英仏「激増」要因はラグビーW杯&インバウンド消費7年連続で過去最高!観光庁「訪日外国人消費動向調査」から2019年のトレンドを解説

公開日:2020年04月03日

観光庁は2020年3月31日、2019年の「訪日外国人消費動向調査」を発表しました。インバウンド消費額は4.8兆円訪日外国人客数は3,188万人と、ともに前年を上回り、過去最高を記録しました。

また2019年秋にはラグビーW杯が開催されたことから、欧米豪を中心に、期間中のインバウンド動向に大きな変化が見られました。

今回は、観光庁が発表した最新の「訪日外国人消費動向調査」のデータをもとに、インバウンド消費の数値的推移や訪日目的の変化、さらに2020年の見通しなどについて解説します。

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2019年のインバウンド消費は4.8兆円で過去最高

▲[訪日外国人消費額の推移]:観光庁 訪日外国人消費動向調査より訪日ラボ作成
▲[訪日外国人消費額の推移]:観光庁 訪日外国人消費動向調査より訪日ラボ作成

3月31日、毎年観光庁が発表する「訪日外国人消費動向調査」の最新版が発表されました。調査は、調査対象空港・港の出国ロビーにいる訪日外国人を対象とし、タブレット端末または調査票を示しながら聞き取る方式で行われました。

調査の結果、2019年のインバウンド消費額は4兆8,135億円と、過去最高を記録しています。昨年の4兆5,189億円からは約3,000億円伸びており、前年比で6.5%増となりました。

訪日外国人数も2019年は3,188万人と2018年の3,119万人を上回り、2019年は数・消費額ともに過去最高であることが明らかになりました。

▲[訪日外国人客数の推移]:観光庁のデータより訪日ラボ作成
▲[訪日外国人客数の推移]:観光庁のデータより訪日ラボ作成

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中国に続いて台湾が5,517億円(11.5%)、韓国が4,247億円(8.8%)、香港が3,525億円(7.3%)、米国3,228億円(6.7%)と、上位5か国・地域が全体の71.1%を占めています。

日本へのアクセスがしやすいことなどからリピーターが多く、政府もこれまで積極的に誘致してきたアジア圏は、数・消費額ともに大きな割合を占めているのが特徴的です。

しかし韓国は、前年比27.8%減と大きな落ち込みが見受けられます。その一因としては、日韓関係の悪化から2019年夏より不買行動が発生し長期化したことが考えられます。

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▲[国・地域別一人当たり消費額]:観光庁 訪日外国人消費動向調査より訪日ラボ作成
▲[国・地域別一人当たり消費額]:観光庁 訪日外国人消費動向調査より訪日ラボ作成

2019年の訪日外国人一般客の一人当たり消費額は、15万8,531円でした。

国別では、オーストラリアが24万7,868円と最も高く、次いで英国が24万1,264円、フランスが23万7,420円という結果です。

上記のグラフを見ると、上位はほぼ欧米豪の国々が占めていることがわかります。一方で、訪日外国人客数では大きな割合を占めるアジア諸国は、下位に位置しているのが特徴的です。

欧米豪の国々はアジアに比べ日本との距離が離れていることもあり、欧米豪からの訪日外国人は、1回の旅行で2〜3週間など長期で滞在する傾向があります。それに伴い、宿泊費や飲食代をはじめ、全体としての消費額も多くなります。

現在、訪日外国人客数の約8割はアジア圏の国々が占めています。これはアジア圏をターゲットとして行ってきた政府の施策が功を奏したとも考えられます。

アジア圏は消費額が小さい傾向にありますが、ベトナムやシンガポールはアメリカ、ロシア、カナダに迫っています。今後は欧米豪、アジアとバランスよく集客に取り組む必要が出てくるでしょう。

2019年のトレンド:ラグビーW杯で欧米豪の飲食・娯楽消費が拡大

2018年2月からは、JNTOが観光庁と連携し欧米豪などを対象にした誘致キャンペーン「Enjoy my Japan」を開始しましたが、まだ目に見える効果は上がっていません。そのような中で、2019年9~11月に開催されたラグビーW杯は、欧米豪の訪日動向に影響をもたらしました。

一人当たり消費額が前年比マイナスに振れている国が多い中、英国とフランスは前年比それぞれ9.2%、10%増と、他国と比べて比較的大きな伸びを見せました。

中でも一人当たり娯楽等サービス費では、英国は22,091円と前年比約2.6倍、フランスは11,029円と前年比約1.5倍となっています。宿泊費や飲食費についても、対象国・地域の中で英国とフランスは3位以内に入っています。

この要因として考えられるのは、多くのサポーターがラグビーW杯期間中に訪日したことです。

特にラグビーの発祥地である英国の訪日外国人数は、大会期間中の前年同月比が9月は84.3%増、10月は85.6%と急成長しました。またフランスに関しても、9月は31.7%、10月は15.0%増加しました。

ラグビー強豪国であるこの2か国からは、観戦日程にあわせ長期で滞在した訪日外国人が多かったことがうかがえます。

また、試合がないときは日本国内で旅行を楽しむなどしたことから、飲食費や娯楽費への支出も拡大したと考えられます。

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訪日外国人消費動向調査」の最新版のデータを分析した結果、2019年のインバウンド消費額は8年連続で増加し、7年連続で過去最高を記録したことがわかりました。

2019年は日韓関係の悪化による不買行動の長期化から韓国の消費が縮小してしまいましたが、ラグビーW杯の開催により英国やフランスを中心とする欧米豪の消費は大きく拡大しました。

2020年も3か月が経過しましたが、新型コロナウイルスの世界的な流行により、引き続き訪日外国人客数の減少は避けられないでしょう。政府は2020年の目標として以前から「訪日外国人客数4,000万人、消費額8兆円」を掲げていましたが、流行が長期化すると考えるとこの達成は難しいことが予想されます。

以前にも、一時的に訪日外国人客数が減るということはありました。東日本大震災が発生した2011年やSARSが流行した2002~3年がそれにあたりますが、いずれも数か月~1年程度で訪日外国人客数は回復しています。

新型コロナウイルスの流行の収束時期についてはまだ確たる情報はありませんが、収束後にはこれまで通りかそれ以上のインバウンド経済の盛り上がりが期待できます。

積極的な施策に打って出られない今は、これまで発表されているデータの振り返りや、各市場の最新データやトレンド、消費者心理の把握につとめることが、今後の道を切り開くヒントにつながるはずです。

新型コロナウイルス流行という困難を切り抜けた際には、タイミングを逃さずインバウンド需要を取り込めるように、今この時間を有効に活用するべきでしょう。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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