2025年の春節の期間は、1月28日~2月4日の8日間でした。春節期間が始まる前に発表された情報では、人気の海外旅行先として1位に日本が挙がるなど、日本のインバウンド市場にとって明るい話題が多くありましたが、実際はどうだったのでしょうか。
本記事では、2025年の春節期間のトレンドや訪日インバウンド動向について、データをもとに振り返ります。
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2025年の春節期間は延べ90.2億人が移動
中国の交通運輸部によると、今年の春節を含む40日間(1月14日~2月22日)における地域間移動者数は延べ90.2億人でした。前年と比べると7.1%の増加で、過去最高を更新しています。
移動手段別での旅客数は、以下の通りです。
- 鉄道旅客数:5.1億人(前年比6.1%増)
- 道路旅客数:83.9億人(同7.2%増)
- 水上旅客数:3,121万人(同7.6%増)
- 民間航空旅客数:9,020万人(同7.4%増)
海外旅行先は日本が人気1位に
また、中国観光研究院の発表によると、春節期間(1月28日~2月4日)における海外旅行者数は378万3,800人で、前年比で5.2%の増加となりました。
そのなかで、訪問国として日本が1位に。次点でシンガポールや韓国など、アジア各国に人気が集まりました。
一方で、インドや南アフリカ、ドミニカなど、少しマイナーかつ安価に訪問できる国も、若者を中心に人気を集めたようです。
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訪日インバウンド動向は?
次は、訪日中国人観光客の動向について、各種データをもとにみていきます。
春節効果も?1月の国別訪日客数で中国が1位に
日本政府観光局(JNTO)が発表した2025年1月の訪日外客数推計値によると、1月の訪日外客数は378万1,200人で、前年同月比40.6%増を記録しました。
特に国別の訪日外客数では、中国が前年同月比135.6%増の98万300人を記録し、前月首位の韓国と入れ替わり1位となりました。
中国の訪日外客数が昨年と比較して大幅に伸びた背景には、昨年2月だった春節が1月にずれ込んだことや、地方路線を含む航空便の増便などの影響、さらには一部で旅行先を競合国から日本に変更する動きが見られたことなどが挙げられています。
関連記事:【速報】1月の訪日外客数378.1万人 単月過去最高を大幅に更新
人気急上昇スポット1位は「長崎」
中国最大のライフサービス検索プラットフォーム「大衆点評」によると、春節期間中に中国人から人気を集めたエリアTOP5は、東京、大阪、京都、北海道、名古屋となりました。
一方で、春節期間中に増加率が突出していた「ポテンシャルエリア」には、以下の地方都市がランクインしました。
- 長崎(佐世保)
- 北海道(網走/旭川/美瑛/釧路/千歳/函館)
- 岩手
- 山形
- 青森
特に長崎の佐世保は、同市にあるテーマパーク「ハウステンボス」にて春節に関連するイベントが行われており、多くの中国人観光客が訪れました。
関連記事:長崎県で外国人に人気の観光スポット!2位は「ハウステンボス」、1位は?
春節期間の主要旅行トレンド
続いて、春節期間の主要旅行トレンドをお伝えします。
2025年の春節旅行では、旅行の時期、目的地、過ごし方がより多様化していることが明らかになりました。
中国の価格比較に特化した旅行予約プラットフォーム「去哪⼉(Qunar:チューナー)」の分析によると、旅行スタイルの多様化の背景には、2000年代生まれの若者が社会人になり、旅行の主導権を握るようになったことがあるとしています。
従来の春節旅行のスタイルとは異なり、若い世代の価値観に合った旅行が好まれる傾向が強まっていると言えるでしょう。
関連記事:中国の最新旅行トレンドを解説!訪日旅行における今後の課題や対策とは?【2024年「国慶節」から読み解く・後編】
旅行スタイルの多様化で移動パターンが変化
「去哪⼉」の分析によると、まず大きく目立った変化の1つが、移動パターンです。
企業が早めに休暇をとれるようにしたり、2日間有給を追加して11連休を取得する人が増えたりしたことで、春節旅行のピークが春節に入る前の1月25日に前倒しになりました。
また、旧正月の2日目~5日目の旅行者数が、前年同期比で増加しており、旅行の時期が分散され、「出発の谷間」がなくなったことがうかがえます。
移動パターンと合わせて変化したのが、航空券の購入時期です。春節が始まる2日前の1月26日から航空券の価格が低下、春節前夜の大晦日に最安値となったことで、7割以上の旅行者が出発3日前以内に航空券を購入していたといいます。
地方都市への旅行が人気に
春節は、日本のお盆のように実家に帰省する傾向が強くありますが、帰省しても実家には泊まらず、地方都市の高級ホテルに滞在するスタイルが人気を集めていると、「去哪⼉」の分析では述べられています。
実際に、春節期間の地方都市ホテル予約数は前年比40%増。また、地方都市のホテルを予約した人の40%以上を、25~35歳の旅行者が占めました。
加えて、都会で働く若者が、春節期間中に都市を離れて地方の村や町で春節らしい雰囲気や地方の暮らしを体験する「反向旅行」もトレンドに。
「反向旅行」は訪日旅行の傾向にも表れており、今後中国人観光客の集客におけるキーワードになるかもしれません。
関連記事:中国人の間で流行中の「逆向旅行(反向旅游)」とは?混雑避ける”穴場”が人気【訪日ラボ中国人スタッフが解説 vol.1】
ピーク回避旅行にも注目
一方、中国最大のオンライン旅行予約プラットフォーム「Ctrip(携程旅⾏)」の分析では、「ピーク回避旅行」も注目されています。
春節後は、航空券やホテルの価格が30~50%低下。さらに、南京や天津、洛陽、厦門、福州などの都市では、ホテル料金が春節期間より40%ほど安くなっています。
意図的に春節期間や移動のピークを避けて旅行をするピーク回避旅行は、費用を節約しながら旅行を楽しめるとして注目されています。
「氷と雪」「寒さを避ける」「無形文化遺産」もトレンドに
さらに「Ctrip」の分析では、「氷と雪」「寒さを避ける」「無形文化遺産」が、春節旅行のトレンドとなったと分析されています。
春節期間は冬ということもあり、氷や雪を見ることができるツアーが人気を集める一方で、逆に寒さを避けることを考えて旅行先を決める人も多くいました。
特に、暖かく快適な海辺の気候と美しい景色、おいしい食べ物などがある、福建省厦門、広東省汕頭、雲南省昆明などが人気に。
また、2024年12月に春節が無形文化遺産に登録されたこともあり、無形文化遺産に関連する春節ならではの体験ができる観光地にも注目が集まりました。
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<参照>
中华人民共和国交通运输部:
中華人民共和国文化観光部:2025年春节假期文化和旅游市场情况中国旅游研究院:戴斌 | 旅游中国 一路生花——2025年春节假日旅游市场特别评论
去哪儿网文旅:年轻人花式“整顿”春节:去哪儿旅行发布 “2025 春节旅游数据报告”
携程黑板报:China Travel 升级 Chinese New Year 携程:首个“非遗春节”跨境游订单增长三成
THE STATE COUNCIL THE PEOPLE’S REPUBLIC OF CHINA:UNESCO inscribes Spring Festival on intangible cultural heritage list
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