二次交通とは?交通網の整備が地方の観光振興のカギとなる | 具体的な課題・取り組み事例

公開日:2020年11月13日

二次交通とは、主要な空港や駅から観光地までの移動手段となる、路線バスや鉄道などの交通機関のことを指します。

都市部では地下鉄やバス、タクシーなどの移動手段が充実している一方、地方では二次交通の整備が遅れているところがあります。

日本の交通事情に不慣れな訪日外国人観光客にとっては、二次交通の整備の遅れは旅行における回遊性の低下を招き、機会損失に繋がりかねません。

本記事では、二次交通の概要や具体例について触れながら、地方の二次交通が抱えている課題や、そういった課題を解決するための地域の取り組みについて整理します。

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二次交通とは?

二次交通とは、空港や主要の鉄道駅(一次交通)などから観光地までの交通手段を指します。

地方では自動車が主な移動手段となっているケースが多く、特に過疎化が問題となっている地域においては、鉄道やバスの本数が少なかったり、目的地の近くまで公共交通機関で行けなかったりする場合は多くあります。

一方近年、訪日外国人観光客のFIT化、リピータ化と「コト消費」への移行が進んでおり、メジャーで人気のある東京や京都、大阪といった「ゴールデンルート」以外の地方に対する関心も高まっています。

訪日外国人観光客が増加することで消費額も上がり、その結果地域経済の活性化につながります。

こういった地方の観光地に訪日外国人観光客を呼び込むためには、彼らが移動しやすいように観光地までのシャトルバスを運行したり、乗り合いタクシーやレンタルサイクルを整備したりといった工夫が必要です。

二次交通整備の例

二次交通整備の具体例としては、乗り合いタクシーの整備、シャトルバスの整備、主要な観光地を周遊するバスの運行などが挙げられます。

まず、乗り合いタクシーの場合、主要な空港や最寄り駅から観光客が指定する地方の観光地へ運行する方法があります。

交通機関の発着に合わせてダイヤを組んだり事前予約制にしたりすることで便数を抑えながら、スムーズに観光客を地方の観光スポットへと送迎できます。

そしてシャトルバスを整備する場合、宿泊施設や観光地から独自に運行している無料の送迎バスを交通会社や地方自治体が運営する有料のシャトルバスに一元化することが考えられます。

これにより、観光客にとって分かりやすく利便性の高い交通サービスを提供できるだけでなく、宿泊施設にとっても運営の合理化が図れます。

さらに、周囲に複数の観光地が点在している場合であれば周遊バスの整備も効果的です。

主要な観光地や宿泊施設をまわるバスの1日乗車券などを販売することで、観光客の利便性の向上につながります。

二次交通の現状と課題

観光地の中には、過疎化が進んでいることや観光整備が遅れていることから二次交通が発達していないという課題を抱えているケースも少なくありません。

具体的な現状や課題について、所要時間とバス事業という2つの側面から解説します。

二次交通の所要時間が長い・運行本数が少ない

二次交通の課題の一つは、所要時間が長いことです。

国土交通省運輸局の発表によると、東北地方の観光地では、新幹線が開通し高速交通網が整備されてきている一方で、駅から観光地までの二次交通の所要時間が60分以上となっている区間が多いことが課題としてあげられています。

また、同発表では、二次交通の運行本数が少ないことも課題として挙げられています。例えば、秋田の玉川温泉では、最寄りの新幹線停車駅の田沢湖駅から玉川温泉までの路線バスは、15:20で運行が終了します(2020年11月時点)。

地方バス事業の収益低下・人手不足

二次交通として利用されることが多い地方のバス事業は、収益低下や人手不足などの問題に直面しています。

国土交通省の調査によれば、地方における公共交通機関の輸送人員は年々大幅な減少傾向にあり、2000年から2016年までの16年間で約24%減少しています。

輸送人員の減少に伴い地方のバス事業者の収益が低下し、8割以上が赤字であるとされています。

また、低賃金や長時間労働などで、バスの運転手を志望する人が減少しており、バス事業は人手不足に陥っています。

二次交通整備に向けた取り組み事例

前述した二次交通における課題の解決に向けて、自治体や企業が連携し、さまざまな取り組みを実施しています。

ここでは、京都府丹後半島、新潟県佐渡島、佐賀県唐津地域の事例やANAの取り組みを紹介します。

新潟県佐渡島:バスのフリー乗車券販売で公共交通機関利用促進

新潟県の佐渡島には鉄道が通っていないため、路線バスやタクシーが主な移動手段となっています。

しかしながら、路線バスは地域住民の生活のための運航が主で、バスの通行ルートや本数が、観光客にとって不便であるという課題がありました。

タクシーにおいても地域住民の交通手段となっていたため、住民がよく使う午前中などは予約が取れない状況でした。

そこで観光客における路線バスの利便性を向上させるために、ルートを変更して観光施設に停車するようにしたり、フリー乗車券を販売して観光客が利用しやすい料金体系の設定をしたりする取り組みを進めています。

佐賀県唐津地域:公共交通機関網を再編・観光客と地域住民の利便性を向上

佐賀県唐津地域(佐賀県唐津市、玄海町)では、地域住民の利用減少と観光客の増加を受け、公共交通機関の再編事業が実施されました。

この取り組みは、事業者や行政だけでなく地域住民や地域団体も連携し、観光客だけではなく地域住民の利便性向上も同時に目指すものとなっています。

たとえば、訪日韓国人観光客や訪日中国人観光客の多い呼子・鎮西エリアでは、従来のバスルートを飲食店が位置している臨港道路や、離島に行く船の乗り場を通るルートに変更しました。

観光客と地域住民両方の利用がある唐津市の中心地では、生活と観光それぞれの需要で路線を分けるなどして、移動の効率化を図っています。

ANA:宮崎県・大分県で「観光型MaaS」への取り組み開始

ANAでは、九州旅客鉄道や宮交ホールディングスといった地方の交通事業者や自治体、観光団体と協力し、宮崎県と大分県(由布院)で観光型MaaSに取り組んでいます。

観光型MaaSは、観光地までの飛行機や新幹線などの一次交通と、観光地におけるバスやタクシーなどの二次交通、そして観光スポットや宿泊施設を一括で検索・予約・決済できるサービスです。

実証実験において、ANAは、プロモーションによる国内外の観光客の誘致や、空港から目的地までのアクセス情報を提供する観光型MaaSアプリを紹介して利用を促しています。

観光客に観光型MaaSアプリを利用してもらうことで観光客の利便性回遊性を向上させ、観光地の誘客促進地域創生に貢献することが期待されています。

観光地をスマートシティへ

ICTやそれに伴う技術が大きく発達したことで、日常生活に関するあらゆるサービスがICTを利用してより便利に変わりつつあります。中でも、公共交通機関のようなインフラや教育、医療にICTの技術を活用することで地域の抱える問題を解決するスマートシティを取り入れる地域が増加しています。観光地においてもスマートシティ化は注目されており、ICTを用いて観光客だけでなく自治体や地域住民、観光地のスタッフなどにもメリットがあるのが特徴です。本記事では、観光地で実際にICTがどのような場所で取り入れられてい...

観光振興につながる二次交通の整備

旅行に関する情報収集が容易になったことで、地方の魅力があらゆる媒体で伝えられるようになりました。

一方で、実際の地方の観光地では、路線バスの本数が少なかったり、移動時間が長いといった二次交通の問題を抱えているのが現状です。二次交通を整備し、このような不便を解消することでより一層の観光客誘致が期待できます。

日本国内では、地域住民の交通手段として利用されている路線バスやタクシーを、ルートの再編成や便数を調整することで、地域住民と観光客両者の利便性向上に役立てている地域もあります。

二次交通を整備する際には、現在の地域の交通網の課題を認識し、地域の交通機関を活用しながら、観光客の利便性向上を目指すことが重要です。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

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