ブランディングとは?正しい意味・メリット・方法を6ステップで解説

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商品やサービス、企業の価値を高めるための手法として「ブランディング」が注目されています。ブランディングとは、商品やサービス、企業が持つブランド価値を高め、その価値を消費者に伝えることで、市場での自社の存在感や評価を向上させる取り組みを指します。

「ブランディング」と聞くと、チェーン展開を行う大企業がさまざまなチャネルを活用して大規模に宣伝するイメージを持つ人もいるかもしれません。しかし、ブランディングは個人経営の飲食店や、小規模なホテル旅館などでも十分に実施可能です。

特にインバウンド需要が増加している現在、訪日外国人向けのブランディングはますます重要性を増しています。

この記事では、ブランディングの意味や必要性、メリットや具体的な実施方法、そして成功させるためのコツについて解説します。

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ブランディングとは

ブランディングとは、販売を促進する方法のひとつです。ブランドの持つ価値を高め、その価値を消費者に伝えることにより、市場における自社の価値や存在感を高めることを指します。企業と顧客の間でイメージやコンセプトを一致させ、確固たるブランドを築きあげます。

そのため、ブランドの持つ価値を高めてもその価値を消費者に伝えなければブランディングは成り立ちません。また、ブランドの持つ価値を高めずにその価値を消費者に伝えてもブランドは成長しません。

販売戦略におけるブランディングの意味

販売戦略においてブランディングとは、ブランドアイデンティティとブランドイメージを一致させる活動を指します。ブランディングアイデンティティとは、企業が商品やサービスを通して提案したいブランドの価値を、ブランドイメージは顧客が抱くブランドの心象のことです。

これらをすり合わせることで、企業の目指す姿と顧客のイメージの乖離をなくし、確固たるブランドを築きあげます。

ブランディングに取り組む際には、ブランドは顧客の心の中に存在する概念だと認識する必要があります。運営する企業が商品やサービスの良さを訴えても、顧客が価値を見出さなければブランドは生まれません

ブランディングは、企業が独自の価値を磨き、顧客に認めてもらうための活動ともいえます。

ブランディングの「3つ」の目的

ブランディングには、ブランドの価値を高めて顧客の記憶に残すために、おもに以下の3つの効果が期待できます。

1. 記憶への定着

日々触れる情報量が増え続ける一方、人が認識できる情報には限りがあります。そのため、記憶に残るものはほんの一部に過ぎません。この状況で重要になるのがブランディングです。

ブランディングでは、「誰のための、どんなブランドか」を明確にし、ターゲット顧客に効果的にアプローチします。このアプローチにより、ニーズに合致する顧客がブランドに興味を持ちやすくなります。

さらに、ブランドを明確に定義したうえで、顧客がイメージしやすい形で独自の価値を発信することで、ブランドを顧客の記憶に深く定着させることができるでしょう。

2. 価格競争からの離脱

ブランディングによって競合他社と自社を差別化することで、顧客が自社を選ぶ理由が価格以外の要素になります。

多くの消費者は、自分が好きなブランドであれば、必ずしも最安値でなくても選ぶ傾向があります。ブランドの価値を明確にすることで、価格競争から脱却し、安定した集客が期待できます。

3. 顧客ロイヤルティの向上

ブランドの名称を広め、多くの消費者に認知してもらうことで新規顧客を開拓できるほか、既存顧客のブランドに対するロイヤルティの向上も見込まれます。

たとえば、「訪日ラボレストラン」という飲食店がブランディングを実施し、その名称が広く知られるようになったとします。この場合、次のような効果が期待できます。

  • 名前を聞いたことがあるという理由で来店する新規顧客が増える
  • 有名店に通うことに満足感を得る常連客が生まれる

このように、ブランディングは新規顧客と既存顧客の両方にプラスの影響を与え、店舗や企業の成長につながる重要な手法です。

人はなぜブランドを好むのか

そもそも、人はなぜ「ノーブランド」より「ブランド」を好むのでしょうか。そこには「機能的理由」と「感情的理由」の2つの理由があるとされています。

1. 機能的理由

1つ目は、機能的理由です。たとえば「東横イン」は、優れた立地で、朝食が提供され、清潔な環境にリーズナブルな価格で泊まれるなどという点が評価され、ビジネスパーソンを中心に支持されています。

このように、ブランドの価値を裏付ける理由としては、多機能、利便性、高品質、安価などの機能的理由がよく見受けられます。

2. 感情的理由

2つ目は、感情的理由です。

たとえば銀座などにある高級料理店は、高品質な料理を快適な環境で楽しめるという機能的理由もさることながら、“高級料理店で食事をしたい”という感情を叶えられるため富裕層を中心に支持されています。

他にも、独特な雰囲気を楽しめる店や他にはないサービスを受けられる店などは、機能的理由の観点からは競合他店に劣るかもしれません。

しかし、このような店では「感情的理由」が高いことにより、ロイヤルティの高い顧客を多く抱えている場合があります。このように、感情的理由によりブランドを選ぶ顧客は「ファン」とも呼ばれます。

世間に数多く存在するブランドは、機能的理由か感情的理由のどちらか、または両方を満たすことによりブランドとしての価値を保っています。

ブランディングの種類

ブランディングは、おもに「インターナルブランディング」「エクスターナルブランディング」「パーソナルブランディング」の3つに分類できます。

以下では、それぞれの特徴をまとめます。

1. インターナルブランディング

インターナルブランディングは「Internal(内側の)」と名付けられているように、企業内に向けたブランディングです。社員やパートタイマー、スタッフ、子会社、協力会社など、内部の組織や関係者を対象としています。

2. エクスターナルブランディング

エクスターナルブランディングはインターナルブランディングと対になる、企業外に向けたブランディングです。顧客や株主、取引先をはじめ、社会全体を対象としています。

3.パーソナルブランディング

パーソナルブランディングとは、「個人」をブランドとして確立する手法です。自らをブランド化するセルフブランディングと混同されがちですが、パーソナルブランディングは「個人」、セルフブランディングは「自身」に価値を付ける点が異なります。

ブランディングのメリット

ブランディングには、他店との差別化、リピーターの獲得、価格競争の回避など、大きく分けて3つのメリットがあります。それぞれ解説します。

1. 他店との差別化

ブランディングをすることにより、企業はブランドを集客ツールとして活用でき、顧客は各企業が的確なブランドイメージを提示することで商品やサービスを選ぶ際の基準を得られます。

またブランドは、顧客が情報を整理する際にも役立っています。たとえば、ペットボトルのお茶はさまざまなメーカーから販売されていますが、これらを区別できるのは、各社のブランディングがなされているためです。

このように、ブランド化をすることで他社との差別化が可能です。

2. リピーターの獲得

ブランド力を高めていくと、商品だけでなく、企業そのものにファンが定着するようになります。

商品のファンが気に入っている商品をリピートしてくれるのに対し、ブランドのファンはラインナップされているさまざまな商品をリピートしてくれるため、売上につながりやすくなります。

また、企業に愛着を持つファンは、試したことのない新商品もブランドへの信用から購入する傾向が強く、根強いリピーターを獲得するうえでも重要です。

3. 価格競争から逃れることが可能

ブランドにファンがつくようになれば、競合他社と価格競争をする必要がなくなります。

品質や機能、デザインが似ていても、特定のブランドを求めている顧客にとっては、他社の商品では意味がありません。そのため自社のブランド力に見合う金額を設定すれば、相場より高くても買い控えが発生しにくい状況を作り出せます。

確かなブランド力を手に入れれば、安定して利益をあげられるでしょう。

ブランディングの方法

ブランディングでは、ターゲットを意識して、一貫性のある体験を提供することが大切です。また色やデザインなどのビジュアル面にも気を配る必要があるでしょう。これらのポイントをおさえてブランディングに取り組むことで、より具体的なブランドイメージを定着させられます。

効果的なブランディングを行うには、以下のステップを順に実施していくことが重要です。

1. 市場における自社ブランドの価値を明らかにする

まず、自社ブランドの強みや競合との差別化ポイントを明確にします。

顧客にとっての価値(価格・品質・サービス・独自性など)をリストアップし、自社の魅力を把握します。市場調査を行い、ターゲット層や競合の状況を分析して、自社の立ち位置を確認しましょう。

2. ブランドの方向性を決める

続いては自社が目指す姿やミッションを定義します。「どのような印象を顧客に与えたいか」「どんな体験を提供したいか」を考え、ブランドの目指す方向性を明確化しましょう。

長期的な目標と短期的な目標を設定し、一貫性を持たせます。

3. ブランドコンセプト・ブランドアイデンティティを決める

ブランドの核となるコンセプトを作成します(例:高品質と親しみやすさの融合)。

視覚的・感覚的な要素(色・デザイン・トーン&マナーなど)を定義し、ブランドのアイデンティティを確立します。

顧客がブランドに共感しやすい価値観やストーリーを作り込むこともポイントです。

4. ブランド名やロゴを作成する

ブランドの印象を一瞬で伝えられる名前やロゴを考案します。名前は覚えやすく、親しみやすさや信頼感を与えるものにします。

ロゴは視覚的に一貫性を保ち、ブランドのコンセプトや魅力を象徴するデザインに仕上げるのがポイントです。

5. ブランディングのタッチポイントを決定する

顧客がブランドに触れるあらゆる接点(WebサイトSNS・店舗・広告・イベントなど)を洗い出します。ターゲット層が利用している主要な媒体を把握し、効果的な接点を選定することが重要です。

各タッチポイントでブランドの一貫性を維持し、顧客に同じメッセージや体験を提供できるようにしましょう。

重要な接点には特に力を入れ、ターゲット層が利用しやすいように工夫します。

6. ブランドの認知度を検証する

ブランディング活動の結果を定期的に確認します。SNSのエンゲージメント率やWebサイトのトラフィック、売上データなどを分析し、ブランド認知度の向上を測定しましょう。

顧客アンケートやレビューを通じて、ブランドの印象や価値が適切に伝わっているかを確認するのも効果的です。

ブランディングを向上させるポイント

最後に、ブランディングを向上させるポイントを紹介します。

一貫性のある体験を提供する

ブランディングでは一貫性のある体験の提供が大切です。ブランドの価値として押し出す強みを、商品やサービスに反映させるだけでなく、接客、広告など、顧客との接点すべてで積極的にアピールします。

たとえば「品質の良さ」をウリにしているブランドでは、商品のクオリティを維持するだけでなく、顧客との会話や広告でも高品質を謳い、一貫したイメージを定着させる必要があります。

顧客にどのようなブランドイメージを抱かせたいかを計画し、その実現に向けて接点のそれぞれで一貫性を持たせることが重要です。

ビジュアルを統一する

顧客に一貫性のある体験を提供すると同時に、ビジュアルにも一貫性を持たせる必要があります

企業やブランドのロゴは、その代表例です。顧客は、無意識のうちに商品やサービス体験とロゴをひもづけて、ブランドを識別しています。

ホームページ、実店舗、広告と、さまざまな場所で書体やデザインの異なるロゴを使用していては、正しく認識されなくなってしまいます。

ブランドアイデンティティにもとづき、書体やデザイン、配色、造形を統一して、一貫したビジュアルを提供できるよう、注意することが必要です。

ブランディングで顧客のリピート率を上げる

情報があふれ、商品やサービスが多様化する中で、競合他社と差別化を図るうえでは、独自の価値付けが必要です。ブランディングでは、企業の目指す姿と顧客のイメージを一致させ、ブランドを築きあげます。

確固たるブランドが構築されれば、ブランドにファンがつき、リピーターやロイヤルカスタマーの獲得につながります。また、価格競争から脱却し、安定して利益をあげられることもメリットです。

ブランディングに取り組む際は、ターゲットを意識し、一貫性のある体験を提供することが大切です。

ロゴなどの視覚情報もブランドを識別するうえで重要な要素となるため、ビジュアルにも一貫性を持たせられるよう注意が必要です。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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