政府、入国上限を来月にも2万人へ 円安と相まるインバウンド需要創出に期待

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日本政府は、新型コロナウイルスの水際対策をめぐる入国者数の上限について、近く上限を1日あたり2万人に緩和する方向で調整していると複数メディアが報じました。

新型コロナウイルスの感染状況を熟慮した上で正式に決定するとともに、6月中にも上限緩和を実施する方針です。

20年ぶりの円安水準で推移する円相場も相まり、入国者数上限の引き上げと円安との相乗効果によるインバウンドの再興が望まれます。

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現在(2022年5月時点)の入国条件・水際対策

現状(2022年5月時点)、日本への入国時には日本人を含めた入国者・再入国者・帰国者を対象とし、出国前72時間以内に実施された検査の陰性証明の提示が義務付けられています。

入国者数については2021年12月に水際対策がさらに強化され、1日あたりの入国者の上限が5,000人から3,500人に引き下げられました。

また、2022年3月14日からは入国者数の上限は1日あたり7,000人、さらに同年4月からは1日当たり1万人へと段階的に水際対策が緩和されています。

4月8日0時からは、入国拒否の対象としていた162の国と地域のうち、106の国と地域からの入国制限が解除されています。

加えて日本政府は、ワクチンの3回目接種の完了を条件に、観光目的での外国人の入国を認める方向で検討を進めているということです。

これは、ワクチン接種の3回目を終えているほか、少人数のパッケージツアー参加者を条件としており、早ければ6月より試験的に実施するとしています。

関連記事:日本政府 外国人観光客の入国を一部認める方向で検討 6月から

上限緩和に伴い、入国時の検査を一部免除か

一部メディアで政府は、入国者数の上限緩和に伴い、一定の条件を定めPCR検査をはじめとする入国時の検査を免除する方針であると報じています。

先述の通り現在、日本への入国時には日本人を含めた入国者・再入国者・帰国者を対象とし、出国前72時間以内に実施された検査の陰性証明の提示が義務付けられています。

2021年3月19日以降は、検疫法に基づいた措置が水際対策として講じられており、日本への入国には検査証明書の所持を必須としていました。

入国者数の上限引き上げに伴い、入国時の検査も簡略化されることで、外国人の訪日のみならず、国際的な往来の再開に伴う観光業全体の活発化に期待がかかります。

岸田首相「6月にはG7諸国並みの円滑な入国を目指す」訪英中の講演にて

4月29日より5か国(インドネシア、ベトナム、タイ、イタリア、英国)の歴訪を実施した岸田首相は、5月5日(日本時間)、英国ロンドンの金融街にて講演を行いました

講演内では、G7の中で「最も厳しい」といわれる日本の入国制限ですが岸田首相は、

「6月には他の先進7カ国並みに円滑な入国が可能となるよう、水際対策をさらに緩和する」と表明しました。

また、オミクロン株をめぐる水際対策の強化については、

「国内への変異株の流入を出来る限り遅らせ、医療提供体制確保やワクチン接種を進めるために必要なことだった」

と語り、世界的にみて日本のコロナ対策が成功している旨を語りました。

水際対策の緩和と円安で相まる、インバウンド需要の創出に期待

現在、日本国内でのドル円は円安水準で推移しており、5月13日17時時点で128円80銭と、2002年5月以来約20年ぶりの円安を記録しました。

日本から海外への旅行にあたるアウトバウンド(輸入産業)に対し、インバウンド業は輸出産業にあたります。

円安時は、海外からみて日本の旅行商品を含む商品全体が安価になり、日本円に対し自国通貨の購買力が向上するため、旅行予算に余裕ができ訪日外国人の消費行動を促進しやすいタイミングといえます。

一方で、他国の通貨と日本円との関係にも注視が必要です。

ポンドと円を例に挙げると、ポンド円は2022年5月13日時点では1ポンド=158円、20年前の同時期(2002年5月14日)は1ポンド=183円と過去20年間で円安が進行しています。

一方でユーロ円をみると、2022年5月1時点では1ユーロ=133円であるのに対し、20年前の同時期(2002年5月14日)には1ポンド=118円と過去20年間で円高の傾向になっています(両値ともに終値)。

このため、6月以降の入国制限緩和と円安によって恩恵を受ける訪日外国人は多数いるものの、ユーロ圏からの旅行者をはじめ円高の影響を受ける外国人旅行者を鑑みると、全てのインバウンド関連業が入国上限が緩和(2万人/1日あたり)された後に売り上げを大きく伸ばすとは一概にはいえません。

また各国では観光業再開への門戸が続々と開かれており、直近では香港が5月1日より非香港居住者の入境制限を解除しました。

ニュージーランドでは2日、2年ぶりに国境を再開し、ビザ免除国から無隔離での旅行者の受け入れを開始しています。

ウィズコロナへと世界がシフトする中、一連の水際対策の緩和をめぐり、新型コロナウイルスと共存した政府の早期の対応が待たれます。

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<参照>
外務省:有効な「出国前検査証明」フォーマット
首相官邸:ギルドホールにおける岸田総理基調講演
日本銀行:外国為替市況(2022年5月13日)
Yahoo!ファイナンス:欧州 ユーロ / 日本 円
Yahoo!ファイナンス:イギリス ポンド / 日本 円

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

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