全世界で新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、国内外ともに渡航制限が続いています。
ウィズコロナ時代において、観光情報を国内外の市場へ届けるためには、従来の常識にとらわれず、多様な取り組みを検討する必要があるでしょう。
本記事では、観光情報を効果的に発信している国内外のPR戦略の実例を紹介します。
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【訪日ラボは、8月5日にインバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」を開催します】
会場での開催に加え、一部講演ではオンライン配信(参加費無料)も実施!さらに、チケットを購入した方限定でアーカイブ配信も予定しています。
ご来場が難しい方や当日ご都合が合わない方も、この機会にぜひご参加ください。
1. ニュージーランド政府観光局:発信を絶やさない
ニュージーランドは1970年代より観光立国を目指し、オーストラリア、イギリス・ヨーロッパ、アメリカ、アジア全域と並んで、日本も入れた主要5地域をメインターゲットとして観光PRに長期的に取り組んできました。
観光PRが功を奏し順調だった観光産業ですが、2001年9月11日のアメリカでの同時多発テロの頃には、アメリカのテロとは直接関係のないニュージーランドへの日本からの修学旅行を含めた観光客のキャンセルが相次ぎ、入国者が激減しました。
その状態を打開するためにニュージーランドの観光局は、当時のニュージーランド首相だったヘレン・クラーク氏の写真とサイン入りで「ニュージーランドは平和です」というメッセージを、日本の大手新聞の全国版へ全面広告を打ち出しました。この宣伝広告は前代未聞のものとして話題となり、その後日本からの観光客数はV字回復となりました。
今回の新型コロナウイルスの影響を受けて、ニュージーランドへの日本人の入国者数は、2020年2月は12,940人(前年比+10.8%)、3月は3,420人(前年比-73.5%)、4月は4人(前年比-99.9%)と激減しています。
そのような逆境においても、ニュージーランド政府観光局では、ソーシャルメディアを活用した積極的な情報発信を行っています。同局が運営する日本向けのTwitterアカウントは、約5万人のフォロワーを擁し、7月29日にツイートされた、ニュージーランドの人々からのメッセージ動画は、8月4日時点までに250回以上リツイートされました。

Twitter:ニュージーランド政府観光局による投稿(https://twitter.com/PureNZinJapan/status/1288358333997441025)
この他にも日本のテレビで自国について取り上げられることを知らせたり、星の名所として知られる「レイク・テカポ」の星空ライブを配信するなど、フォロワーとこまめなコミュニケーションを取っています。

Twitter:ニュージーランド政府観光局による投稿(https://twitter.com/PureNZinJapan/status/1272468893940846594)

Twitter:ニュージーランド政府観光局による投稿(https://twitter.com/PureNZinJapan/status/1284023728192413696)
2. 台湾の阿里山:顧客目線
7月17日、台湾の阿里山国家風景区管理処は、人気観光地である阿里山のPR映像「神話の大地」をYouTube上で公開しました。
Twitter:台湾ニュース@中央社フォーカス台湾による投稿(https://twitter.com/focustaiwanjapa/status/1284366372907003904)
この動画は台湾で活躍する日本人写真家の小林賢伍さんが手がけたもので、美しい映像と音楽にのせて、先住民ツォウ族の神話や、山の生態系の美しさなどを紹介しています。日本人の目線で発信しているため、日本人にとって分かりやすく、親しみやすい内容となっています。
台湾の林佳龍交通部長は、新型コロナウイルス収束後の最初の海外旅行先として、日本人に森林鉄道や先住民文化などの日本の歴史との接点がある強みを生かしてアピールしたいと意欲を見せています。
阿里山がある台湾南部・嘉義県の翁章梁県長は、日本人と阿里山は日本統治時代に、特に産業を通じて深くかかわり合っており、ツォウ族の高齢者は今でも日本語を話すと紹介し、この映像をきっかけに阿里山を訪れたくなる日本人が増えることを願っているとのことです。
3. サンリオピューロランド:営業再開の「感謝」
日本の人気テーマパークのサンリオピューロランドは、新型コロナウイルスの感染拡大防止により、2月22日から臨時休館していましたが、7月20日から一般営業を再開しました。
ピューロランド公式Twitterアカウントでは、営業再開に際し、顧客への感謝を伝えています。このツイートは、8月4日時点までに9千以上のリツイートと、2万以上の「いいね」を獲得しています。

Twitter:ピューロランドによる投稿(https://twitter.com/purolandjp/status/1285016603726188546)
この公式アカウントは24万人以上のフォロワーを擁しており、臨時休館期間中もほぼ毎日Twitter上で情報発信を続けてきました。
サンリオピューロランドでは休館中、ソーシャルメディアやライブ配信サービスを活用して、ミュージカルや施設の様子などのコンテンツを定期的にオンライン配信してきました。これはオンライン配信に対する顧客の反応を見てもらって、従業員のモチベーションを保つ狙いもあったとのことです。
また、サンリオが運営するYouTubeチャンネル「HELLO KITTY CHANNEL」では、サンリオピューロランドの目玉の1つとなるパレード「Miracle Gift Parade」や、臨時休館中に上映する予定だった、期間限定ショー「ハローキティのイルミネーションショー『SPARKLE!!~Sweet Lights~』」など、休館中の施設内の様子が配信され、コロナ禍で自宅育児を余儀なくされたファミリー層から喜ばれています。
キャラクターが1分半以上にわたって「後ろ姿でお尻をふりふり」するだけの、マニア向けのシュールな動画がサンリオのコアファンの心をつかみ、公開後約2週間で10万回以上再生されるなど、幅広い層からの支持を獲得することに成功しています。
新型コロナウイルスの影響で臨時休館を余儀なくされても、営業再開に向けてソーシャルメディアを有効に活用するなどして付加価値を生み出してきたサンリオおよびサンリオピューロランドの攻めの姿勢は、多くの事業者にとっても参考にできる点が多いと考えられます。
<参照>
トラベルボイス:観光客減少時のアプローチ技法を、ニュージーランドの成功事例から学ぶ
JTB総合研究所:アウトバウンド 日本人海外旅行動向
フォーカス台湾:阿里山、コロナ後の海外旅行先に名乗り 日本人目線の映像でアピール/台湾
東洋経済オンライン:休館中サンリオピューロランドが話題沸騰の訳
日経XTECH:サンリオピューロランド再開、苦渋の休館を越え小巻社長が描くテーマパーク像は?
【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」
インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。
<本セミナーのポイント>
- 変わりゆく市場の状況と、今後注目のトレンドを把握できる
- 旅マエの顧客行動を理解し、集客・予約率アップのヒントが得られる
- 旅ナカの接客品質を高め、顧客満足度向上に繋がる実践的な対応を学べる
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詳しくはこちらをご覧ください。
→宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】
【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
※口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。
詳しくはこちらをご覧ください。
→「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】
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