世界的な新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、世界各国では入国制限などの規制が続けられ、航空会社は依然として大きな影響を受けています。
国際航空運送協会(IATA)は3月1日、2024年までに航空業界全体の旅客数がコロナ禍以前の水準以上に回復するとの見通しを発表しました。
ただし北米で急速な回復を見込む一方で、アジア太平洋における回復は遅れが懸念されています。
またIATAが3月10日に発表した1月の航空旅客需要(RPK)は、前年同月比82.3%増でしたが、2021年12月と比較すると同4.9%減となり、回復スピードは鈍化しています。
ロシア・ウクライナ情勢をめぐって経済制裁や空域の閉鎖などが相次いでおり、特に近隣国間の需給に影響が予想されるほか、航空会社はコスト増への対応も迫られています。
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【東アジア】ウクライナ情勢の影響で欠航も、GWは各社増便予定
日本国内では、ANAで春休み期間中の予約数がコロナ前の7割まで回復しました。
またGW期間中は、各社で増便も予定されています。
日本国内
ANA
ANAの1月の利用率は、国内線が40.4%、国際線が30.7%でした。
4月1日から5月8日までの期間中、国内線の41路線・2,306便を減便します。
GW期間は便数を増やす予定で、国内線の運航率は4月が87%、5月が93%となります。
3月22日にまん延防止等重点措置が解除され、3月25日から4月5日までの春休み期間中の予約数は、コロナ禍以前の2019年同期比で約7割まで回復したということです。
国際線については3月16日、ロシア・ウクライナ情勢の影響により、3月27日から31日までの間、計画していた5路線44便のうち24便を欠航すると発表しました。
JAL
JALは4月1日から5月8日までの期間中、国内線の69路線・3,433便を減便します。
GW期間は便数を増やす予定で、国内線の運航率は3月が76%、4月が87%、5月が98%となります。
国際線については、5月の減便数が3,143便で、4月の3,199便から改善するほか、6月~7月は北米・東南アジアを中心に増便する予定です。
また7月1日から関西発バンコク行きを運航する予定で、関西/バンコク線の関西発の定期便運航は、約2年4か月ぶりとなります。
ロシア・ウクライナ情勢の影響に関しては、3月9日に羽田~モスクワ線を3月25日まで欠航すると発表しました。
その他
ソラシドエアは羽田~宮崎線など3路線を減便すると発表し、夏ダイヤ初日の3月27日からGW直前の4月27日までの1か月間で144便が対象となります。
スカイマークは4月27日まで13路線584便を減便し、4月28日から5月8日までは全便運航を予定しており、4月の運航率は87.2%となります。
エア・ドゥは羽田~札幌(新千歳)線をGWと5月の週末に増便します。
ZIPAIRは夏ダイヤの4月1日から10月28日まで、成田~シンガポール線を週3往復運航します。
韓国
アシアナ航空は、3月27日から、福岡〜ソウル/仁川線を週2便に増便するほか、大阪/関西〜ソウル/仁川線も週5便に増便します。
また4月1日からは、名古屋/中部〜ソウル/仁川線の運航を再開します。
香港
キャセイパシフィック航空は、5月までの運航計画を発表しました。
日本線は東京/成田~香港線と、大阪/関西~香港線の2路線を、月2〜3往復で運航する予定です。
台湾
エバー航空は3月15日、運休中の台北(松山)~羽田線を4月28日に再開すると発表し、5月末まで週3往復で運航する予定です。
台北(松山)~羽田線は、チャイナエアラインも5月4日から週2往復で再開する予定です。
【東南アジア】ベトナム航空で日本路線再開相次ぐ
東南アジアでは、ベトナムが旅行者の入国を全面再開するのに伴い、ベトナム航空が日本各地の路線を再開します。
ベトナム
ベトナム政府は、3月15日から旅行者の入国を全面再開する予定です。
これを受けて、ベトナム航空はハノイ発着の成田・関西・名古屋(セントレア)線のほか、3月にホーチミン発着の名古屋・関西線、さらにハノイとホーチミン発着の福岡線も再開します。
夏スケジュール開始の3月27日時点でベトナム航空による日本/ベトナム間は週11便となっていますが、7月には週23便まで拡大する予定です。
ウズベキスタン
ウズベキスタン航空は、ロシアから日本への帰国需要に対応するため、3月21日にタシケント〜東京/成田線でチャーター便を運航します。
ジャパン・エア・トラベル・マーケティングが利用希望を取りまとめ、邦人や日本の在留資格を持つ外国籍の人が利用できます。
【北・南米】ユナイテッド航空が日本路線増便、カナダで新規路線開設も
北・南米地域では、ユナイテッド航空が日本路線を増便するほか、カナダのウエストジェット航空は新規路線も開設しました。
アメリカ
ユナイテッド航空は3月27日から、成田/ヒューストン線を週3往復から週4往復に増便し、日本路線を6路線、週39便体制で運航します。
またハワイアン航空は、東京/成田〜ホノルル線と大阪/関西〜ホノルル線の日本線2路線の運航を、4月30日にかけて現状のまま継続します。
なおアメリカン航空は3月27日から、ロンドン・ヒースロー空港のターミナル5に1日最大11便を乗り入れます。
主要路線が対象で、ブリティッシュ・エアウェイズとの乗り継ぎを強化するものです。
カナダ
ウエストジェット航空は、カルガリー〜ロンドン/ヒースロー線を開設し、ヒースロー空港に乗り入れました。
カルガリー〜ロンドン/ガトウィック線を補完して週4便を運航するもので、これによりカルガリーとロンドンは最大週9便で結ばれます。
同社はカルガリーを拠点に大西洋横断路線3路線を運航しており、5月にはローマとダブリンへの運航も開始する予定です。
【オセアニア】カンタス航空で増便、新規路線開設も発表
オセアニアでは、オーストラリアのカンタス航空がロサンゼルス便を増便するほか、新規路線の開設も発表しました。
オーストラリア
カンタス航空は、メルボルン〜ロサンゼルス線の運航を倍増させ、週8便を運航する予定です。
またこれまでファーストラウンジに営業を集約していた、メルボルンの国際線ビジネスラウンジの営業を3月28日から再開しました。
さらに12月2日からはメルボルン〜ダラス/フォートワース線を週4便で開設すると発表し、すでに航空券の販売を開始しています。
ニュージーランド
ニュージーランド政府は、5月2日から入国規制を撤廃すると発表しました。
これを受けてニュージーランド航空は、現在週1便を運航している東京/成田〜オークランド線を増便する計画を明らかにしました。
また同社は、9月17日からオークランド〜ニューヨーク/ジョン・F・ケネディ線を週3便で開設すると発表しました。
ニューカレドニア
エアカランは、東京/成田〜ヌメア線を段階的に増便します。
4月30日までは週4便、5月1日から土曜を追加した週5便に、5月30日からはデイリー化して1日1便を運航する予定です。
【ヨーロッパ】各国で日本路線の再開や増便相次ぐ
ヨーロッパでは、KLMオランダ航空が日本路線を再開するほか、フィンランドが成田線を増便するなど、各国で日本路線の再開や増便が相次いでいます。
オランダ
KLMオランダ航空では、アムステルダム~成田線とアムステルダム~関空線の日本2路線を運休していましたが、3月14日から順次再開します。
冬ダイヤ最終日の3月26日までソウル(仁川)経由で運航し、ロシアを迂回するルートで飛行します。
フィンランド
フィンエアーは、週4往復運航しているヘルシンキ~成田線を、5月1日から1日1往復のデイリー運航へ増便します。
いっぽう3月27日からの夏ダイヤでは、ロシア領空閉鎖の影響長期化を見込み、成田線以外の日本5路線を運休します。
フランス
エールフランス航空は3月27日からの夏ダイヤの日本3路線の計画を発表し、パリ~成田線を週4往復に増便するいっぽうで、運休中のパリ~羽田線については4月末まで運休を継続します。
パリ~関西線を含めて運航する2路線は、ロシアを迂回するルートで飛行し、通常よりも最大で3時間近く長くなります。
ドイツ
ルフトハンザ・ドイツ航空は、5月から東京/羽田〜ミュンヘン線の運航を再開します。
同社の日本路線は東京/羽田〜フランクフルト線の週3便のみ運航されており、名古屋/中部〜フランクフルト線と大阪/関西〜ミュンヘン線は6月に再開する見通しとなっています。
ポーランド
LOTポーランド航空は、3月20日から東京/成田〜ワルシャワ線の旅客便の運航を再開しました。
5月29日にかけて日曜の週1便を運航するもので、ロシア領空を通過せずロシアの南を飛行する南回りのルートで飛行します。
ロシア
アエロフロート・ロシア航空は3月5日、国際線全便を3月8日から一時運休すると発表しました。
「運航に支障をきたす新たな状況が発生したため」として、同社便とオーロラ航空の国際線全便を一時運休します。
なおロシア南部へのフライトの一時的な制限を除いて、ロシア国内の全路線は引き続き運航します。
【中東】カタール航空、サウジアラビア路線を拡大
中東では、カタール空港がサウジアラビア路線の拡大を進めているほか、ターキッシュエアラインが羽田線を増便しています。
カタール
カタール航空は、3月2日から週4便でカノへ、3月3日からは週3便でポートハーコートへ運航を開始し、サウジアラビア路線の拡大を進めています。
また6月5日から1日1便でロンドン・ガトウィック空港へ、6月25日からは週3便でナミビアのウィントフックへ乗り入れを再開する予定です。
トルコ
ターキッシュエアラインズは3月27日からの夏ダイヤで、イスタンブール~羽田線の機材をボーイング777-300ER型機に変更し、当初計画していた787-9から大型化しました。
また同路線は冬ダイヤでは週5往復でしたが、1日1往復に増便しています。
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