観光庁は8月31日、宿泊旅行統計調査の2020年6月第2次速報と7月第1次速報を発表しました。
宿泊旅行統計調査とは、日本人・外国人の宿泊状況を明らかにし、延べ宿泊者数・実宿泊者数、客室稼働率、国籍別の延べ宿泊者数などをデータ化したものです。 調査は月ごとに実施されています。
発表された調査データによると、2020年7月の延べ宿泊者数は2,258万人泊で、前年同月比56.4%減となりました。
また、外国人延べ宿泊者数は前年同月比97.0%減と、前月に引き続き大きく落ち込んでいます。一方で、日本人延べ宿泊者数は前月の1,406万人泊から2,226万人泊と約6割増加し、前年同月の5割程度にまで回復しています。
この記事では、7月の宿泊旅行統計調査データを参考に、国内外の宿泊者数の動向や今後の展望について解説します。
《注目ポイント》
- 日本人延べ宿泊者数は前年同月の5割まで回復
- 外国人延べ宿泊者数は前年同月比97.0%減で横ばい
- Go To キャンペーンの継続で国内旅行回復期待/ビジネス目的渡航者も増える?
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7月の日本人宿泊者数:前年同月の5割まで回復
2020年7月の延べ宿泊者数は2,258万人泊で、前年同月比56.4%減となりました。
全体のうち、日本人延べ宿泊者数は2,226万人泊で、前月の1,406万人泊から約6割増加しました。前年同月と比較すると、5割程度にまで回復しています。
政府が国内旅行を対象とし旅行代金の補償を行う「Go To トラベルキャンぺーン」が同月22日に開始されたことや、緊急事態宣言が解除され県をまたぐ移動が徐々に活発化していったことなどが主な回復の要因と考えられます。7月の外国人宿泊数:前年同月比97.0%減に
日本人の宿泊者数が回復傾向にある一方で、7月の外国人延べ宿泊者数は32万人泊で前年同月比97.0%減と、いまだ厳しい状況が続いています。
前月6月の18万人泊に比べると微増であったものの、新型コロナウイルスの影響は今後も継続すると考えられます。
しかし、政府は8月に東南アジア諸国とのビジネス目的の往来再開の決定や、在留資格を持つ留学生の再入国を認めるなどの動きを見せています。 これらの緩和が進むことで、外国人の宿泊者数は徐々に回復していくことが期待されます。
7月の客室稼働率:30.4%で前年同月の5割まで回復
7月の客室稼働率は全体で30.4%で、前年同月比32.9ポイント減となりました。前月同様、旅館、リゾートホテル、ビジネスホテル、シティホテル、簡易宿所のすべてで前年同月から稼働率がマイナスとなりました。特にシティホテルでの減少率が前年同月比55.2ポイント減と高く、訪日外国人観光客数減少の影響はいまだ続いています。
しかし、前月の22.8%から全体で7.6ポイント回復し、すべての施設形態で前月を上回る結果となりました。また、前年同月の63.3%と比較すると、客室稼働率は5割程度まで回復していることがわかります。
Go To トラベルキャンペーンにより国内旅行客を中心に旅行需要が高まることで、今後の稼働率の上昇につながると考えられます。
7月国籍別外国人延べ宿泊者数:全国籍で大幅減
国 |
2020年7月 | 前年同月(2019年7月) | 前年同月比 |
アメリカ | 50,470人 | 652,270人 |
92.3%減 |
フィリピン | 26,520人 | 72,200人 |
63.3%減 |
中国 | 13,610人 | 3,311,260人 |
99.6%減 |
ベトナム | 5,920人 | 72,860人 |
91.9%減 |
インド | 5,040人 | 49,470人 |
89.8%減 |
上の表は、7月の宿泊者数が多かった上位5位までの国・地域の宿泊者数と、前年同月比をまとめたものです。今回はアメリカ、フィリピン、中国、ベトナム、インドの順となりました。
2位のフィリピンは減少率が前月の77.5%から回復したものの、そのほかの地域(集計されている21区分)では、前年に比べ80~90%以上の大幅な減少を記録しました。
前月の6月や5月と比較して全体的に減少率はわずかに下がっているものの、訪日外国人観光客の増加によるインバウンドの回復には程遠いといえるでしょう。
※国籍別外国人延べ宿泊者数は、従業者数10人以上の施設に限った数値です。
Go To トラベルキャンペーン開始から1か月/今後の入国制限緩和は?
7月22日にGo To トラベルキャンペーンが開始されたことで、7月は日本人の宿泊者数が2,000万人泊を超えるなど国内旅行は回復傾向となりました。
さらに今後の新型コロナウイルスの感染状況を見て、9月に東京発着の旅行がキャンペーンの対象となる可能性もあります。その場合、これからも宿泊旅行者数は増加していくことが期待されます。
一方、前月に引き続き大きな落ち込みとなった外国人宿泊者数ですが、政府は徐々に外国人の入国緩和を目指した動きを見せています。
8月5日からは、特別措置として、留学生や技能実習生、企業の駐在員など在留資格がある外国人の再入国がPCR検査の実施などを条件に認められています。
また、8月中旬に政府はマレーシア・シンガポール・カンボジアとの間でビジネスマンや駐在員などの往来を9月ごろから認めることで合意し、主にビジネス目的での往来が再開される予定です。
一方で8月28日には、新たに入国拒否対象として13か国が追加され、合計159か国となりました。今後は、さまざまな国からの訪日外国人観光客よりも、特定の地域からのビジネス目的の訪日外国人が徐々に増加していくと考えられます。
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<参照>
観光庁:宿泊旅行統計調査(令和2年6月・第2次速報、令和2年7月・第1次速報)
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