星野リゾート代表、日本は「文化観光が得意、自然観光は苦手」…地方の自然観光を訴求するアドベンチャーコンテンツやJALとのコラボなど発表

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星野リゾートは10月17日、オンラインプレス発表会を開催。2024年で110周年を迎える中、各施設のリニューアルや日本航空(JAL)とのコラボ事業などを発表しました。

また、代表の星野佳路氏が観光産業の課題や今後について語る場面もありました。本記事では、その中からインバウンドに関わる内容についてまとめます。

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JALとのコラボ発表:「王道 vs 穴場」でオーバーツーリズムの解消へ

星野リゾートは日本航空(JAL)とコラボした事業として、インバウンドに向けた「王道 vs 穴場キャンペーン」の実施を発表しました。日本の魅力的な観光資源が眠る大都市圏以外の地域にインバウンド客を誘客することで、その素晴らしさを伝え、オーバーツーリズム解消を目指すものです。

インバウンド客が増加し続けている一方、5都道府県東京都大阪府京都府北海道福岡県)の宿泊者数が全体の約73%を占め、地方を訪れる観光客が少ない状況です。本事業では、インバウンドの関心が高い「桜」「祭り」「雪」などのコンテンツを切り口に、「王道」の観光地と訪日客にあまり知られていない「穴場」の観光地を紹介するとともに、Instagramの投稿キャンペーンを実施し、日本の地方の魅力を発信していくとしています。

また、インバウンド向けに日本航空の航空券と星野リゾートが運営する一部施設を組み合わせたパッケージプランも提供するということです。

国産スキーメーカーとのコラボも:日本でスキー用品を買う需要に対応

さらに、スキーメーカーである株式会社VECTOR GLIDE(ヴェクターグライド)の製品を、リゾナーレトマムと谷川岳のスキー場で貸し出すデモセンターを開設すると発表しました。

欧米を中心に日本のパウダースノーを求めて訪日する人が増加している状況で、そのパウダースノーに合うスキー用品を日本で買う人が増えています。デモセンターの開設により、VECTOR GLIDEの製品を借りて試すことができるようになるということです。

星野代表「観光産業を一流の産業に」地方分散のカギとなるのは?

発表会では代表の星野佳路氏から、観光産業の現状や今後についての話もありました。

のように観光客に地方へ行ってもらうかがカギ

まず星野代表は、コロナ以後の観光産業の労働力不足に触れ、「人手不足は、今後も起こってくる大きな課題」と話します。その上で、「観光産業はもともと遅れている産業ではあるが、観光立国を目指しているのならば、いつか観光産業を一流産業にしなければならない」として、今後の観光産業への危機感を示しました。

星野リゾート代表 星野佳路氏
▲星野リゾート代表 星野佳路氏:観光産業を一流の産業に

日本は「文化観光が得意、自然観光は苦手」

続いて、オーバーツーリズムが課題となっていることに触れ、「いかに地方に飛ばすかが課題」だと指摘します。

日本の観光資源は、「文化観光は得意だけれど、自然観光は苦手」であるため、自然観光に力を入れることで、地方への注目は集まると述べました。

群馬県谷川岳を「Mt.T」としてリブランディング

その中で、谷川岳にある「Mt.T by 星野リゾート(旧・谷川岳天神平スキー場 by 星野リゾート)」を例に挙げています。もともと登山の中上級者向けだったのを初心者でもロープウェイを使って登れるようにしたほか、新たにグルメを提供するなど、大人も子どもも楽しめるアクティビティを用意しています。山頂を目指すことだけが目的ではなく、途中のコンテンツも楽しめるようにしているということです。

一方で、谷川岳の課題として、冬場に訪れる人が少ないと話します。スキーを目的に訪日する人が増加している現状に着目し、星野代表は「パウダーゲレンデの聖地にしていきたい」と意気込みを述べました。

星野リゾート代表 星野佳路氏
▲星野リゾート代表 星野佳路氏:自然観光のコンテンツ強化へ

日本ではオーバーツーリズムではなく、「オーバーコンセントレーション」が起こっている

質疑応答では、オーバーツーリズムの弊害についての質問に対して、現在の状況をオーバーツーリズムではなく、「オーバーコンセントレーション(一極集中)」が起こっていると指摘します。同じ場所に集中しすぎている一方、日本全体としてはまだ受け入れの余裕があるという考え方で、その要因と解決策については以下のように答えています。

星野氏「東京、京都、大阪に集中しているのは、文化観光が強いからだと思います。地方は、自然観光を強くしていくことで自立し、都市圏と差別化できる」

また、オーバーツーリズムの解消について、一企業が何を始めるかが重要だと述べました。

星野氏「星野リゾートだけでは解決できないが、(少なくとも)解決の一助になればと思っています」

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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