香港に上場した中国ECナンバー2「京東」強みの物流で楽天とも連携、アリババを上回る日が来る?

公開日:2020年07月03日

2020年6月18日、中国のECサイト第2位の京東集団(JDドットコム)が香港株式市場に上場したと発表されました。調達額は、約4,200億円に達しています。

今回は、独自の物流ネットワークを駆使しコロナショックを追い風に成長を続ける、京東集団の最新動向について解説します。


京東集団が香港に上場

米国と中国の対立が深まるなか、米上場の中国企業が香港上場を目指す傾向が高まっています。2019年11月には中国におけるECサイトの市場シェア1位のアリババ、今月11日にはゲーム業界大手の網易(ネットイース)が重複上場しました。この流れに続くように、2020年6月18日に京東集団が香港株式市場に上場し、注目を集めています。

京東集団(JDドットコム)とは

京東集団は、中国の大手インターネット通販(EC)サービスを運営する企業で、IoT技術を駆使した配送方法や豊富な品揃えに定評があります。元々はウェブサービス会社だった京東集団ですが、2000年代からネット通販事業を拡大してきました。

2014年には中国ネット大手の騰訊控股(テンセント)から出資を受け、現在は同社が筆頭株主となっています。中国最大手のECサービスであるアリババに次ぎ、今後さらなる成長が期待されています。

中国の研究所が出したある調査結果によれば、1日のアクティブユーザー数ベースでは、アリババグループのECサイト「淘宝網(Taobao)」や共同購入で農村部から支持されているという「拼多多(Pinduoduo)」には追い付いていないというデータもあります。

中国ECサイト「京東」とは

EC(電子商取引、Electric Commerce)は、インターネット上で商品を販売するネット通販を意味する言葉です。経済成長の著しい中国では、ECを利用したショッピングが盛んです。海外の商品を購入できる越境ECサイトにも注目が集まっています。中国の大手EC事業者である京東(ジンドン、JD)は、豊富な品揃えやIoT技術を取り入れた配送技術で有名です。今月13日に発表された2019年4~6月期の純利益では6億1,881万元(約90億円)の黒字となりました。昨年同期には赤字を計上していました...


物流に強み、2019年に日本国内の無人配送ソリューション構築で連携開始

アリババグループの「菜鳥(cainiao)」が情報システムとしての物流プラットフォームの提供に注力する一方で、京東集団は物流全般を自社で実施しているため、レベルの高い物流・配送サービスを実現できる点が大きな強みです。独自の物流プラットフォームを持ち、中国全土に広がる物流網を駆使した配送の速さがユーザーに高く評価されています。

京東集団は2007年に発足した物流業務を2017年4月に独立させ、「京東物流集団」を設立しました。2018年2月には、中国物流業界において最高額の25億ドル(約2,686億円)の資本調達に成功しています。

京東集団は、オンライン・オフライン・国境すらも関係なく利用シーンは無限であり、人と企業間の壁も取り払った「ボーダーレス・リテール」を、物流のスピードとクオリティを高める目的で掲げています。「211限時達」というサービスでは、午前11時までに注文した商品を、当日中に配送することを保証しています。

日本でもその物流の仕組みを輸入しようという動きがあります。2018年より、ドローンと地上配送ロボット(UGV)を組み合わせた日本国内の無人配送サービスの構築に向けて、楽天は京東集団との連携を開始しています。

2019年の夏には、スーパーの西友LIVINで取り扱う商品の中を、店舗の対岸にある無人島の消費者に届ける実証実験が行われました。


京東集団はコロナショックも追い風に成長中

京東集団は、独自の物流ネットワークを強みに、コロナショックの中でも収益増を実現しています。中国でECといえばアリババのサービスに依然存在感がありますが、新型コロナウイルスの流行による消費傾向の変化や、地方を含めた物流網を強みとする京東集団の急速な成長によって、今後の勢力図が変わっていくかもしれません。

ドローンのように、日本では規制があって難しい方策も世界に先駆けて取り入れることのできる中国ならではの施策が、今後展開されていくと予想されます。直接に日本に取り込むことは難しい場合もありますが、その施策の一部を限定的な条件のもとで活用することが今後も進むと考えられます。

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、世界中の消費者がEC利用に積極的になっていると考えられます。自宅で過ごす時間が増えていること、外出中や在宅時の衛生環境への配慮が高まっていることから、関連商品への需要も増加しています。

海外からの観光客の日本への渡航再開については、まだはっきりとはタイミングがつかめない状況です。中国人消費者のEC利用動向をふまえ、越境ECを通じた商品の販売方法をさぐることが、インバウンド市場の回復を待つ今できることの一つでしょう。


<参照>

日本経済新聞:中国通販の京東、18日香港上場 アリババ上回る人気

日本経済新聞:京東、香港上場で4200億円調達 中国企業の回帰相次ぐ

SB Cloud:JD.com「京東物流」はAI活用の自社物流網でアリババと差別化

Rakuten:楽天と京東集団、日本国内の無人配送ソリューション構築に向けて連携を開始

36KrJapan:圧倒的王者アリババに立ち向かう京東と拼多多 3社の業績データ比較

Impress:【2018年版】中国BtoC-ECの主要プレーヤーと市場シェア、販売チャネルの特徴まとめ

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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