中東情勢の最新情報を解説 欠航・燃油サーチャージ引き上げなど、インバウンド市場への影響は?

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2月末から続く中東情勢の混乱によって、観光業への影響が懸念されています。

世界旅行ツーリズム協議会WTTC)の3月11日の発表では、イラン紛争の激化によって国際観光客の旅行支出が1日あたり少なくとも6億米ドル減少していると推計していますが、刻一刻と変化する状況を前に、正しく現状を把握することが困難となっています。

本記事では、現時点で判明している情報を元に、訪日インバウンドへの影響や今後の動向について分析します。

関連記事:イラン紛争による観光損失、1日あたり6億米ドルと試算 WTTCが予測

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中東情勢による空港や航空便への影響は?

まずは、空港や航空便の運航状況などについて紹介します。

航空便は一部路線で欠航、運航再開でも不安定な状況が続く

現在、中東と日本を結ぶ直行便が発着しているのは、ドバイ国際空港、アブダビ・ザイード国際空港(UAE)、ドーハ・ハマド国際空港、テルアビブ空港(イスラエル)、イスタンブール空港(トルコ)です。これらのうちイスタンブール空港以外では、紛争による空域制限などの影響が見られています。

また中東と日本を結ぶ直行便について、航空会社別の運航状況は以下の通りです。

  • エミレーツ航空
    • ドバイ〜成田:運航
    • ドバイ〜羽田:運航
    • ドバイ〜関西:欠航が続く
  • エティハド航空(アブダビ〜成田):運航
  • カタール航空
    • ドーハ〜成田 :運航
    • ドーハ〜関西:欠航が続く
  • JAL(ドーハ〜羽田):欠航が続く
  • エルアル・イスラエル航空(テルアビブ〜成田):欠航が続く
  • ANA(イスタンブール〜羽田):運航
  • ターキッシュ エアラインズ(イスタンブール〜成田 / 羽田 / 関西):運航

特に関西国際空港は、イスタンブール線を除くすべての便で欠航が続いています。ドーハ〜関西線については4月1日より増便してデイリー運航が予定されていましたが、運航再開は未定です。またアブダビ〜関西線は2025年11月22日から2026年3月15日まで期間運休していましたが、こちらも運航再開は未定となっています。

日系の航空会社ではJALがドーハ〜羽田線、ANAがイスタンブール〜羽田線を運航しており、そのうちJALは4月11日までの欠航を決定しています。

※発表時点の情報をもとに更新しているため、運航状況が変更されている場合があります。最新情報については、各航空会社のWebサイトなどをご確認ください。

ジェット燃料価格が高騰

イラン紛争に伴うホルムズ海峡の実質的な封鎖によって、原油価格が高騰し、不安定な状況が続いています。ジェット燃料も例外ではなく、米Bloombergは3月13日、国際航空運送協会(IATA)が「航空券の価格は最大9%上昇する可能性がある」という指摘を紹介しています。参照

また同社の報道によると、例えばキャセイパシフィック航空(香港)は3月18日より燃油サーチャージを2倍に引き上げたほか、世界各地の航空会社で航空運賃の値上げが検討・実施されています。

JALANAの旅客便については、3月末時点で4〜5月発券分について燃油サーチャージを据え置いています。両社は原則として、改定の2か月前に国土交通省に対して2か月分のサーチャージを申請して決定する方式のため、ジェット燃料価格の高騰が反映されるのは6〜7月分以降と考えられます。

中東・欧州はインバウンド市場全体の約8%

次に、中東*や欧州のインバウンド動向を見ていきましょう。現在はロシア上空を迂回する必要があることから、中東は欧州から訪日する際の中継地の一つとなっています。

2025年の訪日客数は過去最高の4,268万人を記録しました。そのうち中東地域からの訪日客数は25.7万人(前年比54.7%増)、欧州からの訪日客数は316.8万人(同32.6%増)で、それぞれ過去最高となっています。近年、中東と欧州は高い伸び率を記録しており、インバウンド市場の多様化という観点からも、今後もさらなる訪日客数の拡大が期待される市場です。

一方で、全体の訪日客数を見てみると、半数以上を占めているのは近隣のアジア市場(韓国中国台湾)です。中東は0.6%、欧州は7.4%と市場規模が大きいわけではないため、あくまでもインバウンド市場全体における影響は限定的だといえます。

3月18日に実施された観光庁長官会見においても、欧州からの訪日客について、一部の宿泊施設では予約キャンセルが発生しているものの、全体として大きな影響が出ているわけではないという認識が示されました。

*ここでの中東地域とは、JNTOが重点対象国とするサウジアラビア、アラブ首長国連邦、バーレーン、オマーン、カタール、クウェート、イスラエル、トルコの8か国を指します。

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インバウンド市場の多様化&国内旅行の活性化が鍵に

インバウンド市場における中東や欧州の影響が限定的とはいえ、先述の通り、ジェット燃料価格の高騰は世界各地で発生しています。今後、航空運賃の上昇が続いて旅行控えが起きた場合、インバウンド市場全体に影響を及ぼす可能性が考えられます。

特に遠距離の市場が打撃を受けやすくなると想定すると、重要になるのがアジアをはじめとする近隣諸国です。

日本にとって最大の市場であった中国は、中国政府による渡航自粛要請と航空便の減便などによって訪日客数が減少傾向にありますが、韓国台湾は2026年に入ってから好調を維持しており、特に韓国は1月と2月で100万人超えを記録しました。

近隣の市場でも航空運賃上昇の影響は一定数見られる可能性がありますが、遠距離旅行を控えて近距離の海外旅行にシフトする動きがあれば、日本にもチャンスがあるといえます。

また、国内観光の活性化を目指すことも重要です。例えば大阪観光局は、中国からの訪日需要が停滞した際に、他の海外市場でカバーしつつ、国内観光を活性化させる方針を打ち出しています。

中東情勢の沈静化が見通しにくい状況においても、インバウンド市場の多様化を推進し、国内旅行も含めて旅行需要全体をカバーしていく姿勢が重要になりそうです。

またWTTCは、イラン紛争による影響とともに、旅行・観光業界の回復力の強さについても言及しています。過去のデータを踏まえると、政府と観光業界が連携して旅行者の信頼を回復させる措置を講じた場合、最短2か月程度で需要が回復に転じる可能性があるという見解を示しています。

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訪日ラボ編集部

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