北京五輪に暗雲。「外交ボイコット」する国・しない国

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2022年2月から、北京五輪が開幕する予定です。

新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン」の出現による感染拡大、そして中国の人権問題などと絡み「外交ボイコット」が起こる中、北京五輪はどのように開催されることとなるのでしょうか。

コロナ面から見た東京五輪との比較や、外交ボイコットについて紹介します。

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コロナ禍の五輪、東京五輪との比較

まず、コロナ禍の五輪として、2021年に開催された2020東京オリンピック・パラリンピックとの比較を考察します。

変異株「デルタ株」と「オミクロン株」の出現

今年開催された東京五輪は、新型コロナウイルス変異株である「デルタ株」の影響が危惧される中での開催となりました。

有識者が危惧するなか、感染者は日本国内でも東京五輪をピークとして大きく増加しました。

いっぽう現在では新たな変異株オミクロン株」が出現し、感染拡大が危惧されています。

ただしオミクロン株については一部では重症化しないなどの報道もあり、今後どのような状況になるのか、依然として予測しにくい状況となっています。

なお、データベース「Our World in Data」上で、12月10日時点までの東京五輪開催中の世界の感染者数と現在の感染者数を比較すると、日本では感染者数は減少しているものの、世界的には感染の再拡大が起きているフェーズとなっています。

世界的にみると、東京五輪開催時と現在は、ちょうど同じぐらいの感染者数となっており、ここからどのように変動するかが注目されそうです。

感染対策の比較

東京五輪では、原則として無観客で競技が実施されました。

バブル方式」に基づき実施されたものの、実際には感染者を出すこととなりました。

バブルを外れて外国人選手らがスーパーやコンビニに買い出しに出かけたり、秋葉原の街を歩く姿なども見られていました。

またワクチンについては、東京五輪では選手及び関係者に義務化されなかったものの、接種率が約8割程度となりました。

いっぽう北京五輪では、 現在のところ中国国民のみ有観客で実施予定となっています。

IOCが発行する、感染防止策など大会規則を細かく定めたプレイブックは、10月と12月に公開される予定で、10月分のプレイブックでは、選手及び競技関係者、メディア関係者分が公表されています。

選手にはワクチン接種が推奨されており、接種しない場合は21日間の隔離生活となるなど、副作用の影響などを考慮していると考えられます。

なお関係者には、ワクチン接種を義務化する方針となっています。

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北京五輪に漂う暗雲:外交ボイコットによる東京五輪との決定的な「差」

一方で、コロナ禍に起こった北京五輪と東京五輪との決定的な「差」として、各国が外交ボイコットに踏み切ったかどうかがあげられます。

東京五輪では感染拡大防止の観点から、首脳級の来日は15の国と機関にとどまりました。しかし、あくまでも「感染拡大防止」であり、外交上におけるボイコットではありませんでした。

ただし現在、北京五輪に向けては、香港や新疆ウイグル自治区内における中国政府による人権弾圧に抗議するための外交的態度として、外交ボイコットが起きています。

現在の情勢について説明します。

外交ボイコットが起こった背景:国内での人権弾圧、中国女子テニス選手の失踪

まず、なぜ多くの国で北京五輪における「外交ボイコット」が起こったのか、その背景を説明します。

中国では、新疆ウイグル自治区内において、彼らがイスラム教徒であり中国共産党に絶対的な忠誠心を持っていないことを背景に、集団虐殺や拷問などが起こっていると指摘されています。これが、今回の外交ボイコットの最も大きな原因となっています。

さらに、香港では「香港国家安全維持法」が制定されたことを受けて、中国政府に批判的な論調を行っていた「リンゴ日報」が廃刊に追い込まれるなど、「表現の自由」を弾圧するような人権侵害が起こっています。

これらの情勢に加え、11月には中国のテニスプレーヤーで、ダブルスで世界1位にも輝いたことがある彭帥(ポン・シュアイ)さんが張高麗(チャン・カオリー)前中国副首相から性的暴行を受けたことをSNS上で告白し、失踪するという事件が発生しました。

彼女はその後国際オリンピック委員会IOC)会長のバッハと電話会談を行い居場所が判明しましたが、真に安全な状態にあるかどうかは未だ不透明となっています。これを受け、女子テニス協会は中国でのすべての大会中止を発表しました。

このような中国内各地で発生している人権侵害問題、そしてオリンピックとも深く関わりのあるスポーツ選手の失踪が重なり、外交ボイコットに踏み切った国が出てきました。

なお、これまで選手も含めて五輪大会そのものをボイコットする例はありましたが、このように「選手は派遣し、政府関係者のみ派遣しない」という形のボイコットは世界初となります。

外交ボイコットを表明する国々

今回の北京五輪開催にあたり、アメリカカナダオーストラリアイギリス、ニュージーランドは外交ボイコットを表明しています。

またEUも、政府代表や外交団の招待を受け入れないよう加盟国に求める動議を採択しましたが、拘束力はありません。

なおいずれの国も、選手団は派遣する方針としています。

中国政府は、アメリカの外交ボイコットに対し、強く抗議すると警告しています。

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ギリシャは出席の意向、「アメリカには追随しない」イタリア

いっぽうで中国との関係性が深い国々、そして五輪と関わる国においては、外交ボイコットをしないという方針も見られています。

ギリシャは、同国最大の貿易港の開発で中国から投資を受けたことなど、経済的な結びつきを背景に、同国首相が出席の意向を示しています。

またイタリアも、現在協議中としつつも「アメリカには追随しない」としています。

なおフランスについては、2024年パリ五輪も控えていることなどから、関係閣僚が出席する方針です。

対応に苦慮する日本

日本の対応については、与野党、そして与党内でも意見が分かれており、いまだ判然としない部分があります。

現在のところでは、関係閣僚の派遣は見送られるものの、橋本聖子東京五輪・パラリンピック大会組織委員会が出席する方針で、年内には調整される予定です。ただし、「外交ボイコット」という表現を利用せず中国を刺激しないようにする方針です。

なお中国側は、前回の東京五輪開催において、中国が全面的に支持したことを受け、「日本の基本的な信義を示す番だ」と牽制しています。

日本は中国と経済的な結びつきが強く、そして地理的にも近く、さらに前回の五輪開催地ということで、対応に苦慮しているものと考えられます。

北京五輪、コロナと外交の難題を乗り切れるか

北京五輪の開催について、まず感染状況に関しては、日本では比較的落ち着いているものの、世界での感染拡大、また新たな変異株の出現などを受け、対応を迫られています。

さらに人権問題に絡む外交ボイコットが相次ぎ、国際的な大会が中止されるなどの暗雲が立ち込めています。

今後の展開をめぐっては、開催から2か月を切った現在でも不透明な状態が続いており、引き続き動向が注目されます。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

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