インバウンド客増加などを背景に、各社のクレジットカード決済手数料を引き下げる動きが活発化しています。
この記事では、各社のクレジットカード決済手数料引き下げ事例を紹介します。クレジットカード決済の導入がインバウンド対策として重要な理由についても解説しています。
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クレジットカード決済手数料の引き下げ相次ぐ、対象は中小事業者
インバウンド客増加などを背景に、各社がクレジットカードの決済手数料を引き下げています。まずは、各社の動きをチェックしていきましょう。
Airペイ:3.24%から2.48%に引き下げ
Airペイはリクルートが運営する、カード・電子マネー・QRコード・ポイントが使える決済サービスです。「Airペイ」では2024年12月2日より、中小事業者を対象に、クレジットカードの決済手数料を3.24%から2.48%に引き下げるプログラムを開始します。対象となるのは、Visa・Mastercard・JCB・American Express・Diners Club・Discoverの6ブランド。
手数料引き下げの適用は、プログラムエントリー制で条件があります。詳細はエントリー開始時期に各ホームページなどで発表予定です。
関連記事:インバウンド向けキャッシュレス決済対応の重要性とは?リクルート「Airペイ」担当者に聞く
Square:3.25%から2.5%に引き下げ
スマートフォンやタブレット端末に専用のICカードリーダーを接続してクレジット決済ができるSquare。2024年11月1日より申込資格のある日本の加盟店を対象に、Visa・Mastercardによる対面決済手数料を3.25%から2.5%に引き下げました。
手数料の引き下げには、下記の基準を満たすことが求められます。
- 日本政府が定める「中小企業」の定義に当てはまる
- 上場している企業やビジネスグループと提携していない
- 事業におけるキャッシュレス決済の総額が3,000万円未満
STORES決済:3.24%から最大1.98%に引き下げ
STORES決済はクレジットカード・電子マネー・QRコード決済ができるキャッシュレス決済サービスです。2024年12月1日より、中小事業者向けにクレジットカード決済手数料率を最大で1.98%に引き下げられます。
決済手数料の引き下げは、新たに提供される「中小支援プラン」で適用されます。プランの月額は3,300円(税込)で、決済手数料はVisa・Mastercardで1.98%、JCB・American Express・Diners Club・Discoverで2.38%です。
stera tap/stera pack:2.70%から1.98%に引き下げ
スマートフォンをタッチ決済端末として利用できる「stera tap」は、加盟店手数料を2.70%から最大で実質1.98%になるキャッシュバックキャンペーンを実施。期間は2024年5月8日〜11月30日までで、Visa・Mastercardで1.98%に、JCB・American Expressで2.48%に引き下げました。
2024年12月1日以降は、「stera tap」に加え、端末1台でさまざまな決済に対応できる「stera pack」でも決済手数料を2.70%から 1.98%に引き下げる予定としています。
中小企業庁が定める中小企業者が対象で、EC 事業者などの一部業種や、年間のVisa・Mastercardの取扱いが一定額を超える事業者は対象外となる場合があります。
世界的に進むキャッシュレス化、日本は世界に出遅れ
インバウンド対策としてキャッシュレス決済の導入は重要な施策のひとつです。しかし、日本はなかなか導入が進まず、世界に遅れをとっています。
世界のキャッシュレス決済比率と、日本で導入が進まない理由を解説します。
キャッシュレス決済比率は中国で「83.8%」、韓国では「95.3%」
一般社団法人キャッシュレス推進協議会の調査によると、2021年時点でのキャッシュレス決済比率は中国で83.8%、韓国で95.3%でした。香港や台湾、欧米豪でもキャッシュレス決済が一般的で、いずれも政府主導のキャッシュレス化の推進や習慣の違いによって高い水準にあります。
一方、日本は現金への信頼度の高さやATMの利便性などを背景に、キャッシュレス決済比率は32.5%ほどにとどまっています。少しずつ上昇してはいるものの世界的には低いといわざるを得ない状況です。
インバウンド客にとって、日本の決済環境を不便に感じる人は数多くいます。今後も多くのインバウンド客を受け入れるためにも、キャッシュレス決済の導入は重要なインバウンド対策のひとつといえるでしょう。
関連記事:インバウンド対策に必要なクレジット・QRコード決済への対応とは
日本は2025年までに40%、将来的には80%を目指す
経済産業省の調査によれば、日本のキャッシュレス決済比率は2023年時点で39.3%。2025年6月までにキャッシュレス比率を40%程度、将来的には世界最高水準の80%に引き上げることを目標に掲げています。
この目標を達成するためには、キャッシュレス決済を導入する事業者の動きを活発化させる必要がありそうですが、どのあたりがネックになっているのでしょうか。MMD研究所と、キャッシュレス決済サービスを手がけるSquareが、決済サービスの導入決定権を持っている現金決済のみ対応店舗のオーナー500人を対象にアンケートを実施。キャッシュレス決済を導入しない理由を聞いたところ、「初期導入費用や各種手数料が高いから」が44.4%と最も多い結果となりました。
この調査結果を踏まえると、今回の決済手数料引き下げがキャッシュレス決済導入の一助となり、キャッシュレス率引き上げにも貢献するかもしれません。
クレジットカード決済への対応がインバウンド対策に
クレジットカード決済へ対応することで、インバウンド対策において具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。決済代行会社を通して導入した場合のメリットを3つ紹介します。
1. タッチ決済で会計がスムーズに
海外のクレジットカードは、タッチ決済(NFC)を搭載しているものが多く、端末にタッチするだけで決済が完了するため、現金に比べてスムーズに会計ができます。
暗証番号を入力したり、サインをしたりする手間が省けるため、現場でのコミュニケーションが最小限で済むメリットもあります。
2. 多言語に対応しているので言葉の壁も安心
多くの決済サービスでは、端末の言語設定を変えることができます。対応するお客様に合わせて設定を変更できるため、さまざまな国の言語に対応できるでしょう。
決済サービスによって設定可能な言語は異なるので、導入の際にどの言語で対応したいのかをあわせて検討することが求められます。
3. 客単価アップにつながる
決済が現金のみだと、手持ちが足りない場合は来店を諦めてしまうなど、大きな機会損失になってしまう可能性があります。
しかしキャッシュレス決済であれば、スムーズな消費を促すことができ、なおかつ現金に比べて高額でも消費につながりやすい傾向もあるため客単価の向上が見込めます。
実際に、MMD研究所とSquareの共同の調査では、運営する店舗においてキャッシュレス決済を導入する前後で客単価が変化したか聞いたところ、17.2%が「客単価が上がった」と回答しています。
4. (決済代行を導入すると)海外のQRコード決済にも対応できる
決済代行会社を通して導入した場合、多くの決済端末ではクレジットカードだけでなくQRコード決済などにも対応しています。
多くのサービスでは国内のQRコード決済に加え、WeChat PayやAlipay+など海外のQRコード決済も利用できます。またPayPayやLINE Payは独自に海外のQRコード決済と提携しているため、これらが利用できる環境であれば同時に海外のQRコード決済に対応することが可能です。
クレジットカードに限らず、決済の選択肢の幅をより広げることができるでしょう。
クレジットカード決済導入で、インバウンド集客力アップへ
インバウンドが急速に拡大し、2024年はコロナ禍前の水準を超え、年間を通して3,500万人、消費額8兆円が見込まれています。
クレジットカード決済などさまざまな施策に取り組み、訪日旅行者の消費を取り込む工夫が必要となるでしょう。
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<参照>
株式会社リクルート:『Airペイ』、中小事業者を対象にクレジットカードの決済手数料を2.48%に引き下げ 月額固定費は変わらず0円、12月2日(月)より開始予定
Square:Squareの手数料についてさらに詳しく
STORES 株式会社:STORES 決済、クレジットカード決済手数料を業界最安水準1.98%に引き下げ、中小事業者向け「中小支援プラン」を新たに提供観光庁:インバウンド消費動向調査
一般社団法人キャッシュレス推進協議会:キャッシュレス・ロードマップ2023
MMD研究所・Square株式会社:【第2弾】実店舗オーナーによる運営店舗のキャッシュレス決済利用動向調査
経済産業省:2023年のキャッシュレス決済比率を算出しました
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