新型コロナウイルス感染拡大により、前代未聞の移動制限や3密回避が要求され、観光関連事業者は大きな影響を受けています。
一方で、3密を回避したレジャーとしてオートキャンプ場などを代表とするアウトドア施設の需要が伸びていくことが今後予測されています。
そこで、具体的に受け入れを行うキャンプ場はどのようなことに注意し、またどのような施策を検討するべきかについて、日本オートキャンプ協会が定めるガイドラインを交えて紹介します。
関連記事
新しいカタチのアウトドア『グランピング』がタイ人に刺さりまくる4つの理由
インバウンドの最新情報をお届け!訪日ラボのメールマガジンに登録する(無料)
オートキャンプ、コロナ禍で需要は高まるか
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、いわゆる「3密」になりやすい空間を避ける人が増えてきた中で、自然を満喫できる「オートキャンプ」がレジャーのトレンドとして注目されています。
オートキャンプの人気:2019年まで7年連続でプラス
オートキャンプとは一般的に、自動車にキャンプ用品を積み込み、車内やテントを張って屋外で宿泊する旅行スタイルを指します。
日本オートキャンプ協会が発表した「オートキャンプ白書2020」によると、2019年までオートキャンプの需要は7年連続で増加しており、年間参加人口は860万人とされています。
需要が伸びている背景として、「オートキャンプ歴1年」新規顧客層の増加と、1年間の利用平均回数の増加にあります。
また、「ソロキャンプ」と呼ばれる1人で楽しむキャンプスタイルの広がりも影響しています。
この夏のキャンプ場の開場状況の予定は?
右肩上がりで人気が高まっているオートキャンプは新型コロナウイルスの流行により、事業の縮小や方向転換を検討せざるを得ない事業者が存在します。
日本キャンプ協会が7月に公表した実態調査では、調査対象となった事業者の8割がキャンプに関する事業を営む方向性で動いていることがわかります。一方で、93%の団体が事業の計画変更、あるいは延期や中止の対応を行っていることが明らかになりました。
特に、4泊以上の宿泊企画の実施予定であった事業者の7割以上が中止の判断を下し、長期滞在の事業中止が目立っています。
理由としては、バスや宿泊の際に3密が回避できないことによるクラスター発生の懸念や、指導者不足、コロナ対策に必要な経費の問題などがあげられています。
コロナ禍のキャンプ需要
新型コロナウイルスの影響を受け、事業の縮小や中止を悩む事業者が存在する一方、人が集まることで密になりやすい室内とは違い、屋外で広い空間を有するキャンプ場は、遊び場不足でストレスを抱える子供連れのファミリー層を中心に人気を集めています。
さらに、今後ウィズコロナの時代において、比較的に安全でレジャーを楽しめるオートキャンプに対する需要はさらに伸びていくことが予想されています。
他方、キャンプ場周辺の住民や小売店事業者などからは、感染を心配する声が上がっています。特に住宅地や老人ホームなどが近隣にあるキャンプ場ではそうした声が強く、休業を余儀なくされる事業者も存在しています。
そのため、コロナ時代のオートキャンプを確立するには、事業側とキャンパーの協力はもちろん、地域全体との連携も必要があるでしょう。
コロナ対応ガイドライン:キャンプ場が講じるべき対策
ウィズコロナの時代ではキャンプ場や周辺の地域住民、来場される方が楽しく、安全安心に過ごせる仕組みを作ることが何より重要です。
そこで、日本オートキャンプ協会は、キャンプ場とキャンパーが講じるべき対策をガイドラインとしてまとめています。
ここでは、キャンプ場が感染防止のために講じるべき対策について紹介します。
1. スタッフ:勤務前の健康管理の徹底
1つ目は、まずスタッフ自身での対応事項です。
勤務前に検温を含めた健康の確認や、勤務中のマスク着用、こまめな手洗い・うがい、アルコール消毒を徹底することが定められています。
2. 受付:非接触化と感染経路の明確化
2つ目は、利用者との接触が多い受付における感染対策です。
アルコール消毒液の設置や、飛沫感染の防止対策として利用者とスタッフの間のアクリル板設置などが必要です。
また金銭のやりとりをクレジットカード利用へ促す施策も、感染拡大を防ぐうえで大切な取り組みとして推奨されています。
そのほか、ゲストの住所や連絡先の記入を徹底し、感染者が出た場合に追跡をできる環境作りを行うことが定められています。
3. 運営:手に触れる部分のアルコール消毒など
3つ目は、運営面に関するガイドラインです。
ドアノブや水道の蛇口など人が手に触れる機会が多い箇所については、徹底的なアルコール消毒をガイドラインとして定めています。
またイベントなどの催し物は、内容により運営方法の変更などを検討することが求められます。
感染防止を目的に、来場前の検温や来場後発熱など体調が悪くなった場合の対処などゲストが遵守すべき事項を、ウェブサイトや受付などゲストの目に付く適切な場所に掲示する施策を行う必要があるとしています。
4. 自治体との連携:事前協議をしておく
最後の4つ目は自治体との連携です。
具体的には、自治体が定めるコロナ対策のガイドラインをキャンプ場側が遵守したり、キャンプ場から感染者が出た際の対応策について事前に自治体と協議したりすることがガイドラインとして定められています。
オートキャンプはコロナ感染対策の徹底を
ウィズコロナ時代の新しい生活様式が展開されていくなかで、人の混雑を避けることができるオートキャンプ場は、今後ますます需要が伸びていくことが予測されています。
一方で、部分的な3密が回避できないことやクラスターの発生を懸念し、長期滞在のキャンプ計画を中止する事業者も多く存在します。
安全で快適なオートキャンプを実行するために、日本オートキャンプ協会は事業者とキャンパーに対して感染防止のガイドラインを発表しています。
キャンプ場を運営する事業者とキャンプ場に訪れる利用者双方が、ガイドラインにのっとり感染防止対策に取り組むことで、中長期的な需要の取り込みにつながるでしょう。
インバウンドの「欧米豪」攻略の鍵は『リラックス』:アメリカ人のニーズから読み解く戦略
米国の夏季休暇は子供の休みに合わせ、6月中旬から9月初旬に取得する傾向にあります。期間は平均1週間から2週間で3月か4月に希望して休暇を使うことが多いようです。2019年のアメリカの夏休みは取得日数は少ない傾向にありました。一方で、休暇中の予定に充てる予算は比較的高いという結果が出ています。日本の調査会社イソプスは、アメリカ・ブラジル・欧州10カ国で18歳以上の1,000人を対象に、休暇の指標を調査しそれぞれの休暇に使う予算や目的を調べました。今回はこの調査結果から、訪日アメリカ人のインバ...
<参考>
日本オートキャンプ協会:オートキャンプ場における新型コロナウイルス対応ガイドライン
日本キャンプ協会:夏の自然体験活動・キャンプ事業に関する実態調査の公表
旅行新聞:オートキャンプ白書2020、参加人口7年連続増 夏荒天でも秋冬は好調続く
【インバウンド情報まとめ 2024年11月後編】中国、タイの2025年祝日発表 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月発行しています。
この記事では、主に11月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
※口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。
詳しくはこちらをご覧ください。
→中国、タイの2025年祝日発表 ほか:インバウンド情報まとめ【2024年11月後編】
今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」
スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。
「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!