近年、越境ECなどにより中国へ日本製品の生産・輸出・販売など、自国製品の販路拡大を図る動きが広まりつつあります。比例して「CCC制度(CCC認証、3C認証(制度)、中国強制認証制度とも)」も認知されるようになってきました。
CCC制度とは、国家安全保護、詐欺⾏為防⽌、⼈体の健康もしくは安全の保護、動植物の⽣命もしくは健康の保護、環境保護等を⽬的に、中国が国内に輸入される製品に対して自国の技術標準に適合したことを示す認証制度ですが、認証基準の厳しさ、およびコストの高さでも有名です。
2013年に制度改革が行われ、手続きがいくらか簡略化されたものの、品質管理と製品の一致性がより厳しく問われるようになるなど「中国との取引は難しい」という通説を裏付けるように依然として高いハードルとなっています。
本記事では、中国CCC制度の中身や対象品目・非対象品目、具体的な申請方法について2020年最新版の情報を紹介します。
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中国CCC制度(3C制度)とは何か
中国CCC制度は正式名称を「中国強制製品認証制度」といい、英語名「China Compulsory Certification(CCC)」から付けられた呼称です。
中国国内に輸入される製品に対し、国内技術の標準に適合し輸入が認められる製品かどうかを中国政府が審査して認証を与える制度で、2002年から施行されています。
認証を受けた製品に貼られる中国CCCマークの裏には乱数コードが記されており、消費者は国家認証監督委員会の「製品強制認証マーク偽造防止照合システム」を利用しコードを照合すると、製造元である業者を確認できるようになっています。
中国CCC制度(3C制度)の種類は5種類
中国CCC制度は、認証内容に応じて
- 安全認証
- 電磁両位性
- 安全及びEMC
- 消防関係
- 無線関係
の5種類に分類されており、製品により獲得が必要な認証が異なります。
認証を受けた製品に交付される認証マークのデザインも、マークを見ればどの種類の認証を受けたのかがわかるように、基本デザインの「CCC」を模したデザインの横に、
- 安全認証は「S」
- 電磁両位性は「EMC」
- 安全性と電磁両立性は「S&E」
- 消防関係は「F」
- 無線関係は「I」
のマークが付き、すぐに識別できるようになっています。
中国CCC制度(3C制度)申請方法6ステップ
次に、初めて中国CCC制度を取得する際の申請手順ですが、認証を申請できるのは中国CCC制度の製品目録に記載されている製品の生産者、販売者、輸入業者です。
申請者が製品の生産者でない場合には、両者間で文書の審査、サンプル検測、工場審査、マーク使用および証書取得後の監督などについて取り決めを行い、文書の取り交わしをする必要があります。
また代理人が申請者の委託を受けて認証手続きを行うこともできますが、その場合、代理人は国家認証認可監督管理委員会の登録資格を取得している必要があります。
実際の申請は、以下の流れになります。
- 必要書類と認証サンプルを提出して申請書提出
- 型式試験
- 工場審査(製品の一致性検査と工場の品質保証能力検査)
- 抜取試験(製品が型式試験に適さない場合、また工場検査時に製品の一致性に疑義がある場合のみ)
- 認証結果の決定と通知(原則認証部門が認証申請を受理し認証決定を行うまでの期間は90日以内)
- 証書取得後の監督(認証取得後も年1回、認証機関により定期工場審査を実施)
中国CCC制度(3C制度)対象品目と非対象品目
中国では全ての輸入製品について中国CCC制度を求めているわけではありません。
しかしながら対象範囲は随時見直しが行われており、国や地域によっても許可が変わる場合が存在するため注意が必要です。
中国CCC制度(3C制度)の「対象品目」
中国CCC制度の認証対象となる製品は「中華人民共和国国家質量監督検験検疫総局(AQSIQ)」および「中国国家認証認可監督管理委員会(CNCA)」によって公布されていますが、対象範囲は随時見直しが行われています。
2020年5月の情報では23カテゴリー180強品目に対し認証取得が義務化されており、カテゴリーの区分としては電気製品や精密機器そのものを指す場合もあれば、構成する部品ごとに細かく分けられている場合もあります。
対象商品となるのか非対象商品になるのかの線引きは非常にデリケートで、例えば同種の電気製品であっても入出力電圧の差により認証の対象になったりならなかったりと、細かく規定が設けられています。
中国CCC制度(3C制度)の「非対称品目」
中国CCC対象製品については上述の通りですが、非対象製品については国や地域の方針、あるいは年度によって許可の可否が左右されるため、随時確認が必要となります。
中国への輸出を希望する自社製品が中国CCC制度の対象となるか否かを簡易的に確認する手法には、貿易上で使う商品分類コード(HSコード)が用いられています。
HSコードは「商品の名称及び分類についての統一システムに関する国際条約(HS条約)」に基づいて定められた番号のことで、商品を輸出入する際には、各商品は必ずいずれかの品目コードに分類され、HSコードを取得します。
品目コードは、6桁までは世界共通で、7桁目からは国別に定められた細分方法が使用されており、日本では9桁の番号となっています。
HSコードを辿れば関税率や原産地規則を調べることができ、さらにこのHSコードからは、通関において中国CCCマークが要求されるか否かを確認することも可能です。
なお、中国CCC制度の対象製品かどうかをさらに細かく調べたい場合には、中国国家認証認可監督管理委員会(CNCA)が発行している「強制製品認証リストの描述及び適用範囲表」を用いれば、製品が中国CCC制度の対象であるか否かを正式に確認することができます。
中国CCC制度(3C制度)における3つの問題点
中国CCC制度の問題点は、制度開始時からいくつか指摘されています。その中でも大きなものが、取得まで時間も手間もかかる点です。
実際に認証を受けるためには、完成品が中国の規格(GB 規格)をクリアしているだけではなく、生産のための品質管理システムも完備していることが要求されます。
そのため初めて中国CCC認証を取得する際には中国の調査員が工場の調査を行い、品質管理システムに始まり、設計、材料、製造物等の管理大勢、工程や出荷の検査、文書管理、サンプルと製品の一致性など細かく調査されます。
このような事情から申請から認証を得るまでに平均で約3か月、規模の大きな製品ともなると6か月程度かかる場合もあります。
1. 中国CCC(3C)マーク申請にあたり
日本を含む海外の企業が中国CCC認証を取得するためには、CNCAが認可した中国の認証機関へ申請するか、中国の認証機関と業務提携している認証機関と認証代行業者へ認証の取得代行を委託します。
さらに中国にある指定された試験所にサンプル品を送付し、試験レポートを取得する必要があります。
認証証書の有効期間は5年間で、有効期間終了後延長する必要がある場合には、有効期間が満了する90日前までに再申請する必要があります。
中国CCCマークを取得した後は、工場の定期調査が毎年実施され、維持費も毎年徴収されます。
2. 認証機関の独占状態
中国国内で中国CCC認証を行う機関は限られており、各認証機関の担当範囲は、中国国家認証認定監督管理委員会(CNCA)が製品カテゴリごとに決めており、電線ケーブル類は中国品質認証センター(CQC)しか認証を行うことができないといったように、製品カテゴリによっては一部の認証機関の独占状態となっています。
そこで2013年の第18回中央委員会第三次全体会議以降、制度の変革が進んでいます。具体的には、中国政府も新たな認証機関の追加認可や、1製品に対し認証できる機関を2つ以上にする、新たな実験室の認定、外資系企業3社の強制性製品認証の実験業務への参入認可など、認証機関の枠を広げる措置を講じ、目詰まり解消に努めています。
3. 労力コストの負担が多い
中国では人口の多さや旺盛な消費を背景に、莫大な製品の輸入を行っています。そうなれば当然の結果として、中国CCC認証の取得を必要とする製品の数も増加します。
しかし上記で解説したように認証機関の数は限定されているため、必然的に申請の受理から審査、さらには製品の試験の順番待ちを招き、結果的に申請から認証までに時間を要する要因の1つとなっています。
また申請企業にとっては、認証にかかる費用負担も重い負担となっています。申請にかかる費用には申請費、翻訳費、製品検査費、工場審査費、認証許可と登録費、認証マークの取得費用などがあり、合計すると数十万円~数百万円程度の費用負担になります。
そのほか、認証取得後も定期工場審査(1回/年)、証書の更新、認証マークの購入などで維持コストがかかります。
中国へ物を輸出する場合は中国CCC制度(3C制度)の徹底を
現在、新型コロナウイルスの影響で、中国からの訪日客は完全に足止め状態になっています。そこで新たなビジネスチャンスとして、日本に来ることのできない中国人向けに越境ECなどを使ったビジネスを始める人も増加しています。
しかし中国への輸出入貿易では、複雑な規定が数多く存在します。そのため中国事情に特化した輸出入貿易制度に関する知識がないと、ビジネス展開ができないだけではなく、思わぬ形でペナルティーを受ける可能性も否定できません。
その中でも中国CCC制度は強制性のある第三者認証制度で、該当する製品にCCCマークがないと輸入通関および中国での販売ができません。
そのためいくら時間や手間がかかろうとも、対象製品であれば取得のための手間を省くことはできません。
中国市場での越境ECを考えている場合には、中国CCC制度に対する正しい知識を身につけることが求められます。
<参考サイト>
JTRO:中国の強制製品認証制度について
中国規制データバンク:CCC認証に必要となる費用
公益財団法人横浜企業経営支援財団 :中国強制認証(CCC認証)制度の改定が日本の中小製造業に与える影響について
顺企网:中国强制性产品认证目录
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