記録を更新しました。各競技において、こうした若手選手の登場や活躍が期待されます。
走り幅跳びや砲丸投げなどのフィールド競技における見どころは、選手が使う道具の進化も相まって、競技の記録やレベルが急激に伸びていることです。
マラソンなどの道路を使って行われるロード競技は、多くの選手が同時に参加する競技となるため、集団の中での選手同士の駆け引きが見どころです。
リオ2016大会では、パラリンピック の陸上競技で約70もの世界新記録が生まれました。東京大会においても、日々鍛錬を積み新記録を目指す選手たちの活躍が期待されます。
活躍が期待される日本人選手は?
走り高跳びの鈴木徹はシドニー2000大会で日本人初の義足のパラリンピアンとなって以降、リオ2016大会まで5大会連続出場しています。
「日本のレジェンドジャンパー」と呼ばれ、期待がかかっています。
視覚障害女子マラソンの国内第一人者である道下美里は、2017年と2018年、ロンドンマラソンと同時開催の世界パラ陸上競技マラソン選手権大会で優勝した実績があります。東京大会の活躍にも注目です。
義足だけじゃない、選手を支えるヒトとモノ
障がいゆえにできないことがある場合、選手たちは用具を工夫して競技に臨みます。また、人の助けも借りてオアフォーマンスを行います。
以下では、パラリンピック 出場選手を支えるヒトやモノについて説明します。
選手を支えるさまざまな用具たち
・義手、義足
上肢切断の選手が身につける義手には、スタートや走る際の補助の役割があります。
例えばクラウチングスタートや投てき時に用いられます。また、競技用に進化した義足は主にカーボンファイバー製で、板を曲げた形状をしています。
そのため地面を蹴る際の反発力が強く、前への推進力に変えることができます。
・競技用車いす「レーサー」
日常生活用の車いすとは異なり、大きな2つの後輪(直径70cm以内)が特徴です。
その重量は8~10kg程度で、フレームは軽くて丈夫なアルミニウムやチタンで作られています。
・投てき台
投てき専用に開発された投てき台に、脚やお尻が浮かないようベルトなどで固定することが認められています。
車いすから投てき台に乗り移り、ベルトを使用して身体を完全に固定します。
・スタートシグナル
競走種目ではピストルなどの音を合図にスタートします。しかし、聴覚障がいの選手の場合は音を聞いてスタートすることができません。
そのため、スタートに合わせて光るシグナルを使うケースもあり、目で合図を確認できるようにしています。
視覚障がい選手のサポーター
視覚障害の選手は目が見えないため、ひとりで競技を行うには怪我の危険も生じます。そのため、サポーターとともに競技に出場することが認められています。
選手と伴走をする「ガイドランナー」は、選手とひもを握り合い、声をかけて選手を誘導します。
ゴールの際には、ガイドランナーが選手を引っ張ったり、先にゴールした場合には失格になってしまうルールがあります。
また、走り幅跳びや砲丸投げでは、声や音を通じて位置や方向を教える「コーラー」が存在します。
例えば走り幅跳びでは、コーラーは踏み切りの位置で待機し、声や手拍子を使うことで選手に踏み切りの位置を伝えます。このコーラーの合図が選手に伝わるよう、観客は静かに観戦する必要があります。
人間の可能性が広がるパラリンピック陸上競技
パラリンピックに出場する選手たちは、それぞれ違った障がいと向き合いながら、自己の記録更新に向け日々努力を重ねています。
中でも陸上競技は、選手が自分の体と向き合い、モノやヒトにより障がいを補いながら記録を伸ばそうとしているところが魅力です。また、ベテラン選手はもちろん、若手ルーキーが多数登場しているところも魅力のひとつです。
新型コロナウイルスの影響で、東京パラリンピックの開催は2021年に延期となりました。しかし、選手たちは情勢にも負けずに努力を重ねていることと思います。それぞれの選手が障がいとともに戦うパラリンピックの舞台は必見です。
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