ウィズコロナの時代に、スペインで「寿司」が流行る理由:フードデリバリーサービス4選・自宅をレストランにする「新しい食の形」も普及

2020年3月から始まった新型コロナウイルス感染拡大防止のためのロックダウン(自宅待機)が終了したスペインでは、7月上旬から海外からの観光客を受け入れ始めました。それでも、スペイン政府はこの夏の外国人観光客数は昨年の半分になるだろうとの予測をしています。

スペインの各地では、新型コロナウイルスの第2波が広がっています。そのため外食する人が減り、スペインのGDPの33%を支える外食産業は売り上げを維持するのも困難な事態が続いています。

一方で、今回のロックダウン中にスペイン国内での食事のデリバリーサービスの利用が急増しました。そしてロックダウン後もその需要は減ることはなく、苦境に苦しむ外食産業の救世主となっています。今回の記事では、スペインのデリバリーサービス事情についてレポートします。

新型コロナで63%が利用、スペインのデリバリーフード

スペインの以前のフードデリバリー事情は日本同様、店舗に直接電話をかけて注文し、自宅まで料理を配達してもらうことがほとんどでした。こうしたシーンでスペイン人が注文する代表的な料理は「ピザ」「中華料理」でした。

2019年のデータによると、今はデリバリーの注文方法として携帯のアプリを利用する人が40%もいる一方で、PC経由で注文する人も23%いることから、スペインにおける利用者全体の60%以上は何らかのネット経由でデリバリーを注文していることがわかります。

若い世代ほど日ごろから頻繁にデリバリーフードのサービスを利用しているとの報道もあります。Unilever Food Solutionsがスペインに住む人1000人に対して実施したアンケートによると、今回のロックダウン中にデリバリーミールサービスを利用したスペイン人は全体の63%でした。ロックダウン前の利用者が51%であったことを考え合わせると、デリバリーを活用してロックダウン中の食を乗り切ったスペイン人がふえたことがわかります。

また、ロックダウン中のデリバリーサービスの利用の特徴として、特に平日の昼間の利用が65%増加した一方で、もともと良く利用されていた週末の利用は5%の増加にとどまっていることを指摘するレポートもあります。

スペインで人気のデリバリー・アプリとは 

日本や中国同様、スペインでもスマホアプリを活用して、料理を注文しています。スペインのニュースサイトでは、フードデリバリーのおすすめアプリとして以下を提案しています。

ユーザーは料理の到着時間の速さや味には満足しているものの、店舗で食べる時と比較してメニューの種類が少ないことに物足りなさを感じることが多いようです。

1. Glovo

Glovoは、スペインの企業が国内で展開する配送サービスで、様々な商品のデリバリーサービスを展開している点が特徴です。

今回の新型コロナウイルス流行にあたっては、対策のため、ひときわ厳しい衛生基準を自社の配達員に適用していることで知られています。

スペインのデリバリーサービス企業が展開するサービス「Glovo」の公式サイトトップページ
▲[Glovo]:公式サイト

2. Deliveroo

Deliverooは、イギリスのロンドンに拠点を置くフードデリバリーの企業です。英国、オランダ、フランス、ベルギー、アイルランド、スペイン、イタリアといった欧州諸国や、オーストラリア、シンガポール、アラブ首長国連邦、香港、クウェートなどアジア~中東など世界各地にサービスを展開しています。

スペイン国内でも、2,000以上のレストランが加盟しています。

アプリストアで確認した、イギリス発のフードデリバリーサービス「デリバルー」アプリ
▲[Deliveroo]:アプリストア

3. Just Eat

Deliverooと同じく、イギリス発祥のJust Eatは、スペインには2010年からサービスの提供を開始しています。スペインでポピュラーなデリバリーサービスの一つです。

新型コロナウイルスの流行にあたっては、非接触でのサービス提供を始めており、ユーザーに評価されています。

アプリストアで確認した、イギリス発のフードデリバリーサービス「ジャストイート」アプリ
▲[Just Eat]:アプリストア

4. Uber Eats

新型コロナウイルスの流行と前後して、日本でも、都心では頻繁に配達員の姿を目にするようになったUber Eatsですが、スペインでもサービスを展開しています。

他社のアプリと比較すると、このアプリのから注文したほうが早く宅配されると評価されています。

配達員をサービス提供側で雇用しないシステムのため、日本では食品の配送状況に問題があっても責任の所在があきらかにならないとして、SNS上で問題が指摘されていました。

スペインでは、Uber Eatsの配達員として登録し、実際の稼働を他人に依頼するケースが確認されています。こうした中には移民による不法労働も含まれていると見られ、政府が規制に乗り出しています。現状、サービスは継続されています。

フードデリバリーに最適化した店舗、デリバリーシェフ

新型コロナウイルスのロックダウンにより一層浸透した食事のデリバリーサービスですが、スペインで見ることができる食に関するデリバリーサービスはこれだけではありません。

まず、携帯アプリによるデリバリーサービスの需要が増えたことにより、実際の店舗を持たずに、デリバリーの注文のみに対応するダークキッチン(あるいはゴーストキッチン)という形態で営業をする店が増えています。店にとっては、この形態は店舗を持つことなく営業ができるので、初期投資を抑えることが可能であることが大きなメリットとなります。

また、いくつかのデリバリーサービスのアプリに登録することが自動的に店の宣伝になるので、広告費を抑えながら、需要のあるユーザーにリーチできるのもこのビジネスモデルのメリットといえるでしょう。

外出自粛中の娯楽の選択肢は限られ、Instagaram等のSNSを眺めて時間を過ごす人も増えていると考えられます。スペイン・マドリードにあるダークキッチンのKraving Kitchensは、Instagramを通じて商品の魅力をPRしています。

「新しい生活様式」が普及した結果、レストランで集団で会食をすることは難しくなってしまいました。こうした状況を受けて、飲食店を利用していた顧客の自宅に、料理の材料とともにシェフやウエイターも派遣する形態の「デリバリーサービス」も普及し始めています。

シェフのデリバリーサービス「Take a Restaurant」のInstagramには、サービス提供先の食卓が、飲食店のような雰囲気に包まれている写真がアップされています。

シェフと笑顔の男女五人、華やかな食卓
▲[Instagramに投稿された、レストランのシェフが自宅で食事を提供する様子]:編集部スクリーンショット

Instagram:takearestaurantの投稿(https://www.instagram.com/p/CCVkJKiDYtJ/)

毎月寿司を食べるスペイン人、コロナで「寿司職人」需要もアップ

新型コロナウイルスの流行で在宅時間が増えたスペインで、日本食、特に寿司のデリバリーの需要は非常に安定しています。2019年のある調査では、スペイン人の約半分が毎月寿司を食べていること、また毎月寿司を食べる人の45%がデリバリーされた寿司を毎月食べているという結果が出ています。

実はスペインでは、中華料理店で日本食を提供するところも少なくありません。中華料理はスペインではデリバリーフードの代表格であり、中華料理屋の提供する寿司が、ウィズコロナにおけるデリバリーサービスの利用拡大を通じて、寿司の認知度を押し上げています。

スペイン人が寿司のデリバリーを注文するときには、前述の中華料理店のほかにも、寿司を提供するチェーン店、日本食レストランに注文するスペイン人もいます。こうした寿司のポピュラーさに目を付け、寿司職人が客の自宅で寿司を調理するというビジネスを始める人もいるようです。

新型コロナによる「ニューノーマル」で日本食の地位向上のチャンス?

今回のロックダウンにより、スペインではデリバリーサービスを利用する人が急激に増加しました。また以前よりデリバリーフードとしても人気のあったお寿司を、今回のロックダウン期間中にも楽しんだスペイン人が多かったようで、口にする頻度や認知が向上したようです。

スペインには多くの日本料理店があり、うどんやラーメンもスペインで食べることができます。外食に制限があり、食事の選択肢が狭まる今、デリバリー熱に乗じた日本食の認知向上が期待できそうです。

<参照>

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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