新型コロナウイルス感染症の拡大によって長らく低迷していたインバウンド市場は、2022年10月の水際対策緩和後、急速に回復を進めています。
1月17日に日本政府観光局(JNTO)が発表した訪日外客統計(2023年12月および年間推計値)によると、2023年12月の訪日外客数はコロナ禍以降で最多を更新。2023年の訪日外客数は2,500 万人を突破し、2019年の約8割の水準まで回復しています。
また、同日に観光庁が発表した訪日外国人消費動向調査によると、2023年の訪日外国人旅行消費額が5.3兆円と過去最高を記録したことも公表されました。
訪日ラボでは、これらのデータをもとに、国別に訪日客数、消費額、消費傾向などをまとめています。本記事では、イギリス市場のインバウンド動向を最新データを交えて解説します。
訪日ラボのメールマガジン登録はこちら>(無料)2023年の訪日イギリス人数は32万1,500人。2019年比24.2%減だが、回復傾向
日本政府観光局(JNTO)が発表した訪日外客統計によると、2023年の訪日イギリス人数は32万1,500人でした。コロナ禍前の2019年と比べると24.2%減で、月別に見ても年間を通じて2019年の水準にはまだ届いていません。

アジア諸国と比べると回復に遅れが見られるものの、2017〜2018年の水準までは回復したことがわかります。

イギリスの訪日需要の回復がアジア諸国などより遅れている背景には、ほかのヨーロッパ諸国と同様、2022年2月から続くロシアによるウクライナ侵攻が影響していると考えられます。
日本〜ヨーロッパの直行便がロシア上空を迂回しなければならなくなったことにより、移動の長時間化や航空券の高騰などが日本への渡航のハードルになっている可能性があります。
しかし、ロンドン/ヒースロー〜羽田便の増便など日本への直行便数は2022年に比べて大幅に回復傾向を見せています。経由便航空商品の多様化や継続的な円安の後押しを受け、今後は一層の回復が期待されます。
2023年の訪日イギリス人消費額は1,061億円。円安を背景に、買物代がコロナ前の約1.8倍に
観光庁が発表した訪日外国人消費動向調査によると、2023年における訪日イギリス人の消費額は1,061億円でした。コロナ禍前となる2019年の999億円から6.2%増加している計算です。
訪日イギリス人の消費額を年間推移で見ると、10〜12月のみ2019年を下回る結果となりました。例年スキーシーズンであるこの時期は訪日需要が高まるにもかかわらずコロナ禍前の水準を下回った理由としては、先述した移動時間の長期化や航空券の高騰のほか、暖冬によってスキー需要が落ち込んだことなどが影響として考えられます。

一方、直近10年間を比較すると、2023年における訪日イギリス人の消費額は過去最高となっています。

訪日イギリス人一人あたりの旅行支出は33万811円で、2019年比で137.1%でした。
消費額を費目別に見ると、買物代が155億円、宿泊費が481億円、飲食費が228億円、交通費が152億円、娯楽等サービス費が45億円でした。宿泊費は欧米豪で高い傾向がみられ、なかでもイギリスとイタリアでは一人あたり14万円超と高くなっています。日本から距離が遠く、長期滞在する訪日者が多いことが理由です。

2019年との比較でとくに注目したいのは、全体に占める買物代の割合です。9%から15%に伸びており、金額にすると2019年時点で87億円だった買物代は、2023年には78%増の155億円となりました。訪日イギリス人の購買意欲が高まっている背景には、継続的な円安が大きく影響していると考えられそうです。
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<参照>
JNTO:訪日外客数(2023年12月および年間推計値)
観光庁:訪日外国人消費動向調査
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