8月2日、日本全国の新型コロナウイルスの感染者数は1,332人となり、5日連続で1,000人を超えました。
感染拡大に歯止めがかからず、依然警戒が続く中、海外の多くの国・地域でも感染拡大が確認されています。
この記事では、7月6日から7月31日ごろまでの世界各国の動きについてまとめてご紹介します。
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- 【アジア】中国・武漢にワクチン新工場、香港ディズニーランド再休園、タイ9月から日本人観光客受け入れ
- 韓国:38日ぶりに新規感染者が20人下回るも、依然警戒状態続く
- 中国:ウイグルで感染拡大、広東省とマカオの往来規制緩和、武漢市にワクチン新工場
- 台湾:感染拡大封じ込めと経済施策で、経済成長率増加の見通し
- 香港:ディズニーランド再休園、感染拡大も飲食店の閉鎖は撤回
- タイ:9月からの日本からの観光客受け入れ再開目指す
- インド:デリー中心に感染拡大、世界最大級の病院が稼働開始
- ベトナム:3か月ぶり市中感染、中国との国境管理を強化
- フィリピン:防疫措置を継続、中国にワクチン確保支援を要請
- マレーシア:8月17日からシンガポールとの往来再開
- インドネシア:バリ島で9月から外国人観光客受け入れ開始予定
- 【北・南米】アメリカの新型コロナ死者15万人超え、ブラジルで空路による外国人入国許可
- アメリカ: 新型コロナ死者15万人超え、モデルナのコロナワクチン開発進む
- ハワイ:アラモアナセンターが食料支援を開始
- ブラジル:経済優先を継続、空路による外国人の入国認める
- チリ:公共の場にコロナ探知犬を配備
- 【オセアニア】オーストラリアで感染拡大、失業率高止まり
- 【ヨーロッパ】日本からイングランド到着後の隔離不要に、イタリアが日本線の航空便再開
- イギリス:日本からイングランド到着後の隔離不要に、マスク着用義務化、ワクチン開発進む
- イタリア:アリタリア航空が8月中旬から日本線再開
- スペイン:ロックダウン緩和で新規感染者数が3週間で3倍に
- フランス:屋内のマスク着用義務違反に罰金、パリのディズニーランド再開
- ドイツ:ロックダウン緩和後、再び感染が急増
- ロシア:8月前半にもワクチン承認の見通し、安全性に疑問も
- フィンランド:7月13日からビジネス目的の日本からの受入れ再開
- その他
目次
【アジア】中国・武漢にワクチン新工場、香港ディズニーランド再休園、タイ9月から日本人観光客受け入れ
アジア圏の新型コロナウイルスに関する動向を紹介します。
韓国:38日ぶりに新規感染者が20人下回るも、依然警戒状態続く
新規感染者が38日ぶりに20人を切る
7月30日、韓国の中央防疫対策本部は、新型コロナウイルスの感染者数が前日から18人増え、計1万4,269人になったと発表しました。
1日あたりの感染者数が10人台に減るのは、6月22日の17人以来、38日ぶりとなります。
韓国の新規感染者数は、7月に入ってから20~60人台で増減していたものの、イラクの建設現場から戻った韓国人と、韓国の港に停泊していたロシア船内で多数の感染者が確認されたため、25日に113人に跳ね上がり、その後減少していました。
しかしながら、首都圏の集団感染発生地を中心に新たな感染確認が続いており、釜山港に停泊中のロシア船での集団感染は、すでに市中感染につながるなど、依然警戒が必要な状況が続いています。
韓国人中学生・就業者ら、8月から訪中可能に
7月27日、韓国の張夏成(チャン・ハソン)駐中国大使は、新型コロナウイルスの影響により中国に戻れていない就業者や韓国人留学生らが、8月からビザの発給を受けて、中国に入国できる見通しであることを明らかにしました。
中国政府は、新型コロナウイルス流入防止のため、3月末に滞在ビザと居留許可証を持つ外国人に対しても、入国を禁止していました。
ビザ発給は8月初旬から始まる予定で、居留許可証を所持していたものの期限が切れた人は対象外となります。
中国で韓中経済共同委員会を開催
7月30日、韓国の外交部は、中国との包括的な経済協力を話し合う韓中経済共同委員会を、中国・青島で8月1日に開催すると発表しました。
新型コロナウイルスの感染拡大以降、両国の政府が対面での会議を開催するのは初めてのことです。
両国の貿易・投資の発展方向や、地域・国際社会での協力強化などを議論するもので、企業関係者の入国手続きを簡略化する「迅速通路」の設置など、ポストコロナに向けた経済協力についても意見交換がされる予定です。
博物館や古宮などの観覧施設が再開
7月20日、観光文化財庁は、新型コロナウイルスの感染拡大によって休館していた観覧施設の運営を、7月22日から再開すると発表しました。
朝鮮王朝時代の4大王宮(景福宮、昌徳宮、昌慶宮、徳寿宮)、国立古宮博物館、宗廟、ソウル市と京畿道にある朝鮮王陵などが対象で、感染防止のため個人での観覧のみ可能となります。
古宮博物館は、最大入場者数を1日1,000人に制限し、インターネットによる事前予約制と、QRコードを利用した電子名簿システムを導入します。
古宮と王陵では、入場者数の制限はないものの、室内施設に同時に入場できる人数は制限されます。
【新型コロナ海外まとめ】韓国「K
日本では経済活動再開の動きが活発になる一方で、6月14日には東京都の新型コロナウィルスの感染者数について、5月5日以降の高水準となる47人が新たに確認されるなど、予断を許さない状況が続いています。海外でも、感染の拡大が止められない状況下で、経済活動を再開せざるを得ず、防疫管理と経済のバランスにおいて難しいかじ取りを余儀なくされる地域が少なくありません。この記事では、6月8日から6月12日ごろまでの世界各国の動きについてまとめてご紹介します。関連記事【コロナ海外まとめ】タイ・インドでワクチン...
中国:ウイグルで感染拡大、広東省とマカオの往来規制緩和、武漢市にワクチン新工場
新疆ウイグル自治区と遼寧省で感染拡大
7月31日、中国本土の感染者数は684人で、累計感染者数は8万4,292人となりました。
7月30日に新たに確認された127人の感染者の内訳は、新疆ウイグル自治区が112人と多数を占め、遼寧省が11人と続きました。
新疆ウイグル自治区では、中心都市であるウルムチを中心に、遼寧省では大連を中心として、7月中旬以降感染が拡大しています。
各都市では、全市民を対象にPCR検査を行うなど対策を行っています。
広東省とマカオの往来規制緩和
7月13日、広東省当局はマカオからの入境者に課している14日間の隔離について、15日から撤廃すると発表しました。
中国では、新型コロナウイルスの影響により、3月下旬からマカオと本土の往来が事実上禁止されていました。
マカオを訪れる中国人の半数近くが広東省からということもあり、香港株式市場では需要の急回復を期待してマカオのカジノ株が急伸しました。
武漢市に新型コロナワクチンの新工場
7月1日、中国の国有製薬大手であるシノファーム(中国医薬集団)は、開発中の新型コロナウイルスのワクチンを生産する新工場を、湖北省武漢市に完成させました。
すでに4月に北京市にも生産設備を設置しており、年間生産能力は合計で2億回分にのぼります。
武漢市の研究所は、6月16日、第2期の臨床試験で被験者全員に、ウイルスを中和させる抗体が生成したと発表しており、第3期の臨床試験はUAE(アラブ首長国連邦)で行われる予定で、早ければ2020年末の実用化を見込んでいます。
【新型コロナ海外まとめ】中国で渡航制限緩和の動き、イタリアは観光業再開に急ぐ、ドイツは大規模経済政策ふたたび
日本では5月25日までに全国で緊急事態宣言が解除され、経済活動再開への動きが活発になってきました。海外でも長く続いたロックダウンが解除され、経済活動が再開される地域が増えており、一部地域では国際空港便の規制を緩和する動きも出てきています。一方で、依然として新型コロナウィルスの感染については、多くの地域で予断を許さない状況が続き、経済活動再開とのバランスのジレンマに苦悩するケースがみられています。この記事では、6月1日から6月5日ごろまでの世界各国の動きについてまとめてご紹介します。関連記事...
【新型コロナ海外まとめ】中国が入国緩和を探る 世界で進む規制緩和 感染「第2波」の恐れも
本日5月14日夕方頃に安倍首相が会見を開き、現在発令されている緊急事態宣言が39県で解除されました。海外ではすでに新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大防止対策として行われていたロックダウン(都市封鎖)などの規制を段階的に解除が進められています。この記事では、5月1日から5月12日ごろまでの世界各国の動きについてまとめてご紹介します。※2020年9月現在、中国政府は、日本人に対しビジネス目的の場合のビザ発給業務を再開し、一部で渡航が開始されています。関連記事【コロナ海外まとめ】タイ...
台湾:感染拡大封じ込めと経済施策で、経済成長率増加の見通し
2020年に1.77%の経済成長予測
台湾の大手シンクタンクである中華経済研究院(CIER)は、新型コロナウイルスの感染拡大封じ込めと、政府の経済刺激策により、2020年の台湾経済が前年比.177%増の成長を達成する見通しだと明らかにしました。
台湾のGDP成長率は、今年の第2四半期に落ち込んだものの、今四半期は1.64%増を記録しており、第4四半期には3.09%増が見込めるとしています。
台湾の主計総処は、2020年通年の実質GDP成長率を1.67%と予測しています。
台湾の新型コロナウイルスの感染者数は累計458人に留まっており、ロックダウンも実施していません。
域外学生の受け入れ拡大、日本も対象に
7月8日、台湾の教育部は、新型コロナウイルス感染の中低リスク国・地域からの域外学生も受け入れる方針を発表しました。
これまで認められていた、13の低リスクの国・地域に加えて、日本を含む5か国が新たに加わった形です。
対象者は在籍する学校を通じて訪台を申請し、航空機の搭乗時には、学校が発行した書類の提示を求められるほか、台湾到着後は指定場所で14日間の隔離措置を受ける必要があります。
ビジネス客の短期受け入れ対象から日本除外の可能性
7月8日、中央感染症指揮センターは、ビジネス訪台者の短期間の滞在を認める対象から、日本、韓国、オーストラリアを除外する可能性を示しました。
これらの国で、感染拡大の傾向が見られるためで、状況を観察して7月中旬までに判断するとしています。
香港:ディズニーランド再休園、感染拡大も飲食店の閉鎖は撤回
香港では7月に入ってから新型コロナウイルスの感染が拡大しており、次々と対策を講じています。
7月13日、香港のディズニーランドは、香港で新たに52人の新型コロナウイルスの感染者が確認されたことを受け7月15日から再び休園すると発表しました。
また、香港では7月29日から8月4日までの1週間、終日店内での飲食を禁止するという政策を打ち出したものの、香港市民からの非難が高まり7月30日にわずか2日で撤回することとなりました。
香港の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は7月28日、感染者の急増を受けて、香港の病院制度が崩壊する恐れがあると警告しました。
香港が「大規模な地域感染が起こる間際」にあるとして、市民に外出を自粛するよう強く求めています。
香港の7月30日時点での新型コロナウイルスの累計感染者数は3,152人、死者数は24人にのぼり、30日の新規感染者は149人でした。
タイ:9月からの日本からの観光客受け入れ再開目指す
タイのピパット観光・スポーツ相は、7月14日までの共同通信との単独会見で、日本からの観光客の受け入れについて、9月から段階的に再開したいとの考えを明らかにしました。
タイでは労働許可証の保有者らを除いて、外国人の入国を厳しく制限する中、日本とビジネス往来の再開に向けて協議を進めています。
これと並行して、新型コロナウイルスの感染を抑え込んでいる国を対象に、観光客の受け入れについても具体策をまとめており、中国や韓国も想定しているということです。
※2020年10月22日追記:タイは10月20日から中国からの観光客受け入れを開始しました。
インド:デリー中心に感染拡大、世界最大級の病院が稼働開始
7月26日、インドのモディ首相は、新型コロナウイルスへの対応をめぐって、「インドのやり方は、世界が間違っているということを証明した」と主張しました。
インドの新型コロナウイルス回復率は他国を上回るとしたうえで、依然警戒が必要であると演説しました。
インドの新型コロナウイルスの症例数は130万人以上で世界で3番目に多くなっており、死者は3万2,060人に上っています。
特にデリーを中心に深刻な状況が続いており、インド国立疾病対策センターの調査では、デリー住民の約4分の1が感染していることが分かっています。
インドでは、新型コロナウイルスと闘うための、1万床を擁する世界最大級の病院がデリーに完成し、6月28日から稼働を開始しました。
ベトナム:3か月ぶり市中感染、中国との国境管理を強化
ベトナムでは7月25日、中部の観光都市ダナンで、3か月ぶりに国内での新型コロナウイルスの市中感染が確認されました。
28日朝までに、ダナンと周辺都市で合計15人の感染者が確認されています。
感染経路は不明ですが、7月以降、数十人の中国人の不法入国者がダナン周辺で摘発されており、ベトナム当局は中国との国境管理の強化に乗り出しています。
フック首相は国防省に対し、公安省などと連携して国境の警備を厳格化するよう指示し、不法入国者を発見した場合は、新型コロナウイルスの感染者とみなして隔離することとしています。
フィリピン:防疫措置を継続、中国にワクチン確保支援を要請
7月27日、フィリピンのドゥテルテ大統領は、政権が行っている厳しい抑制策を擁護し、対策の効果が出ていると訴えました。
また中国の習近平国家主席に、ワクチン確保の支援を要請したことも表明しました。
フィリピンでは、厳しい外出・移動制限を5月中旬から段階的に緩和しており、マニラでは6月に公共交通機関の運航が再開し、企業活動も一部操業を再開しました。
フィリピン各地には防疫地域区分が設けられており、7月末には、8月1日以降もマニラ首都圏が一般防疫地域(GCQ)に指定され、外出や移動規制などの防疫措置が続けられることが決定しました。
マレーシア:8月17日からシンガポールとの往来再開
7月26日、マレーシアとシンガポールの両外相は、ビジネスや公務、就労目的による国境をまたぐ往来の再開について合意したと発表しました。
8月10日から入国管理局で申請の受付が開始され、8月17日から往来が再開する見込みです。
両国の国境は、3月18日にマレーシアが新型コロナウイルス感染対策の活動制限令を施行してから、4カ月以上にわたり閉鎖されていました。
インドネシア:バリ島で9月から外国人観光客受け入れ開始予定
インドネシア・バリの知事は、9月11日から外国人観光客の受け入れを開始する方針を発表しました。
バリ島では観光業再生に向けて、3段階のステップを予定しており、すでに7月9日からバリ移住者を対象に観光スポットなどを開放し、7月31日から第2段階として国内旅行者向けに開放しています。
外国人観光客の受け入れ再開は第3段階にあたり、陰性証明を求めることを条件に、隔離措置が免除され通常入国ができる見込みです。
※2020年10月22日追記:2020年8月、バリ州政府は予定していた9月11日からの外国人観光客の受け入れ再開について断念を発表しました。
【北・南米】アメリカの新型コロナ死者15万人超え、ブラジルで空路による外国人入国許可
北米から南米の新型コロナウイルスに関する動向を紹介します。
アメリカ: 新型コロナ死者15万人超え、モデルナのコロナワクチン開発進む
新型コロナ死者が15万人超える
7月29日、アメリカの新型コロナウイルスの累計死者数は15万人を超えました。
全米の1日当たりの死者数の7日移動平均は、7月28日、6月2日以来となる1,000人越えを記録しています。
ジョンズ・ホプキンス大の研究者は、新型コロナウイルスの感染拡大を封じ込めるためには、連邦、州、地方自治体レベルで、対策をいちからやり直す必要があると指摘しています。
マスク着用を命令する州が増加
アメリカでは、マスクの着用について、地域によって対応が分かれています。
感染者の増加を受けて、当初マスク着用に抵抗を示していた州もマスク着用の義務化に転じており、テキサス州が7月2日、コロラド州とアーカンソー州も7月16日に公共の場でのマスク着用を義務付けました。
7月30日、アメリカ政府は、新型コロナウイルスの感染防止対策として、航空機や鉄道などの公共交通機関の乗客と従業員に、マスク着用を義務付けるのは反対だと表明しました。
公共交通機関でのマスク着用義務付けについては、州や地方政府、交通機関、公衆衛生の専門家に判断を任せるべきだとの見解を示しています。
アメリカ各地では店内の飲食が制限され、アメリカの口コミ情報サイトYelp(イェルプ)によれば、新型コロナウイルス感染拡大中に休業したレストランのうち、約6割がそのまま閉店したことが分かりました。
モデルナのコロナワクチン開発進む
アメリカのバイオ医薬大手のモデルナでは、新型コロナウイルスのワクチン開発が進められており、初期段階の安全性試験で、被験者全体が抗体を獲得したことが明らかになりました。
ワクチンの有効性を証明するものではいものの、試験における初期段階の重要なステップと受け止められており、モデルナの株価は7月14日の時間外取引で一時16.4%急伸しました。
【新型コロナ海外まとめ】アメリカ、イギリス、中国、韓国、イタリア、ドイツなどの4月中の動きまとめ
新型コロナウイルス(COVID-19)が世界中に広まり、多くの国々で様々な対策が行われています。国によってはすでに感染拡大が終息しつつあり、経済活動の再開が行われるなど大きく異なります。この記事では、4月中の世界各国の動きについてご紹介します。関連記事【コロナ海外まとめ】タイ・インドでワクチン供給の動き活発化【海外まとめ】アメリカ、ディズニー延期にEU渡航緩和対象外の可能性【海外まとめ】5月前半:中国政府、渡航緩和を探る【入国制限まとめ】日本・世界の渡航制限措置が一目でわかる一覧表目次【ア...
ハワイ:アラモアナセンターが食料支援を開始
ハワイ州ホノルルにあるショッピングモール「アラモアナセンター」は、食料支援プログラム「#ShowAlohaChallenge」と提携し、地域のレストランを支援するとともに、栄養ある食事を必要とする高齢者への食料支援を始めました。
アラモアナセンターによる協力の呼びかけに多くのレストランが賛同し、7月6日~7月10日と7月13日~7月17日の2週間にわたって、ハワイの在宅高齢者及び障害を持つ人々に計3,600食が提供されました。
エッグスシングスなどのアラモアナセンター内のレストランのほか、地元のレストランも参加し、各レストランが準備する1日36食のミニミールを、ボランティア団体のミールズ・オン・ウィールズが配達しています。
ブラジル:経済優先を継続、空路による外国人の入国認める
ブラジルでは新型コロナウイルスの感染が拡大しており、7月29日の新規感染者数は6万9,075人、死者が1,595人を記録し、累計では感染者数が255万人を超え、死者は9万人を上回っています。
ボルソナロ大統領は、新型コロナウイルスの流行発生当初から、ウイルスよりも、感染拡大を食い止めるための制限による経済的打撃の方が大きいと主張しており、特に6月以降、経済再開を優先しています。
マスク着用の是非についても政治的な問題に発展しており、7月3日、ボルソナロ大統領は公共の場でのマスク着用を義務付ける法案について、一部法案の削除を求めました。
下院で可決されたマスク着用義務化法案には、「商業および工業施設、礼拝施設、教育施設、大勢が集っている閉鎖空間」でマスク着用を義務付ける条項が含まれていますが、ボルソナロ大統領は、財産権の侵害につながる恐れがあると主張し、この条項に拒否権を行使しました。
さらに貧困層へのマスク配布を義務付ける条項も拒否しています。
一方、ブラジルでは外国人の入国を3月から禁止してきましたが、7月29日、ブラジル政府は、空路による外国人の入国を認めると発表しました。
即時発効されるものの、陸路や海路を通じての入国は、今後30日間引き続き禁止されるとしています。
チリ:公共の場にコロナ探知犬を配備
チリの警察では、新型コロナウイルスに感染した人の臭いをかぎ分ける探知犬の訓練が行われています。
9月半ばごろまでに探知犬の訓練を完了する見込みで、大勢の人が集まる、商業施設やスポーツ施設、空港、バスターミナルなどの公共施設に配備する予定です。
犬は1時間に250人の臭いをかぐことができるとされており、感染の可能性が高い人を探知すると、その人の横に座るよう訓練されます。
探知犬は、学校や競技場、事業所、レストランなどを平常通りに再開するために役立つと期待されています。
チリでは、新型コロナウイルス感染が、6月をピークに徐々に収束に向かいつつあり、7月19日には経済復興に向けた5段階の再開計画を発表していました。
【オセアニア】オーストラリアで感染拡大、失業率高止まり
オセアニアの新型コロナウイルスに関する動向を紹介します。
オーストラリア:メルボルン擁するビクトリア州で感染拡大、失業率は高止まり
7月7日夜、オーストラリア最大の都市シドニーを擁するニューサウスウェールズ州と、州都メルボルンを擁するビクトリア州は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、互いに接する州境を閉鎖しました。
両州は経済の混乱を避けるため、州境閉鎖に抵抗してきましたが、メルボルンの12区域全般がロックダウンを余儀なくされており、閉鎖に踏み切りました。
オーストラリア全体の新型コロナウイルスによる死者の累計198人の半数以上、および累計感染者数およそ1万6,900人の約6割がビクトリア州で確認されています。
ビクトリア州で7月31日に確認された新型コロナウイルスの新規感染者数は627人で、前日の723人に次いで過去2番目の多さになりました。
また、オーストラリア連邦統計局が7月16日に発表した6月の雇用統計は、失業率が7.4%となり、前月の7.1%から悪化するとともに、1998年11月以来の高水準を記録しました。
オーストラリアでは約30年ぶりの景気後退に直面しており、豪準備銀行(RBA)は、2020年末まで高失業率が継続すると予想しています。
【ヨーロッパ】日本からイングランド到着後の隔離不要に、イタリアが日本線の航空便再開
ヨーロッパの新型コロナウイルスに関する動向を紹介します。
イギリス:日本からイングランド到着後の隔離不要に、マスク着用義務化、ワクチン開発進む
日本含む自主隔離免除対象国・地域を発表
7月3日、イギリス政府は、イングランドに到着後、14日間の自主隔離が不要となる国・地域のリストを発表しました。
7月10日から実施されるもので、日本も自主隔離免除の対象に含まれます。
自主隔離免除から除外されたポルトガルは不満を表明する一方、イギリスの旅行業界は、今後の事業計画を立てやすくなるとして、政府の対応を歓迎しています。
マスク着用義務化
7月14日、イギリス政府は店舗やスーパーでのマスク着用を7月24日から義務化すると発表し、違反者には最大100ポンド(約1万3,000円)の罰金が科されることとなりました。
ただし11歳未満の子どもと、体の不自由な人は除外されます。
オックスフォード大のワクチン開発進む
7月20日、新型コロナウイルスのワクチンを開発中のオックスフォード大学のチームは、人に投与する初期の臨床試験で、安全性と免疫反応を起こす効果が確認されたと発表しました。
チームは早ければ9月にも実用化する見通しを示してきましたが、この日の会見でサラ・ギルバート教授は、やるべきことはまだ多く、実用化の時期の予測は難しいと語りました。
イタリア:アリタリア航空が8月中旬から日本線再開
イタリアのアリタリア航空は、新型コロナウイルスの影響により中止していた羽田ーローマ線の開設を8月中旬に就航する予定です。
当面、乗客数を制限したうえで週3便の運航とされます。
従来運航していた成田ーミラノ線、成田ーローマ線についても、今後徐々に運航再開を検討するということです。
アリタリア航空は6月中旬からイタリア国内線の運航を再開し、7月にはニューヨーク線など長距離路線を再開していました。
スペイン:ロックダウン緩和で新規感染者数が3週間で3倍に
7月20日、スペインの保健当局は、スペイン国内の新型コロナウイルス新規感染者の数が、過去3週間で3倍増になったと発表しました。
国内の新規感染者の数は週末に4,581人に達し、累計で26万5,000人にも迫っています。
ロックダウンの緩和に伴って、カタルーニャやアラゴン自治州などを中心に、約201の新たな集団感染が発生していることが背景にあるということです。
フランス:屋内のマスク着用義務違反に罰金、パリのディズニーランド再開
フランスでは、新型コロナウイルスの1日当たりの感染者数が、5月11日にロックダウンを解除した時と同レベルに戻りつつあります。
ベラン保健相は、感染の第2波ではないとしつつも、症例数の急増に警戒感を示しました。
7月25日、カステックス首相は、全土のロックダウンによる悪影響は避けたいという意向を示し、ドイツやイギリスなどと同様に、地域ごとの制限で対応する方針を示しました。
また7月20日、フランス政府は、公共の屋内でのマスク着用義務に違反した場合、最大135ユーロ(約1万6,500円)の罰金を科すことを発表しました。
フランスでは公共交通機関でのマスク着用がすでに義務付けられていますが、新たに商店、スーパー、銀行のほか、多くの市民が集まる公共施設の屋内も対象となります。
一方、フランスのディズニーランドは、7月15日から4か月ぶりに営業を再開しました。
来場者やスタッフのマスク着用や、ソーシャルディスタンスの確保などの感染対策を徹底させています。
ドイツ:ロックダウン緩和後、再び感染が急増
ドイツは、新型コロナウイルスをめぐる迅速な対応や充実した検査体制で高く評価されてきましたが、ロックダウン緩和後に再び流行が発生しており、5月には1日当たりの症例数が900例に増えていました。
数週間にわたり1日当たり新規症例数が500前後に減っていたものの、7月24日には815例に急増し、7月27日、ドイツの国立感染症研究機関「ロベルト・コッホ研究所(RKI)」は、直近の症例数急増について「非常に憂慮すべき」事態として懸念を示しました。
7月27日、メルケル首相の首席補佐官は、秋にかけての大規模な流行を抑え込むため、夏の間の1日の症例数について、500例を大きく下回るレベルに保つ必要があると述べました。
ロシア:8月前半にもワクチン承認の見通し、安全性に疑問も
ロシアでは、8月前半にも新型コロナウイルスワクチンが承認される見込みです。
モスクワのガマレヤ研究所(モスクワ)では、7月に初期段階の臨床試験が終了し、8月から後期治験が開始する予定ですが、当局は治験の終了を待たずにワクチンを承認する見通しです。
承認されたワクチンは、まず医療従事者が接種対象になるということですが、ロシア当局はワクチンの試験結果のデータを公表しておらず、安全性や有効性を疑問視するメディアもあるようです。
フィンランド:7月13日からビジネス目的の日本からの受入れ再開
フィンランド政府は、7月13日から、日本からビジネス渡航の受け入れを再開しました。
新型コロナウイルスのPCR検査などの検疫は不要で、日本以外に韓国、中国、タイなどからも商用目的で渡航ができます。
観光目的では、ベルギー、オーストリア、ドイツ、イタリアなどのほか、欧州以外ではオーストラリアからも受け入れを再開します。
入国措置は、新型コロナウイルスの流行状況によって2週間ごとに見直されます。
また航空路線では、フィンエアーが成田線の運航を7月3日から再開し、日本航空も7月1日から羽田線の運航を再開しています。
その他
その他の新型コロナウイルスに関する動向を紹介します。
コロナ感染者ゼロのトルクメニスタンで肺炎
7月15日、世界保健機関(WHO)は、新型コロナウイルスの感染者が確認されていない、中央アジアのトルクメニスタンで肺炎の患者が報告されていることに対して懸念を表明しました。
トルクメニスタンでは、7月13日に、保健省が大気中に含まれる「高濃度の粉じん」と「病原体」について警告しており、警察がマスクを着用していない市民らの拘束を開始しています。
トルクメニスタンは独裁体制が敷かれる旧ソ連構成国で、政府が感染者確認を認める準備を進めているのではないかとの憶測が広がっています。
WHO、コロナワクチン候補の臨床試験結果を入手へ
7月3日、WHOのテドロス事務局長は、新型コロナウイルスのワクチン候補の臨床試験の暫定結果を、2週間以内に入手すると明らかにしました。
WHOで緊急事態対応を担当するマイク・ライアン氏は、2020年末までにワクチン候補の効果が示されても、量産時期は不明であり、ワクチンが利用可能になる時期を予測することは賢明ではないとの見方を示しています。
WHO、3密回避を呼びかけ
WHOは、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、外出制限などの規制が解除されても「3密」を避けるよう呼び掛けています。
Facebookでの投稿を通じ、「密集」「密接」「密閉」を意味する英語の頭文字を取り、「3つのCを避けよう」と呼びかけました。
混雑を避け、密閉した空間に長く滞在しないこと、人との距離を最低1メートル取ること、積極的に喚起すること、マスクを着用することなど、具体的な対応を挙げています。
<参考>
外務省:https://www.anzen.mofa.go.jp/od/ryojiMailDetail.html?keyCd=93809
フォーカス台湾:http://japan.cna.com.tw/news/asoc/202007080007.aspx
フォーカス台湾:http://japan.cna.com.tw/news/asoc/202007080008.aspx
ソウル聯合ニュース:https://jp.yna.co.kr/view/AJP20200720003700882?section=news
ソウル聯合ニュース:https://jp.yna.co.kr/view/AJP20200727002200882?section=news
ソウル聯合ニュース:https://jp.yna.co.kr/view/AJP20200729001800882?section=news
ソウル聯合ニュース:https://jp.yna.co.kr/view/AJP20200730001500882?section=news
ソウル聯合ニュース:https://jp.yna.co.kr/view/AJP20200730003400882?section=news
ロイター:https://jp.reuters.com/article/macau-casinos-idJPKCN24F0KA
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中国SNS「RED(小紅書)」最新情報セミナー:訪日ラボ社内勉強会の内容を特別に公開します【訪日ラボ トレンドLIVE! Vol.6】
短時間でインバウンドが学べる「訪日ラボ トレンドLIVE!」シリーズの第6弾を今月も開催します!訪日ラボとして取材や情報収集を行う中で、「これだけは把握しておきたい」という情報をまとめてお伝えするセミナーとなっています。
今年も残りわずかとなりましたが、インバウンド需要はまだまだ好調をキープしている状況です。来年の春節や桜シーズンなど、訪日客が集まる時期に向けて対策を練っていきたいという方も多いでしょう。
今回もインバウンド業界最大級メディア「訪日ラボ」副編集長が、10〜11月のインバウンドトレンド情報についてお話ししていきますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。
詳しくはこちらをご覧ください。
→中国SNS「RED(小紅書)」最新情報セミナー:訪日ラボ社内勉強会の内容を特別に公開します【訪日ラボ トレンドLIVE! Vol.6】
【インバウンド情報まとめ 2024年11月前編】UberEats ロボット配達開始、万博需要見すえ大阪で ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月発行しています。
この記事では、主に11月前半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
※口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。
詳しくはこちらをご覧ください。
→UberEats ロボット配達開始、万博需要見すえ大阪で:インバウンド情報まとめ【2024年11月前編】
今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」
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