日本では今年6月から、観光目的の外国人の受け入れが再開されました。ですが、コロナ前の勢いからすれば、まだインバウンドの完全回復には遠いのが現状です。
インバウンド事業者としては、訪日外国人の戻りが活発になるまでのこの期間に、インバウンド対策を万全にしておきたいところです。
しかし、「インバウンド対策といっても、まずは何から取り組めばいいの?」と疑問を持っている方も多いと思います。そんな事業者の方におすすめしたいのは、「インバウンド向けの口コミ対策」から着手することです。インターネット上の口コミは年々影響力を増しているため、できるだけ早く手を打つことが重要です。
本記事では、インバウンド向けの口コミ対策に優先的に取り組むべき理由を解説していきます。またその裏側にある、「口コミ対策に着手しないことのリスク」についてもみていきます。
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:今からできる「インバウンド×口コミ対策」
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消費者に強い影響力を持つ「UGC」とは
インターネット全盛の今、消費者の購買行動に大きな影響力を持つと言われているのが「UGC」です。
UGCとはUser Generated Contentsの略で、「一般のユーザーによって作成されたコンテンツ」のことです。SNSの投稿や、ECサイト上の商品レビューなどがこれにあたります。
企業が行う通常のプロモーションとの違いは、UGCには「リアルな感想」が反映されている、という点です。
企業の広告は通常、商品やサービスの良いところだけを全面に出して、購買意欲を喚起します。そのため、時として「押しつけがましさ」につながる場合もあります。消費者がそうした印象を抱いているにもかかわらず、広告を表示し続けてしまうと、企業に対して嫌悪感を抱かせてしまうことにもなります。
一方でUGCの場合は、投稿者は一般の消費者なので、商品やサービスの良いところだけを書く必要はありません。そのため、UGCを参照することで、実際に使用してみて不便だった点など、ありのままの感想を知ることができます。
このようにUGCを通してユーザーは、商品・サービスの使用者からのリアルな感想を得られるのです。結果的に、商品やサービスに対する信頼感の醸成につながるというわけです。
口コミもUGCの一種
各種口コミサイトに投稿される、一般ユーザーの口コミや星評価ももちろん、代表的なUGCの一種です。そしてそうした口コミは、旅行の分野でも大きな影響力をもっています。
以下の表で示されているのは、2021年の全世界でのOTA(Online Travel Agent、インターネット上だけで取引を行う旅行会社)アプリダウンロード数トップ10です。

このうち、9位のOYO以外はすべて、予約サイトやアプリ内に口コミ機能・星評価機能があるのです。そのため、旅行者がOTAを通して宿泊施設やサービスを手配する際には、必ずと言っていいほど口コミ・星評価が目に入る状況にあるのです。
多くの旅行者の目に触れる口コミは、OTAの口コミ以外にも多数あります。代表的なものの一つは、Googleマップの口コミです。
Googleマップは旅行アプリの中でも圧倒的な世界シェアを誇ります。2021年に世界で最もダウンロードされた旅行アプリはGoogleマップで、実に年間1億600万ダウンロードを記録しました。

さらにGoogleマップの掲載情報は、Google検索の検索結果画面にも表示されます。検索エンジンで世界一のシェアを誇るGoogle検索に表示されることで、場所の情報がユーザーの目に届く可能性は飛躍的に上昇します。すなわち、そこから口コミや星評価が閲覧される機会も増えることになります。
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:“インバウンド×Googleマップ”集客術【基本編】
このように、インターネット上で旅行の計画を立てようとするときには、OTAやGoogleマップ、Google検索などを通して、実質的に全てのユーザーが口コミを参照する機会をもっているといえます。
そのため、自身の店舗やサービスに好意的な口コミが多く集まり、星評価の点数も高くなっていれば、それは予約・購入の成立というコンバージョンに直結してくるのです。
また外国人のゲストから口コミを多く集めることも重要です。外国人が書いてくれた外国語での口コミは、それを参照する他の外国人にも伝わりやすいからです。口コミの内容としても、外国人ならではの目線が入っている場合があるため、インバウンド向けには非常に有用な情報となるのです。
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:外国人に口コミを書いてもらう4つのテクニック
攻めだけでなく、守りの面もある「口コミ対策」
旅行者が口コミに触れる機会がこれだけ多いということは、良い口コミを多く集めることが集客力アップに直結するということです。新規の顧客を獲得するための、口コミ対策の「攻め」の要素がここにあります。
しかしそれは裏を返せば、「悪い口コミが多く集まると、店舗やサービスのイメージ低下につながり、集客力も下がる」可能性もあるということです。そうした事態を避けるため、いわば「守り」の面でも、口コミ対策は重要になってきます。
口コミ対策と一口に言っても、「いい口コミを集めること」だけが口コミ対策ではないのです。「悪い口コミに適切に対応する」ことも、口コミ対策の重要な側面です。
悪い口コミには、事実でない内容が投稿されているパターンと、投稿内容が事実であるパターンの2つがあります。
まず、事実でない内容が投稿されている場合には、特に素早い対応が必要です。そうした投稿を見つけ次第、「投稿先を間違えていないか」を確認するために返信をしたり、悪質なものであると判断される場合には、運営に報告したりすることも必要になってきます。
事実とは反する口コミを投稿して、店舗やサービスのイメージを棄損するような口コミを長期間放置しておくことは、非常に大きなリスクになります。そうした口コミに何の返信もついておらず、削除もされないまま掲載され続けていると、他のユーザーからはその内容は「本当のこと」と判断されかねないからです。
口コミへの返信は「全世界への返信」
そしてもう一つの、事実であるパターンの対応方法です。投稿の内容が事実である場合には、それを文字通り「貴重な意見」として真摯に受け止め、サービスを改善していく必要があります。
それだけではなく、口コミに返信をして、投稿主に対して真摯に対応する姿勢を見せることも重要です。このとき、口コミの一件一件に丁寧に返信をすることで、ネガティブな口コミをきっかけにイメージアップを図るチャンスが生まれます。
口コミプラットフォームはその特性上、口コミに対する事業者側の返信が、その口コミの投稿者だけでなく、全てのユーザーに見えるようになっています。
これが例えば、問い合わせフォームからの個別のクレームであれば、事業者側の返信はその送り主にしか届かない「一対一」のやり取りになります。ですが口コミの場合は、事業者側の返信はいわば「全世界の潜在ユーザー」に対しての返信にもなります。これはUGCとしての、口コミの特徴といえるかもしれません。
そのため、ネガティブな口コミにも適切に返信をすることで、口コミの投稿主へのケアをすると同時に、他のユーザーへ「真摯に対応する姿勢」をアピールすることもできるのです。
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万全の口コミ対策で、インバウンド全面回復を待つ
ここまでみてきたように、インバウンド事業者にとって、口コミ対策は今や避けては通れないものになっています。
集客力アップという攻めの面はもちろん、悪質な口コミから店舗やサービスのイメージを守り、正当な評価を得るためという守りの面でも、口コミ対策は欠かせません。
現状をみると、日本への渡航制限が全て解除されるまでにはまだ時間がかかりそうです。この期間を、口コミ対策の体勢を整えるチャンスと捉え、万全な口コミ対策をしたうえでインバウンドの全面再開を待ちましょう。
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インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
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【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
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