JR東「在留外国人向けパス」は実際にどう使われている?SNS投稿からわかった「周遊型」と「滞在型」の傾向

訪日ラボでは前回、JR東日本が在留外国人向けの乗り放題パスを発行したことを紹介しました。

「JR EAST Welcome Rail Pass 2020」というこの鉄道パスは、期間限定でJR東日本管内の新幹線や特急などが3日間乗り放題となるものです。この鉄道パスが活用されることによって在留外国人の日本国内の旅行が活発化し、それぞれ現地の友人・親族への情報発信が起きることでVFR(友人・親族への訪問旅行)の需要喚起も期待されます。

それでは、今回の鉄道パスが実際にどのような使われ方をしているのか、SNSの投稿から分析しました。

JR東日本「在日外国人」向け鉄道パスをスタート これが「最良のタイミング」である理由

10月1日、JR東日本は「在日外国人」向けの鉄道パスを期間限定で販売を開始することを発表しました。インバウンド回帰への布石ともみられるこの鉄道パスに対する在日外国人の反応は早く、すでにWeibo上では日本の観光スポットを解説する人も現れています。鉄道パスの詳細を紹介するともに、なぜこのタイミングでの販売となったのか、その理由を考察します。目次JR東日本、在日外国人向け「JR EAST Welcome Rail Pass 2020」開始SNS上では大注目、「解説」する人までなぜこのタイミング...

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JR東日本、在留外国人向け「JR EAST Welcome Rail Pass 2020」とは

JR東日本の鉄道パス「JR EAST Welcome Rail Pass 2020」は、日本国発行以外のパスポートを持つ人を対象に、JR東⽇本管内の新幹線や特急などが、設定期間中の連続する3⽇間乗り放題になるものです。

利用できる期間は2020年10⽉16⽇から2021年2月28日までの限定で、販売価格は12,000円(小人6,000円)です。

「JR EAST Welcome Rail Pass 2020」から期待される効果

JR東日本が在留外国人をターゲットとした鉄道パスを発売したことによって、アフターコロナのインバウンド需要へ与える効果について考察します。

SNS上の拡散力

在留外国人数は2012年から増加傾向にあり、2019年末には293万人を突破して過去最高を記録しています。

観光庁の「訪日外国人の消費動向 2019 年次報告書」によれば、「出発前に得た旅行情報源で役に立ったもの」として、「SNS」(24.6%)、「個人のブログ」(24.4%)、「自国の親族・知人」(19.6%)の順に多くなっており、訪日外国人旅マエ情報源として、SNSを重視していることがうかがえます。

新型コロナウイルスの影響で、訪日外国人が従来のように来日できない現在、在留外国人によるSNS発信が重要な情報の源となっていると考えられます。

VFRの誘致

さらに、「友人・親族訪問を目的とした旅行」を意味する、VFR(Visiting Friends and Relatives)の誘致としても位置付けることができるでしょう。

2019年の訪日外国人消費動向調査では、訪日目的のうちVFRが占める比率は4.8%ですが、今後、在留外国人の増加にともなって、VFR市場の重要性は増していくと考えられます。

特にUNWTO(国連世界観光機関)の予測では、新型コロナウイルスの影響によるダメージから観光業が回復するフェーズにおいて、VFRが旅行需要を牽引する可能性が高いとみられています。

在留外国人がJRの鉄道パスを利用して旅行を楽しむ様子を発信し、それを見た友人や家族である外国人が、渡航制限解除後にまず日本への旅行を検討するといった効果が期待されるでしょう。

実際にどう使われている?SNS上の反応も紹介

2020年10⽉16⽇に鉄道パスの販売が始まってから、実際にパスを購入して旅行に出た在留外国人が、続々と情報を発信しています。 

SNS(Instagram、Facebook、Weibo小紅書など)上で、観光地のスポット写真をシェアしたり、パスの購入方法や、実行した3日間の旅行プランを紹介したり、その感想を詳しく書き込んでいる人もいます。

多種多様な使い方:複数県にまたがる「周遊型」と単一県の「滞在型」

中国人旅行者の旅マエにおけるオンライン情報収集手段として、多くの在留中国人も利用する「RED(小紅書)」と、と月間5.5億以上のアクティブユーザーを抱える中国最大のソーシャル・メディア「Weibo微博)」が挙げられます。

REDとWeibo上では、実際にパスを利用して旅行した投稿が多数見受けられ、詳細な旅行プランをシェアする人も多くいます。

彼らの投稿から、その旅行スタイルは「周遊型」と「滞在型」の2種類に分類することができます。

まず「周遊型」では、パスが3日間乗り放題のため、複数県にまたがるケースが多くなっています。

REDの下記の投稿では「東京→角館→田沢湖→盛岡→仙台→古川→鳴子温泉→中山平温泉→仙台→東京」と主要な乗車駅を列挙し、紅葉狩りや温泉、牛タンを楽しんだことを伝えています。 

「通常交通費だけで48,630円かかるはずだが、パスを使えば12,000円しかかからない」といった、お得感が伝わるコメントも挙げています。

RED(小紅書)の投稿の一部 編集部キャプチャ
▲[RED(小紅書)の投稿の一部]:編集部キャプチャ

また下記のREDの投稿では「大宮→会津若松→仙台→一ノ関→平泉→盛岡→秋田→弘前→新青森→大宮 」と、3日間で東北5県(福島、宮城、岩手、秋田、青森)をめぐる旅を紹介しています。

ホテルで温泉を堪能したほか、鶴ヶ城や世界遺産平泉などの観光スポットを回り、仙台の牛タンや岩手のわんこそば、秋田の比内地鶏など地域ならではのグルメを楽しみ、宿泊はGoToトラベルキャンペーンを併用したことを伝えています。

RED(小紅書)の投稿内容の一部 編集部キャプチャ
▲[RED(小紅書)の投稿内容の一部]:編集部キャプチャ

一方「滞在型」は、特定のひとつの地域を拠点に旅行するスタイルで、特に新潟を目的地とする人が多いようです。

下記のWeiboの投稿では、新潟3日間の旅行を楽しみ、ついでに軽井沢にも立ち寄ったことを伝えています。

▲[Weiboの投稿]:編集部キャプチャ
▲[Weiboの投稿]:編集部キャプチャ

新潟を選んだ理由として、新型コロナウイルスの影響を考慮し、人気の観光地より「小衆」である新潟を選んだということです。

「小衆遊」とは、大人数で画一的な観光コースを回るのではなく、同じ嗜好をもつ少人数が特定のテーマに沿って旅行することを指します。

新型コロナウイルスの感染拡大で、観光客が多い有名な観光地よりも、まだあまり知られていない穴場のスポットを選ぶ傾向が強まっています。

投稿では詳細な旅行プランは示されていませんが、写真を見る限り、新潟の妙高市妙高山のロッテアライリゾートに滞在し、紅葉や海、山といった自然を満喫したようです。

投稿へのコメントも概ね好意的

上述の通り、鉄道パスの活用によって在留外国人による国内旅行は活発化し、その旅行中の様子についても積極的にSNSに投稿している姿が見受けれられます。

こうした投稿に対し、友人や知人と思われる人から「行ってみたい!」といったコメントも多数ありました。在留外国人が日本の魅力をうまく発信してくれているといえるでしょう。

旅行の写真の投稿へのコメントを一部紹介します。

岩手・雫石の紅葉
▲岩手県の雫石の紅葉のInstagram投稿:編集部スクリーンショット


Instagram:日本の秋の景色を投稿(https://www.instagram.com/p/CGhu7uwFrGL/)


岩手・雫石の紅葉の投稿に対しては、

也太美了吧~(羨慕眼神)
訳:美しすぎる...羨ましい🥺

と、台湾人のユーザーが称賛のコメントを寄せています。

青森の盛美園
▲青森の盛美園の写真のInstagram投稿:編集部スクリーンショット

Instagram:青森の建物を撮影し投稿(https://www.instagram.com/p/CHgUAPMJ6B7/)

青森の盛美園の投稿に対しては、カナダ人ユーザーが

omg... speechless...soooooo beautiful

訳:言葉にできない美しさだ!

と感動の声をコメントしています。


またWeiboでは、パスを使って新潟を回る投稿に対して、中国人ユーザーから

恢复了去看看

訳:コロナが落ち着いたら見に行きたい。

というコメントが寄せられていました。

在留外国人の国内旅行は活発化、VFRへの好影響も期待される

JR東日本が在留外国人向けに販売した鉄道パスは、実際に利用した外国人がSNS上で情報を発信し、それに対して外国人が反応する様子を確認できました。

新型コロナウイルスの流行が落ち着き、渡航制限が解除された後、VFRが旅行需要を後押しすることが期待されています。

SNS上での盛り上がりを見ると、今回の鉄道パスの発売によって、VFRへの一定の需要喚起の効果があったとみることができるでしょう。

また、SNSでの投稿内容を分析すると、鉄道パスの割安感を存分に活用した「周遊型」と、人が密集するであろう人気観光地をあえて避けた「滞在型」の二つの類型が存在することもわかりました。

どちらもコロナ影響下の現在を反映した消費特性があり、非常に興味深い事例といえるでしょう。

なお、「JR EAST Welcome Rail Pass 2020」の利用期間は2021年2月28日(日)まで続きます。日本国内の新型コロナウイルスの感染状況は予測が難しいものの、渡航制限下の間で今後もより多くの在留外国人が日本の魅力を海外に発信することが期待されます。

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<参照>

観光庁訪日外国人の消費動向

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

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