Google、ホテル広告に新形態「手数料は泊まった分だけ」に「まさに求めていた」と関係者評価

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観光経済の復活に希望の持てるニュースとして、一部の国との間でビジネス目的に限定した渡航制限の緩和が発表されました。

観光客の渡航が再開される時期はまだ未定ですが、感染の収束がうまくいけば観光客の受け入れも再開されるでしょう。

しかし、インバウンドがコロナ禍の前の状態に戻ったらそれで解決かというとそうではなく、今後また不測の事態となった時のリスクを軽減するためにも、現在はインバウンド市場の回復を見据え、どのように収益を上げていくのかを改めて考えるべきタイミングに立っています。

観光経済がストップしている今こそ、特定の国・地域からの集客に頼るなど薄利多売の偏った状態から「量より質」のインバウンド対策へと転換するチャンスでもあります。

そのための1つの転換期となりそうな、Googleの新しいホテル広告サービス「pay-per-stay」がスタートしました。

今回は、Googleのホテル広告が提示した「ニューノーマル」や、コロナ危機から学ぶ旅行業界の今後の展望について解説します。


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Googleが「宿泊客が滞在した分だけ払う」広告事業を展開

Googleは新たなホテル広告プロダクトとして、コストを最小限に抑えつつ新規予約を獲得したいホテル向けに、低リスクでGoogle ホテル広告に掲載できるプログラム「pay-per-stay」の提供を開始しました。

新プログラムでは、宿泊施設がGoogleに支払う広告料金が、実際に旅行者が宿泊した分だけになります。

Googleは新プログラム導入で、コロナショックによるホテルのキャンセル発生リスクの管理を支援するとしており、宿泊施設は今後これを積極的に利用していくことが予想されます。

これまでのクリック課金(CPC)方式だったGoogle ホテル広告の仕組みでは施設の経営方針と合わず、Googleホテル広告を利用できていなかった宿泊施設も、今後新規参入できる可能性が高まるでしょう。

ホテル直販コンサルティング会社Miraiのパブロ・デルガードCEOは、まさに宿泊業界が欲していたプログラムだと述べており、簡単かつ便利でリスクもないため、成長著しいGoogle ホテル広告に自社ホテルを掲載できると評価しています。

ユーザーへの情報提供さらに細やかに

さらにGoogleでは、今後ホテルの「ノーショウ(予約後キャンセルもせず最後まで現れないこと)」などへのキャンセル対策を打ち出す計画もあるとしています。

具体的には、すべての宿泊料金体系についてキャンセルポリシーの説明を充実させ画面上で常に表示するほか、フィルタリング機能にも反映させる意向です。

ホテル料金の払い戻しや予約内容の変更に対する柔軟性を重視している旅行者は、そうした要望に対応しているホテルや予算で自ら検索できるようになります。

コロナ危機で宿泊業の倒産相次ぐ

国内外からの旅行客が激減したコロナ危機により、全国で宿泊業の倒産が相次いでいます。6月26日16時時点でのコロナ危機による倒産件数は、全国で287件となっており、業種別では「ホテル・旅館」は43件と、「飲食店」の45件に次いでの倒産件数となりました。

2020年5月の倒産企業の負債額では、上位に長野や青森・大阪などの旅館・ホテル経営がランクインしています。

宿泊客が海外市場に偏重していた施設や、「質より量」の戦略を取っていた施設は特に苦戦したと考えられます。今後はこうしたリスクをなるべく低減させるような事業計画に注目が高まっていくと考えられるでしょう。

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Google ホテル広告とは?

Google ホテル広告では、Googleのプラットホームで宿泊施設の空室状況や料金を表示しています。

ユーザーはGoogle検索やGoogleマップから宿泊施設の情報を閲覧・比較したのち、クリックして各OTA(Online Travel Agent)サイトに移動し、予約まで完結できます。クリック課金方式の広告は、公式サイトや各OTAの入札によるオークション制にて表示される仕組みです

また、Googleのプラットホームで予約まで完結できる「Book On Google(BoG)」を今後日本でもリリース予定としています。

近年、広告支出を大幅に拡大しているGoogle ホテル広告は、全世界でのクリック数が過去5年の年平均成長率80%となっており、ユーザー数も年々増加しています

コロナ禍に今後の観光回復を見据えた準備を進めるなかで、Google ホテル広告は月10億人以上のGoogleユーザーにリーチ可能であり、既存のOTAと比較しコストを抑えられることから、導入する宿泊施設が増えてきています。


コロナ危機から学ぶ旅行業界の今後

コロナ危機をきっかけに、さまざまな業界で新しいニューノーマルやビジネススタイルが続々と展開されており、宿泊業や旅行業界もその1つといえます。

いまだ、訪日外国人観光客の渡航緩和についての見通しは立っていない状況ですが、緩和されたとしても少数からの入国になると考えられるでしょう。

アフターコロナですぐに海外旅行へ出かけられるのは、コロナ禍で経済的損失を受けなかった、または少なかった経済的に余裕のある人たちだと考えられます。そういった人たちへ感染拡大防止策を取りながら、インバウンドに高付加価値の体験を提供し、質の良い顧客の獲得に注力していくことが重要です。

これまでの「質より量」のインバウンド誘客施策では、今後の持続可能な業界の発展は見込めません。また、宿泊客の目線に立ち、感染防止策による衛生面での安全性だけでなく、旅行時の手続きにおける安心感も重要になってくるでしょう

今回のコロナ禍に限らず、急遽宿泊をキャンセルせざるを得ない事態も見込んで、払い戻しの手続き方法などがわかりやすく提示されていれば、見込み客への訴求や新規顧客獲得を後押ししていくと考えられます

関連記事
コロナ後の観光市場「欧米豪×FIT」なぜ重要?


<参照>

トラベルボイス:グーグル、ホテル広告事業で新展開、コロナ禍で宿泊施設にキャンセルリスクない料金体系へ【外電】

PhocusWire:Google expands pay-per-stay hotel ad product to quell risk aversion

TDB:全国企業倒産集計 2020年5月報

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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