こんにちは。株式会社mov 訪日ラボ コンサルティング部のウオンサタンです。私はタイ出身で、訪日タイ人向けのプロモーションを中心に、インバウンド対策をサポートするコンサルタントとして働いています。
今回は在日タイ人として企業や団体のインバウンド事業支援を行う私が、訪日タイ人旅行者に関する最新トレンドや、日本に訪れる際のショッピング事情についてお話ししたいと思います。
関連記事:タイ向けの訪日プロモーション施策のキホン【訪日ラボコンサルタント解説】
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タイ人の海外旅行先、日本のライバルは「中国」
タイ人の誘客において、日本の強力なライバルとなるのが中国です。
コロナ禍前からタイ人にとって中国は人気の旅行先でしたが、2024年3月にタイと中国でお互いに観光ビザが不要になったことで、より多くのタイ人が中国を旅行先に選ぶようになりました。
特に、コロナ後から中国を訪れるタイ人は急増しています。中国を訪れたタイ人観光客数は、2024年の最初の2か月で前年同期比約3倍を記録し、2024年末までにタイから中国への観光客は2倍に、タイへの中国人観光客は3倍になる可能性があるとの報道もあります。
中国は日本にとってタイ人誘客の強力なライバルといえますが、一方で、タイ人観光客の中には「やはり日本が良い」という声も少なくなく、今後の動向が注目されるところです。
韓国の人気は減速
一方で、もうひとつのライバル国であった韓国の人気は急速に低下しています。
近年、韓国でタイ人への入国管理が厳しくなっており、タイ人旅行者が空港で入国許可を得られないケースが増えたことがきっかけです。そうした状況を受け、タイではSNSを中心に「韓国へ行くのをやめよう」と呼びかける運動が盛り上がり、韓国旅行を控える流れが起きています。
もちろんこれは韓国にとってもタイにとっても喜ばしいことではないですが、日本のインバウンドという意味でいえば、強力なライバルがひとつ減ったとも言えるかなと思います。
訪日タイ人の最新ショッピング事情
続いて、訪日タイ人の最新ショッピング事情を解説します。
タイ人観光客を受け入れるにあたり押さえておきたい動向の一つが、「Alipay+(アリペイプラス)」経由で、PayPayとタイの決済サービスがつながるようになったことです。
「TrueMoney(トゥルーマネー)」というタイの主要な電子決済アプリがAlipay+と連携したことで、日本でもPayPayに対応した店舗であれば、アプリでの支払いが可能になりました。そのため、タイから日本を訪れる際、実質、現金を持たなくても買い物ができるようになったんです。両替した円の残りを気にしなくてもいいので、より日本での買い物意欲が増えていると思います。
スイス発のスニーカー「On」が大人気
また、訪日タイ人の買い物事情が変化していることも重要なトピックです。近年は円安の影響もあり、欧米諸国へ旅行していたタイ人が日本を訪れるケースが増えていて、ハイブランドを中心としたファッションアイテムを購入することが大きなトレンドとなりつつあります。
特に人気を集めているのがスイス発の「On」というスニーカーブランドです。かつてはタイ人に人気のスニーカーと言えば「オニツカタイガー」でしたが、今では「On」が大人気!原宿のキャットストリートにあるショップでは開店前からタイ人が並び、ほとんどのサイズがすぐに売り切れてしまったというほどです。Onの原宿店はアジア初の旗艦店なので、Onを目当てに日本を訪れる人や、旅行中のショッピングに立ち寄る人が増える影響もあったかもしれません。
ここまでOnが人気になった背景には、2022年に就任したバンコク都知事のチャチャート・シッティパンさんが関係しています。彼がスニーカーを履いてジャンプしている写真がSNSで大きくバズったのですが、その時に履いていたスニーカーがOnだったんです。それからタイ国内で一気に「あのスニーカーが欲しい」と需要が高まりました。
どの国でもそうですが、著名人やインフルエンサーの影響力が、消費行動に大きく影響を与えていることがわかりますね。
タイ人観光客が好むショッピングスポットとは
そのほか、タイ人がよく訪れるショッピングスポットとして、例えば大阪では「りんくうプレミアムアウトレット」や「イオンモールりんくう泉南」、東京では新宿や上野、名古屋だと「イオンモール常滑」、成田でも「イオンモール成田」が挙げられます。
特に上野の「ドン・キホーテ」や、総合ディスカウントストア「多慶屋(たけや)」は、タイ人観光客にとって定番の買い物スポットです。多慶屋はタイ人の多くが「紫ビル」として覚えています。これは最初に多慶屋がプロモーションしたのではなく、ある人が店名を忘れて、外観が紫色だったことから「紫ビル」とSNS投稿したのがきっかけなんです。面白い広まり方ですよね。
上野はホテルも多く、成田へのアクセスもいいので、多くのタイ人旅行者の宿泊先として人気です。アメ横には多くの外国人観光客が訪れますが、タイ人の割合が高いと言われています。
また、訪日旅行の情報源としては、タイ国内の掲示板サイト「Pantip」やFacebookなどのSNSが主に活用されています。これらのプラットフォームで情報を収集して、日本でのショッピングや観光計画を立てることが一般的です。
以上、 訪日ラボ コンサルティング部のウオンサタンより、訪日タイ人旅行者の最新トレンドについてお伝えしました。次回は「Pantip」についてたっぷりとお伝えしますので、どうぞ楽しみに!
後編を見る:【徹底解説】タイ向け訪日プロモーション施策のキホン&2025年の情報発信タイミングとは?
著者プロフィール:ウオンサタン ジェサダーポン
株式会社mov コンサルティング部 コンサルタント
タイ国チェンマイ県出身。チェンマイ大学卒。 2016年から地方自治体・民間企業への企画案件提案、海外現地イベントや旅行博出展、タイ現地旅行会社・メディアへのセールス業務、海外現地でのセミナー・商談会開催、タイメディアへの広告出稿、外国語SNS運用等、訪日インバウンドマーケティング及び海外プロモーション案件に従事。イベント運営ディレクターからメディアや旅行会社招請のアテンドまで幅広く担当し、訪日インバウンド事業ディレクター実績多数。2022年より株式会社movに参画し、民間企業・地方自治体への提案、東南アジアのメディアやインバウンドコンサルティングなどを行う。
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【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
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- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
→「THE INBOUND DAY 2025」特設ページを見てみる
【インバウンド情報まとめ 2025年5月後編】2025年の訪日客数「4,500万人」へ、観光庁長官の見解は? ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に5月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
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→2025年の訪日客数「4,500万人」へ、観光庁長官の見解は? / 2025年訪米旅行者支出「125億ドルの損失」予想 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年5月後編】
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