【連載:マーケティング用語・施策の基礎解説】 |
口コミマーケティング用語「バズマーケティング」「バイラルマーケティング」は、口コミを活用したプロモーション手法を指します。
SNSで口コミをシェアしてもらったり、インフルエンサーのブログやSNSで発信や拡散をしてもらったりするのが代表的な施策例です。
これらの広告手法は似て非なるものであり、それぞれ異なる特徴を持っています。
また、ステルスマーケティングや悪評の拡散などのリスクを孕んでいる点も心に留めておくべきです。
この記事ではバイラルマーケティングとバズマーケティングの違い、口コミを活用するマーケティングの効果、リスクを解説します。
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バズマーケティングとは
バズマーケティングとは、企業やブランドが商品やサービスに対する注目度を短期間で飛躍的に高めるために、意図的に口コミを誘発し、集中的に話題を広げるマーケティング手法です。
「バズ(Buzz)」とは、元々、蜂などがブンブン飛び回る音や、人々がガヤガヤと噂話をする様子を表す言葉ですが、近年では特にSNSを中心に、特定の情報やコンテンツが爆発的に拡散され、多くの人々の注目を集める状態を指します。
バズマーケティングの主な特徴と目的
バズマーケティングは、主に特定の特徴を持ち、明確な目的のもとで活用されます。
まず、新商品・サービスのローンチ時やキャンペーン開始時などにおいて、短期間で爆発的な認知度向上を図り、迅速に広範囲へ情報を届けて話題の中心となることを目指します。次に重要なのは、消費者の興味関心を強く惹きつけ、自発的な情報のシェアや口コミの連鎖、いわゆる「バズ」を生み出すことを重視する点です。
さらに、起用するインフルエンサーや活用するプラットフォームを戦略的に選ぶことにより、特定のターゲット層へピンポイントに情報を届け、共感を呼ぶことも可能になります。
これらの特徴を通じて、ブランドや商品の話題性を最大限に高めることがバズマーケティングの主要な狙いです。
代表的なバズマーケティングの手法
バズマーケティングを実現するための手法は多岐にわたります。
代表的なものとしては、まず商品やブランドと親和性の高いインフルエンサーにSNSアカウントなどで商品やサービスを紹介してもらい、そのフォロワーを中心に情報を拡散・話題化させるインフルエンサーマーケティングが挙げられます。
また、X(旧Twitter)やInstagramなどでユーザーが参加しやすいユニークなハッシュタグキャンペーンやプレゼント企画を実施し、ユーザー自身に情報を広めてもらうSNSキャンペーンも効果的です。
このほか、面白い、感動する、あるいは衝撃的な動画や画像コンテンツを制作・配信してSNSなどでの自然なシェアを狙うバイラル動画・コンテンツ制作や、独創的で話題性の高いイベントや体験の機会を提供し、参加者によるSNS投稿やメディア露出を通じて口コミを広げるPRイベント・体験型プロモーションも用いられます。
さらに、新商品やサービスの発表前に期待感を高める情報を小出しにするティーザー広告や、印象的な発表方法を用いるローンチ演出によって、公開時の話題性を最大化する手法も存在します。
これらの手法を組み合わせることで、より効果的なバズを創出することを目指します。
バズマーケティングとバイラルマーケティングとの違い
バズマーケティングとバイラルマーケティングは、どちらも口コミを活用したプロモーションです。
混同されやすいため、違いを押さえておくと良いでしょう。
バイラルマーケティングとは?
バイラルマーケティングとは自然発生する口コミを活用した手法です。
和訳すると「ウイルス性のマーケティング」となり、人から人へと口コミが広がっていく様子を表しています。
Webページに設置されている「Twitterでシェアする」や「LINEで教える」などのボタンはバイラルマーケティングを促進するためのものです。
顧客が個人的につながっている知人等に向けて、所感を交えながら商品やサービスの情報を伝えるため、不特定多数をターゲットにした広告よりも、企業が求める層に届きやすい点が特徴です。
両者の違い
口コミが自然発生しているか、人為的に発生しているかで違いがあります。
バイラルマーケティングでは顧客の「使ってみて気に入ったから、商品やサービスのことを知ってほしい」という心理から、好意的な口コミが自然に発生する施策を展開します。
一方のバズマーケティングでは話題の総数を増やすことを目的に、人為的に注目を集める仕掛けをつくる傾向があります。
バズマーケティングのメリット
バズマーケティングを効果的に実施することで、多くのメリットが期待できます。その一つは、成功した場合に短期間で非常に多くの人々にリーチできる圧倒的な情報拡散力です。
また、従来のマス広告と比較して、企画次第では低予算で大きな効果、すなわち高い費用対効果を上げることも不可能ではありません。加えて、感情を揺さぶるような「バズ」は消費者の印象に強く残り、ブランドイメージ形成にも寄与することがあります。
さらに、消費者が自発的に情報をシェアする形になるため、企業発信の広告よりも広告感が薄れ、信頼性の高い情報として受け入れられやすくなる傾向もメリットと言えるでしょう。
これらの利点を活かすことで、ブランドの成長を加速させることができます。
バズマーケティングのデメリットと注意点
高い効果が期待できる一方で、バズマーケティングにはいくつかのデメリットや注意点も存在します。
まず、意図しない形で情報が解釈されたり批判が集中したりする「炎上」のリスクが常に伴い、ネガティブな情報も同様に急速に広がる可能性があるため、慎重な企画と表現が求められます。
また、一度拡散が始まると、情報の流れや内容を完全にコントロールすることは非常に困難です。
特に注意すべき点として、広告であることを隠して口コミを装うステルスマーケティング(ステマ)と混同されるリスクがあり、これは景品表示法違反や消費者の信頼を著しく損なう行為につながるため、広告であることの明示など透明性の確保が不可欠です。
このほか、話題の量は測定できても、それが直接的な売上やブランドロイヤルティ向上にどの程度貢献したかを正確に把握することが難しいという効果測定の課題もあります。
最後に、瞬間的な注目を集められても、それが持続的なブランド価値の向上や顧客との長期的な関係構築に繋がらず、一時的なお祭りで終わってしまう可能性も考慮しなければなりません。
バズマーケティングは、その高い拡散力から非常に魅力的な手法ですが、上記のようなメリット・デメリットを十分に理解し、ブランドイメージや目的に合致するかどうかを慎重に検討した上で、緻密な戦略と準備をもって臨むことが成功の鍵となります。
口コミがマーケティング手法として注目される理由
口コミがマーケティングで注目されるようになった背景には、第三者からの評価がもたらす効果や、口コミサイトの影響力が関係しています。
口コミが与える効果
口コミで伝わる評判は、企業から起用された芸能人やインフルエンサーが発信する広告や宣伝よりも信憑性が高い傾向にあります。
第三者である情報発信者と、商品やサービスを提供する企業の利害関係が一致しないためです。
口コミの連鎖が発生すれば、顧客が顧客を呼び、新規顧客を獲得するためのサイクルが完成します。
口コミサイトの増加と、その影響力の拡大
消費者が商品やサービス選択時に口コミを重視する傾向が強まり、これに応え多種多様な口コミサイトやレビュー機能を持つプラットフォームが急速に増加・浸透しています。
スマートフォンとSNSの普及がこの動きを後押しし、消費者が購入前にオンラインで他者の評価を参考にするのは今や一般的です。この情報検索の傾向は近年ますます強まっています。
特定ジャンル専門の口コミサイトに加え、大手ECサイトの購入者レビューやSNS上の個人の感想も、重要な口コミ情報源として広く活用されるようになりました。
これにより消費者は、広告だけでは判断しきれない実際の使用感や満足度といったリアルな情報を比較検討し、より納得のいく選択が可能になっています。その結果、質の高い商品やサービスを提供する中小企業や個人経営の店舗であっても、好意的な口コミを通じて正当な評価を受け、多くの潜在顧客に注目される機会が増えました。
このように、口コミサイトやレビューは、消費者にとって有益な情報源であると同時に、企業にとっては自社の評価がダイレクトに可視化され、顧客との関係構築がより一層求められる、無視できないマーケティングチャネルへと進化しているのです。
まとめ
バイラルマーケティングとバズマーケティングはともに口コミを活用したプロモーションですが、考え方が異なります。
前者は消費者がシェアしたくなる仕組みをつくり、口コミの自然発生を促す手法であるのに対して、後者はインフルエンサーの起用などで注目を集めて、意図的に話題化させることを狙う手法です。どちらが適しているかは商品やサービスによって異なるでしょう。
また、ステマや悪評につながるリスクもあるため、宣伝の方法には十分に注意する必要があります。
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