観光庁は1月23日〜24日、「オーバーツーリズムの未然防止・抑制による持続可能な観光推進事業」の説明会を実施しました。オーバーツーリズムへの対策を行う取り組みを支援する事業で、1月25日から公募が開始されました。
本記事では、事業の概要や対象となる要件、申し込み方法などをまとめます。
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事業概要:オーバーツーリズムの未然防止・抑制による持続可能な観光推進事業とは
現在、多くの観光地がかつてのにぎわいを取り戻しています。一方、観光客が集中する一部の地域や時間帯で、地域住民への生活への影響や旅行者の満足度の低下への懸念など、様々な課題が生じている状況です。
そこで観光立国推進閣僚会議において決定された対策パッケージに基づき、課題への対策の一つとして観光庁が「オーバーツーリズムの未然防止・抑制による持続可能な観光推進事業」を実施します。
支援の概要については「観光客の受け入れと住民の生活の質の確保を両立」へ向けて、持続可能な観光地域づくりを実現するため、「地域自身があるべき姿を描いて、地域の実情に応じた具体策を講じる」取り組みに対しての総合的な支援を行うとしています。

オーバーツーリズムの「未然防止」も含め、幅広く支援
説明会では「オーバーツーリズム」という言葉の捉え方について、すでに大きく報道されている地域もあるものの、観光客が集中する一部の地域や時間帯、季節、場所を限定した際にはその他の地域でも起こりうることから、「必ずしも報道されているものだけが全てではない」と言及しました。
また、事業には「未然防止」という言葉が入っていることにも言及し、「例えばアニメの聖地であれば、アニメが人気となったことで突然観光客が集中する可能性もある」こと、また今後、観光庁でも重点施策としている地方誘客の取り組みの進展も見据えると、多くの観光地で発生しうるものであることから、「未然防止」を掲げているとし、「報道されているところだけが対象ではない」こと、オーバーツーリズムにかかわる地域の意欲的な取り組みを「幅広く支援したい」と考えていることを強調しました。
さらに、「我が国の実情に応じた対策を講じていく必要がある」として、他の地域にとっても参考となるような「先駆モデル」を作り上げていきたいと述べました。
対象は:先駆モデル地域型、一般型の2類型で公募
本事業では、取り組みの内容などに応じて「先駆モデル地域型」、「一般型」の2つに分けて公募が実施されます。

先駆モデル地域型
先駆モデル地域型は、「具体的な取り組みを実証・実装ベースで実施」し、「他地域においても横展開可能となるモデル的な取り組みを目指す」事業が想定されています。
様々な課題のうち、複数のタイプにかかる対策を実施することや、観光地として地域のあるべき姿に向けたビジョンの検討が求められます。

また、以下のいずれかを満たすことが必要です。
- 申請主体(地方公共団体)を中心とした協議会の設置
- 申請主体(地方公共団体)による個別の協議等の実施

先駆モデル地域型のスケジュールは「通常実施」「先行実施」で異なっています。
公募〜事業実施の流れ、想定されるスケジュールは以下の画像の通りです。


一般型
地域で生じているまたは発生が想定される課題の未然防止・抑制を図るもので、「先駆モデル地域型」に当てはまらないものが想定されます。
公募〜事業実施の流れ、想定されるスケジュールは以下の画像の通りです。

審査の観点
審査の観点として、
- 地域の現状が適切に把握できているか
- 適切な実施体制となっているか
- 地域の課題に応じた取り組みであるか
- 具体性・計画性を伴い、十分な効果が期待できる取り組みとなっているか
- 持続可能な観光地域づくりに寄与するか
が評価の対象となります。
また、先駆モデル地域型の場合は「取り組みの構想は新規性または独自性を有しているか」も審査されます。

申し込み方法:締切は
申請に必要な書類は以下の通りです。
申請主体:
- 地域申請書(一般型では不要)
- 地域申請概要(先駆モデル地域型の通常実施のみ。先駆モデル地域型の先行実施、一般型では不要)
- 対策計画
- 対策計画概要
- 事業スケジュール
- 関係する地方公共団体の同意書
- 連携先の同意書
個別事業者:
- 個別事業計画
- 費用積算書
各申請書の記入方法については観光庁の公式HPよりご確認ください。
関連リンク(外部サイト)
観光庁:「オーバーツーリズムの未然防止・抑制による持続可能な観光推進事業」の公募を開始します

個別事業者が提出する個別事業計画の交付申請においては2社以上の見積書が必須となるため、早めに見積もりを進めておくよう推奨されています。

また、先述したように、先駆モデル地域型、一般型によってスケジュールが異なります。全体のスケジュール想定は以下のようになっています。

メールによる予備申請は1月25日からですが、電子申請の場合は2月上旬に開設される特設Webサイト上の申請フォームにて申請してください。

電子申請システムを利用した公募申請の流れは以下の画像の通りです。

補助の対象となる事業、経費は
補助の対象となる事業、経費は以下です。
- 調査・分析
- 対策計画策定
- 受入環境の整備・増強
- 需要の適切な管理
- 観光客の分散・平準化
- マナー啓発
- 地域住民と協業した観光振興

ただし、オーバーツーリズムの未然防止・抑制への効果が薄い取り組みは補助の対象外となります。例えば
- オーバーツーリズムの未然防止・抑制につながらない整備費・広告宣伝費・物品購入費
- 不動産の購入にかかる費用
- 特典としてのポイント付与や料金割引の補填
- 法令または条例等において義務化されている設備等の導入にかかる工事費
などがあります。
また、交付決定前の経費 / 事業期間終了後にかかる経費は補助対象外となるほか、同一内容の事業において、国が助成する他の制度が重複する場合なども対象外です。

留意点・よくある質問
留意点、よくある質問は以下の画像の通りです。


「オーバーツーリズムの未然防止・抑制による持続可能な観光推進事業」のまとめは以上です。
観光データ利活用に関する研修
説明会の最後には、「観光データ利活用に関する研修」が行われました。
観光庁は、オーバーツーリズムの解決にあたっては「本質的な課題」を見つけて対処することが重要であることから、地域経済分析システム「RESAS」などを用い、客観的に実態を把握するよう推奨しています。

「RESAS」や「観光予報プラットフォーム」によって、次のようなデータがみられるということです。
- どのような人が来ているのか?(日本人・訪日外国人)
- いつ頃がシーズンピークなのか?(日本人・訪日外国人)
- 平日休日の滞在人口はどれくらいなのか?(日本人)
- 時間帯による滞在人口はどれくらいなのか?(日本人・訪日外国人)
- 地域住民はどれくらいいるのか?
- 地域の交通機関はどれくらい稼働しているのか?

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