東京五輪を境に減少「社会的マイノリティへの偏見・差別」日本財団調査

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公益・福祉事業、国際協力事業を手掛ける公益財団法人日本財団は、「ダイバーシティ&インクルージョンに関する意識調査」を発表しました。

本調査は東京五輪開催を境に、ダイバーシティ&インクルージョン(以下、D&I)への認識や理解度、および社会的マイノリティに対する意識の変化を明白にするため、5,216人の10代から60代の男女を対象に2021年9月に実施されました。

調査結果からは、年代や地域によって社会的マイノリティへの偏見・差別に違いが生じているものの、社会全体でみると減少傾向にあることが明らかになっています。

ダイバーシティ&インクルージョンとは、人間の多様性・価値観を認め異なる個性を活かすことで、新たな価値創造につなげ誰もが活躍できる社会を目指す考え方です。

少子高齢化による労働人口の減少による外国人人材の積極的な受け入れや、ビジネスのグローバル化で多様な価値観の取り込みが必要となることが、ダイバーシティ&インクルージョンが社会で重視されるようになった背景となります。

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社会的マイノリティ:社会全体がもつ偏見や差別の有無

社会全体において社会的マイノリティへの偏見や差別があると答えた人は、前回の95.9%から85.9%と東京五輪前より10%の減少となりました。

一方で、「ややあると思う」とした人は6%増加しており、一概には差別や偏見に対する意識が変化していないことが分かります。

日本社会における社会的マイノリティに対しての差別や偏見の有無:公益財団法人日本財団プレスリリースより
▲日本社会における社会的マイノリティに対しての差別や偏見の有無:公益財団法人日本財団プレスリリースより

年代別でみると、20代で15.4%の減少、30代で14.9%の減少と若年層で差別や偏見の度合いが大きく減少傾向にあることが分かりました。

年代別、日本社会における社会的マイノリティに対しての差別や偏見の有無:公益財団法人日本財団プレスリリースより
▲年代別、日本社会における社会的マイノリティに対しての差別や偏見の有無:公益財団法人日本財団プレスリリースより

社会的マイノリティに対する差別・偏見をめぐっては、特に若者の間で大きく環境が変化していることが分かります。

続いて、差別や偏見の有無を社会的マイノリティの対象別にみた結果です。

社会的マイノリティを個々でみていくと、「LGBTQ」「身体障害」「精神障害・発達障害・知的障害」への差別・偏見はいずれも約10%の減少傾向でした。

一方で、「日本で暮らす外国籍の人」「ミックスの人・日本人に見えない人」への差別・偏見はそれぞれ、4.8%1.8%の減少でしたが、「高齢者」は1.6%の増加と先述した3項目では一様に変化していない現状が明らかとなりました。

社会的マイノリティの対象別、日本社会における社会的マイノリティに対しての差別や偏見の有無:公益財団法人日本財団プレスリリースより
▲社会的マイノリティの対象別、日本社会における社会的マイノリティに対しての差別や偏見の有無:公益財団法人日本財団プレスリリースより

社会的マイノリティ:個人がもつ差別や偏見の有無

自分自身について(個人)の社会的マイノリティに対する調査結果では、差別・偏見が「あると思う」「ややあると思う」とした人は64.7%と、東京五輪前の69.8%から5.1%の減少です。

一方で、差別・偏見が無いとした人は5.1%の増加傾向にあり、個人でみると東京五輪の開催が、人々の社会的マイノリティに対する意識に少なからず影響を与えていることが明らかになりました。

自分自身の、社会的マイノリティに対しての差別や偏見の有無:公益財団法人日本財団プレスリリースより
▲自分自身の、社会的マイノリティに対しての差別や偏見の有無:公益財団法人日本財団プレスリリースより

個人の差別・偏見の有無を年代別でみると、30代と40代がともに7.0%の減少となり他の世代よりも中年層が高い減少傾向となっていることが明らかになっています。

しかし、最も減少傾向にあっても7.0%という結果から、全体的に特筆して減少傾向にあるとは言い難い調査結果であることがうかがえます。

年代別、自分自身の、社会的マイノリティに対しての差別や偏見の有無:公益財団法人日本財団プレスリリースより
▲年代別、自分自身の、社会的マイノリティに対しての差別や偏見の有無:公益財団法人日本財団プレスリリースより

D&I(ダイバーシティ&インクルージョン):社会全体における潮流

調査対象者へ「『D&Iを前向きにとらえようとする流れ』を日本社会に感じるか否か」を調査した結果、「感じる」と回答した人は45.5%と東京五輪前より5.3%の増加傾向でした。

日本社会には、D&Iを前向きに捉えようとする流れを感じるか:公益財団法人日本財団プレスリリースより
▲日本社会には、D&Iを前向きに捉えようとする流れを感じるか:公益財団法人日本財団プレスリリースより

また、現在居住している地域(エリア別)で同様の流れを感じるか否かについての調査では、「あると思う」「ややあると思う」と回答した人が41.3%、社会全体の45.5%より4.2%低い結果となりました。

エリア別では、「前向きに捉えようとする流れを感じる」と回答したのは、北海道が最も低く35.3%、関東地方が最も高く45.0%となっています。

現在住んでいる地域には、D&Iを前向きに捉えようとする流れを感じるか:公益財団法人日本財団プレスリリースより
▲現在住んでいる地域には、D&Iを前向きに捉えようとする流れを感じるか:公益財団法人日本財団プレスリリースより

北海道以外では、東北地方や四国地方で「あると思う」とした割合が低く、都市部と地方部でのD&Iに関する情報の乖離が影響を与えていることがうかがえます。

D&I(ダイバーシティ&インクルージョン):個人の認知度・理解度

D&Iもしくはダイバーシティの認知度について、個人を対象に意味や定義を知っているか否かについての調査です。

「D&I/ダイバーシティ」という名称を認知している人は、71.9%と東京五輪前の66.5%から5.4%の上昇となりました。

また、意味や定義を認知している人は前回の調査では29.9%と3割にとどまったのに対し、今回の調査では39.4%と約4割に認知度が拡大している結果となりました。

ダイバーシティ/ダイバーシティ&インクルージョンに対する認知:公益財団法人日本財団プレスリリースより
▲ダイバーシティ/ダイバーシティ&インクルージョンに対する認知:公益財団法人日本財団プレスリリースより

本調査から「D&I」および「ダイバーシティ」の、認知度だけでなく意味や定義まで広まっていることが明らかになりました。

続いて、年代別でみたD&Iの認知度です。

この2~3年における、自分自身のD&Iへの理解や支持の変化:公益財団法人日本財団プレスリリースより
▲この2~3年における、自分自身のD&Iへの理解や支持の変化:公益財団法人日本財団プレスリリースより

ここ数年で自身のD&Iへの理解度や認知度・支持度は年代別で、10代の58.6%が「高まった」としている一方で、50代は33.6%が「高まった」としており25%もの差が生まれています。

30代から50代は認知度が「高まった」とする割合の合計が4割に届かなかったものの、「変わらない」としている人が約6割程度おり、理解度や認知度が低下していないことが分かります。

D&I(年代別):意識・支持が高まったきっかけ

「D&Iへの理解や支持が高まった」と回答した人に絞った調査を全体でみると、高まったきっかけは1位は「パラリンピック」43.7%、続いて「人種差別問題」40.2%「オリンピック」40.0%という順になりました。

年代別、D&Iへの理解や支持が高まったきっかけ:公益財団法人日本財団プレスリリースより
▲年代別、D&Iへの理解や支持が高まったきっかけ:公益財団法人日本財団プレスリリースより

D&Iへの認知度の高まりの背景にはパラリンピックが最も影響しているほか、欧米をはじめとした黒人への差別やアジア系へのヘイトなど国際社会から非難を受けている国際的な問題もあると考えられます。

年代別でみると、「パラリンピック」「オリンピック」が高年層(50代)に高い影響を及ぼし、若年層(10代)には「人種差別問題」と「SDGs」が「パラリンピック」「オリンピック」よりも高い影響を及ぼしていることが本調査から明らかになっています。

D&I(エリア別):認知度・理解度および支持度

続いて、エリア別でみたD&Iおよびダイバーシティに関する認知度と支持に関する調査結果です

エリア別のD&Iへの認知度と支持は、関東地方が最も高く内容の認知率は48.2%(約5割)、名称の認知率は77.8%(約8割)で全エリアでD&Iを「知らない」と答えた割合も最も低く、D&Iへの高い認知度がうかがえます。

エリア別、ダイバーシティ/ダイバーシティ&インクルージョンに対する認知:公益財団法人日本財団プレスリリースより
▲エリア別、ダイバーシティ/ダイバーシティ&インクルージョンに対する認知:公益財団法人日本財団プレスリリースより

反対に認知度が低い地域となったのは、北海道で内容の認知率は28.2%(約3割)、名称の認知率は62.9%(約6割)で次いで四国地方が低い認知度となりました。

「日本社会におけるD&Iの潮流についての調査」と同様、地方の認知度の低さ、ならびに都市部と地方部の情報格差が露呈する結果となっています。

また、「社会をあげてダイバーシティ&インクルージョンを推進するべきだと感じる」割合の調査でも同様に、関東地方が71.9%と推進への意識が最も高く、北海道が64.1%と最も低い割合となっています。

エリア別、ダイバーシティ/ダイバーシティ&インクルージョンに対する支持:公益財団法人日本財団プレスリリースより
▲エリア別、ダイバーシティ/ダイバーシティ&インクルージョンに対する支持:公益財団法人日本財団プレスリリースより

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