2022年10月に日本政府の水際対策が緩和されてから、インバウンド需要は急速な回復を見せています。
10月18日に日本政府観光局(JNTO)が発表した訪日外客統計では、2023年9月の訪日外国人客数全体は約218万人。コロナ禍前と比べて96%まで回復しています。また、観光庁がまとめた訪日外国人消費動向調査によると、2023年7-9月期の訪日外国人旅行消費額は1兆3,904億円にのぼり、2019年同期比117.7%を記録しました。
訪日ラボでは、これらのデータをもとに、国別に訪日客数、消費額、消費傾向などをまとめています。今回は東南アジア圏で最も訪日客数の多かった、タイ市場のインバウンド動向を解説します。
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9月の訪日タイ人客数は5万500人。コロナ禍前の81.4%
日本政府観光局(JNTO)の訪日外客統計によると、2023年9月に訪日したタイ人の数は5万500人。東南アジア諸国の中では最多となっています。
コロナ禍前の2019年同月比では81.4%と、回復してきてはいますがコロナ前水準には届いていないようです。
他の東南アジアの国を見ると、タイに次いでシンガポールが3万8,100人、マレーシアが2万7,500人、インドネシアが3万2,300人と続きます。
需要回復の背景には、日本の水際規制の緩和やインセンティブツアー需要の高まりなどが影響している様子。
バンコクー新千歳間など人気路線が復便し、直行便数も回復傾向にあるため、今後はより大きな需要の回復・拡大が期待されます。
7-9月の訪日タイ人消費額は241億円。2019年同期比87.1%
観光庁が発表した訪日外国人消費動向調査によると、2023年7-9月期の訪日タイ人の旅行消費額は241億円で、2019年同期比で87.1%でした。
2019年の水準に届かなかったのは中国(2019年同期比57.4%)とタイの2カ国のみです。タイの訪日消費額が伸び悩んでいることがわかります。
訪日外国人全体の旅行消費額は全体で1兆3,904億円にのぼり、そのうち中国(2,827億円)が20.3%を占めています。中国の次に消費額が多かったのは台湾(2,046億円)で、次いで韓国(1,955億円)、アメリカ(1,439億円)と続きます。
タイ人の消費額は全体の1.7%で、2019年と比べるとその割合も0.6ポイントの減少となっています。
タイ人の消費額を種目別に見ると、宿泊費71億円、飲食費66億円、交通費29億円、娯楽等サービス費7億円、買い物代67億円でした。2019年と比較すると、消費額全体に占める飲食費の割合が増え、買い物代の割合が減っています。