7月訪日外国人も99.9%減の3,800人 4ヵ月連続でほぼゼロに:世界的に「第2波」への警戒強まる【グラフで見るインバウンド】

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2020年8月21日、日本政府観光局JNTO)は訪日外客数の2020年7月推計値を発表しました。

7月の訪日外国人数は3,800人と、先月の2,600人から1,200人増加しましたが、前年比では引き続き99.9%減となっています。4ヵ月連続でほぼゼロに近い数値が、全22市場でみられました。

欧州やアジアでは移動制限の解除が進み、国内やEU域内での旅行需要が徐々に回復する一方で、依然として日本が海外からの入国を制限していることが要因といえるでしょう。

本記事では、7月の訪日外客数のデータとともに、世界各国の新型コロナの感染動向や、今後予想できるインバウンド市場の動きについて解説します。

訪日外客数前年比の推移
▲[訪日外客数前年比(2020年7月まで)]:訪日ラボ編集部作成
2020年の訪日外客数の推移
▲[訪日外客数【2020年版】(2020年7月まで)]:訪日ラボ編集部作成
国・地域別の訪日外客数
▲[2020年7月 訪日外客数(JNTO推計値)]:JNTOプレスリリース(2020年8月21日)

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4ヵ月連続で全22市場の訪日外客数がほぼゼロに

2020年7月の訪日外客数は3,800人と、前年同月の299万から99.9%減少しました。先月の2,600人からは微増していますが、依然として全22市場においてほぼゼロに近い数値が4ヵ月続いている状況です。

ベトナムを除く東南アジアと欧州市場を中心に、訪日外客数は2桁まで落ち込んでいます。背景としては、新型コロナの世界的な感染流行により、各国で海外旅行の自粛が要請されているほか、日本でも継続的に水際対策が実施されていることが考えられます。

7月22日には、日本への入国拒否対象地域に17の国と地域が新たに追加され、全体で146の国と地域からの入国が制限されることとなりました。

東アジア:香港以外は3桁に戻るも、前年同月比ほぼ100%減

東アジアの全市場において、7月の訪日外客数が前年同月比でほぼ100%減となりました。最も多い中国が800人、次いで韓国が300人、台湾が100人と3桁にはなっていますが、香港は依然として20人と2桁に留まるなど、大幅な減少が顕著です。

上記4市場は、日本政府による検疫強化や上陸拒否などの対象となっているのに加え、海外旅行自粛の指示や要請が8月下旬頃まで継続されています。さらに、日本への直行便も大幅な減便や運休が続いていることから、訪日旅行は現実的ではない状況です。

東南アジア・インド・中東地域:6市場で50人以下と大幅な減少が顕著に

東南アジア・インド・中東地域における7月の訪日外客数は、最も多いベトナムは600人、次いでインドも300人と3桁の数値が並びますが、そのほかの市場はインドネシアとフィリピンが50人、中東地域が30人、タイが20人、シンガポールが10人、マレーシアが10人未満と、2桁のほぼゼロに近い数値が顕著となりました。

日本とベトナムは6月19日、出入国制限の緩和をビジネス目的に限り実施することに合意したことから、ほかの市場に比べて訪日外客数の回復が早いものとみられます。

マレーシアとシンガポールも同様の措置を9月上旬から段階的に開始することに合意しています。ただし現状としては、日本への直行便が引き続き大幅な減便と運休となっており、依然として訪日外客数の回復はみられない状況です。

欧米豪:全市場でほぼ100%減、長距離の海外旅行は自粛傾向に

欧米豪市場における7月の訪日外客数は、最も多い米国の400人を除き、全市場で2桁の大幅な減少となりました。フランスは80人、英国は60人、ドイツ・豪州は50人、スペイン・カナダは30人、イタリア・ロシアは10人、メキシコは10人未満です。前年同月比では、米国も含めた全市場でほぼ100%減という結果です。

欧州ではEU域内の移動制限が解除され、旅行者の移動も徐々に回復している一方で、ドイツでは欧州域外への不要不急の渡航を取りやめるよう要請するなど、日本への旅行は現実的でない状況が続いています。

米豪では、海外旅行を含む、外国への不要不急の渡航制限や渡航中止勧告が継続されています。日本への直行便は、引き続き運休や減便が目立ちます。

海外では近距離の旅行需要回復を目指すも「第2波」への警戒が障壁に

EU域内の国境封鎖が解除され、夏のバカンスシーズンの到来により欧州における旅行需要の回復がみられます。

しかし、人の移動の増加に伴い、再び新型コロナの感染者数も増加し、各国では「第2波」への警戒を強めています。今後の感染流行の状況によっては、EU域内における旅行も再び制限され、訪日旅行の回復時期がさらに遠のくことも懸念されます。

ニュージーランドは、豪州をはじめとする太平洋諸国との間で、トラベルバブルという、近隣諸国にて隔離なしに人の移動を許可する取り組みの導入を検討していましたが、来年まで導入は厳しいとの見方を示しました。

豪州における「第2波」への警戒などが主な理由となっており、近距離での旅行需要回復にも時間を要する見通しから、訪日旅行の回復はさらに先となることが予想されます。

国内外の「第2波」の動向を注視し、訪日旅行の魅力を安全性とともにPRを

日本は7月22日より、17の国と地域を入国拒否対象地域として新たに追加し、現在は計146の国と地域からの入国を制限しています。

各国では国内旅行や欧州域内など、近距離での旅行需要回復がみられますが、同時に「第2波」への警戒が強まっているため、再びロックダウンなどの水際対策が強化される可能性も否定できません。

日本国内でも「第2波」の懸念が高まっており、世界的に海外旅行の動向は非常に不安定であるのが現状です。8月以降も、日本への直行便の多くは大幅な運休や減便が継続されるため、訪日旅行の回復にはまだ時間がかかりそうです。

今後は、「3密」を避けられる場所や観光スポットを訪れる旅行スタイルの需要が高まると予想できます。

日本の大都市から地方へ足を運ぶことに関心のある、リピーター層などをターゲットに、さまざまな地域の観光資源をPRしていくことが求められるでしょう。

アフターコロナの訪日旅行需要の回復期を見据え、各インバウンド市場のニーズを分析し、日本における安全への取り組みも合わせて発信することが大切です。

<参照>

・JNTO:訪日外客数(2020 年 7 月推計値)

・日本経済新聞:欧州、感染増でコロナ対策再び厳格化 「第2波」懸念

・訪日ラボ:【新型コロナ海外まとめ7月】 香港、インド、アメリカ、ブラジルで感染拡大、バリ島で9月から外国人観光客受け入れ開始予定

・Exective Traveller:New Zealand travel bubble "on the backburner", may not open until 2021

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

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