【観光庁長官会見】中国の影響注視しつつインバウンド多様化推進/IR計画の追加申請を検討

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観光庁の村田茂樹長官は12月17日、定例会見を実施。同日に発表された日本政府観光局JNTO)訪日外客統計などについて報告しました。

さらに長官は、中国の訪日自粛要請の影響や観光庁補正予算の内容についても所感を述べました。

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▲観光庁の村田茂樹長官 定例会見:訪日ラボ撮影
▲観光庁の村田茂樹長官 定例会見:訪日ラボ撮影

中国の影響注視しつつ、インバウンドの多様化推進

11月の訪日外国人数は351万8,000人(前年同月比10.4%増)でした。11月までの累計は約3,907万人となり、過去最高だった2024年(約3,687万人)を上回りました。

アジアからの訪日数は前年同月比6%増にとどまる一方、欧米豪中東からは同27%増と大きく伸長しました。長官は、この欧米豪中東市場の伸びが、訪日客数が過去最高となった要因の一つではないかという見方を示しました。

また、訪日中国人数の成長幅(同3.0%増)が前月から鈍化したことについて、長官は、11月に中国政府が行った訪日自粛要請に触れ、一部でキャンセルの動きが出ていることや、日本と中国を結ぶ国際旅客定期便に減便が出ている状況を承知した上で、今後どの程度の影響が及ぶかについては状況を注視していきたいと述べました。

そして、観光庁としては中国だけでなく、多くの国から日本に訪れてもらうことが重要であるとし、インバウンド市場の多様化に向けた戦略的な訪日プロモーションの実施や観光コンテンツの造成などの政策を引き続き強化するとしました。

関連記事:11月の訪日外客数351.8万人 累計で2024年を超え過去最多

補正予算225億円計上 民泊の適正な運営めざす

11月28日に2025年度補正予算が閣議決定され、観光庁関係では225億円が計上されました。

長官は、11月に開催された「外国人の受入れ・秩序ある共生社会実現に関する関係閣僚会議」において、総理大臣から国土交通大臣に対してオーバーツーリズム対策の強化に向けた検討を進めるよう指示があったと述べ、公共交通機関における外国人旅行者対応への支援や観光需要を分散させるための地域観光資源のコンテンツ化の促進などを進めていくとしました。

また会見では、補正予算内の事業である「違法な民泊サービスの解消に向けた調査」にも触れられました。

観光庁は、民泊制度の適切な運営確保が急務であるとして、無届民泊を仲介サイト上から効率的かつ確実に削除できるよう、現在運用している「民泊制度運営システム」を改修する方針です。さらに、データの対象を住宅宿泊事業にとどめず、特区民泊簡易宿所にも拡大することを検討しています。

データ対象の拡大に伴う実務への影響も見据え、実態把握のための調査費用などが補正予算(4,000万円)に盛り込まれています。

長官は、補正予算の迅速な執行に努めるとともに、2026年度の当初予算の活用もあわせ、観光客の受け入れと住民生活の質の確保の両立を図るとしました。

関連記事:観光庁、補正予算で225億円計上 オーバーツーリズム対策・地方誘客による需要分散に注力

温泉がユネスコ提案候補に選定 地方誘客にも期待

11月、「温泉文化」がユネスコ無形文化遺産への提案候補に選定されました。

長官は、今回の選定により、温泉文化の認知度向上に加え、温泉を訪日目的とするインバウンドの増加、全国各地の温泉地を中心とした地方への誘客拡大が期待できるとしました。また、地域で温泉文化の価値が再認識されることで、担い手の確保や保全・継承の取り組みが進むことにも期待したいとしました。

観光庁は今後も温泉の観光活用を支援し、観光事業者への後押しやJNTOによる海外への情報発信を通じて、温泉文化の国際的な認知度向上に取り組む方針です。

関連記事:「温泉文化」の文化遺産登録を目指して 全国で広がる取り組みと今後の展望

観光庁、IR計画の追加申請を検討 現在は夢洲のみ

観光庁は、新たなIR統合型リゾート)区域整備計画の申請を新たに受け付けるため、2027年5月6日から同年11月5日までを申請期間とすることを検討しています。この政令改正案について、12月17日から2026年1月16日までの1か月間、パブリックコメントを実施しています。

IR事業を行う区域を整備するためには、都道府県または政令指定都市が民間事業者と共同で区域整備計画を作成・申請し、国土交通大臣の認定を受ける必要があります。

区域整備計画の認定上限3件に対して、現在認定されているのは大阪・夢洲地区のみです。観光庁は、「IRの整備は自治体の発意を前提とする」とした上で、自治体の検討状況を把握するため、調査やヒアリングを通じて、申請意向や準備状況を確認してきました。

今回の申請期間の設定は、一部自治体からの申請意向や時期の提示を踏まえつつ、すべての自治体が公平に準備できる期間を考慮した結果としています。政府は、寄せられた意見を踏まえたうえで、政令の制定手続きを進める方針です。

長官は、IRの整備推進は滞在型観光の促進に寄与するものであり、観光立国の実現に向けた重要な施策であるという考えを示しました。

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訪日ラボ編集部

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