【連載:マーケティング用語・施策の基礎解説】 |
SMO(Social Media Optimization:ソーシャルメディア最適化)とは、SNS(ソーシャルメディア)を活用し、企業やブランドの認知度向上・集客・エンゲージメントを高めるマーケティング手法です。
近年、SNSを利用して情報を収集するユーザーも増えており、SMOを活用することで、SNS上でのブランド認知度を高め、集客や購買促進、リピーター獲得につなげることが可能になります。
しかし、聞いたことはあっても「まだSMOを行う理由がよくわからない」「効果的なSMOの方法がわからない」と悩む事業者も多いでしょう。
そこでこの記事では、SMOの概要や重要性、効果的な対策方法について解説します。
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SMOとは
SMOとは、デジタルマーケティングの施策のひとつです。まずは、SMOの意味や要素をわかりやすく説明します。
SMOの意味
SMOとは、「Social Media Optimization:ソーシャルメディア最適化」の略称です。ソーシャルメディアから自社コンテンツへのアクセスを増やし、集客や購買を促進させる施策のことです。
Webサイトの検索エンジン最適化(SEO)と似た概念ですが、SMOはSNS上での情報拡散やシェアを促進し、自然な形で顧客との接点を増やすことを目的としています。
SEOが検索エンジン経由の潜在顧客へのアプローチであるのに対し、SMOはSNS上のユーザーとの関係構築や情報拡散に焦点を当てますが、これらは対立するものではなく、連携させることで大きな相乗効果が期待できます。
例えば、質の高いコンテンツがSNSで多くシェアされる(SMO)と、そのコンテンツへの被リンクが増えたり、ブランド名やサイト名が言及(サイテーション)されたりする機会が増え、間接的に検索エンジンからの評価(SEO)にも好影響を与える可能性があります。また、SEOによってWebサイトに集まったユーザーをSNSアカウントへ誘導し、継続的なコミュニケーションを通じてファン化を促進することも有効な連携策です。
主な施策内容としては、ユーザーが情報を発信・共有しやすくなるように、また、その情報から自社サイトへトラフィックが流れるようにソーシャルメディアを最適化することです。
SMOの要素
SMOを提唱したOgilvy Public Relations社のRohit Bhargavaは自身のブログの中で、SMOにおいて重要な要素を大きく5つ挙げています。
- 「Increase your linkability」(オリジナリティや有用性のあるコンテンツの発信でリンクの貼られる可能性を増やすこと)
- 「Make tagging and bookmarking easy」(タグやブックマークに手軽に追加してもらえる仕組みを作ること)
- 「Reward inbound links」(パーマリンクやトラックバック表示でリンクの価値を高めること)
- 「Help your content travel」(コンテンツをWeb以外の領域に持ち出せるようにすること)
- 「Encourage the mashup」(ほかの様々なサービスとの組み合わせを推進すること)
SMOの重要性
商品やサービスを購入しようとした際に、顧客はSNS上で不特定多数のユーザーが投稿している情報を取捨選択し、購買を決定するようになっています。
SMOはこのような消費者行動に着目し、ソーシャルメディアを最適化させる施策です。
SEOで上位表示することだけにこだわるのではなく、自社の商品やサービスがSNS上でどのようにシェア・評価されているのか考えることが重要です。
この過程で、ユーザーにどのような商品として認識されているか、商品にどんな機能を求めているのかを捉えることができます。
その結果、SNSを通してユーザーが求める商品を提供できることにつながります。
SMOの主な施策
ここでは、SMOの主な施策例を紹介します。
1. SNSプロフィールや投稿を最適化
アイコンや説明文など、ブランドの世界観に合ったプロフィールを設定します。また、どんなサイトを運営しているのか、プロフィールを訪れたユーザーが一目でわかるようにプロフィール文を設定しましょう。
また、プロフィールに公式ページへのリンクを設置し、より深い情報に飛べるようにしましょう。
さらに、投稿のハッシュタグやキーワードを最適化し、検索されやすくするのも効果的です。
2. シェアしやすいコンテンツを作成
視覚的に魅力的な画像・動画を活用し、ユーザーが拡散しやすい投稿を作成しましょう。
役立つ情報やトレンドを反映した投稿を増やすのが効果的です。
3. インフルエンサー・UGC(ユーザー生成コンテンツ)の活用
ターゲットに影響力のあるインフルエンサーとコラボし、商品の魅力を発信してもらうのもよいでしょう。
SNSでの拡散力を活用することで、ブランドを広く認知させることが可能です。
インフルエンサーとのコラボが難しい場合は、ユーザーの口コミやレビュー投稿(UGC)を活用し、信頼性を向上させましょう。
関連記事:UGCとは?マーケティングでの重要性やメリット、活用事例を紹介
4. SNS広告を活用
Facebook・Instagram・X(Twitter)・TikTok広告を活用することで、ターゲット層に確実にリーチする方法もあります。
届けたいターゲットに最適な情報を届けることで、SNS経由でWebサイトやECサイトへの流入を増やし、売上やコンバージョンにつなげることができるでしょう。
関連記事:
- X(Twitter)広告の出し方や費用は?初心者にもわかるように徹底解説
- Instagram広告の費用は?課金方法やインバウンド集客につなげるポイント
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Facebook広告の費用の目安は?2種類の料金形態とメリット・デメリットを解説
5. キャンペーン・コンテストを活用
「フォロー&シェアでプレゼント」などのキャンペーンを実施し、拡散を促進しましょう。
フォトコンテストを開催し、ユーザー投稿(UGC)を増やす施策も有効です。
ユーザーが参加したくなるコンテンツを提供したり、参加によるメリットを与えたりしてコミュニケーションを増やすことで、ファンの育成やエンゲージメント向上につながります。
効果的なSMO施策のポイント
ソーシャルメディアを活用するSMO施策ですが、効率的に成果を出す上で重視すべき対策方法があります。
SMO施策はサイトへのアクセスを増やすだけでなく、ユーザーを「ファン」にする施策です。
成功すると一人のユーザーから何百、何千、何万人ものユーザーへ拡散が期待でき、さらなる新規ユーザー獲得が見込めます。
この結果につなげる対策を、具体的に説明していきます。
1. 公式サイトとソーシャルメディアを連携する
SMOはFacebookやX(Twitter)などのSNSから自社の公式サイトへ流入するよう最適化することが最初のステップです。
前提として、自社の公式サイトからの情報発信と、ソーシャルメディアでの情報公開は役割が異なります。
公式サイトは自社商品や企業のPRに使われますが、ソーシャルメディアは公共性があり役に立つ情報を流し、自社アカウントの認知を広げ、ファンになってもらうツールとして使われます。
この役割の違いを補い、相乗効果を図るのがSMO施策です。
具体例を挙げていきます。
- 公式サイトやブログにソーシャルボタンを設置する。これにより訪問者はそのページを紹介しやすくなる
- 公式サイトやブログの記事に関するコメントをFacebookなどに書いてもらうため、SNSリンクを自社メディアに設置する
- ソーシャルメディアで発信している情報を公式サイトやブログに表示する
- 公式サイトやブログの更新情報を自動的にソーシャルメディアに表示する
この対策を実行することによってソーシャルメディアと自社メディアを連動でき、ユーザーの動きがつかみやすくなります。
2. コミュニケーションを促進する
ソーシャルメディアは、双方のメッセージや情報の開示などのやり取りを通すことで信頼性が高まるという特徴を持っています。
そのため、積極的に情報発信してコミュニケーションの機会を増やすことで、情報拡散やさらなる交流に繋がる可能性が高まります。
それに伴い、自社コンテンツを必要としているのはどんな人かを明確にすると良いでしょう。正確にターゲティングすることで、効率よく成果を出すことができます。
3. 有用なコンテンツを発信する
ユーザーにとって良いコンテンツとされる条件は、下記の3つとされています。
- ユーザーがおもしろいと感じるもの
- ユーザーの役に立つもの
- 情報が網羅的に紹介されているもの
上記の条件を意識したコンテンツを投稿することで、自社の認知につながるでしょう。
4. 効果の測定をする
ユーザーの満足度を測る指標として、「グッドボタン(いいねやブックマーク)を押された数」が挙げられます。
また、SNSからのトラフィック数の変化やアクセス数、拡散傾向といったデータの変遷も定期的に検証することは改善策を考えるために重要です。SMOの効果を正確に把握し、改善につなげるためには、事前に適切なKPI(重要業績評価指標)を設定することが不可欠です。
SMOにおける主要なKPI例:
- リーチ数・インプレッション数:投稿がどれだけの人に見られたかの指標。認知度拡大の目安。
- エンゲージメント数・率:いいね、コメント、シェア、保存などのアクション数やその割合。顧客との関係性の深さを示す。
- プロフィールアクセス数・フォロワー増加数:アカウント自体への関心の高まり。
- ウェブサイトクリック数(CTR):投稿から自社サイトへどれだけ誘導できたか。
- コンバージョン数・率:SNS経由での問い合わせ、資料請求、購入などの最終成果。
- 言及数(メンション数)・ハッシュタグ利用数:ブランドに関する話題の広がり。
これらのKPIを測定・分析するためには、各SNSプラットフォームが提供している公式のインサイト(アナリティクス)機能を活用するのが基本です。
さらに詳細な分析や複数プラットフォームの一元管理を行いたい場合は、外部のSNS分析ツールの導入も有効です。定期的に効果測定を行い、データに基づいて施策を改善していくPDCAサイクルを回しましょう。
各ソーシャルメディアの特徴と選び方
ソーシャルメディアにも多くの種類があり、特徴はさまざまです。
そこで、ソーシャルメディアを「コミュニケーションを目的としたメディア」「配信を目的としたメディア」の2つに分け、選び方を解説します。
コミュニケーション系
Facebook、LINE、X(Twitter)などがコミュニケーション系ソーシャルメディアです。
Webを通して顧客と直接コミュニケーションを取れるので、身近な印象を与えることができます。
同じコミュニケーション系でも、それぞれに特徴があります。
- Facebook:ユーザーはビジネスパーソンが多く、BtoBに情報を発信したい企業向け
- X(Twitter):幅広い年代が利用。拡散されやすく、認知拡大やユーザーに親近感を持ってもらいたい企業向け
- LINE:既存顧客のリピーター化やカスタマーサービスで競合と差をつけたい事業者向け
コンテンツ配信系
YouTubeやニコニコ動画、TikTokなどが、コンテンツ配信系ソーシャルメディアで、大多数に情報を一括で提供できるメリットがあります。
コンテンツ配信は、手軽に行えることや現場の声を反映できるため、利益につなげるだけではなく、企業の信頼性の向上にもつながります。
- YouTube:費用を抑え、大きな効果を得やすいツール。動画内で多くの情報を盛り込めるため、ユーザーに次の行動を促すことができる。テレビCMより細かいターゲティングができて安価。中小企業向け
- ニコニコ動画:YouTubeとは異なり、「コメントが動画上に流れる」独自のシステムを持つことが特徴。視聴者がリアルタイムで感想を共有しながら動画を楽しめるインタラクティブな環境が魅力。アニメ・ゲーム・VOCALOIDなどのジャンルに特に強みを持つ
- TikTok:15秒~の短尺動画を中心に、エンタメ・ダンス・ライフスタイル・教育・ビジネスなど幅広いコンテンツが投稿され、世界中で人気。拡散力が高く、バズりやすいため、新たなトレンドも生まれやすい
SMOによって期待できる効果と成功事例
SMOに戦略的に取り組むことで、企業やブランドは様々な効果を期待できます。ここでは、一般的に期待される効果と、具体的な(架空または匿名の)成功事例をいくつかご紹介します。
期待できる主な効果
SMOに戦略的に取り組むことで、まず期待できるのは、ブランド認知度の向上とリーチの拡大です。SNSでの情報拡散により、これまで接点のなかった潜在顧客を含む、より多くの人々にブランドや商品を知ってもらう機会が増えます。
それに伴い、興味を持ったユーザーがプロフィールや投稿内のリンクをクリックすることで、Webサイトへのトラフィック増加にもつながるでしょう。
さらに、SNSプラットフォーム上では、いいね、コメント、シェアといったエンゲージメントの向上が期待でき、これにより顧客との継続的な関係性を築き、ロイヤルティの高いファンを育成することが可能です。
活発なコミュニケーションを通じて顧客との信頼関係を構築できる点も大きなメリットであり、顧客の声を直接聞き、疑問に答えることで、ブランドへの親近感や信頼感を高めます。
また、満足した顧客による好意的な口コミやレビューといったUGC(ユーザー生成コンテンツ)の増加も促進され、これがさらなる信頼性の向上と情報の自然な拡散を生み出す効果も期待できます。
これらの活動は最終的に、問い合わせや資料請求といったリードの獲得、そして購買などのコンバージョン率向上というビジネス成果にも貢献します。加えて、SNS上で交わされる顧客の生の声は、貴重な顧客インサイトの宝庫であり、これを分析することで商品開発やサービス改善に役立てることもできるでしょう。
SMOの成功事例
事例1:地域密着型カフェの場合
(課題)新規顧客の獲得とリピート率向上に悩んでいた。
(実施したSMO施策)Instagramで見栄えのするメニュー写真や店内の雰囲気を積極的に投稿。来店客向けのハッシュタグキャンペーンを実施しUGCを促進。DMでの予約受付や質問に丁寧に対応。
(結果)Instagram経由の来店客が前月比XX%増加。キャンペーン参加者による口コミ投稿が増え、地域での認知度が向上。リピーターも増加傾向に。
事例2:BtoB向けソフトウェア企業の場合
(課題)専門性の高い自社サービスの認知度向上が課題だった。
(実施したSMO施策)X(Twitter)で関連業界の最新ニュースや役立つ情報を定期的に発信。開発者ブログの記事をLinkedInで共有し、専門家としての意見を発信。オンラインセミナーをSNSで告知し、参加者とのQ&Aセッションを実施。
(結果)業界内での認知度が向上し、Webサイトへの専門的な問い合わせが増加。SNS経由でのホワイトペーパーダウンロード数がXX%向上。
ソーシャルメディアに合わせたSMO施策を
SMOは、デジタルマーケティングの施策のひとつです。
消費者は商品やサービスを購入する際、SNS上の情報を取捨選択して購入するか否かを判断するようになっているため、このような消費者行動に着目し、SNSを活用する動きが活発となっています。
SMOはFacebookやX(Twitter)などのSNSと公式サイトを連携させ、相互に評価を高めることができます。
そのためには、公式サイトにSNSのシェアボタンを設置したり、SNSから公式サイトへ流入するよう工夫が必要です。また、自社と相性の良いSNSを選択することも重要です。
SMOを行い、自社のファンを増やし顧客との良好なコミュニケーションを行いながら好意的な評価を受けることで、売上にも貢献できるでしょう。
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