2024年1月〜11月の訪日外国人客数が3,337万9,900人となり、累計で過去最高を更新しました。ますますインバウンド市場が盛り上がる中、インバウンドの消費額も増加しています。
では、国別にインバウンドの消費単価を見てみると、どの国の人が、どのくらいのお金を使っているのでしょうか?
このシリーズでは、観光庁による2024年7-9月期 インバウンド消費動向調査のデータをもとに、費目別の消費単価をグラフを用いながらわかりやすく解説。「"1日"当たりの消費単価」についてもご紹介します。今回は「買物編」です。
【訪日ラボは、インバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」を8月5日に開催します】
【買物単価】1位は中国
まずは訪日旅行1回当たりの買物代の消費単価です。(「"1日"当たりの消費単価」は、後ほどご紹介します)

買物単価に関しては、欧米圏の消費額よりアジア圏の消費額が多いことが特徴といえます。台湾や香港などの地域では、訪日前に「買い物リスト」を作っているということもあり、買い物を訪日中にしたいコンテンツの一つとして捉えている人も多いようです。
2019年同期の買物単価が最も高い国も、中国(9万5,052円)でした。次いで、インド(5万7,286円)、香港(51,487円)となっています。最も低いのは、韓国(1万4,547円)でした。

訪日中国人といえば、百貨店や家電量販店での「爆買い」のイメージがある方もいるかもしれません。今は「爆買いはもう終わった」などと言われがちですが、まだたくさんの買い物をする中国人がいるということをこのデータは示しています。現在は円安の追い風などを背景にハイブランドの人気が高まっているほか、医薬品・化粧品などの日本製品を購入したいというニーズも根強く残っています。
また、コロナ前と比較すると、米国やフランスが上位に上がってきていることが読み取れます。訪日アメリカ人は食料品や飲料、菓子類などを購入する人が多く、訪日フランス人は衣類などを購入する人が多いようです。
【平均泊数】 欧米圏では10日以上
次に、各市場の平均泊数を見ていきます。
最も滞在日数が多かったのは、ドイツ(16.3日)でした。次いで、フランス(14.4日)、スペイン(12.9日)となっています。最も短いのは、韓国(3.7日)でした。
欧米圏からの訪日客は滞在日数が長く、比較的訪日しやすいアジアの人は短いことがわかるかと思います。

【1日当たりの買物単価】中国、香港、台湾で高額に
では、「"1日"当たりの買物単価」のグラフを見てみましょう。「訪日旅行1回当たりの消費単価÷平均泊数」から算出しています。
1日当たりの買物単価は、中国(1万4,530円)が最も高くなっており、香港(1万1,611円)、台湾(1万1,043円)と続いています。

1日当たりの買物単価にしても、中国、香港、台湾からの訪日客の消費額は、他の地域と比べて多いことがわかります。
一方で欧米圏の買い物の消費は、アジア市場と比較して少ないことが読み取れます。アジア圏の訪日客と比較して、体験コンテンツにお金をかけていることが要因の一つでしょう。
では、コロナ禍前と比較してみましょう。2019年同期の1日当たりの買物単価も、中国(1万5,842円)が最も高く、次いで、香港(9,033円)、ベトナム(7,813円)です。

コロナ前と比較すると、中国人の消費額は大きい変化はないものの、その他の地域で消費額が増加していることが読み取れます。
まとめ:データをもとにした戦略的なインバウンド対策を
今回の分析では、中国や香港、台湾などアジア市場における買い物の消費額が多いことがわかりました。コロナ以前からその傾向が続いているようです。
一方で、欧米圏では買い物にお金をかけてる人は少ないことがわかります。先述の通り体験コンテンツのニーズが高いほか、長期での滞在が多いことから、最後にまとめてお土産を購入する傾向にあることも一因と考えられます。欧米圏からの訪日客の買い物代を増やすには、"体験"との紐付け方が重要となるかもしれません。
なお、ターゲット選定の際には1つのデータを見るのではなく、さまざまなデータを多角的な視点から見ていくことが重要です。訪日ラボではさまざまなデータをわかりやすくまとめておりますので、ぜひインバウンド対策にご活用ください。
インバウンド対策にお困りですか?
「訪日ラボ」のインバウンドに精通したコンサルタントが、インバウンドの集客や受け入れ整備のご相談に対応します!
<参照>観光庁:インバウンド消費動向調査
【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」
インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。
<本セミナーのポイント>
- 変わりゆく市場の状況と、今後注目のトレンドを把握できる
- 旅マエの顧客行動を理解し、集客・予約率アップのヒントが得られる
- 旅ナカの接客品質を高め、顧客満足度向上に繋がる実践的な対応を学べる
- 各分野の専門家から、ビジネスを加速させる具体的な戦略や成功事例が聞ける
詳しくはこちらをご覧ください。
→宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】
【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
→「THE INBOUND DAY 2025」特設ページを見てみる
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
※口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。
詳しくはこちらをご覧ください。
→「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】
今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」

スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。
「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!