中国には数多くのECサイトがあり、中には中国国外の商品でユーザーに訴求しているものもあります。唯品会(VIPSHOP)もその一つです。
中国では商業施設へのアクセスや、ブランドの展開など、地域により差があります。ECを通じて、ファッション用品や生活関連用品、食材など、満足のいく生活水準を実現するユーザーも少なくありません。
中国ECサービスでは、アリババのタオバオやTmall(天猫)、京東(ジンドン)のJD.comが日常的に使われていますが、中国国外の商品を購入する場合には、コアラ(考拉海購)や唯品会(VIPSHOP)を利用する人も少なくありません。
今回は日本にも拠点を持つ唯品会(VIPSHOP)について、その読み方やサービスの特徴について紹介します。
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唯品会(VIPSHOP)とは?
唯品会(VIPSHOP)は中国語でウェイピンフイ(ピンイン:wéi pǐn hùi)と読みます。
唯品会は中国のECサイトの一つです。国外で販売されている商品を輸入しユーザーに販売する越境ECのサービスも展開しています。
唯品会は2008年に会社を設立しており、2015年には会員数が1億を突破しました。2016年末には国内会員数2億人、2019年には3億人を達成し、その成長スピードに注目が集まっています。
中国には数多くの越境ECサービスがありますが、唯品会は以下のような特徴があります。
中国大手越境ECサービス
中国では現在数多くのECサイトが競い合っており、多数の中国人が利用しています。
複数のEC店舗が出店するモール型ではなく、EC運営元が商品を輸入し販売する、直販セレクト型コマースの分野では、ネットイースが運営するワンイカオラ(網易考拉)、アリババの運営するTmallグローバル(天猫国際)、京東(ジンドン)の運営するJD.com(京東商城)、そして唯品会や小紅書といったサービスが存在します。
2019年9月には、Tmallグローバル(天猫国際)を運営するアリババグループが、ネットイースが運営する越境EC事業を買収しました。これによりアリババグループは越境ECサイト市場の5割ほどのシェアを占めることになったと伝えられています。
ブランドに強い+フラッシュセール
唯品会(ウェイピンフイ)は、2008年に中国・広東省広州市で設立されました。フラッシュセールという特徴のあるビジネスモデルで急速に成長しています。
フラッシュセールとは、期間限定で割引価格などの特典が付いた商品を販売する方式のことです。それにより店舗側が商品、数、期間を決めることで販売効率がよくなります。
現在中国最大のフラッシュセールスサイトとして、各業界の人気ブランドメーカーと提携し、ファッション、化粧品、ベビー関連用品、インテリア等を取り扱っています。
2017年の時点で会員数は3億人を突破し、特に女性のユーザー層が多いとされています。
拠点は日本・東京にも
中国で急成長を遂げている唯品会ですが、2016年1月に小林健教代表のもと、VIPSHOP日本株式会社という名前で東京千代田区に拠点をおきました。
VIPSHOPでは主に中国国内のECショップの商品仕入れや、同ECショップへの日本企業参入の支援をしています。
台北、香港、ロンドン、ミラノ、パリ、ニューヨーク、ロサンゼルス、シドニー、ソウル、東京に拠点を構えており、日本は商品仕入れの全体の約25%を占めています。
唯品会の商品販売の特徴
唯品会は中国で急成長を遂げており国内総会員数も2億人を超え、急激に発展しています。
数多くのECサイトがある中で、唯品会(ウェイピンフイ)の何がそこまで人をひきつけるのでしょうか。
唯品会の特徴である、フラッシュセールスとブランド品の安全性について詳しく解説します。
1. ジャンルをしぼった品ぞろえ
唯品会は幅広いジャンルを取り扱っているECサイト大手2社のアリババや京東(ジンドン)と異なり、アクセサリーやアパレルにジャンルをしぼり込んでいます。
さらに唯品会はブランド品を多く取り扱っているため「厳選されたブランド+より深い割引+期間限定取引」という形態で顧客を惹きつけます。唯品会は有名なブランドの商品が安く買えるため女性に人気です。
2. 圧倒的な信頼感
中国のECビジネスは短期間で急成長を遂げたため、普及が始まった時期には本物のブランド品の流通が管理されておらず、社会問題になっていました。
顧客の中にはネットショッピングを信頼できないと考え、購入意欲は低下していました。
こうした問題を解決するため、唯品会は仲介業者などの第三者を経由せずに、ブランドの総代理店などから直接仕入れをしています。ECで販売される商品に本物以外が入ってしまう可能性がなくなり、偽物が紛れる心配がなくなった顧客は積極的に購入を検討するようになりました。
100%本物の商品を手に入れられるという信頼感は、購入にはいたらないまでも顧客の唯品会に対するイメージを高めています。
さらに安定的な取引が見込めるとしてブランドメーカーからの信頼も厚く、唯品会とブランドの取引関係も良好になりました。
3. 商品の魅力を引き出す写真
唯品会の最大の魅力はブランド品を定価よりも安く入手できるフラッシュセールですが、それを生かすために商品の写真やサイトのデザインにもこだわっています。
サイトに表示される商品の写真は全てスタジオでプロがとったものであり、ビジュアル的に簡単に商品選定ができるように文字は少なめで、写真を主にしたデザインになっています。
写真は顧客にとって分かりやすく、実際に購入した時のことをイメージしやすくする効果があります。さらにトップページから販売ページまでユーザーが迷わないような導線づくりもされています。
4. アフターサービスも利用可
通信販売またはECサイトを使う際、もし偽物や壊れている商品を受け取った場合にサイトの対応が重視されます。唯品会(ウェイピンフイ)ではユーザーの元に届いた商品が偽物だった場合、全額返金が可能となっています。
さらに困ったことがあればサイトでカスタマーセンターとチャットのやりとりや電話でのリアルタイムのやりとりができます。
唯品会(ウェイピンフイ)のカスタマーセンターでは、2,500人体制で顧客の問い合わせに対応して、顧客満足度の向上を図っています。唯品会(ウェイピンフイ)のアフターサービスはとても充実しいてると言えます。
5. 中国独自のECセール
日本のEC市場ではなじみのない6月18日や11月11日(独身の日)は、中国では毎年ECサービスが一斉にセールを開催する時期となっています。このタイミングでは唯品会でも売上げを狙ったセールを開催します。
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ブランド品に強く、女性に支持される唯品会(VIPSHOP)
中国越境ECで着実に成功を収めつつある唯品会は、従来のECサービスとは違い、幅広く多くの商品を扱うのではなく、ブランド品に注力した商品展開によりターゲット層を絞っています。
多くの女性に支持され、さらにフラッシュセールスというマーケティング手法を用いてユーザーの購買意欲を高めることにも成功しています。
こうした消費者心理とマッチする日本ブランドで、まだ中国市場に展開していない商品は、唯品会への出品を通じて新たな売上げを手に入れることもできるかもしれません。
【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」
インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
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【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
→「THE INBOUND DAY 2025」特設ページを見てみる
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
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