4月の免税売上98.5%減、コロナショックの打撃:入国拒否はねのけ中国1位継続【日本百貨店協会:免税売上高・来店動向2020年4月分速報】

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5月22日、日本百貨店協会・インバウンド推進委員会は、2020年4月免税売上高・来店動向の速報を発表しました。

免税総売上高は前年同月比の1.5%、購買客数は前年同月比の0.5%にまで落ち込みました。新型コロナウイルスの影響で、3月に行われていた入国拒否の継続・拡大が主因と考えられます。

また、一人当たりの購買額は、前年同月が約7万4,000円だったところから21万円と大きく増加しました。

《注目ポイント》

  1. 免税総売上高は前年同月比の1.5%、購買客数は前年同月比の0.5%に
  2. 一人当たり購買額は2020年3月よりも増加
  3. 来店数の中国1位は継続

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免税総売上高は前年同月比の1.5%、購買客数は0.5%に

2020年4月分の百貨店免税売上高・来店動向の速報が発表されました。これは、90店舗の「インバウンド推進委員店」を対象として行われたものです。

免税総売上高は約5億円、購買客数は約2,400人でした。


▲免税購買客数および免税総売上動向:日本百貨店協会、免税売上高・来店動向より訪日ラボ作成

前年同月比では、免税総売上高が1.5%、購買客数が0.5%と大きく落ち込みました。3月の前年同月比である14.3%、6.6%から、さらに大幅に減少したことがうかがえます。(※前年同月比は93店舗での調査であり、割合は店舗数を調整して計算されています。)

3月から4月で減少幅が大きくなった要因として、新型コロナウイルスの世界的なパンデミックによる影響が挙げられます。訪日需要の減少や各国国内の外出制限に加え、4月には日本への入国拒否の対象国が大幅に拡大しました。

4月に引き続き新型コロナウイルス感染拡大防止の措置が講じられていたことを踏まえると、5月分も免税売上高・購買客数の減少は続くと予想されます。

一人当たり購買単価は21万円に

一人当たり購買額は、前年同月が約7万4,000円、2020年3月が約15万9,000円だったところから、今月は約21万円と大きく増加しました。

3月に引き続き、新型コロナウイルスの影響で比較的訪日意欲の低い層が訪日を控えるなどしたために、相対的に訪日意欲が高い層の割合が高くなり、日本の商品への購買意欲も高水準となったためと推測されます。

化粧品・ハイエンドブランド人気が継続

免税店で人気のあった商品の順位は、以下の通りです。

  1. 化粧品
  2. ハイエンドブランド
  3. 婦人服飾雑貨
  4. 子供服・雑貨
  5. 婦人服・洋品

2020年3月と比較すると、3位の食品の順位が下がり、婦人服飾雑貨や子供服・雑貨の順位が上昇しました。また、5位に婦人服・洋品が入りました。

この順位変動にも、新型コロナウイルスの世界的なパンデミックが影響していると考えられます。感染を防ぐため、食品の購買を控えたり、感染拡大を受け営業を自粛した飲食店が増えたことが要因でしょう。

化粧品の1位が継続している理由としては、日本の化粧品に対して「安全・安心」というイメージが浸透していることや、小紅書RED)などで口コミが広がっていることが挙げられます。

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来店国別順位:中国1位は継続

免税手続きカウンターの来店国別順位は、以下の通りです。

  1. 中国本土
  2. 韓国
  3. 台湾
  4. 香港
  5. マレーシア
  6. タイ
  7. シンガポール

2020年3月と比較すると香港が2位から4位に落ち込んだほか、5位であったシンガポールも7位まで順位を下げました。

中国からの入国者に対しては3月から本格的な入国制限が始まっていますが、4月分のデータでも未だ来店数1位を継続しています。これは、日本への入国から6ヵ月以上経過していなければ、免税の対象となるため、と推測されます。

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今後はどうなる?:入国制限解除が免税売上の回復の鍵

5月25日現在、日本は100の国・地域からの入国を拒否しています。5月分のデータでも、免税店の売上は停滞したままでしょう。

では、新型コロナウイルス収束後のインバウンド需要はどうなるのでしょうか。

例えば免税カウンター来店数1位である中国では、外出制限の始まりが他国より早かったこともあり、旅行需要が非常に高くなっています。新型コロナウイルスの影響で春節中の訪日ができなかったことや、大分市が武漢市に3万枚のマスクを寄贈した出来事などを通じ、中国国内で日本への好感度が上がったことから、訪日意欲も高まっているようです。

また、韓国は昨年の不買運動の影響が残っている可能性もあり訪日需要は不透明であるものの、6月から国際線の路線が一部再開される見通しです。東アジア圏をはじめとした各国から日本への入国制限が解除されれば、免税売上は徐々に回復していくでしょう。

この入国制限が解除されるためには、まず日本国内において新型コロナウイルスの感染拡大が収束する必要があります。

5月25日付けで北海道と関東4県が解除基準を満たしたと判断され、ようやく全国で緊急事態宣言が解除されました。

しかし、緊急事態宣言の解除によって感染の危険が全くなくなったわけではありません。感染拡大の第2波を避けるためにも、一人ひとりの「新しい生活様式」の実践が求められます。

より早くインバウンド需要を拡大させ、免税売上を回復させるためには、感染拡大を防ぐ積極的な取り組みによって日本国内の安心・安全を示すことが重要といえます。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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