香港に上場した中国ECナンバー2「京東」強みの物流で楽天とも連携、アリババを上回る日が来る?

完全無料 口コミアカデミー 「インバウンドの教科書」出ました! 国別・都道府県別データ・トレンドをカバー 見てみる

2020年6月18日、中国ECサイト第2位の京東集団(JDドットコム)が香港株式市場に上場したと発表されました。調達額は、約4,200億円に達しています。

今回は、独自の物流ネットワークを駆使しコロナショックを追い風に成長を続ける、京東集団の最新動向について解説します。



【訪日ラボは、8月5日にインバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」を開催します】

会場での開催に加え、一部講演ではオンライン配信(参加費無料)も実施!さらに、チケットを購入した方限定でアーカイブ配信も予定しています。

ご来場が難しい方や当日ご都合が合わない方も、この機会にぜひご参加ください。

京東集団が香港に上場

米国中国の対立が深まるなか、米上場の中国企業が香港上場を目指す傾向が高まっています。2019年11月には中国におけるECサイトの市場シェア1位のアリババ、今月11日にはゲーム業界大手の網易(ネットイース)が重複上場しました。この流れに続くように、2020年6月18日に京東集団が香港株式市場に上場し、注目を集めています。

京東集団(JDドットコム)とは

京東集団は、中国の大手インターネット通販(ECサービスを運営する企業で、IoT技術を駆使した配送方法や豊富な品揃えに定評があります。元々はウェブサービス会社だった京東集団ですが、2000年代からネット通販事業を拡大してきました。

2014年には中国ネット大手の騰訊控股(テンセント)から出資を受け、現在は同社が筆頭株主となっています。中国最大手のECサービスであるアリババに次ぎ、今後さらなる成長が期待されています。

中国の研究所が出したある調査結果によれば、1日のアクティブユーザー数ベースでは、アリババグループのECサイト「淘宝網(Taobao)」や共同購入で農村部から支持されているという「拼多多(Pinduoduo)」には追い付いていないというデータもあります。

中国ECサイト「京東」とは

EC(電子商取引、Electric Commerce)は、インターネット上で商品を販売するネット通販を意味する言葉です。経済成長の著しい中国では、ECを利用したショッピングが盛んです。海外の商品を購入できる越境ECサイトにも注目が集まっています。 中国の大手EC事業者である京東(ジンドン、JD)は、豊富な品揃えやIoT技術を取り入れた配送技術で有名です。今月13日に発表された2019年4~6月期の純利益では6億1,881万元(約90億円)の黒字となりました。昨年同期には赤字を計上していま...


物流に強み、2019年に日本国内の無人配送ソリューション構築で連携開始

アリババグループの「菜鳥(cainiao)」が情報システムとしての物流プラットフォームの提供に注力する一方で、京東集団は物流全般を自社で実施しているため、レベルの高い物流・配送サービスを実現できる点が大きな強みです。独自の物流プラットフォームを持ち、中国全土に広がる物流網を駆使した配送の速さがユーザーに高く評価されています。

京東集団は2007年に発足した物流業務を2017年4月に独立させ、「京東物流集団」を設立しました。2018年2月には、中国物流業界において最高額の25億ドル(約2,686億円)の資本調達に成功しています。

京東集団は、オンライン・オフライン・国境すらも関係なく利用シーンは無限であり、人と企業間の壁も取り払った「ボーダーレス・リテール」を、物流のスピードとクオリティを高める目的で掲げています。「211限時達」というサービスでは、午前11時までに注文した商品を、当日中に配送することを保証しています。

日本でもその物流の仕組みを輸入しようという動きがあります。2018年より、ドローンと地上配送ロボット(UGV)を組み合わせた日本国内の無人配送サービスの構築に向けて、楽天は京東集団との連携を開始しています。

2019年の夏には、スーパーの西友LIVINで取り扱う商品の中を、店舗の対岸にある無人島の消費者に届ける実証実験が行われました。


京東集団はコロナショックも追い風に成長中

京東集団は、独自の物流ネットワークを強みに、コロナショックの中でも収益増を実現しています。中国ECといえばアリババサービスに依然存在感がありますが、新型コロナウイルスの流行による消費傾向の変化や、地方を含めた物流網を強みとする京東集団の急速な成長によって、今後の勢力図が変わっていくかもしれません。

ドローンのように、日本では規制があって難しい方策も世界に先駆けて取り入れることのできる中国ならではの施策が、今後展開されていくと予想されます。直接に日本に取り込むことは難しい場合もありますが、その施策の一部を限定的な条件のもとで活用することが今後も進むと考えられます。

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、世界中の消費者がEC利用に積極的になっていると考えられます。自宅で過ごす時間が増えていること、外出中や在宅時の衛生環境への配慮が高まっていることから、関連商品への需要も増加しています。

海外からの観光客の日本への渡航再開については、まだはっきりとはタイミングがつかめない状況です。中国人消費者のEC利用動向をふまえ、越境ECを通じた商品の販売方法をさぐることが、インバウンド市場の回復を待つ今できることの一つでしょう。


<参照>

日本経済新聞:中国通販の京東、18日香港上場 アリババ上回る人気

日本経済新聞:京東、香港上場で4200億円調達 中国企業の回帰相次ぐ

SB Cloud:JD.com「京東物流」はAI活用の自社物流網でアリババと差別化

Rakuten:楽天と京東集団、日本国内の無人配送ソリューション構築に向けて連携を開始

36KrJapan:圧倒的王者アリババに立ち向かう京東と拼多多 3社の業績データ比較

Impress:【2018年版】中国BtoC-ECの主要プレーヤーと市場シェア、販売チャネルの特徴まとめ

【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」

インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。

本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。

<本セミナーのポイント>

  • 変わりゆく市場の状況と、今後注目のトレンドを把握できる
  • 旅マエの顧客行動を理解し、集客・予約率アップのヒントが得られる
  • 旅ナカの接客品質を高め、顧客満足度向上に繋がる実践的な対応を学べる
  • 各分野の専門家から、ビジネスを加速させる具体的な戦略や成功事例が聞ける

詳しくはこちらをご覧ください。

宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】

【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」

2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。

「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。

初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。

参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。

<こんな方におすすめ>

  • インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
  • 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
  • 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
  • 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
  • インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
特設ページを見てみる

【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか


訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。

この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。

※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。

口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。

詳しくはこちらをご覧ください。

「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】

今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」

スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。

「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!

→ 【無料】「インバウンドの教科書」を見てみる

完全無料 口コミアカデミー 「インバウンドの教科書」出ました! 国別・都道府県別データ・トレンドをカバー 見てみる

関連インバウンド記事

 

役にたったら
いいね!してください

この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客インバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!

プロモーションのご相談や店舗の集客力アップに