新型コロナウイルス感染拡大の影響で、日本全国で非常に多くの海水浴場が、今夏の期間は営業をストップすると発表しています。
当然海水浴場に併設される海の家も営業を停止し、シャワーなども使えなくなる場所が増えるのはもちろん、ライフセーバーが海水浴場に常駐することもないようです。完全な海水浴場の封鎖ではないものの、このように衛生面も安全面も確保されないとなると、事実上の封鎖と捉えてもおかしくはありません。
その一方で、新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るうなか、他国は一体どういった対策や対応を取っているのでしょうか。
日本との対応方法の違いや、コロナ後の需要の変化にも着目しながら、日本が他国の動きから取り入れられる対策などを考察していきます。
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世界の海水浴動向
日本では多くの海水浴場が営業停止を発表していますが、海外では少し事情が異なっています。
バリ島ではすでに国内旅行を許可しており、島内各ビーチも開放、さらには近々海外からの旅行客の受け入れを再開するとインドネシア政府が発表しています。
また、アメリカではロックダウン解除後の経済活動再開による需要回復で、カリフォルニアなどを筆頭にサーフィンの人気が盛り上がっているようです。
各国それぞれの動向を詳しく解説します。
日本の海水浴場は現時点で4割以上が開設の中止を発表
海上保安庁によると、全国1,155か所の海水浴場を調査したところ、この夏はその4割を超える469か所で、開設の中止を決定または検討をしているそうです。6月の時点では3割程度だったのが、7月に入りさらに増えている状況です。
海上保安庁は、開設が中止になった海水浴場では、自治体と協力して遊泳自粛を呼びかけていく方針とのことです。
バリ島では9月にも海外からの旅行客を受け入れる方針
リゾート地として世界中から人気のあるインドネシア・バリ島ですが、バリ島も例外なく新型コロナウイルスが感染拡大し始めた頃からビーチを閉鎖し、遊泳禁止状態でした。
クタビーチなど、バリ島の中でも特に人気のあるビーチでは、ビーチの入り口に柵が張られ、立ち入り禁止の状態だったようです。
しかし、7月9日から正式にインドネシア国内での旅行が解禁されたことに伴い、閉鎖されていたビーチも開放され、さらにインドネシア政府は、9月11日より、海外からの旅行客の受け入れを再開すると発表しました。
インドネシアでは、まずは国内旅行の解禁から、段階を踏んで海外からの旅行客にも開放していき、経済の回復を図っていくようです。
バリ島といえばサーフィンのメッカでもあり、海外サーファーにも人気です。経済の回復をいち早く図るには、そういった海外サーファーを呼び戻すことも、バリ島にとって非常に重要な観光戦略となっています。
すでにバリ島では、島内在住のサーファーや国内旅行客で、少しずつ島に活気が戻りつつあります。
アメリカではロックダウン後のサーフィン需要が堅調
アメリカも例外ではなく、新型コロナウイルスにより多方面に莫大な影響を受け、死者数も非常に多く出てしまいましたが、すでに経済活動を再開しています。
日本でアメリカから直輸入でサーフボードなどを卸しているサーフショップからの情報によると、アメリカでロックダウンが解除された頃より、サーフボードの輸入が非常に困難になったそうです。
経済活動を再開したアメリカではサーフィン需要が非常に堅調に推移しています。国内サーファーの需要を満たすことはできているものの、サーフボードの生産が間に合っておらず、日本への輸入が大幅に遅れているのが要因です。
ロックダウン時にアメリカでは徹底的にビーチでのサーフィンを禁止し取り締まりも強化していたため、その反動による影響がかなり大きいと見られます。そのため例年よりも、日本で販売できるアメリカ製サーフボードの本数が、今年はかなり少なくなっているそうです。
特にサーフィンが盛んな地域であるカリフォルニアでは、新型コロナウイルスの様子を随時注視しながら、新たな規制やルールを設けるなどしてビーチを開放しています。
このように、アメリカではまだ封鎖を続けるビーチもありながらも、サーフィンの取り締まりまでは行っていないようです。感染の状況を見ながらビーチの開放を続け、必要に応じて新たに規制を設けるというやり方を多く採用しているのが、アメリカのビーチの特徴です。
中国でもマリンスポーツグッズの販売が好調
全世界60か国以上において、1,700店舗以上を展開する大手外資系スポーツメーカー「DECATHLON」によると、新型コロナウイルスの感染が落ち着きを見せる中国では、マリンスポーツグッズの販売が好調のようです。
同社は中国において300店舗以上を展開しており、その展開地域は内陸部から沿岸部まで中国全土に渡ります。以下は、中国国内の同メーカー各店舗の所在地を地図上で表したものです。
新型コロナウイルスの影響はやはり同社も大きかったようですが、コロナ後の需要の戻りも同様に大きかったようで、特にシーズン的にもマリーンスポーツグッズの販売が好調で、その購入層は子供を持つ家族連れがメインとなっているようです。
中国では、沿岸部の都市を中心に経済発展を遂げているという事情もあり、必然的にヒト・モノ・カネは沿岸部に集まりやすい構造になっています。海水浴場も、内陸部の地方よりも沿岸部の都市からの方がアクセスがしやすいという状況です。
沿岸部や都市部に、大型のプールも多く建設されています。こうした背景もあり、中国では徐々にマリンスポーツが盛んになりつつあります。大型プールでも海水浴場でも、人が動けないほど密集しすぎて事故も多発しているほどです。
中国のレジャー産業の発展は凄まじく、各国がビジネスチャンスを見出して、なんとかその巨大なニーズを取り込もうとしています。
国が産業の発展に力を入れているという事情もあり、今後中国ではマリンスポーツがさらに発展していくと見られています。
まとめ
アフターコロナに向けたインドネシア・アメリカ・中国でのサーフィン・マリンスポーツの例を紹介しましたが、その事情は各国で異なります。
賛否両論はありますが、インドネシアやアメリカのように、日本も一律的になんでも中止や閉鎖にするのではなく、経済の回復を図り様子を見ながら対応していくという選択肢も考えていいのではないでしょうか。
現状の日本の海水浴場は完全に閉鎖というわけでもなく、中途半端ともいえます。監視や管理がされないことで、逆に海水浴場が無秩序化してしまうというリスクもあります。
インドネシアやアメリカのサーフィン需要、中国のマリンスポーツ需要は現地の経済をしっかりと回しています。日本でも、安全対策をしっかり行いながら、需要を取り込めるようビーチ等を開放していく動きもあってもよいのではないでしょうか。
日本は海に囲まれた恵まれた環境があるわけですし、サーフィン及びマリンスポーツで海外からの旅行客に訴求していくことも可能です。海外の事例、取り組みをしっかり把握し、それを上手に活かしていくことが今の日本には必要だと考えられます。
<参照>
FNNプライムオンライン:【独自】コロナ余波の夏 海水浴場4割“中止”へ
The Jakarta Post:Bali to welcome international tourists in September
Los Angeles Times:California fears July 4 coronavirus disaster, plans new restrictions
DECATHLON CHINA:公式サイト
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