【山梨県】富士山の登山規制・通行料の徴収 7/1から開始 今後は「富士山登山鉄道」構想も

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山梨県知事の長崎幸太郎氏は6月17日、富士山の保全と価値向上の取り組みに関する記者会見を行いました。

会見では、2024年7月1日より開始する登山規制・通行料の徴収とそれに至った経緯、さらに「富士山登山鉄道構想」をはじめとした今後の取り組みについて説明がありました。

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山梨県、富士山の登山規制・通行料の徴収開始

富士山は言わずと知れた日本一の高さを誇る山。古くから信仰の対象で、創作意欲をかき立てる芸術の源泉としても注目を集めており、2013年6月には世界文化遺産に認定されました。

しかし近年では、来訪者の増加による「オーバーツーリズム」問題が起こっています。県知事は会見で、昨年富士山の登山者数がコロナ禍前の水準に戻ったことで、過度な混雑や「弾丸登山(十分な休息を取らずに登山を続けること)」が課題として浮上したと指摘。登山道上で仮眠をとったり、焚き火をしたりなどの迷惑行為もあるといい、登山規制を実施し、登山者の命をも危険にさらす問題への対応策を講じる必要があるとしました。

そこで山梨県は、新たに条例を制定し、7月1日より以下の3つの対策を実施します。

1. 富士山五合目にゲートを設置、通行規制

  • PM4:00〜AM3:00の時間規制
  • 1日あたり4,000人を超えた場合に規制

2. 通行料1人2,000円の義務化

3. 富士山登山適正化指導員の設置

これに伴い、すでに5月20日からオンラインの新予約システムが稼働しています。

富士山の登山規制・通行料の徴収に至った経緯は

今回の規制に至ったきっかけは、昨年8月に行った記者会見で「なぜ登山料金を徴収しないのか」と問われたことだと県知事は説明。当時は現行法上、自由通行道路にそうしたゲートを設置するのは困難と説明したものの、「どうにかゲートの設置ができないだろうか」と考えるようになったといいます。

しかし、これまでは富士山の登山道が県道であり、自由通行の原則が適用されることから、これを妨げるゲートの設置は原則できないという状況でした。そこで、通行に支障が出ない範囲で登山道の一部を県有施設とし、ゲートを設置できるようにしたということです。

また、そもそも富士山の環境問題においては、2013年の世界遺産登録の際、ユネスコから以下3つの「宿題」を出されていたと説明。

  1. 人が多い
  2. 人工的景観が目立つ
  3. 環境負荷が大きい

しかしコロナ禍前2019年、世界遺産登録直後と比較して、五合目の来訪者は2倍以上にのぼりました。コロナ禍でいったんは落ち着いたものの、アフターコロナの今、オーバーツーリズム問題は再び顕在化。富士山登山道以外にも、富士河口湖町のコンビニエンスストア前に観光客が殺到するなど、周辺地域にも及ぶ問題となっています。

こうした問題に対処しなければ、最悪の場合世界遺産登録を取り消される可能性もあるといいます。実際に昨年、グローバル報道の中で「多すぎる来訪者が富士山の世界遺産のステータスを脅かしている」といった趣旨の報道も出ていたようです。

県知事はこうした問題に「大変強い危機感」を抱いているとし、今回の登山規制で解決できる内容に加え、今後は具体的かつ極めて有効な手段として「富士山登山鉄道構想」を検討していると説明しました。

富士山登山鉄道構想について

今回の登山規制は、五合目より上で起きている問題を解決する取り組みとなる一方で、五合目より下で起きている富士スバルラインの混雑をはじめとした課題は一部残されたままとなります。そのための具体的な手段として、「富士山登山鉄道」による来訪者コントロールを検討していると説明しました。この構想に対しては疑問、反対の声もあるものの、大切なのは「世界遺産としての富士山の価値、自然環境を守っていくための議論を続けていくこと」だと述べました。

山梨県・富士山を100年後も誇れる地域へ

県知事は会見の最後で、現状の課題解決にとどまらず、「世界レベルの観光エリアの形成」を見すえていると話しました。

長期的には、登山鉄道を富士山麓の主要観光地を結ぶ二次交通の基幹路線とすることや、リニア新幹線の山梨県駅とつなげることも考えられる、と今後の構想を明らかにしました。

記者からの質問で、インバウンドを呼び込む国全体としての観光戦略と、山梨県が直面する課題とをどう考えるかについて問われた県知事は、国のインバウンド政策については否定されるべきものではなく、増え続けるインバウンドの受け入れ体制を構築できていないことが問題だと指摘。国の力も借りながら、地域が受け入れ体制をどう作っていくかが課題だとしました。解決策としては、単価の高いお客様を受け入れる方向にシフトしていくことや、すでに存在する古の登山道の再興をはじめ富士山・山梨全体の魅力的な場所を伝えていくことにより、より多くの選択肢を観光客に提供し、観光客の集中を防ぐ「分散化」の取り組みを挙げました。

そして長期的には、富士山の周辺地域・山梨県をどのような地域へしていくのか、そして100年後から見て誇れる地域へと進化させていくためにはどうすればいいのかといった大きな視点から、今後も議論を進めるとしています。

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    この記事の筆者

    訪日ラボ編集部

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