リベンジ消費とは、新型コロナウイルス感染拡大防止のためのさまざまな自粛によって、かえって消費意欲が高まり活発な購入活動が見られる現象です。
本記事では、今後のリベンジ消費の動向はどうなるのか、2022年のリベンジ消費予想について解説します。
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リベンジ消費の定義
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、リベンジ消費が2020年~21年にかけて流行しました。
リベンジ消費とは何か、解説します。
リベンジ消費とは
リベンジ消費とは、新型コロナウイルス感染拡大の影響による外出制限の反動で、購買意欲が急激に高まる現象のことです。
特に2021年末に、大きな注目を集めました。
長期間の自粛生活では、ショッピングや外食、旅行などのさまざまなニーズが抑圧されます。
そのような状況から通常の生活に戻り、購買意欲が開放されるとともに消費傾向が強まり、リベンジ消費につながります。
ECサイトの利用や国内旅行者の増加など、リベンジ消費を象徴する動きは中国や韓国で流行しています。
日本でもシニア世代がメルカリや動画配信サービスを日常的に利用したり、若い世代が価格よりもサステナブルな価値観に共感して商品を選ぶなど、新しい消費行動が生まれています。
関連記事:リベンジ消費とは/中国ではすでに消費拡大!インバウンド対策もアフターコロナに向けて始動
2022年のリベンジ消費はどうなる?
2022年のリベンジ消費の動向予想について解説します。
各業界の統計から見るリベンジ消費
コロナ禍で打撃を受けた観光業や飲食関連を中心として、消費の回復を切望する声が強まっています。
実際に緊急事態宣言が解除された2021年10月以降、相次いで各社から消費浮揚を狙ったサービスが登場しました。
ただし各業界の統計からは、コロナ禍以前の水準を上回る「リベンジ消費」と呼ぶにはほど遠い状況が見て取れます。
観光需要においては、いまだ渡航が困難な状況にある海外旅行のみならず、国内旅行もリベンジ消費にはほど遠い状況です。
観光庁の宿泊旅行統計調査速報によると、国内旅行の2021年11月の延べ宿泊者数は3,562万人でした。
9月の2,243万人から約1,300万人、10月の3,290万人から約270万人増えたものの、コロナ禍以前の2019年11月の4,966万人の72%程度にとどまっています。
いっぽう外食産業では、明暗が分かれています。
日本フードサービス協会が発表した2021年11月の外食産業市場動向調査によると、ファストフードの売り上げは2020年同月比101.9%、コロナ禍以前の2019年同月比では103.1%と好調でした。
いっぽうで10月下旬に酒類提供の制限はなくなったものの、ファミリーレストランの売り上げは2020年同月比は95.2%(2019年同月比83.7%)と客足が鈍くなっています。
またパブ・ビアホールの売り上げは2020年同月比111.4%(2019年同月比54.2%)でしたが、居酒屋は2020年同月比91%(2019年同月比50.8%)と伸び悩みました。
国内観光はリベンジ消費の可能性は低い
野村総合研究所(NRI)では、毎年12月に3,000人を対象とした「生活者年末ネット調査」を実施しています。
NRIは新型コロナウイルス感染拡大が完全に収束した際の消費意向について、今後の消費全体動向としてリベンジ消費が起こる可能性は、感染者数が落ち着いている2021年12月時点でも限定的であると提言しています。
外食や旅行など各活動への支出意向が、コロナ禍以前の水準まで回復するかどうかについては、「国内旅行」では「コロナ禍以前の水準よりもさらに多くする」はわずか10%であり、「コロナ禍以前の水準に戻す」の43%を合わせてもほぼ半数にとどまっています。
残りの半数近くは「コロナ禍以前には戻さない」など、我慢の状況を続ける意向を示しています。
「コロナ禍以前の水準よりもさらに多くする」の割合は、リベンジ消費の度合いとして捉えることもできます。
「国内旅行」は7月調査では8%でしたが、12月調査では10%へとやや増加しており、「美術館や博物館の鑑賞」や「劇場でのコンサート・演劇の鑑賞」などでもこうしたリベンジ消費の傾向がやや高まっています。
ただし依然としてその割合は1割未満の項目が多く、リベンジ消費の発生はかなり限定的と見られます。
2021年7月の調査は、全国の新型コロナウイルス感染者数が連日1万人を超えていた時期に行われたこともあり、リベンジ消費への意向もかなり悲観的だったと考えられます。
しかし感染者数が一日あたり100人単位まで落ち着いている12月でも、リベンジ消費に前向きな消費者の割合は1割未満程度にとどまっており、今後もリベンジ消費を前提にした経済活性化への期待は薄いと考えられます。
2022年は「プレミアム消費」がトレンドか
リベンジ消費は今後、極めて限定的になっていくという予想がされています。
いっぽうで2022年、アフターコロナにおけるニューノーマルな消費としてプレミアム消費があります。
4つの生活者の消費スタイル
ライフスタイルの変化に合わせて、「生活者の消費価値観」は変化しています。
価値観とは考え方であり、長期的に継続する可能性が高いものです。
NRIでは生活者の消費スタイルについて、大きく以下の4つに分類して分析しています。
- プレミアム消費:消費に対してのこだわりが強く、自分が気に入った付加価値には対価を払う。
- 徹底的探索消費:こだわりを持つが、価格にも強い意識を持つ。多くの情報を収集し、お気に入りを買う。
- 安さ納得消費:価格に対する態度が高く、消費に対するこだわりは低い。安ければ安いほどいい。
- 利便性消費:消費や価格に対するこだわりがない。利便性を最重視する。
リベンジ消費に変わるのは「プレミアム消費」
従来は利便性消費が増加傾向にあり、2018年調査までは積極的にお金を使いたい費目として「人とのつきあい・交際費」、余暇活動では「外食・グルメ・食べ歩き」などが増加していましたが、コロナ禍においては大きく減少に転じています。
近年生活者の間では、制限ある生活の中でも楽しみを見出す「こだわり志向」の傾向が強まっており、4つの消費スタイルのなかでも自分のお気に入りにこだわり、相応の付加価値には対価を支払う「プレミアム消費スタイル」が増加しています。
業務用のビールサーバーを自宅にレンタルするなど、外出せずとも自宅で工夫しながら非日常感を楽しむニーズが生まれています。
有料動画配信サービスなどのデジタルサービスを活用して、気軽に余暇を楽しめるようになったことも背景にあります。
コロナ禍以前のように外出して他人とリアルな交流をせずとも、自分なりのこだわりを見出しながら工夫して非日常感を実現することに生活者ニーズが変化しています。
このようなプレミアム消費は、リベンジ消費の代替材となる可能性を秘めていると考えられます。
消費行動の変化を確実に捉えることが重要
コロナ禍によって、デジタル化や生活様式は大きく変化しました。
事業者側としては、デジタル化・生活様式変化が進んだ生活者ニーズを捉えることが重要となります。
先の見えにくい「リベンジ消費」を期待するのではなく、コロナ禍とデジタル化をはじめとする変化が生み出したニューノーマルな「プレミアム消費」に向けた対応が求められます。
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<参照>
観光庁:宿泊旅行統計調査(令和3年10月・第2次速報、令和3年11月・第1次速報)
NRI:続・コロナ禍収束にともなう「リベンジ消費」は限定的~「コロナ禍以前の生活には戻らない」と考える人が8割超~
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