ビジネストラベルマネジメント(BTM)とは | 導入のメリットやポイントを解説

公開日:2020年08月24日

BTMとはビジネストラベルマネジメント(Business Travel Management)の略で、出張に関わる申請から清算までのさまざまな業務を社内コンプライアンスに基づいて一元管理することで効率化を図り、コストの削減や危機管理をすることができるシステムです。

今後見込まれている訪日需要の回復に伴い、自社社員の国内外への出張手配や、外国人取引先を招待した際における関係機関の手配、海外支社の自社社員を日本に呼んでの研修旅行の手配などの機会増加が見込まれています。

このように、ビジネス系インバウンド旅行手配のニーズも高まることが予想されており、BTM導入を検討する余地は十分にあるといえるでしょう。

本記事ではBTMの概要、およびBTM導入のメリットやポイントなどを解説します。


ビジネストラベルマネジメント(BTM)とは何か

ビジネストラベルマネジメント(BTM)は企業の出張業務を簡潔にし、出張に行く社員だけでなく申請・承認・清算に関わる上司や経理部門などの業務をまとめて管理できるシステムです。

出張業務の効率化やコスト削減に有効であるとして注目されています。

日本はBTMの導入が遅れ気味

1980年代にアメリカで開発されたBTMは、出張業務の管理やコストカットの大きな役割を担いながら欧米の企業で発達してきました。

アメリカの航空規制緩和の影響で料金体系の大幅な変更や手数料収入の減少を経験した旅行会社が、企業の航空運賃を交渉・手配するようになり、そこから出張業務の簡潔化・経費の削減・出張におけるリスクマネジメントなど、企業の出張に関わる包括的なサービスを提供するようになりました。

2000年代には経済のグローバル化によって一大産業にまで発展し、日本でもようやく脚光を浴びるようになったものの、未だBTMという言葉自体の認知度は低い水準に留まっています。

労働環境を取り巻く状況も刻々と変化してきていますが、出張業務をアウトソーシングするという考え方が日本ではまだ広まっていません。

ツールの導入や社員のトレーニングなど、初期費用はかかるものの、出張業務の一元化によりコスト削減や、個々の社員の生産性向上が実現できれば、中長期的な視野で鑑みると費用対効果が高いといえるでしょう。

そのため、景気の低迷などから経費削減に取り組む多くの企業で、BTMは徐々に注目を集めています。

日本におけるBTM市場の規模は約6兆3,600億円

BTMのアドバイザリーサービスを手掛けるBTMA Japan社によると、日本におけるBTM市場推計は2008年度で約6兆3,600億円とされており、そのうち日本国内の移動や宿泊は約1.8兆円規模を占めています。

対してアメリカの市場規模は、BTM専門誌等の推計によると2006年度で14兆6,000億円と2倍以上の規模を誇っており、日本よりも遥かに普及が進んでいることが伺えます。

BTMを導入することによって出張経費が10~20%削減できるという調査もあり、出張利用の航空券に関しては経費管理を行っていないという企業がほとんどという現状にあることから、今後需要が拡大していくことが見込まれています。

BTMを提供するのはノウハウのある旅行会社が多く、日本のニーズに合ったきめ細かなサービスが期待されます。

BTMを導入するメリット

今後ますます需要拡大が見込まれるBTMですが、コストの削減・出張業務効率化・危機管理体制の充実・内部統制の強化など、さまざまなメリットがあります。

それぞれの項目について詳しく見ていきます。

コストの削減

システムを一元化する大きなメリットは、出張に関するコストが目に見えるようになることです。

コストが可視化されれば、どこに無駄があり削減すればよいのかが明らかになり、根本的で継続的な経費削減が可能です。

出張業務に関するシステムの一元化に取り組んでいる企業はまだ多くはありませんが、業務を簡潔化し合理化していくことで大幅なコストカットが望めます。

業務効率の向上

BTMのシステムを導入することで、バラバラに管理していた出張に関する業務をひとつにまとめることが可能となります。

BTMを管理するトラベルマネージャーが業務全体を把握することが可能になり、それまでに関わっていた人材を本来の仕事に集中させることができるため、社内業務の効率化と生産性が向上します。

同時に、余分に投入していた人件費の削減にもつながります。

危機管理体制の充実

従来の業務方法では、出張に行く本人が航空券や宿泊場所の手配をすることが多く、出発してからの行動を把握することが困難な場合もありました。

BTMを導入すれば出張者のスケジュールや居場所がわかりやすく、緊急で連絡を取りたいときや万が一の事故などでも安否確認が容易になります。

BTMのサービスを提供する企業によっては海外に拠点を持つこともあり、国内出張だけでなく海外出張でも安心です。

内部統制の強化

それぞれの企業では、出張で利用するマイレージやポイントの扱い方や特典付きの宿泊は可能なのかなど、出張の際に守らなければならない規定が存在しているところも少なくありません。

それを知らずに違反してしまったり、あるいは知っていて悪用してしまうケースも考えられます。BTM導入により、社内規定に沿った情報のみの表示や、部署や個人によって選択できる項目の変更が可能となり、内部統制を強化が期待できます。

コロナ禍を切り抜けるインバウンド版「事業継続計画(BCP)」ノーリスクではなく影響の最小化が肝:窮地からリカバーした観光地2つの事例

インバウンド業界にとっても想定外の事態である新型コロナウイルスの感染拡大は、旅行会社や宿泊施設など、多方面で甚大な影響を与えています。こうした不測の事態に備えるために、事業継続計画(BCP)に対応しておくことは、事業の早期復旧を実現する上で非常に重要です。今回は、BCPの概要をふまえ、インバウンド業界が想定すべき事態や、取るべき対策を解説していきます。関連記事【26事例】コロナと闘うインバウンド事業の施策・対策総まとめ相次ぐ「コロナ倒産」累計181件に 宿泊業・飲食業窮地目次事業継続計画(...


BTM導入の際に気をつけたいポイント

上記のようにさまざまなメリットのあるBTMシステムですが、導入する際には気を付けるポイントもあります。

導入前に次に挙げる点をしっかりと準備し、企業・法人ごとの管理方法を構築しておくことにより、BTMの効果を最大限に発揮することが可能となります。

課題を整理する

BTMを導入すればすべてがうまくいくとは限りません。まずは、社内で出張に関するどのような課題があるのかを細かく洗い出し、整理することが重要です。

実際に滞っていたりコストがかかりすぎたりしている業務はあるのか、必要がないにも関わらず風習として残っている業務はあるのかなど、具体的な課題を挙げます。

具体例としては、出張申請や清算の社内コードが複雑なため、入力間違いが多く確認に手間がかかる、承認者が多すぎて出張前に申請業務が終わらない、などが挙げられるでしょう。

実際にかかるコストを算出する

課題の整理が終わったら、出張者が個別で手配する場合とBTMを導入した場合のコストをそれぞれ計算して差額を算出します。

その際には、季節的な運賃の変動や会社の内部事情なども考慮する必要があります。できれば会社全体の試算をすることが望ましいですが、一部の部署や部門のデータでも参考になります。こうすることによって、BTM導入によるコストの削減がどの程度になるのかを具体的に試算することが可能です。

また、導入後の目標達成率や改善率の基準としても、数字的な根拠が必要であるといえるでしょう。

関係者の理解・協力を得る

BTM導入にあたって最大限の効果を期待するには、社員のシステム利用率を上げる必要があります。

新しいシステムの導入には、既存システムからの脱却を図るため場合によっては社員トレーニングや、今までのプロセスを大幅に変更する必要が生じます。

出張者だけでなく、承認する上司や経理部門など会社全体としての取り組みや理解が不可欠であり、BTMシステムの管理者を筆頭に、システム利用を促していくことが重要になります。

コスト削減などが見込めるBTM

欧米や日本の外資系企業では浸透しつつあるBTMは、出張に関わる業務を一元化して効率化、経費の削減、危機管理体制の充実、内部統制の強化など多くのメリットがあります。

日本ではまだまだBTMの導入に関しては遅れているところがありますが、非対面接触が推奨され、県境や国境を超えた移動に慎重な姿勢が求められるウィズコロナ時代においては、事情に熟知したトラベルマネージャーへ一任することにより、大幅な業務効率化とコスト削減が可能となります。

BTM導入にあたっては初期費用の投資や社員教育などのコストや労力がかかりますが、今後の訪日需要回復に伴い、出張などの機会増加が見込まれることなどを考慮して中長期的な視野で判断すると、むしろ経営にプラスの影響をもたらすことが予想されます。

社内課題を具体的に整理してコストの見積もりを出し、関係者に利用を促したり理解を得たりすることが重要です。


関連インバウンド記事

 

役にたったら
いいね!してください

この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客のインバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!