中国版のInstagramとも呼ばれている、人気SNSアプリ「小紅書」(小红书/RED)と市場調査会社イプソスが共同で、8月20日に「化粧品業界2020年中間レポート」(2020小红书年中美妆洞察报告)を発表しました。
小紅書は20代の若い女性を中心に人気を博し、動画や複数枚の写真をアップできるほか、EC機能も備えているため、ユーザーがそのまま商品を購入できます。
月間アクティブユーザー数は1億人を越えており、中国5大プラットフォームの一つともいわれており、化粧品業界をはじめ多くのビジネスが参入しています。
今回小紅書が発表したレポートから、2020年中国化粧品市場の動向や新型コロナウイルスがもたらした消費者の行動変化について整理します。
インバウンド対策にお困りですか?
「訪日ラボ」のインバウンドに精通したコンサルタントが、インバウンドの集客や受け入れ整備のご相談に対応します!
訪日ラボに相談してみる
関連記事
小紅書(RED)の概要・登録方法・プロモーション手法を紹介
インバウンドの最新情報をお届け!訪日ラボのメールマガジンに登録する(無料)
2020年中国化粧品市場はコロナ禍でも引き続き成長、情報収集源はSNS
中国の化粧品消費額は新型コロナウイルスの流行を受け、2020年1〜3月はマイナス成長となりました。しかし、4月以降から急速に回復しており、4月が前年同期比で+3.5%、5月は+12.9%、6月は+20.5%と好調に推移しています。
レポートによると、2020年の中国における化粧品の消費額は、結果的には2019年と比べて13.2%増の3,164億元(約4兆9,057億円)に達すると予測されています。
また近年の化粧品のマーケティング手法においては、SNSが重要なプラットフォームです。
レポートによれば、36%の化粧品消費者がSNSを通じて商品の情報を収集し、そのうち70%以上の人は購買欲が刺激され、購入した総金額が増え、購入単価が高くなり、そして新しいブランドを試す傾向にあります。
小紅書の美容関連コンテンツ作成者192%増、内容が多様化
小紅書の月間アクティブユーザー数が1億を超えており、そのうち約56%のユーザーが美容関連のコンテンツを消費しています。
それに伴い、2020年1〜6月において美容関連のコンテンツ作成者数が前年同期比で192%増加し、コンテンツの数が108%増えました。
内容形式も多様化しており、特に動画の視聴回数が113%増加し、KOLによる化粧品知識共有や化粧品レビュー、ものまねメイク講座、目元などの局部メイク講座、VLOGなどに幅広くわたっています。
ユーザー属性変化:「Z世代」「都市部から地方へ」
小紅書のユーザー構成にも変化が生じており、「18才以下」と「19才〜22才」といったZ世代が美容関連コンテンツ消費の主力になりつつあります。
Z世代は生まれた時からインターネットが当たり前な環境で育てられてきたため、SNSへの利用がより活発的で、特に18才以下は美容関連の内容に高い興味を示している現象が見られました。
18才以下の小紅書ユーザーの美容関連コンテンツ消費量が158%増加し、「19才〜22才」は68%増えました。
また、出身地で分析すると、北京や上海などの一線都市より、四線都市、五線都市といった地方都市など地方部への拡大が観察されました。
「Z世代」の旅行スタイルの特徴とは? 通底する価値観・消費傾向・効果的なアプローチ方法を解説
SNSの発達によって、さまざまな旅行体験が人々の間で共有されるようになっています。そういった今日の状況において、インバウンドを含むあらゆる分野で存在感を発揮しつつあるのが、Z世代と呼ばれる人々です。そこで、Z世代とはどういった世代なのかといった基本的なことから、Z世代の旅行の特徴や誘致方法といった、インバウンド事業を企画するうえで重要な情報まで詳しく紹介します。目次Z世代はどんな人たち?Z世代とはZ世代の価値観Z世代の特徴Z世代の旅行旅行の決定旅先で重視すること旅行の予約方法、計画Z世代へ...
18才以下:日・韓・タイ プチプラ、19才〜22才:欧米ブランドに興味
では、中国のZ世代はどういった化粧品ブランドに興味をもつでしょうか。
まず、18才以下と19才〜22才では、日本・韓国・タイのプチプラが人気を博し、それぞれの注目度は2019年と比べたら増加しています。
特に18才以下のユーザーにおいて、日本・韓国・タイのプチプラがもっとも注目されており、24%を占めています。
一方、19才〜22才は中価格帯の欧米ブランドを好んでおり、22%を占めていますが、日本・韓国・タイのプチプラが僅差で21%と2位でした。
また、どちらの層でも中国のプチプラブランドに対する好感度の上昇が見られ、今度中国ブランドが若年層を中心にさらに台頭していくことが予想されています。
「メイク用品」「スキンケア」「ボディケア」のコンテンツ消費増
新型コロナウイルスの流行拡大による外出自粛の影響で、2020年上半期に「メイク用品」関連のコンテンツに対する需要は緩やかになっていますが、ほかの項目と比べたらコンテンツの消費が依然としてトップを占めています。
一方コロナ禍を機に、「スキンケア」「ボディケア」に関するコンテンツ消費が大幅に成長し、それぞれの増加率が60%と95%です。
ウィズコロナで高まる「マスクメイク」ブーム
新型コロナウイルスの感染拡大により、中国では公共の場でマスクを着用する義務が付けられ、そのなかアイメイクを強調する「マスクメイク」がブームとして生まれました。
こうしたブームも小紅書で反映され、アイメイク用品のコンテンツ消費が35.5%増で、特にアイライナー(48%増)とアイシャドウ(36%)が牽引役となりました。
さらに、2月以降中国各地で外出制限が解除され、そのストレスの反動で購買意欲が高まるという「リベンジ消費」の現象が起こり、マスクメイクの人気にさらなる拍車をかけました。
レポートによると、小紅書ではマスクメイク関連コンテンツ数や消費数が2月から5月にかけて増加し、高い話題度を維持していました。
リベンジ消費とは/中国ではすでに消費拡大!インバウンド対策もアフターコロナに向けて始動
リベンジ消費とは、新型コロナウイルスの感染拡大を防止のための様々な自粛により、かえって消費意欲が高まり、活発な購入活動が見られる現象です。ECサイトの利用や国内旅行者の増加など、リベンジ消費を象徴する動きは中国や韓国で確認されており、消費活動がふたたび盛んになるのではないかと期待されています。「日本インバウンド・メディア・コンソーシアム」が中国のネットユーザーを対象に実施した調査では、新型コロナウイルスの収束後に訪れたい国として日本がトップになるなど、収束を見越したインバウンド対策も重要に...
スキンケア・ボディケアに対するニーズの細分化
スキンケアにおいては、洗顔料やクレンジングのコンテンツがもっと消費されている一方、フェイスマスクや日焼け止め、アイケアの増加が顕著です。
ボディケアはスキンケアと比べて全体のコンテンツ消費量は劣るものの、伸び率は高く、特にシャンプーやコンディショナーなどのヘアケア、ハンドクリームなど手のケア、首のシワを改善できる商品への関心度が高まり、コンテンツ消費の伸び率は70%を超えています。
中国化粧品市場の最新動向は要チェック
2019年「訪日外国人消費動向調査」によると、訪日中国人の81.9%は化粧品・香水を購入しており、一人あたりの平均消費額は52,142円に達していたことからも、訪日中国人の化粧品に対する購買意欲は他の国よりも遥かに高いことがわかります。
今回小紅書が発表されたレポートにより、中国化粧品市場において若年層の消費拡大が目立つようになり、また新型コロナウイルスがもたらした「マスクメイク」のトレンドやスキンケア・ボディケアへの需要増大が観察されました。
こうした中国最新の化粧品の消費トレンドを掴むことで、渡航再開時を見据えた訪日中国人へのアプローチ戦略の検討に活用できるでしょう。
インバウンド対策にお困りですか?
「訪日ラボ」のインバウンドに精通したコンサルタントが、インバウンドの集客や受け入れ整備のご相談に対応します!
訪日ラボに相談してみる
データでわかる訪日中国人観光客
爆買いという流行も後押しし、2015年の中国人訪日外客数は前年の約2倍となる499万人となりました。また、2015年の訪日中国人によるインバウンド消費額は約23万円で前年比10%増程度ですが、訪日外客数増加の後押しをうけ、訪日中国人全体のインバウンド消費額はなんと5,583億円。
中国人が本当に見ている旅行メディア4選:66.9%は旅マエに口コミ収集、「RED」も情報源に
訪日中国人が年々増加するなか、自社のサービスや商品の情報をいかに発信していくかが、集客力に大きな影響を与えています。近年、中国では旅行の特性が変化したことや、「口コミ文化」といわれるほど口コミが重要視されている背景から、马蜂窝(Mafengwo)などをはじめとする旅行メディアが中国人を集客するうえで重要なツールとなっています。本記事では、中国人の旅行における特性、自社のサービス・商品を掲載するメディアの選定方法、中国人に人気の旅行メディアを紹介します。Googleマップによる集客、うまく活...
<参考>
イプソス:益普索 x 小红书 | 2020小红书年中美妆洞察报告
中国SNS「RED(小紅書)」最新情報セミナー:訪日ラボ社内勉強会の内容を特別に公開します【訪日ラボ トレンドLIVE! Vol.6】
短時間でインバウンドが学べる「訪日ラボ トレンドLIVE!」シリーズの第6弾を今月も開催します!訪日ラボとして取材や情報収集を行う中で、「これだけは把握しておきたい」という情報をまとめてお伝えするセミナーとなっています。
今年も残りわずかとなりましたが、インバウンド需要はまだまだ好調をキープしている状況です。来年の春節や桜シーズンなど、訪日客が集まる時期に向けて対策を練っていきたいという方も多いでしょう。
今回もインバウンド業界最大級メディア「訪日ラボ」副編集長が、10〜11月のインバウンドトレンド情報についてお話ししていきますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。
詳しくはこちらをご覧ください。
→中国SNS「RED(小紅書)」最新情報セミナー:訪日ラボ社内勉強会の内容を特別に公開します【訪日ラボ トレンドLIVE! Vol.6】
【インバウンド情報まとめ 2024年11月前編】UberEats ロボット配達開始、万博需要見すえ大阪で ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月発行しています。
この記事では、主に11月前半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
※口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。
詳しくはこちらをご覧ください。
→UberEats ロボット配達開始、万博需要見すえ大阪で:インバウンド情報まとめ【2024年11月前編】
今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」
スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。
「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!