ウィズコロナ時代の宿泊施設に必要な「感染症対策・収益力向上・高付加価値化」観光庁が最大1,500万円を支援

公開日:2020年07月07日

新型コロナウイルスの感染拡大もピークを超え、日常が戻り始めようとしています。

今年は7月に4連休、その後にはお盆休みがあります。政府の支援による「Go To トラベルキャンペーン」の実施も夏休みのタイミングに合わせて開始されるとみられ、国内における旅行消費の盛り上がりが期待されます。

宿泊施設にとっては、今夏、そしてその後の海外との渡航正常化を見据え、新型コロナウイルスの感染を防ぎつつ集客を図ることが重要な課題となります。


ウィズコロナ時代の宿泊業:まずは国内、そしてトラベルバブル

2019年に日本を訪れた外国人は3,188万人にものぼり、過去最高を記録しました。東京や京都などの主要な観光地でも外国人観光客を目にすることが多くなったことや、報道でその増加のインパクトについて触れられることも少なくないため、観光業においては訪日外国人が大多数であるという認識が形成される場合も珍しくありません。

ところが約4.8兆円という、訪日外国人の旅行消費総額は、実は日本国内における旅行消費額全体の17%にすぎません。

ウィズコロナ、アフターコロナの世界で、まず国内の旅行者にフォーカスすることは、こうした比率から考えても決してその場しのぎの策ではなく、大きな市場から相手にするという意味では合理的な選択ですらあります。

ただし、訪日外国人市場には、FITのような積極的に消費を楽しむ層もいます。これまでの日本のインバウンド消費は、時間や訪問先に制約のある団体旅行客によるものも少なくありませんでしたが、FITの中でも消費に積極的な層にアプローチすることにより、訪日外国人の旅行消費総額はまだまだ成長していくと考えられます

ウィズコロナ、アフターコロナの世界では、特定の国同士で相互に観光に関する協定を締結し、自由に旅行客を往来させる「トラベルバブル」が形成されると予想されます。国内観光客の受け入れの先にはインバウンドの来訪があると考え、環境整備をすすめるべきでしょう。

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【観光庁】最大1,500万円補助、宿泊施設の戦略転換をサポート

観光庁は6月30日から7月30日の期間で、感染症対策・収益力向上・高付加価値化に取り組む宿泊施設を公募しています。

公募した宿泊施設には個々の状況に応じたアドバイザーを派遣し、事業計画作成、感染防止への対応、施設の高付加価値化に向けた改修などに必要な経費を支援します。

支援経費は2種類に分類されます。宿泊施設が単独で行う取り組みの場合には上限1,000万円、宿泊施設が地域の事業者と取り組む場合は上限1,500万円の経費支援を予定しています。(支援経費は、選定件数に応じて変更になる可能性があります。)

生産性向上、インバウンド対応強化のための検討会も開催済

観光庁は昨年1月に官民一体となって日本旅館の生産性向上、高付加価値化を目指すために「日本旅館の生産性向上・インバウンド対応の強化等を加速するための新たなビジネスモデルのあり方等に関する検討会」を設置しています。

同検討会の会議を、先週6月29日に開催しました。今回で6回目となったこの会議では、旅館に対しての投資の停滞が原因として発生する施設の老朽化、サービス低下、客単価の低水準へとつながる負のスパイラルを解消するために、どのような支援が有効かについて、また、新型コロナウイルス感染拡大後に旅館が取るべき策に関しての議論が交わされました。

政府の支援を活用しウィズコロナへの対応を

昨年まで増加傾向であった訪日外国人観光客は、この数か月ほぼ0になってしまいました。今まで訪日外国人をターゲットとしていた宿泊業者は戦略の転換を迫られています。

一事業者だけでは太刀打ちできない今回の事態に、政府も補助金等を通じて業界の維持を図る姿勢を見せています。今回の公募もその一環です。

宿泊施設は今、消費者心理を大きく変えると考えられる「ウィズコロナ」「アフターコロナ」に対応した現場でのインバンド受け入れ策に着手する必要があります。また、インバウンド市場が完全に回復するまでは、国内旅行者の受け入れ、そして海外向けに今できることに取り組んでいくべきでしょう。

<参照>

ダイヤモンドオンライン:ホテル業界「総崩れ」の危機、制限解除でも稼働率20%未満の深刻

ニューズウィーク日本版:コロナ後の旅行を再開する「トラベル・バブル」構想に死角あり

観光庁感染症対策・収益力向上・高付加価値化に取り組む宿泊施設を応援します!~「宿泊施設アドバイザー派遣事業」の公募を開始~

観光庁第6回「日本旅館の生産性向上・インバウンド対応の強化等を加速するための新たなビジネスモデルのあり方等に関する検討会」を開催します~「稼ぐ」旅館への改革に向けた方策を検討します~

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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