2022年12月23日、観光庁により2023年度(令和5年度)の観光庁関係予算概要が発表されました。
「観光立国復活に向けた基盤強化」および「インバウンド回復に向けた戦略的取組」を2本柱として、観光の本格的な回復を目指す内容となっています。
この記事では、2023年度における観光庁の予算内容について解説します。
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インバウンド本格復活に向け、前年度から4割増
2023年度の観光庁関係予算は、前年度から4割増となる307億300万円で決定しました。
前年度に1兆円規模で計上されていたGoToトラベル事業に代わり、インバウンドの本格的な回復に向けた施策が多く盛り込まれています。
これまではコロナ禍でインバウンド向けプロモーションや受入環境整備に関する予算を減らさざるを得なくなっており、回復の時に備え観光コンテンツの開発を進めるような内容が主となっていました。2022年10月の水際対策緩和などを受け、いよいよ訪日プロモーションを再開する時期に来たということでしょう。
「観光立国復活に向けた基盤強化」と「インバウンド回復に向けた戦略的取組」を2本柱に
2023年度予算は「観光立国復活に向けた基盤の強化」と「インバウンド回復に向けた戦略的取り組み」を2本柱として、観光の本格的な復活に向けた取り組みを目指すものとなっています。
「観光立国復活に向けた基盤の強化」に130億9,400万円:文化資源を活用したインバウンド環境整備など
「観光立国復活に向けた基盤の強化」には、130億9,400万円が計上されました。
その内訳で最も多くの予算が割り当てられたのは「文化資源を活用したインバウンドのための環境整備」で、40億円を計上しています。
2025年大阪・関西万博に向け、文化資源を活用した観光コンテンツの磨き上げや創出を行うとともに、戦略的プロモーションを推進して観光インバウンドの需要回復や地方誘客・消費拡大を促進する内容となっています。
また日本政府観光局と連携した日本文化の魅力に関するオンライン発信や、文化財に新たな付加価値を付与し魅力を高める「Living History」の取り組み支援、観光庁施策と連携してのデジタル技術を活用した文化財の多言語解説整備なども推進していくとしています。
このほか、さらに「国立公園のインバウンドに向けた環境整備」に25億4,500万円、「ポストコロナを見据えた受入環境整備促進事業」に21億4,300万円が計上されました。 「国立公園のインバウンドに向けた環境整備」では、廃屋撤去やワーケーション受け入れなど国立公園等の磨き上げを進めるほか、京都御苑など国民公園の魅力向上などに取り組みます。 「ポストコロナを見据えた受入環境整備促進事業」では、有料トイレの整備などにより自然環境や文化などの地域資源の保全・活用に取り組むほか、混雑平準化のためのシステム整備などを進めオーバーツーリズムの未然防止も目指します。「インバウンド回復に向けた戦略的取組」に170億5,700万円:戦略的な訪日プロモーション実施
「インバウンド回復に向けた戦略的取組」には、170億5,700万円が計上されました。
このうち全体の約7割にあたる123億5,600万円が、「戦略的な訪日プロモーションの実施」に割り当てられています。
ポストコロナを見据えて、旅行者の意識変化を踏まえながら、旅行消費額の増加や地方誘客促進を目指しつつ、戦略的なプロモーション実施によりインバウンドの本格的な回復・拡大を目指す内容です。
このほか「円滑な出入国の環境整備」(36億4,800万円)、「円滑な通関等の環境整備」(7億3,700万円)などの項目が挙げられています。
新規事業は2項目:地域資源の活用、地方での高付加価値な観光地づくり
観光庁の予算要求は8月に発表されていましたが、今回新規新規事業として2項目が計上されています。
ひとつは「地域の資源を生かした宿泊業等の食の価値向上事業」(5,600万円)で、地域食材の積極的な活用により食の価値を高め、宿泊業の付加価値の向上と地域経済への裨益効果を増大させる取り組みを調査・検証するものです。
もうひとつは「地方における高付加価値なインバウンド観光地づくりの支援」(1億円)で、富裕層向けのインバウンド観光地づくりを推進するため、モデル観光地を10か所程度選定するとしています。
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<参照>
観光庁:観光庁予算
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