「ふっこう割」とは|国の宿泊助成制度・Go Toキャンペーンなど、新型コロナの観光復興支援情報も紹介

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さまざまな災害が起きる日本では、毎年甚大な被害をもたらしています。

その被害は観光業に大きな打撃を与え、被災地域が回復した後も、災害前と同規模の観光客が戻ってくるまで時間がかかることがあります。

国はこのような事態を支援するためにふっこう割とよばれる支援策を行っています。

この記事ではふっこう割の解説と、新型コロナの影響で大きな損害がでている観光業に対して国から行われる予定の復興支援策についても紹介します。


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ふっこう割の概要

ふっこう割とは、災害などにより被害を受けた地域を対象に、その地域への旅行の割引などを行うことで、観光需要を再び伸ばすことを目的とした国の支援策です。

過去には台風や地震などの被害が起きた地域で実施されました。認知度の低さなどの課題はありますが、実施地域ではインバウンドの獲得につながったケースもあり、被災地域の観光業復活に貢献しています。

ふっこう割とは

ふっこう割は大規模な災害などが発生し、被災地域への旅行キャンセルが相次ぐなど、その地域の観光需要落ち込みが見込まれる場合に行われる国の観光支援策です。

出張やビジネス目的の旅行は対象外、一人当たりの割引上限金額など制限はありますが、特別な申請などは必要なく、観光であればだれでも利用できます

ふっこう割を利用する場合は、旅行会社を通して予約する流れが一般的で、この支援策は訪日外国人観光客にも適用されます。観光庁としても、該当予算の2割以上をインバウンドで利用されることを期待しているそうです。

また、2020年より訪日外国人向けの旅行サイトでふっこう割を多言語で紹介、取り扱いもスタートしました。

実施事例

ふっこう割はすでにさまざまな地域で行われています。

2016年の熊本地震発生後実施した「九州ふっこう割は、九州全域を対象に適用されました。このキャンペーンによる需要促進は好調で、開始後、予約数は地域によっては前年同期比約1.9倍も増え、九州全体では前年同期比1.3倍まで伸びました。

2018年北海道地震の際には「北海道ふっこう割として、最大70%の割引が実施されました。北海道の観光業において一時は大きな損害が見込まれしたが、ふっこう割の効果もあり、実施された2018年度の観光客数は、過去最多の312万人を記録しました。

令和に入ってからは、令和元年に発生した台風19号に関連するふっこう割東日本14都県で実施されました。地域によって実施期間のばらつきはありますが、当初12月末から3月にかけての実施期間から、新型コロナの影響で期間を延長する地域もでました。

宿泊業におけるふっこう割

ふっこう割は旅行代金だけでなく、宿泊代金も割引対象になります。宿泊施設に対するふっこう割は好評で、過去実施した地域では高級宿予約が前年同期比約2倍以上を記録する県もありました。

ただし、ふっこう割対象宿になるためには特定の申請が必要です。

この章では宿泊施設になるための条件や手順、ふっこう割によって得られるメリットについて説明します。

対象の宿泊施設になるためには?

ふっこう割対象宿泊施設は、国が定めた対象地域であることは前提条件になりますが、自動的に対象になるのではなく、別途申請が必要になります。

まずは、各地域に設置されたふっこう割事務局に申込し、審査を受けなければなりません。申請書類は各事務局webサイトからダウンロードできます。

交付申請書と一緒に会社概要などの書類一式を送付し、審査が通過すれば対象宿泊施設になります。

対象になればふっこう割の割引価格で販売でき、割引額に合わせた給付金を受けられます。ふっこう割期間中は、経過報告書や実績報告書を提出しなければ支援金の交付は受けられないため、注意が必要です。

宿泊施設が受けるメリット

災害で観光需要が減った宿泊施設にとって、ふっこう割の対象となった際のメリットは多くあります。

  • 利益を減らすことなく、割引価格で提供できる

通常の割引キャンペーンでは割引額を宿泊施設が負担することになるため、利益が減ってしまいます。しかし、ふっこう割ではその割引額を国が補助金として支給するため、利益を減らすことなく宿泊施設を提供できます。

  • 災害によって離れた顧客の再獲得

災害発生後は心理的要因により、旅行者が旅行を取りやめる場合があります。

観光庁が2019年に実施した「宿泊旅行を予定していた国内の旅行先が自然災害の被害を受けた人」のアンケートでは、予定通り旅行を実施した人は回答者の55.8%でした。

中止理由として、被害により周遊が困難などの理由以外に、「被災地への旅行を自粛」や「危険なイメージがある」など心的理由を選択する人が多くいました。

観光地の被害はなく、通常営業の場合でも心的理由からキャンセルが相次ぐことがあります。しかし、「ふっこう割」の実施により、国内外に営業していることをアピールでき、顧客も宿泊予約が復興支援につながるため、双方にメリットがあります。

  • 観光地への興味関心のきっかけづくりになる

ふっこう割は通常よりお得に旅行に行ける制度です。ふっこう割対象商品は旅行代理店のサイトなどで取り扱われ、観光庁では販売HPの紹介も行われています。

こうした官庁、旅行企業、観光地などさまざまな組織や団体でPRすることにより、今まで観光地に関心が無かった人に知ってもらう機会が増えます。

現在も抱える課題

さまざまなメリットがあるふっこう割ですが、課題も多く残っています。

  • アクセスの集中などシステム事情により申込が困難

ふっこう割は実施が決定後、受付開始日は告知されても、開始時間は告知されないことがあります。過去には開始日にアクセスが集中し、つながりにくい状況の発生や、掲載時間に商品が掲載されないなどの問題がありました。

現在では実施都道府県でふっこう割の詳細を公開している場合が多くなっていますが、発売日、場所など詳細や、顧客への事前登録の案内などの告知、システム強化などの対策が必要です。

  • 認知度の低さ

アクセスが集中するほど人気があるふっこう割ですが、対象地域以外でのふっこう割認知度は低い傾向にあります。

北海道ふっこう割の実施後、株式会社インテージが実施したアンケートでは、北海道ふっこう割の認知度は北海道内で72%、道外で28%でした。北海道外で認知者の利用意向についても聞いたところ、6割以上の人が利用意向があるものの、実際の利用者は6%にとどまり、利用へのハードルの高さをうかがわせました。

ふっこう割を認知し、利用しなかった理由についての自由回答では「詳細や利用方法がわからない」という声が寄せられています。日本全国から顧客を呼び込むことを目標にしているにも関わらず、ふっこう割の制度、さらには対象地域や利用方法についての認知度が課題になっています。

新型コロナからの観光復興支援策

新型コロナウイルスによる日本全体の経済損失は、リーマンショックを超えるとの予想もあるほど深刻で、インバンド需要の激減、外出自粛要請など、観光業への損害も甚大なものになっています。

緊急事態宣言が解除された今、今後実施される予定の観光復興支援策を紹介します。

Go Toキャンペーン

Go To キャンペーンとは、新型コロナウイルスによる地域の観光産業の需要減少に対し行われる官民一体型の需要喚起キャンペーンです。このキャンペーンに対する補正予算案額は約1兆7000億円で、過去実施したふっこう割の予算30~80億円と比べても大規模なキャンペーンです。

このキャンペーンは海外でも報じられ、「日本がお金を払って訪日観光客を誘致している」と話題になりましたが、観光庁はこのキャンペーンは日本国内での旅行需要喚起のため国内居住者を想定し、インバウンド対策ではないと否定しました。

キャンペーンは「Travel」、「Eat」、「Event」、「商店街」などに分かれ、観光業だけでなく、地域活性化につながるさまざまな分野で行われる予定です。

「Travel」では、旅行会社経由、または直販で期間中に旅行商品を購入した際に代金の半額相当のクーポン(最大一人当たり2万円/泊)を付与することが検討されています。

開始時期は7月下旬を目安にしていますが、新型コロナウイルスの感染状況や、整備状況によっては7月初旬開始も検討されています。

4月の免税売上98.5%減、コロナショックの打撃:入国拒否はねのけ中国1位継続【日本百貨店協会:免税売上高・来店動向2020年4月分速報】

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旅館・ホテルの特別プラン

新型コロナウイルスの観光対策として、自治体や地域企業が独自のプランを出し、地元客から日本全国まで多くの観光客を誘致する動きが出ています。

長野県では、県内在住者が県内のホテルや旅館を利用する際に代金を割り引く「長野県民向け長野県ふっこう割」の実施を開始しました。諸条件はありますが、1人1泊あたり最大5000円割引されます。

この他にも「コロナに負けるな」、などをキーワードに、「テレワークを応援」、「3密対策を徹底」、「卒業生応援」、「宿泊組数限定」などさまざまな切り口でアピールする宿泊施設が増えています。

こうしたプランでは通常では考えられない特別料金や家族風呂無料など、さまざまな特典がついた内容が用意されています。

ふるさと納税で応援

ふるさと納税とは応援したい自治体に寄附ができる制度で、2000円以上の寄附金は所得税の還付や住民税の控除が受けられ、寄附先の自治体から名産品などの返礼品を受け取ることができる制度です。返礼品は、寄付額のおよそ30%が目安です。

ふるさと納税は自分で寄附する自治体を選択できるため、新型コロナウイルスによる打撃を受けた地域への支援としても注目されています。

他にも、ふるさと納税で受け取れる返礼品を、不安を抱える全国の家庭に送ることができるプロジェクトなども発足しています。今後もふるさと納税を活用した支援の輪は、今後も広がっていくことが予想されます。

アフターコロナに期待される支援施策

「Go To キャンペーン」は国内向けのキャンペーンですが、インバウンド需要の回復目処が立たない今、まずは国内の需要を取り戻すためにも、こまめに情報を確認しておく必要があるでしょう。

観光庁は、国や地域ごとの感染収束を慎重に見極めながら、インバウンド誘致が可能になった際は、速やかにインバウンドプロモーションを行うことを予定し、まずは航空会社と連動したキャンペーンを検討しています。

新型コロナウイルスの感染状況によって施策の内容や実行するタイミングは今後も変動する可能性があります。常に最新の情報をチェックするようにしましょう。


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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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