本記事では、株式会社mov(訪日ラボ運営企業)のスタッフである冨山が実際に現地に行き学んだ「ホスピタリティ・プログラム」について紹介します。
冨山はジャパン・スポーツ・ホスピタリティ株式会社(=以下、JSH)の望月代表のサポートとして、FIFAワールドカップ カタール2022に渡航しました。
JSHは、FIFAワールドカップ カタール2022における公式ホスピタリティ・プログラムの販売に対し、 日本における公式販売代理店として指名されています。
今回は望月代表へのインタビューをご紹介します。

※記事内の描写は全て2022年12月当時のものです。前編はこちら。
ホスピタリティ・プログラムのレベル
冨山:今回のカタールW杯 ホスピタリティ・プログラム、いかがでしたか。
望月:スタジアムもそうですが、ホスピタリティのベニューもしっかりとお金をかけたものが作られていた印象です。他の大会と比較しても、レベルの高いベニューだったように思います。
冨山:どこにレベルの高さを感じましたか?
望月:わかりやすく日本と比較すると、2019年のラグビーW杯はスタジアムから離れた場所に仮設のベニューが建てられましたし、2021年の東京オリンピックでは、実施は叶いませんでしたがスタジアム内にホスピタリティ・プログラム用の十分なスペースが確保できないことが問題視されていました。今回のカタールW杯ではすべてのベニューがスタジアムの敷地内に設置されていたため、比較するとどうしてもレベルの違いを感じてしまいましたね。

冨山:メトロはW杯に向けて整備されたと聞きましたし、空港や街並みも清潔で綺麗でした。
望月:総じてインフラがしっかりと整っていましたね。そして、外国人が働けるシステムも整っていたと思います。いろんな国からスタッフが来ていたし、基本的に英語が伝わらない場面がなかった。ホスピタリティ・プログラムも、インターナショナルスタンダードが保たれたものが実施できたと思います。




ホスピタリティゲストのカスタマージャーニー
冨山:ゲストのみなさんは滞在中、試合以外の時間は何をしていたんでしょうか?
望月:まず中東に来る機会って滅多にないので、今回のようなイベントの機会を利用して中東を楽しむ方が多かったです。スークワーキフなどの観光地で地元の料理を楽しみ、ドバイやサウジアラビアなど隣国へ足を伸ばす長期滞在者も。
望月:あとはFIFAファンフェスティバルですね。世界各国のサポーターたちとの交流ができるし、W杯のオフィシャルグッズが大量に並ぶメガストアもありました。スタジアム以外のところでもW杯を楽しみたい人は多いです。あとは、職業柄忙しい方が多いので、時差を利用して午前中はリモートワーク、午後に街へ出かける方も多かったです。



ホスピタリティ・プログラムの販売
冨山:プログラムの販売にあたり、どのようなプロモーションを実施されましたか?
望月:デジタルマーケティングが功を奏し、WEBからの購入申込が60%でした。あとはこれまで申し込み経験のある企業へ直接売り込んだり。さらに今大会では、銀行やクレジットカード会社などの金融機関がチャネルとなり、彼らの会員向けプラットフォームで紹介をしてもらいました。
会員や顧客への特別な情報提供も、彼らの大事なサービスのひとつ。その特別な情報として、ホスピタリティ・プログラムが選ばれました。
冨山:いつ頃から販売を開始したんですか?
望月:本格的な販売は、2年前の2020年からスタートしていました。
冨山:そんなに前から!
望月:売り始めてすぐに売れた商品もありましたが、一番売れたタイミングは2022年の4月はじめ、組み合わせ抽選で日本のグループが決まってからでした。
冨山:ちなみに一番早く売れたのはどのプログラムだったんでしょうか?
望月:Pearl Loungeの決勝、準決勝がセットになった、500万円超の最高額プランが一番初めに売れました。

冨山:最高額のものが真っ先に売れるんですね!それでいうと、今回最も高額なプログラムはスタジアムの全試合がパッケージとなったPrivate Suitesの3億円のプログラムですが、売れたんですか…?
望月:勿論です。傾向として、高い部屋から売れていくのがホスピタリティ・プログラム。そして今回の開催地はカタール。オイルマネーは侮れません。
冨山:確かに…日本 - ドイツ戦のPrivate Suitesの一室を視察させていただきましたが、隣室のゲストは服装と立ち居振る舞いから見るに現地の富裕層っぽかったですね。ちなみに日本人で購入された方は?
望月:今回は日本人の購入はありませんでしたが、バドワイザーやコカコーラなどのスポンサー企業本社が購入して、各国の支社が顧客招待として活用していたケースはありました。
冨山:ホスピタリティ・プログラムの主流である、顧客招待のための企業による購入ですね。
日本のホスピタリティ・プログラム
冨山:ぶっちゃけた話、このレベルのホスピタリティ・プログラムは日本での実施は可能でしょうか?
望月:正直、難しいでしょうね。まずはインフラ問題。そもそもスタジアム内での実施が難しいケースが多い。
先ほども言いましたが2019年のラグビーW杯、2021年の東京五輪ともに、スタジアム内でのホスピタリティ・プログラム実施が出来ないため仮設会場でした(※東京五輪は未実施)。さらに言うと、インターナショナルスタンダードのサービス提供がまだ日本では難しいのです。実はプロ野球やJリーグにもホスピタリティ・プログラムは存在していますが、食事内容含め、サービススタンダードの考え方がちょっと違うのかもしれません。
望月:また、現在の日本では、お客様に観戦チケットを渡して、お客様だけで観戦に向かうケースが多いです。それがホスピタリティだと思ってしまっている。ホスピタリティ・プログラムの本来の良さはお客様と一緒に行って、一緒に感動を共有し、特別な空間を一緒に過ごすこと。日本でまだ完全に活用しきれていないところはそこだと思います。
ホスピタリティ・プログラムに求められること
冨山:このプログラムのメインユーザーはいわゆる富裕層。何が求められていると思いますか?
望月:”特別感” だと私は思っています。特別な瞬間を、特別な場所で、特別な人と共に過ごす。それが特別な時間になる。そういったことが求められているんだと思います。ただW杯の試合を観るだけなら、一般の観戦チケットでいいはず。エアラインのラウンジと同様で、誰もが入れるわけではない、贅沢かつ”特別さ” を感じられる空間であるべきなのがホスピタリティ・プログラムである、と言えると思います。
冨山:今回はアルコールの件もあったため、なおさら特別になったかもしれませんね!
望月:その通りですね。今回のW杯はホスピタリティエリアのみで飲酒が許されたため、そう言った意味でも特別になりました。


冨山:プログラムならではのトラブルはありましたか?
望月:大きなトラブルと言えるものはなかったですね。ただ、苦戦したのはホテル問題。ゲストが直接ホテルに予約するわけではなくFIFA経由での予約だったため、ゲストの宿泊情報のアップデートが遅れ、チェックイン直前までホテルの予約システムに情報がないケースが多かった。
冨山:そうでした…ドーハ中のあらゆるホテルのフロントに行って、ゲストの予約がきちんとシステムに入っているか、全部確認して回ったのももういい思い出です。
望月:お疲れ様でした(笑)結果、我々がいたからトラブルが防げたと言ってもいいかもしれませんね。大きな国際イベントの開始のタイミングは必ずと言っていいほどトラブルがつきものですが、熟知しているエージェントがいるとトラブルも未然に解決できるということかもしれません。

なぜ「ホスピタリティ・プログラム」なのか
冨山:なぜ一般チケットではなく「ホスピタリティ・プログラム」なのか、改めてホスピタリティ・プログラムの実施の重要性を教えてください。
望月:感動の瞬間を特別な空間と特別な時間で楽しむことができる。これに尽きるかなと思います。もっと言うと、FIFAの事業にとってもホスピタリティ・プログラムは、一般チケットよりもはるかに収益性が高い。ひいては、この収益性の高さはスポーツの振興発展に繋がっていくのです。
全員が高いお金を払えるわけではないから一般チケットの販売も勿論ありますが、もっともっとお金を使って特別な体験をしたい人が払ったお金は、スポーツにとって有意義な使われ方をしていく。そのお金で選手が育ち、さらに良い舞台が作られる。スポーツビジネス全体で見ると、こうした環流が生まれているんです。
望月:もっと言うと、企業による顧客招待が多いこのプログラム。これにより顧客とのリレーションもより強固なものになり、よりビジネスは大きくなる。そういった意味でも、経済が循環しているといえるかもしれません。

選手たちにありがとう
ゲストに忘れられない特別な時間を提供するのがホスピタリティ・プログラムですが、血の滲む努力を重ね、国を代表して戦う選手たちがいて、漸くこのホスピタリティ・プログラムは実施出来るということを、忘れないでおきたいです。
ありがとう世界中の選手たち、ありがとうSAMURAI BLUE。
今後のスポーツホスピタリティの動向やカタールW杯のさらに詳しいホスピタリティ・プログラムの情報など、訪日ラボまでご連絡ください!

<代表略歴>
1987〜2016年
KNT-CTホールディングス株式会社(ヨーロッパ法人社長/経営企画部長/スポーツ事業部長)
2016〜2019年
日本コンベンションサービス株式会社/MCI Japan. Inc
オリンピック、FIFAワールドカップ関連事業において豊富な経験・実績を持つ
- 2000年シドニー大会以降、すべてのオリンピックにおいて関連事業に携わる
- シドニーオリンピックではスポンサー・ホスピタリティプログラムの運営を担当、全世界から1,800名を招待
- その他、各国ナショナルハウスの運営、コンサルティング、海外オリンピック委員会、競技団体のプロジェクト運営に携わる
FIFAワールドカップ
- 2010年南アフリカ大会以降、全ての大会においてMATCH Hospitality(公式ホスピタリティ運営企業)と販売代理店契約を締結
- 2022年カタール大会では日本で唯一の販売代理店として契約
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