インバウンド需要が好調な一方、人手不足やオーバーツーリズムなどの問題が顕在化する観光業界。特に交通面においては、運転手の不足や交通空白、さらにそれらを解決するためのモビリティの導入に対する安全性の懸念など、深刻な問題が山積みとなっている状況です。
一方で、そうした問題の解決へ向け、業界の先頭に立ってテクノロジー開発を続けるサービスがあります。今回はマイクロモビリティ「Lime」を展開するLime株式会社より、日本社長 兼 アジアパシフィック地域統括責任者 テリー・サイ氏にインタビュー。Limeの日本での事業展開やインバウンド需要の動向、そして交通課題やモビリティの安全性問題などの解決に向けたLimeの取り組みについて伺いました。

※本記事は、訪日ラボ主催カンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」PlatinumスポンサーのLime株式会社に、事業概要や観光・インバウンド業界への想いについて伺うスペシャルインタビューです。
※「THE INBOUND DAY 2025」は終了しました。
「たった125台」でのスタートから数年で急成長。Limeのグローバル展開を支えた3つの施策とは
── まずは改めて、Limeの事業概要について伺えますでしょうか。
弊社Limeは、世界最大級の電動マイクロモビリティのシェアリングサービスを提供する会社です。「電動マイクロモビリティが公共交通手段として定着し、カーボンフリーでサステナブルな未来をつくることを目指す」をコンセプトとし、世界で事業を展開しています。

現在、世界5大陸・30カ国以上でサービスを展開しており、アプリのダウンロード数は6,500万件を突破しました。
── 米国で2017年に創業されてから、今までどのように事業を展開されてきたのでしょうか。
2017年3月の創業当時は、「LimeBike」と名付けた自転車を、たった125台だけ用意して事業を開始しました。そのときは電動ですらない普通の自転車だったのですが、翌年2018年に電動アシスト自転車や、スクーターの提供を開始しています。
次の転機は、CEOとしてウェイン・ティンがジョインした2020年でした。ウェインは、「これからは3つのことに力を入れる」と宣言したのです。1つ目はオペレーション(ユーザーが必要とするときに車両が存在していること)、2つ目がGR(Government Relations: 政府自治体との関係構築)、そして3つ目がハードウェアでした。このときから、自社で製品を作ることに力を入れ始めました。
ウェインがジョインするまでは赤字で、いかに会社を逆転させるかが課題でした。今はキャッシュフローが潤沢になり、次なる投資を積極的にできるフェーズに入ってきています。
キャッシュフローが改善した背景の一つとして、スクーターを自社で開発したことにより、1台あたり5年間使えるようになったのが大きいと思います。以前他社から買っていた車両は30日間しか使えず、その度に交換しなければならないので大変でした。
耐用年数が増えたことは、SDGs的な観点からも良かったのかなと思います。日本のお客様は使い方が丁寧なので、5年と言わず8年くらい持つかもしれませんね。ほかの会社さんだと2年間で差し替えることが多いと聞いているので、これは弊社ならではの強みでもあると考えています。
マイクロモビリティの市場規模は2030年で「52兆円」に
── Limeのようなマイクロモビリティの市場は、今後の可能性を感じる市場だと思います。今後もマイクロモビリティ市場は世界で拡大していくのでしょうか。
世界のマイクロモビリティ市場は、2022年時点ですでに1,750億ドル(約25兆円)でしたが、2030年に3,600億ドル(約52兆円)に至るのではないかと言われています。移動手段におけるシェアも、16%から19%へ拡大する見込みです。
また、2024年には世界で2億回以上の乗車があったと推計されており、これは1秒あたり6回乗車されている計算になります。グローバルでニーズの高い市場であることは、おわかりいただけるのではないかと思います。

── 日本でもマイクロモビリティは複数のサービスがあるかと思いますが、それらと比較してLimeにはどのような強みや特徴があるのでしょうか。
この続きから読める内容
- 訪日インバウンド需要と日本市場の可能性は
- 顕在化する「危険運転」問題…ユーザーのモラルに頼らず「テクノロジーで」解決
- 宿泊業・駐車場事業者など日本国内事業者との連携強化で「サステナブル」な世界の実現へ
- 【訪日ラボ主催「THE INBOUND DAY」にLime株式会社が登壇!】
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