市場規模14兆円の台湾EC:最新版人気ECランキング、進出を検討する上で知っておきたい基礎知識

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ECとは「Electronic Commerce」の略で、日本語では「電子商取引」という言葉で表現され、インターネットを活用した商品やサービスの売買のことを指します。

近年、世界中でECに対する需要は右肩上がりで、国境を超えた集客が期待できるECの特性を活かし、海外のECサイトに出店する日本企業も増加しています。

海外のECサイトに出店する際には、その国でのECサイトの市場規模や売れている物の傾向などから、進出するメリットやデメリットを見定める必要があります。

本記事では、2019年の訪日観光客数第3位と親日度が高い台湾におけるECについて、その市場規模や利用動向、人気のECサイトについて紹介します。

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台湾のEC市場概況

近年台湾では、EC市場が顕著に拡大しています。

台湾行政院の発表によると、2015年においては3兆1,792億元(約11兆6,341億円)だった小売EC市場の売上高は、2018年には約1.3倍となる4兆390億元(約14兆7,805億円)を記録しており、年々増加傾向にあります。

さらに、2020年は新型コロナウイルスの流行で「巣ごもり消費」が台頭し、ECサイトの利用増加などでEC市場がより拡大していくと予想されています。

▲[台湾EC市場規模推移]:台湾行政院の統計より、訪日ラボ編集部作成
▲[台湾EC市場規模推移]:台湾行政院の統計より

台湾人のEC利用動向

Digital 2020によると、台湾人の80%(約1,886万人)がECを利用しています。アジア国ではインドネシアとタイに次ぎ、韓国と同点で3位です。

日本の数値は69%なので、台湾のEC利用率は圧倒的に高いことがわかります。

▲[世界各国のEC利用率状況]:Digital 2020より
▲[世界各国のEC利用率状況]:Digital 2020より

また、同調査によると、2019年ECを利用した台湾人消費者の年間消費金額は一人あたり平均1,799ドル(約18.8万円)で、日本の1,526ドル(約16万円)を上回っています。

ECサイトでよく購入される商品カテゴリーについて、台湾政府系シンクタンクである資訊工業策進会産業情報研究所が2019年に発表したデータによれば、「日常生活用品」がもっとも購入されており、購入率が37.9%です。

次いで、「デジタル機器と家電」が36%、「衣料品とアクセサリー」が29.9%、「交通切符・航空券」が20.6%という順になっており、「美容関連商品」(19.1%)や「健康食品」(15.6%)も人気を集めています。

台湾EC市場に進出するメリット・デメリットは?

前述したとおり、台湾のEC市場が年々成長しており、台湾のEC市場に進出し越境ECの展開を考える日本企業も少なくありません。

しかし、台湾ではすでに日本製品が流通していることや、関税が高いことなど、EC市場へ進出する際に気を付けなければならないことがいくつかあります。

ここでは、台湾EC市場に進出するメリット・デメリットについて紹介します。

メリット1. 親日家が多く日本製品に抵抗がない

台湾は、他の国や地域に比べて親日家が多いことから、全体としても親日国であることが知られています。

そのため、日本の企業に対する親しみや日本製品に対する信頼感が厚く、新しく台湾の市場に進出した場合、受け入れられやすいと考えられます。

また、Asian Beauty研究所が2018年に台湾の女性300 人に行った調査によると、日本の化粧品を買う理由として「口コミによる評価の高さ」や「安心・安全」に対する信頼感などが挙げられています。

こうした事例に代表されるように、台湾においては、日本製品に対する認知度の向上や信頼性の構築をゼロからおこなう必要性が低いと考えられ、進出の際の大きなメリットとなります。

メリット2. 越境ECを始めるハードルが低い

まず、台湾はインターネットの普及率は86%と高く、インターネット利用者のうち97%がスマートフォンを保有していることから、ECを利用しやすい環境が整っています。

そして、日本と台湾は距離的に近く、飛行機で数時間程度で往来が可能で、時差もわずか1時間です。

そのため、越境ECを行う場合、他の諸外国への発送と比較すると配送時間の短縮が可能で、万が一トラブルが発生した場合にも迅速に対応できると考えられます。

ECビジネスのメリットは、距離と時間を超えて顧客を獲得し、ビジネスを展開できる点にあります。しかし実際には商品の発送等を伴うため、距離的な近さや時差が少ない国への進出は、その分ハードルが下がります。

このような理由からも、初めての越境ECの進出先として台湾は大きなメリットがあるといえます。

デメリット1. 台湾国内ですでに日本製品が流通している

台湾では、国内で日本の商品が既に多く流通しているため、「日本製」というだけでは台湾人消費者の注目を集めにくいというデメリットがあります。

日本製品への信頼が厚く愛用者も多いことから、商品の良し悪しや特徴をしっかりと見極める傾向にあります。

そのため、台湾のEC市場に進出する場合には、すでに流通している日本製品に埋もれてしまわない差別化戦略が必要となります。

デメリット2. 一部の商品の関税が高い

日本企業が台湾のEC市場に進出する場合、ネックの1つとなっているのが一部の商品における関税の高さです。

例えば韓国の日本酒の関税率が8%なのに対して、台湾は20%です。キャンディーやホワイトチョコレートなど砂糖菓子の関税率が韓国では8%である一方、台湾は20%〜27.5%となっています。(2020年10月時点)

そのため自社の主力商品であっても、このような品目でのECサイトへの進出を企画すると、関税の高さゆえに現地の製品との競合に敗れてしまったり、利益が大きく目減りしてしまう可能性があるため、注意が必要です。

台湾ECサイトに進出する際に気を付けること

台湾に限らず海外の市場に進出する際には、その国の法律やローカールールを熟知し、遵守することが大切です。

台湾の通販サイトに出店した場合、販売や商品の発送には台湾の規制が適用されます。その中で、特に注意が必要なものとして、以下のような項目があります。

  • 医薬品類:台湾当局の薬事法に基づく通達により、絆創膏など一部の医療器具を除き、台湾国内では販売ができません。
  • ラベル表記:台湾のECサイトで販売する商品については、ラベル等への記載が義務付けられている事項に関して、中国語(繁体字)で記載することが求められています。
  • 税金:台湾で商品を販売する場合には、日本の消費税に相当する「営業税」の納税義務が生じるため、台湾に現地法人や支店を設置することが良策だと考えられます。また前述したように、台湾の関税は一般的に高めであるといわれています。品目ごとに関税がどのくらいかかるのか事前に確認する必要があります。
  • 食品の輸入規制:東日本大震災による原発事故の影響を受け、2020年10月時点では、福島県,茨城県,栃木県,群馬県,千葉県産食品(酒類を除く)については、輸入停止措置が講じられています。
  • 「コンビニ受取」対応:台湾人が商品を受け取る際に、コンビニで商品を受け取ると同時に決済を行うことが多いため、ECに出店している店舗のほとんどは「コンビニ受取」に対応しています。

台湾で人気のECプラットフォーム5選

では実際に台湾のユーザーがどのようなECプラットフォームを利用しているのでしょうか。

下記は台湾における月訪問者数が多いECプラットフォームTOP10ランキングです。(集計期間:2020年4月1日〜4月30日)

順位 ECプラットフォーム名 月訪問者数
1 Shopee蝦皮購物 5,236万
2 PChome 3,244万
3 momo購物平台 3,117万
4 露天拍賣 3,017万
5 Yahoo奇摩平台 2,803万
6 博客來 1,432万
7 台湾楽天市場 690万
8 生活市集 492万
9 Pcone松果購物 452万
10 東森購物網 349万
台湾消費者動向観察メディア「Top 10」の調査より、訪日ラボ編集部作成

ここからは、上位5位のECプラットフォームについて紹介します。

※ここでいうECプラットフォームはECサイト運営事業者を単位とし、その事業者が展開している全てのECサイトの集合体を指しています。そのため一つのECプラットフォームに、複数のECサイトが存在する場合はあります。

1.Shopee蝦皮購物

▲[Shopee蝦皮購物公式サイト]:訪日ラボ編集部キャプション
▲[Shopee蝦皮購物公式サイト]:訪日ラボ編集部キャプション

現在台湾で人気のあるC to C型サイトの代表的な存在が、「蝦皮購物(Shopee)」です。

同サイトはシンガポールに本社があるECサイトが運営していますが、この会社の母体であるSEAグループの発行株式の39%以上は中国のテンセント(騰訊)が所有しているため、経営の実態としては中国資本の会社といわれています。

2015年の台湾進出以来、出店料無料・手数料無料・配送料無料というサービスがヒットし、若者層から絶大な人気を集めています。

2.PChome網路家庭

▲[PChome24時間購物公式サイト]:訪日ラボ編集部キャプション
▲[PChome24時間購物公式サイト]:訪日ラボ編集部キャプション

台湾の大手EC企業「PChome網路家庭」がB to C型やモール型など複数形態のECサイトを運営しています。

B to C型は2000年創立した「PChome購物中心」や、台湾全土24時間以内・台北市内6時間で配送する「PChome24h購物」などあります。

モール型は「PChome商店街」であり、出店者数が12万を突破し、台湾最大のモール型ECサイトとも呼ばれています。

3.momo購物平台

▲[momo購物網公式サイト]:訪日ラボ編集部キャプション
▲[momo購物網公式サイト]:訪日ラボ編集部キャプション

台湾の有名な金融グループ・富邦グループ傘下の「momo」が運営している「momo購物平台」は、「momo購物網」や「momo摩天商城」などのECサイトを展開しています。

特に「momo購物網」は、生活用品、家電など生活に密着した商品に強みがあり、そのうち女性向けのコスメや衣料品が充実していることを特徴しています。

日本や欧米などの有名なコスメブランドはサイト内で直営店を構えたり、近年台湾でブームとなった韓国コスメなどを取り扱ったりして、女性から人気を集めています。

4.露天拍賣

▲[露天拍賣公式サイト]:訪日ラボ編集部キャプション
▲[露天拍賣公式サイト]:訪日ラボ編集部キャプション

「露天拍は、Shopee蝦皮購物と同様のC to C型サイトで、前述した台湾大手EC企業「PChome網路家庭」とアメリカのECサイト「eBay」が共同で立ち上げたECサイトです。

基本はオークションサイトですが、生活用品など日用品の購入も可能です。2019年からは共同運営者であるeBayのほか、日本の楽天市場で取り扱っている商品を露天拍賣のプラットフォームから購入することができるようになりました。

圧倒的な商品点数と、C to C型サイトであるため全体的に価格が安いことがセールスポイントになっています。

5. Yahoo奇摩平台

▲[Yahoo拍賣公式サイト]:訪日ラボ編集部キャプション
▲[Yahoo拍賣公式サイト]:訪日ラボ編集部キャプション

「Yahoo奇摩平台」は、ヤフー台湾が運営するECプラットフォームであり、複数のECサイトを展開しています。

特徴はユーザーのニーズに合わせてサイトが細分化されている点であり、オークションサイトである「Yahoo奇摩拍賣」、モール型で店舗から直接購入できる「Yahoo奇摩超級商城」、ヤフーが出品者となっている「Yahoo奇摩購物中心」などが代表的なECサイトです。

ユーザーの男女比率はほぼ半々で、日本の商品の中でもお菓子や食品玩具といったものが人気商品となっています。

成長する台湾EC市場で越境ECをはじめる

現在、台湾のECサイトの市場は拡大を続けており、スピーディーな配達や送料の無料化といったサービスの充実で、今までは店頭での購入が一般的だった日用品についてもECサイトで購入する人が増えています。

台湾は、日本からの距離的近さや親日国であるといったことから、比較的参入しやすい越境ECの市場のひとつですが、法律や関税面など注意しなければならない点もあります。

このような点をしっかりと認識し、準備を整えて参入することで、成長市場でビジネスチャンスをつかめる可能性があります。

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<参照>

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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