アメリカでは新型コロナウイルスの感染者が急速に増加しており、依然として予断を許さない状況が続いています。
その一方で、観光収入への依存度が高いハワイ州では、日本などからの観光客の受け入れが再開されました。
アメリカはDMO(Destination Management/Marketing Organization)の活動がさかんであり、日本もまた参考にしているところですが、未曾有のコロナ禍である今、どんな活動をしているのでしょうか。
本記事では、日本のインバウンドにおける重点市場であるアメリカの、最新の国内状況や国内旅行の動向を紹介します。
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10月29日、日本国内の新型コロナウイルスの感染者数は10万人を超えました。第2波に見舞われた今夏の急増後、8~9月にかけて減少傾向にあったものの、10月に入り再び増加傾向を見せています。いまだ感染収束のめどが立たない中、海外の多くの国・地域でも感染が拡大し、再び厳しいロックダウンを余儀なくされる国も出ています。一方で、外国人観光客の受け入れ再開など経済再開に向けた動きが進んでいる地域もあります。この記事では、10月1日から10月31日ごろまでの世界各国の動きを中心にまとめてご紹介します。...
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急速に増加する感染者数
アメリカの累計感染者数は、11月25日時点で1,259万人以上にのぼり、死者は25万人を超えています。
11月9日~15日の1週間に確認された感染者数は100万人以上で、ハワイ州以外のすべての州で増加し、死者数は12%増加するなど、急速に感染が拡大しています。
早ければ12月からワクチン提供開始
アメリカでは早ければ、12月11日から新型コロナウイルスのワクチンが提供される見通しです。
米ファイザー製薬と独ビオンテックは、11月20日に、開発中のワクチンの緊急使用の申請を食品医薬品局(FDA)に提出しており、12月10日にFDAのワクチン委員会が認可の是非を決定する予定となっています。
開発中のワクチンが95%近い有効性を示したと発表したモデルナも、数週間以内の認可取得を目指しているということです。
アメリカでは人口に応じてワクチンの供給量が決められ、医療従事者や高齢者など感染リスクの高い人を優先するよう推奨されています。
国内の外出規制は継続
アメリカ国内での規制は継続されており、各地域でさまざまな規制措置が実施されています。
カリフォルニア州のニューサム知事は11月19日、州全体を対象に、夜間外出禁止令を発令し、同日からオハイオ州のドワイン知事も夜間外出制限の施行を発表しました。
シカゴ市当局は、施行している入域制限を11月13日から強化し、アメリカ国内における新型コロナウイルス感染状況を3つの危険度に分類し、赤、オレンジ、黄色の区分で入域措置を要請しています。
入院者数が増加しているニューヨーク州のクオモ知事は、11月25日から29日にかけての感謝祭期間中の移動時自粛を強く要請しました。
またロサンゼルス市長は11月25日から、国外やカリフォルニア州外からロサンゼルス市へ訪れる渡航者に対し、オンラインでの申請書の提出を義務付けると発表しました。
バイデン政権、全土ロックダウンではなく地域ごとの対策を行う方針を示した
アメリカ大統領選で当選を確実にした、民主党のバイデン前副大統領は、11月13日、アメリカ全土のロックダウンではなく、特定の地域に絞った新型コロナウイルスの対策に重視する方針を示しました。
郵便番号別に対応するニューヨーク市の措置を例に挙げたうえで、地域的な感染状況に応じて規制の強化や緩和を行うことが望ましいとし、高齢者施設や刑務所など感染が拡大しやすい施策での対策を優先するとも表明しました。
アメリカ版Go Toで国内旅行促進、DMOの情報発信も
アメリカ本土では感染者が急増しており予断を許さない状況が続いていますが、旅行業界・観光業界に目を向けると国内旅行を喚起するための「アメリカ版Go To」ともいえるキャンペーンや、DMOによる情報発信などの取り組みが行われています。
「Let’s Go There」で国内旅行需要を喚起
アメリカでは2020年9月8日から、国内旅行需要喚起キャンペーン「Let’s Go There」が開始されました。
動画や共通ロゴを利用して国内旅行を促進する業界横断的な取り組みで、ホテルや航空会社など観光関連企業のほか、アメリカン・エキスプレスなども参画しています。
費用はすべて寄付で賄われ、ブランディングやデジタル広告で寄付金額に応じた特典を得られる仕組みとなっています。
各地域のDMO:安全に観光するための情報配信や仮想旅行
アメリカ国内の各地域では、DMOが安全に敢行するための情報を配信したり、仮想旅行を提供するなどの取り組みを行っています。
コロラド州の州都であるデンバーのDMOは、特設ページで、デンバーやコロラド州の感染対策や規制について配信しています。マスク着用やレストランの営業状況など、旅行者のためのセーフティガイドが一目でわかるように工夫されています。
ジョージア州の州都であるアトランタのDMOは、安全対策を行っているレストランや施設を紹介しています。URLリンクから対象のホテルの衛生安全ポリシーのページにアクセスできるほか、レストラン検索ページでは、「空港」や「ダウンタウン」などの場所や、「アメリカン」「アジアン」などカテゴリー別に検索できるように工夫されています。
フロリダ州マイアミのDMOはビーチやホテルの感染対策を配信しており、トイレでのマスク着用や、ビーチでのテントの使用禁止といった、ビーチ特有の感染対策などを紹介しています。
フロリダ州西海岸のセントピーターズバーグ・クリアウォーターのDMOは、コロナ禍で観客が責任を持っての過ごす方法を動画で紹介しています。ビーチの音を配信したり、 博物館や水族館のバーチャル体験や、テイクアウト可能なレストランの紹介も提供しています。
ハワイ州では外国人観光客受け入れ再開
一方ハワイ州では、外国人観光客の受け入れが再開されています。
ハワイ州は2020年10月15日から、旅行前検査「Safe Hawaii」プログラムを開始し、ハワイ到着72時間前までに検査で陰性だった旅行者は、14日間の自主隔離なしでハワイに入島できるようになりました。
すでにアメリカ国内や日本からの旅行者に適用されているほか、カナダからの観光客にも適用すると発表されています。
またハワイ州政府は2020年9月1日から、全ての旅行者に対して健康管理アプリ「Safe Travel」のインストールを義務付けました。
出発24時間前に自身の健康情報や旅行情報を入力し、入力後にeメールで送信されるQRコードを、ハワイ州入国時に空港で提示する必要があります。
しかし登録を完了していない旅行者が多く、空港での待ち時間が長くなっているとして、ハワイ州政府は10月にアプリの完全登録を改めて呼びかけています。
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国内需要喚起やハワイでの外国人観光客受け入れで再起図る
アメリカ本土では、新型コロナウイルスが依然として感染拡大を続ける中、「Let’s Go There」キャンペーンや、各地域のDMOによるプロモーションにより、国内旅行の促進を強化しています。
ハワイ州は旅行前検査プログラムを導入し、アメリカ国内や日本からの観光客の受け入れを再開しました。
アメリカ国内における旅行需要喚起や、ハワイでの外国人観光客受け入れの取り組みは、今後の日本の観光業における施策にも参考となる面がありそうです。
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<参照>
US Travel Association:Let's Go There Toolkit
Visit Denver:About Denver
ATLANTA CONVENTION & VISITORS BUREAU:HEALTH AND SAFETY PROCEDURES REGARDING COVID-19
Greater Miami Convention & Visitors Bureau:Greater Miami and Beaches Travel Information
Visit St. Pete/Clearwater. :Tips for Visiting Responsibly in St. Pete/Clearwater
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インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
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【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
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【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
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