「モノ消費からコト消費」って何? 定義から背景など徹底解説|さらに「トキ」「エモ」消費も

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消費者のニーズが「モノ消費」から「コト消費」に移り変わっています。

国内の需要とともに、インバウンド市場でもこの消費傾向は強まっており、政府もこれに応じて策を練っています。

本記事では、体験に価値を見出す「コト消費」について解説するとともに、今後の新たな消費傾向についても説明します。

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ニーズが「モノ消費」から「コト消費」へ

製品そのものに価値を見出す「モノ消費」から、その製品やサービスから得られる体験に価値を見出す「コト消費」へのニーズが高まっています。

コト消費」とは何か、詳しく説明します。

コト消費とは?モノ消費と何が違う?

経済産業省によると、コト消費は以下のように定義されています。

「製品を購入して使用したり、単品の機能的なサービスを享受するのではなく、個別の事象とが連なった総体である“一連の体験”を対象とした消費活動のこと」

消費傾向として、商品の所有に価値を見出すのが「モノ消費」である一方、コト消費は、モノを所有することではなく「モノの購入、モノの使用」など「得られる体験」に価値を見出すものです。

モノ自体に価値を見出すわけではないという点において、「コト消費」は「モノ消費」と異なるといえます。

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7つのコト消費に注目

川上徹也著「『コト消費』の嘘」では、コト消費を7タイプに分類しています。

  1. 純粋体験型コト消費
  2. イベント型コト消費
  3. アトラクション施設型コト消費
  4. 時間滞在型コト消費
  5. コミュニティ型コト消費
  6. ライフスタイル型コト消費
  7. 買い物ワクワク型コト消費"

マーケティング場所や目的、手法によって、コト消費は消費者に提供する体験が変わってきます。

企業や店舗にとっては、最終的にモノ消費へとつなげるための手段となると考えられます。

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コト消費が広まった背景は?

コト消費は、国内の需要の高まりとともに、インバウンドにおいてもニーズが高まっています。

それぞれについて解説します。

国内での拡大背景:市場の成熟化

日本国内の拡大背景として、日本国内における消費の成熟化が挙げられます。

モノが少なく、広く行き渡っていなかった時代には、モノに対するあこがれや需要が見出されていました。

しかし現在では、モノが多くの人に普及しているため、機能的な価値を提供するだけでは、消費者から選ばれにくくなっています。

必要なモノが入手しやすくなった結果、入手だけでは得られない、体験や経験などの「コト」に対する消費意欲が高まったと考えられます。

実際に、株式会社ジェイアール東日本企画は「モノ」から「コト」へのシフトについて調査を行いました。

「100万円入手したら」という旨の質問に対し、40.6%の人が「コト」に関する使いみちを回答しています。

▲「普段の生活に関する定性調査及び定量調査」 2015年8月、10月 :株式会社ジェイアール東日本企画
▲「普段の生活に関する定性調査及び定量調査」 2015年8月、10月 :株式会社ジェイアール東日本企画

インバウンドにおける拡大背景:リピーターの増加、インターネットの普及

インバウンド市場では、顕著に「コト消費」が注目されています。

コトを楽しむようになった背景として、訪日観光客におけるリピーター客の増加が挙げられます。

観光庁が2016年~2019年に行った調査によれば、観光レジャー目的の訪日回数が2回以上の「訪日リピーター」の割合は、2016年以降、6割前後で推移しています。

訪日リピーター数は年々増加しており、2019年は2016年から約1.6倍に増えています。

また観光庁が発表した、訪日外国人の消費動向に関する2019年の年次報告書によれば、来訪目的の1位は96.6%で「日本食を食べること」となっています。

ショッピングは「今回したいこと」では82.8%であるものの、「次回したいこと」では42.9%へと下がっています。

再訪の際には「モノを買う」ことに対する注目が、低下していることがわかります。

国内市場同様、訪日客においても「すでにモノ(商品)は買い揃えてしまった」という現状があるといえます。

またインターネットの普及によって、ネット通販を利用して、遠く離れた場所からでも購入できるようになったことも影響していると考えられます。

モノ消費への欲求はオンラインで解消され、実際に日本を訪れなければ満たされない、体験や経験といったコト消費への欲求が高まっているのではないでしょうか。

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コト消費の事例

コト消費のニーズの高まりを受け、さまざまなところでコト消費への対応が行われています。

実際の事例をご紹介します。

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コト消費とは実際どんなもの?

コト消費事例として、訪日観光客向けでは「着物体験」や「寿司作り体験」、「日本の伝統や自然を感じられるツアー」など、日本らしさを感じられるものが挙げられます。

訪日観光客に限らず、観光施設や文化施設へ実際に行き、その空間によって体験することもコト消費のひとつといえます。

「自分で作り上げる」体験も、コト消費というニーズを満たすと考えられます。

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コト消費需要の加速にはどう対応するか

コト消費のニーズの高まりを受け、経済産業省や観光庁では、調査やコンテンツを開拓しています。

それぞれの取り組みについて紹介します。

経済産業省 「コト消費空間づくり研究会」

経済産業省は2015年から、地域内外からの顧客を呼び込み、消費につなげる魅力的な地域づくりの手法を検討する「コト消費空間づくり研究会」を開催しています。

研究会の報告書によれば、コト消費空間づくりの導入として、以下の3点が必要だとされています。

  1. 適切な権限(公的な位置付け)と責任を持ったマネジメント組織
  2. 網羅性、自立性、持続性を持った安定的な財源
  3. リーダーシップ、マーケティング能力などを持ったマネジメント人材

そのうえで、コト消費空間づくりの手法を実践するため、意欲的な地域のコト消費空間づくりを支援していくとしています。

観光庁 「最先端観光インキュベーター事業」

観光庁では、旅行動態の変化や、旅行者のニーズの多様化などをふまえて、それぞれのニーズに対応した、新たな観光コンテンツを開拓・育成する「最先端観光コンテンツ インキュベーター事業」を実施しています。

初年度には「最先端ICTを活用した観光」「潜在的な観光資源」「夜間の観光資源」の3分野をモデル事業のテーマとして設定しました。

2021年3月に発表された資料では、最先端観光コンテンツとして11のコンテンツが紹介されています。

「マリンアクティビティとエンターテイメントを満喫する。」 「アトラクションを、日本の自然の中で楽しむ。」「日本の歴史・災害を探訪する。」 などのほか、料理、工芸、美術、景色などさまざまな面で「日本ならではのものを楽しむ」というコンテンツが多くなっています。

次なる需要は「トキ消費」と「エモ消費」?

モノ消費」から「コト消費」へと移行したように、次なるニーズも生まれています。

注目が高まる「トキ消費」と「エモ消費」を紹介します。

トキ消費は「その瞬間」にしかできない体験を楽しむ

コト消費」に次いで注目されるのが、「その瞬間・場所」でしか味わえないトキを楽しむ「トキ消費」です。

SNSの発達により、実際に足を運んで体験していなくても、その体験についての情報を入手できるようになりました。

これによってコト消費への欲求が満たされ、需要の低下が見られています。

一方で「トキ消費」は、時間や場所が限定され再現が難しいという特徴があり、そこに欲求や価値が見出されています。「コト消費」は、何度も体験・経験できるもので、「時間」や「場所」の限定はトキ消費でないと体験できないのです。

つまり、コト消費と異なるのは、「限定的な瞬間」で自ら参加して貢献が実感できることです。

具体的には、ハロウィンなどの季節的なイベントやライブ、スポーツの試合などがトキ消費にあたります。

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エモ消費は「説明できないけど満たされる」、「感情的なつながり」がカギ

さらに「エモ消費」も注目されています。

「エモーショナル(emotional=感情)」を略した言葉「エモ」を用いた「エモい」とは、「ロジカルに説明できないが満たされる」といった、精神的な充足感を指すものと考えられています。

「エモ消費」とは、モノやコトは手段にすぎず、「エモい」感情で心を満たすという精神価値を求める消費のことで、精神的な満足度を重視する消費行動を指します。

具体的には、会員一人ひとりが自らの社会的役割を実感できるオンラインサロンや、寄付行為を通じて「作り上げている」と感じられるクラウドファンディング、好きなアイドルの商品を複数買って「貢献している」と感じることなどがエモ消費にあたります。

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「体験」に価値を見出す時代に

時代の変化と共に、消費傾向やニーズも変化しています。

国内市場・インバウンドともに「目に見えない価値が欲しい」という価値観が生まれています。

モノが必要とされなくなったのではなく、モノに新たな価値が見出されているといえるでしょう。

今後はさらに「瞬間」や「精神的充足感」が注目されると考えられ、柔軟にニーズをくみ取り対応していくことが重要です。

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<参照>

経済産業省:コト消費空間づくり研究会 取りまとめ~マネジメント組織を中核とした地域協同システムの構築~(案)

観光庁:訪日外国人の消費動向

観光庁:令和元年訪日外国人消費動向調査【トピックス分析】訪日外国人旅行者(観光・レジャー目的)の訪日回数と消費動向の関係について

観光庁:令和2年度 最先端観光コンテンツインキュベーター事業 新たな体験型観光コンテンツ等に関する調査・発掘OTA調査結果

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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