激化する韓国「ボイコットジャパン(不買運動)」影響インバウンドにも:訪日消費第3位の市場を失う可能性

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7月4日に日本政府が韓国向け半導体材料への輸出管理厳格化に踏み切った影響で、現在韓国では日本製品の不買や日本旅行キャンセルといった「ボイコットジャパン運動」が激化しています。


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関係悪化の発端、韓国と日本で主張に相違

今月24日の世界貿易機関(WTO)一般理事会で、韓国側はこの規制の理由について「元徴用工問題への対抗措置であり、WTO推進の自由貿易に反する」と訴えました。一方、日本側は徴用工問題などを念頭に置いた対抗措置ではないとの考えを主張しています。あくまで安全保障上のリスクをコントロールするための「輸出管理」であり、WTO協定に反するものではないという姿勢を見せ、議論は平行線のままです。

日本の輸出管理規制は、韓国を代表する企業であるサムスン電子や、SKハイニックスにとって大打撃となると予測されています。

徴用工問題とは?

第二次世界大戦中に日本統治下にあった朝鮮半島および中国において、日本の企業によって徴用された元労働者やその遺族による訴訟問題のことです。元徴用工は、奴隷のように扱われたとして、日系企業に対して元徴用工が訴訟を起こしています。

昨年、新日鉄住金(現:日本製鉄)や三菱重工業に対して賠償を命じる判決が出されましたが、日本側は1965年に日韓請求権協定によって徴用工問題は解決済みとの立場をとっており、日韓関係悪化の傾向を強めています。

慰安婦問題とは?

日韓関係の対立が増してくると、戦争時の徴用工と同様に、慰安婦についての問題が度々しこりとなって表れてきます。第二次世界大戦中に女性が性労働を強いられた「慰安婦問題」に対して、2015年の朴槿恵(パク・クネ)前政権時に、慰安婦問題の解決で日韓合意に達しました。しかし、その後も釜山やソウルの日本領事館前に慰安婦像が設置されたり、文大統領からは「合意では慰安婦問題は解決できない」と謝罪要求があったりと、やはり日韓関係の悪化を増長させています。

ボイコットジャパンの開始

上記に述べた状況下にあったこともあり、今回の半導体材料の輸出措置に反発する動き「ボイコットジャパン」が韓国で拡大しています。日本製品の不買運動、日本旅行をキャンセルする動きが広まり、ネット上では日本旅行についての感想を投稿すると非難コメントが殺到するといいます。

また、現在6社ある韓国LCCが運行する国際線のうち、37%が日本行き路線であるため、日本路線拡大で成長してきた韓国LCC業界の売り上げに悪影響が出るのではという不安な声が強まっているようです。

これまでにも、両国の関係悪化に基づく韓国での日本製品の不買運動は何度か起きています。しかしこれまでは、こうした運動は一部の団体のみで行われ、小規模ですぐに消えていました。

しかし今回は、SNS(交流サイト)の普及によって運動も大きくなり、韓国全体に影響をもたらしているようです。

7月16日には「nonojapan」という、不買しなければならない日本商品名とその代替商品などの情報を提供するサイトまで登場しています。このサイトへはアクセスが集中し接続に時間がかかる現象が起こるほどで、この不買運動に拍車をかけています。さらに、130万人以上の会員数を誇る韓国最大の日本旅行コミュニティサイト「ネイルドン」は、このボイコットジャパンへの賛同を示すため一時休業しました。

団体旅行を中心に日本旅行をキャンセルする動きが広まっていますが、今後は個人で日本旅行を計画していた人たちにも影響を及ぼしていくかもしれません。

インバウンドにおける韓国市場の位置づけ

日本政府観光局によると、2019年4~6月期の訪日客数は前年同期比3.6%増の858万人、そのうち韓国人旅行者は171万人で中国に次いで第二の巨大市場です。

旅行消費額の累計で見てみると、同四半期の全国籍では1兆2,810億円を記録しており、その内訳は中国4,706億円、台湾1,475億円、そして3番手の韓国が1,227億円となっています。

中国人旅行者と比較すると、およそ3分の1の消費額ですので、旅行者数減少が経済的に大打撃を与えるということはないかもしれません。しかし訪日人数が減れば、特に地方にとって空港使用料の減少は痛手です。長い目でみてもマイナス要素を多く持っており、このボイコットジャパン運動が長引けば、日本の観光業に関連した幅広い分野に大きな影響を与える可能性があるでしょう。

まとめ:逆境を活かした施策にも可能性が

全体の規模で見れば、韓国での不買運動の影響は短期的で、それほど大きなダメージは受けないかもしれません。しかし、地方活性化に向けて、人口減少や経済縮小をどうにかしたいと海外に活路を見出そうとしている自治体や、韓国を主取引先としている日本企業にとっては厳しい状況が続いています。

政府のやり方には不満を抱きつつも、個人間の関係にはそれを巻き込みたくないと考える理性的な韓国人、日本人も少なくありません。こうした逆境だからこそ、アプローチを工夫してファン化を図ることで、より熱量の高い訪日韓国人を呼び込み、リピーター化していくことも不可能ではないでしょう。


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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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