2023年6月13日、令和5年(2023年)版 観光白書が発表されました。今年の観光白書は「観光の動向」「令和4年度に講じた施策」「令和5年度に講じようとする施策」の3部で構成されています。訪日ラボでは全6回にわたり、この観光白書を基に徹底解説しています。
最後の記事となる第6回では、「第II部 令和5年度に講じようとする施策」より、「第2章 観光立国の実現に向けた観光施策」について解説します。
第2章は、国や政府が観光立国に向けて、どのような方針、施策で動くつもりなのかが詳細に書かれている章です。観光に関わる方々にとって、今後の指針となりうる内容だと思いますので、ぜひ最後までチェックください。
前回の記事はこちら:第Ⅲ部・令和5年度に講じようとする施策「第1章:持続可能な形での観光立国の復活」
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第Ⅲ部 第2章 観光立国の実現に向けた観光施策
今回の記事では、109個掲載されている観光施策のなかから、目新しいものをピックアップして紹介いたします。
第2章では、観光立国の実現に向けた観光施策について説明されています。それぞれの観光施策は、観光庁が閣議決定した「観光立国推進基本計画」で掲げられている、3つの戦略「持続可能な観光地域づくり戦略」「インバウンド回復戦略」「国内交流拡大戦略」をもとに分類されています。
今回の記事では、109個掲載されている観光施策のなかから、目新しいものをピックアップして紹介いたします。
持続可能な観光地域づくり戦略
世界に誇る観光地形成に向けた観光地域づくり法人(DMO)の形成
(1)観光地域づくり法人(DMO)形成の促進
観光地域づくりを進めるために司令塔の役割を果たす観光地域づくり法人(DMO)の形成を促進し、自主的かつ継続的に活動できるよう支援を進めることが説明されています。
また、以下2点を満たす観光地域づくり法人(DMO)を、「世界的なDMO」と位置づけ、モデルとなる法人の形成を目指すとのこと。
・観光による利益を地域全体にもたらし、地域の活性化が図れている
・観光による誘客や消費戦略が持続的に策定されていること
加えて、モデルとなる法人の形成を目指すため、「世界的なDMO」の候補となる「先駆的DMO」を選び、支援することが書かれています。
(2)観光地域づくり法人(DMO)のための財源確保
「観光地域づくり法人の登録制度に関するガイドライン」に基づき、持続的な財源確保の計画策定を、政府が支援するとのことです。
(3)観光地域づくり法人(DMO)の連携強化
全国地域づくり法人(DMO)が抱える課題や対応策を共有するため、観光地域づくり法人間の連携を強化するとのことです。
具体的には、全国の観光づくり法人(DMO)の優良事例を横展開すると紹介されています。
観光の意義についての国民理解の増進
(1)民間事業との連携を強化
先駆性、新規性、創造性ある民間事業者と国が連携を強化することが書かれています。民間事業者との連携を強化することで、魅力ある観光地域づくりや、観光コンテンツづくりを推進する方法を検討するとのことです。
(2)日本への愛着と誇りの醸成
国民の「観光の意義」に対する理解を深めるために、未来を担う若者たちが成長の早期段階から日本への愛着と誇りを醸成できるようにするとのことです。
具体的には、産学官の連携を強化し、地域が一体となった観光教育の取り組みを支援することが書かれています。また、地域活性化に役立つ観光教育の充実と普及を促進するとのことです。
地域特性やニーズに応じた民泊サービスの普及促進
(1)民泊市場の活性化
観光白書によると、違法民泊を排除し、公正な市場を確保することで、健全な民泊サービスを普及させるとのことです。また、デジタルを活用することで、より効率的な市場の形成を図ると書かれています。
(2)国家戦略特区制度の利用促進
国家戦略特区(※1)における民泊は、実施地域の拡大および制度の利用促進を図ることが書かれています。
次の感染症危機への対応
(1)危機対応の司令塔を設置
政府は、感染症に対する危機対応の司令塔機能を担う組織として、2023年秋に「内閣感染症危機管理統括庁」の設置を目指すとのことです。司令塔の設置により、新たな感染症による危機への備えを万全にするよう取り組むことが書かれています。
(2)国内外における感染症の発生情報を監視
国内外において安心して旅行できるように、感染症の発生情報を継続的に監視および分析することが説明されています。
具体的には、新型コロナウイルス感染症や麻しん、風しんなどの既存の感染症のみならず、新たな感染症も念頭に発生情報を監視するとのことです。
また、分析したことで得られた情報や予防方法などの情報は、国および地方公共団体を通じて、人々に幅広く提供することが書かれています。
東日本大震災からの観光復興
(1)風評被害への対策として、プロモーションを実施
東日本大震災後の国際的な風評被害の対策として、食品輸入規制の撤廃、緩和の働きかけと合わせて、プロモーションを実施することが書かれています。
具体的には、日本の地域の魅力発信、日本各地の商品の輸出促進といった内容のプロモーションを2023年度内に実施するとのことです。
(2)福島の観光復興に向けて、さまざまな支援を実施
福島における観光復興として、5つの支援を実施するとのことです。
1つ目の支援は、情報発信です。具体的には、国内外のメディア、インフルエンサーを招き、ウェブサイトやSNSを通じて福島県の魅力の情報発信することが書かれています。
次に2つ目は、訪日旅行再開の動きをふまえて、旅行商品の造成を支援することが書かれています。
3つ目は、複合災害を経験した福島のホープツーリズム(※2)を推進するため、団体旅行や個人旅行の取り組みを支援するとのことです。
具体的には、教育旅行や企業の研修旅行などの団体旅行をはじめ、サイクリング・ワーケーションなどが挙げられています。
4つ目は、「みちのく潮風トレイル」(※3)の情報発信を支援するとのことです。
5つ目は、インバウンドを対象に、受け入れ体制の強化を支援することが書かれています。
(4)福島の魅力を発信し、交流人口の拡大と消費喚起を図る
国と福島県で取りまとめたアクションプランに基づき、地域ならではのコンテンツの創出を後押しすることが書かれています。
コンテンツは、「酒、グルメ(食)」「スポーツ(サイクル)を含む6つのテーマで創るとのことです。
加えて、市町村独自の魅力の磨き上げをはじめ、デジタル化に向けた支援も実施することが書かれています。
さらに、交流人口拡大と消費喚起を図るため、誘客コンテンツを開発する事業の支援や、来訪者向けのポイント還元キャンペーンを実施するとのことです。
(5)ALPS処理水の海洋放出における風評被害への対策
岩手県、宮城県、福島県および茨城県沿岸部の自治体に対して、海の魅力を高めるブルーツーリズム(※4)を推進することが書かれています。
また、国内外からの誘客と観光客の定着を図るため、海水浴場などの受け入れ環境を整備するとのことです。
具体的には、海の魅力を体験できるコンテンツの充実、海にフォーカスしたプロモーション、ビーチの国際認証の取得に向けた支援が挙げられています。
(※1)国家戦略特区制度とは、国や地方公共団体と民間企業が1つになって、あるプロジェクトに取り組むこと
(※2)ホープツーリズムとは、震災や原発事故などの複合災害を経験した福島の「ありのままの姿」を伝え、今後どう活かすかを探求するプログラムのこと
(※3)「みちのく潮風トレイル」とは、青森県八戸市から福島県相馬市をつなぐ自然歩道のこと
(※4)ブルーツーリズムとは、島や漁村に滞在し、さまざまな漁業体験や地域の自然や文化に触れ、人々との交流を楽しむ旅のこと
インバウンド回復戦略
アート・文化芸術コンテンツの整備
(1)2025年開催予定の日本国際展覧会の推進
「日本国際博覧会(大阪、関西万博)」に向け、全国各地の文化芸術を発信すべく、観光コンテンツの磨き上げや創出に力を入れると説明されています。
日本国際展覧会をキッカケに、日本の文化芸術の多様性を世界に示し、文化芸術振興をより一層充実させる目的があるとのことです。
上記に加え、デジタルコンテンツを活用しながら、日本文化の魅力を国内外に発信することが書かれています。
(2)アートの国際拠点を日本に
日本を文化芸術の国際的な発信拠点とすることを目指し、日本のアートシーン(※5)や、国際的なイベントでアートを発信するとのことです。
(3)国際的な芸術祭の活用
海外のフェスティバルへの参加、出展および海外の芸術団体との共同制作公演などを支援するとのことです。
(4)舞台芸術の振興と情報発信
歌舞伎や文楽、能楽といった伝統芸能および、高い水準のオペラ、バレエ、演劇、オーケストラなどの現代舞台芸術を観光資源とする方針とのこと。舞台芸術を広く提供するために、創造的な発信を支援することが書かれています。
支援対象となる舞台芸術の例として、国立劇場、新国立劇場、地域の劇場や音楽ホールで活躍するトップレベルの芸術団体などが挙げられています。
(5)メディア芸術の振興
メディア芸術の振興を目的として、以下2点の施策を実施することが説明されています。
a)日本映画の魅力を発信するためにさまざまな取り組みを支援するとのこと。
具体的には、多言語字幕制作、国際映画祭への出品、海外映画祭見本市での展示施設の設置や運営、海外における日本映画の特集上映が挙げられています。
観光白書によると、多様な作品の魅力を発信することで、訪日外国人旅行者の増加に寄与する目的があると説明されています。
b)マンガ、アニメーション、メディアアートなどのメディア芸術を国内外へ発信するとともにメディア芸術を担う人材育成を推進するとのことです。
(6)ロケツーリズムの推進
映画やアニメなどのロケ地や舞台は、国内外の観光需要を増やすための重要な拠点であることが、観光白書では説明されています。
ロケ誘致による経済的、社会的効果を実現するために、ロケ地域内の関係機関の連携を強化し、情報発信や許認可の円滑化を目指すとのことです。
また、観光コンテンツに「聖地巡礼」を取り込み、観光需要を促進するなど、ロケツーリズム(※6)の推進に官民一体で取り組むことが書かれています。
(7)地域における伝統芸能の支援
観光白書によると、無形の文化財を活用した観光による、地域活性化も重要との考えを示しています。
伝統芸能や地域の伝統行事、民俗芸能などの保存や活用を推進するとのことです。
(8)地域の文化芸術の振興
地域の文化芸術の振興を目的として、文化庁は2023年3月に京都に移転し、業務を開始しています。
また、2023年5月には大半の職員が移転しており、今後も引き続き、業務の改善を進めるとのことです。
(9)芸術界の将来を担う人材育成
新進芸術家が技術を磨けるよう、舞台公演、展示会における実践の場を提供する事業を支援するとのことです。
他にも、広い視野、見聞、知識を身につける場を提供する事業に対して、支援することが書かれています。
(※5)アートシーンとは、画廊や美術館といった芸術に関連する場所のこと
(※6)ロケツーリズムとは、映画やドラマのロケ地を訪問し、風景や食を堪能することで、その地域のファンになること
スポーツツーリズムの推進
(1)スポーツによるまちづくりの推進
スポーツツーリズムを中心にスポーツを活用したまちづくりを推進すべく、「地域スポーツのコミッション(※7)」の「質の向上」に向けて取り組むとのこと。
具体的には、新たな事業展開へのチャレンジを支援することや、人材の育成、確保といった取り組みを支援することが書かれています。
(2)スポーツツーリズムのコンテンツを創出
日本発祥、日本特有の武道や、日本の特色ある自然を活用したアウトドアスポーツなど、スポーツツーリズムコンテンツの創出へと力を入れるとのこと。優良コンテンツを創出するために、モデルとなるスポーツツーリズムのコンテンツを選び、実施および効果を検証すると書かれています。
また、デジタル技術を活用したプロモーションを実施することで、スポーツツーリズム・ムーブメントを起こすとのことです。
(3)アウトドアスポーツの情報を発信
スノー、ダイビング、ハイキング、トレッキング、サイクリング、ゴルフなどのアウトドアスポーツを日本政府観光局のウェブサイトに掲載するとのことです。
また、アウトドアスポーツの特設ページにおける情報拡充や、特設ページに誘引するためのオンライン広告を実施することが書かれています。
アウトドアスポーツはアドベンチャートラベルとの親和性が高いため、関心を持つ層への訴求力を高めるべく、専門媒体を活用して情報を発信するとのこと。
加えて、アウトドアスポーツツーリズムに特化したメディアやインフルエンサー、旅行会社を招いて、情報発信することが書かれています。
(4)国際競技大会の開催に向けた準備
日本で開催される、以下5つの大規模な国際大会に向けて必要な支援や協力を実施するとのことです。
・世界水泳選手権2023 福岡大会
・世界マスターズ水泳選手権2023 九州大会
・第20回 アジア競技大会
・第5回 アジアパラ競技大会
・ワールドマスターズゲームズ2027 関西
(※7)地域スポーツのコミッションとは、大規模スポーツ大会やスポーツ合宿の誘致を通じて、交流人口の拡大や地域経済の活性化を狙うものを指す
農泊の推進
(1)滞在型農山漁村の確立と形成
農泊を推進するために、滞在型農山漁村の確立および形成が必要だと観光白書に書かれています。
実現するための具体的な方向性と施策は以下のとおりです。
a)農山漁村の活性化と所得の向上を図る
食や景観を活用した観光コンテンツの磨き上げ、ワーケーションへの対応を支援をすることで、農山漁村の活性化と所得の向上につなげるとのことです。
また、国内外へのプロモーションや古民家を活用した滞在施設、体験施設の整備を一体的に支援すると書かれています。
b)農山漁村の魅力を発信
農泊を推進する地域のなかで、重点地域を農林水産大臣が「SAVOR JAPAN」に認定し、官民が連携して農山漁村の魅力を世界へ発信するとのことです。
また、認定地域関係者の知識習得のため、研修会や情報交換会を開催することが書かれています。
加えて、和食のユネスコ無形文化遺産登録10周年という機会を活用し、情報発信に取り組むことで、訪日外国人旅行者の誘客強化を狙うとのことです。
(2)農山漁村の地域資源の活用支援
農山漁村の活性化と所得向上に加え、地域資源の活用を支援することが大切だと観光白書では示されています。
地域資源を活用するための支援としては、以下のとおりです。
a)優良な事例の選定
地域の活性化や所得向上に取り組んでいる優良な事例を「ディスカバー農山漁村(むら)の宝」として選ぶことが書かれています。
優良な事例の選定には、「強い農林水産業」「美しく活力のある農山漁村」を生み出す目的があるとのこと。
また、全国レベルでの情報発信に加え、交流会を開催し、過去に選定された地区の取り組みの発展や拡大を狙うとのことでした。
b)世界農業遺産、世界かんがい施設遺産などの情報発信
世界農業遺産、日本農業遺産、世界かんがい施設遺産といった観光地の魅力をウェブサイトやSNSを通じて発信し、認知度向上を推進するとのことです。
上記に加えて、環境や教育に関心の高い層が集まるイベントへの出展、交通広告を通じた農業遺産のブランド価値向上を推進することが書かれています。
また、情報発信の手法に対する研修会を開催。農山漁村地域として認定されている地域の観光の振興を図るとのことです。
c)ジビエの利用拡大を図る
農泊と連携した農村地域のジビエ利用の拡大を図るため、処理加工現場でのOJT、プロモーションによる情報発信や需要開拓を支援するとのことです。
他にも、ジビエを取り入れた食事メニューや商品の開発、加工設備の導入といった支援をすることが挙げられています。
また、ジビエ料理やジビエ商品を活用した旅行商品づくりに官民一体となって取り組むことが書かれています。
大規模イベントを活用した情報発信
(1)2025年日本国際博覧会(大阪、関西万博)を契機とした対外発信
観光白書によると、日本国際博覧会(大阪、関西万博)は、日本が観光立国として魅力を世界に発信するうえで、極めて重要な機会であるとされています。
だからこそ、大阪、関西のみならず、日本全国で連携して施策を進める必要があることが、観光白書には書かれています。
具体的には、公益社団法人2025年日本国際博覧会協会や観光地域づくり法人(DMO)、地方公共団体が連携する方針とのことです。
連携したうえで、広域周遊を含むモデルコースや特別な体験の創出、海外旅行会社を招いた旅行商品造成など、訪日プロモーションを推進するそうです。
また、全国58地域で交付している地方版図柄入りナンバープレートを普及すべく、2023年10月より新たに10地域で、交付開始の準備を進めるとのこと。
加えて、2022年10月より交付を開始している、大阪、関西万博特別仕様のナンバープレートについて、普及活動を促進させることが説明されています。
(2)2027年国際園芸博覧会に向けた対外発信
2027年に開催予定の国際園芸博覧会に向けて対外発信すべく、大きく分けて以下2つの施策を実施するそうです。
a)日本の花きやいけばな、盆栽などの魅力を発信
日本の高品質な花きやいけばな、盆栽および日本庭園など、伝統的な文化や技術を世界に向けて情報発信することが書かれています。
b)造園文化の魅力を発信
海外での庭園の整備を通じて、日本の伝統的な造園技術や造園文化の魅力を発信することで、訪日需要の喚起につなげるとのことです。
(3)2020年東京オリンピック、パラリンピック競技大会のレガシー活用
地方公共団体と相手国との間で培われた良好な関係を支援するとのことです。
支援を通じて中長期的に関係を発展させることで、インバウンド誘致や地方産品のプロモーションを支援する目的があると説明されています。
国際仲裁の活用による訪日促進
国際取引をめぐる紛争解決の拠点として、日本の魅力を海外に広報するとのことです。
具体的な広報活動として、国際セミナー、国際シンポジウムの積極的な開催といったものが挙げられています。
上記の取り組みにより、海外から多くの仲裁人、仲裁代理人を日本に呼び込むことが狙いとのことです。
国内交流拡大戦略
全国旅行支援の着実な実施
観光白書によると、国内旅行需要を喚起するために、全国旅行支援は欠かせないと説明されています。
新型コロナウイルス感染症の影響を強く受けている宿泊業、旅行業、貸切バスなどの交通機関や幅広い地域の関連産業を、引き続き支援するとのことです。
2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)を契機とした国内観光振興
関西、大阪万博を契機に全国的な誘客を促進すべく、公益社団法人2025年日本国際博覧会協会と観光地域づくり法人(DMO)の連携を強化するとのこと。
連携の強化によって、観光資源の磨き上げやコンテンツを充実させ、地域ブランド化を推進することが書かれています。
「新・湯治」等の推進
「新・湯治」とは、従来の温泉入浴による効果に加え、周辺の自然や文化、食などを活かしたプログラムによって心身ともに元気になることを指します。
政府は「新・湯治」を推進し、温泉地の活性化を図るべく、「新・湯治推進プラン」をまとめたとのことでした。
加えて、「新・湯治」の考えを共有するため、地域、自治体、団体をネットワークでつなぐ「チーム新・湯治」を発足したとされています。
また、温泉地全体で得られる療養効果を把握、情報発信するための「全国『新・湯治』効果測定調査プロジェクト」を実施すると書かれています。
さらに、温泉利用による資源枯渇や可燃性天然ガスによる災害の可能性から、温泉の保護および災害防止策を図るための調査研究を推進するとのことです。
国内旅行需要を平準化の促進
国内旅行の需要を平準化するため、5つの施策を実施することが書かれています。
今回の記事では、これまでの記事で取り上げていない以下3つの施策を紹介します。
(1)平日旅行需要喚起キャンペーンの実施
観光関連事業者と連携し、平日への旅行需要の平準化につながるキャンペーンを実施するとのことです。
特定時期への観光需要の集中が、旅行者の満足度低下や観光産業の低い生産性につながることをふまえて、このキャンペーンを展開する目的があります。
また、キャンペーンにより、週末や連休以外の旅行需要を喚起し、混雑の回避や観光産業従事者の通年雇用化の促進が狙えることが書かれています。
(2)休暇を取得しやすい職場環境の整備
2021年の年次有給休暇の取得率は58.3%という結果が出ています。
年次有給休暇の取得率向上を目指し、労働者が年間で少なくとも5日間の年次有給休暇が取得できるように義務付けられました。
この義務の周知徹底のため、ウェブサイトによる情報告知や説明会を実施したことが書かれています。
また、夏季や年末年始、ゴールデンウィークなど連休を取得しやすい時期に、ポスターや駅貼り広告、インターネット広告を活用して周知するそうです。
(3)休暇取得の分散化の推進
学校の夏休みなど、長期休業日の一部を学期中の平日に移すなどして、学校休業日の分散化を図ったとのこと。
また、学校休業日に合わせた年次有給休暇の取得促進を図る「キッズウィーク」を推進すべく、事例の周知や普及活動をすることが書かれています。
さらに国家公務員は、家族の記念日や子どもの学校行事など、職員のプライベートの予定に合わせた年次有給休暇の取得を引き続き促進するとのことです。
以上が、「第II部 令和4年度に講じようとする施策」より、「第2章 観光立国の実現に向けた観光施策」の解説です。
コロナ禍からの回復を少しずつ見せている今、改めて今年度に講じようとする施策を通じて、今後の課題や力を入れるべき部分が見えたかもしれません。
観光白書が示す戦略の方向性を参考にしながら、観光客をいかに受け入れるのか、その準備を続けることが求められているといえそうです。
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<参考>
観光庁:令和5年度版観光白書
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