こんにちは。株式会社mov 訪日ラボ コンサルティング部のウオンサタンです。
私はタイ出身の在日タイ人で、現在は企業や団体のインバウンド対策をサポートするコンサルタントとして働いています。
今回は、これまでにさまざまな訪日タイ人向けプロモーションを手がけてきた観点から、タイ人の最新訪日旅行やショッピング動向、プロモーション実施時に留意したい点などをお伝えします。
ぜひ訪日タイ人の理解や、今後の施策検討の材料としてお役立てください。
訪日ラボのメールマガジン登録はこちら>(無料)4月に訪日タイ人が多い理由 キーワードは「ソンクラーン」と「家族旅行」
実は、4月は1年のなかで多くのタイ人が日本に訪れる時期となっています。その理由をご存じでしょうか?
タイでは、「ソンクラーン」と呼ばれる旧正月の休暇が4月にあります。政府によって、毎年4月13日から15日が祝日として定められています。
2026年は土日と合わせて5連休になり、タイ人にとって1年のなかでもっとも長いバカンスが楽しめる期間となっています。この時期は、学校も新学期前の長期休暇期間中なため、家族みんなで旅行に行きやすいのが特徴です。
また、4月はタイの夏(暑期)で、最高気温が40℃を超える地域も出るなど、国内で旅行をするには少し過酷な時期となっています。
「長期休暇があるから」といった理由だけでなく、「涼しい場所に行きたい」という需要とモンスーンなどといったフライト時の天候リスクの少なさ、桜のような季節を楽しめるコンテンツの多さといった複合的な要因によって、多くのタイ人が4月に訪日旅行を選択しているのです。
関連記事:【2026年版】タイの祝日・連休カレンダーとインバウンド動向
訪日タイ人の旅行 3つの特徴をひも解く
訪日タイ人の旅行の特徴は、大きく分けて3つあります。1つずつ詳細を見ていきましょう。
海外旅行は親孝行 三世代での訪日率も高め
観光庁の「インバウンド消費動向調査(2024年年次報告書)」によると、訪日タイ人の36.7%が家族・親族と日本に来ています。
タイ人は家族のつながりを大事にしているため、親子・孫の三世代で海外旅行に出かけるケースも多く、他国の訪日客と比べて大所帯になるのが特徴です。
レンタカー・運転手付で地方をまたぐ広範囲移動も
訪日タイ人は、移動の利便性にもこだわりをもっています。特徴的なのはレンタカー利用の多さです。
激しい交通渋滞に慣れているタイ人からすると、日本は左側通行・右ハンドルと運転法規が共通していることもあり、快適に運転ができる国だと感じられます。
国際運転免許証を発行すれば日本国内でも運転ができるため、子どもからお年寄りまでの大人数で訪日し、ファミリーカーを借りたり、運転手を雇ったりしてマイペースに移動する。そんな需要も高くなっています。
なお、訪日タイ人はリピーター率が高く、2024年時点で訪日回数4回目以上の比率が47%(観光・レジャー目的)と、東南アジア最大の数値を記録しています。そんなリピーターの間では、近年車での地方周遊がトレンドです。
公共交通機関を使って目的地に直行するのではなく、ロードサイドの道の駅などにも立ち寄る可能性があるのが、訪日タイ人のポテンシャルの1つだといえます。
都会よりも自然を楽しみたい “映え”も重要ポイント
レンタカー利用やリピーターの多さとも関係しますが、観光庁「宿泊旅行統計調査(2024年)」によると、訪日タイ人は地方部宿泊率が37.7%と台湾、韓国、香港に次ぐ高さであるのも特徴です。
四季や豊かな自然を求めて訪日する人も多く、こうした人々は成田、羽田、関西などの主要空港から入国した後、すぐに地方部へ移動し、最終日に都市部に戻ってくる傾向にあります。温泉やマラソン、ウインタースポーツなどを自然あふれる地方で楽しみ、グルメや買い物は都市部で帰国直前にホテルの近場で楽しむといった具合です。東京周辺であれば箱根、川越、富士山周辺や河口湖、スキーやスノーボードを楽しみたい人は新幹線で少し足を伸ばし、白馬や越後湯沢などに行くのが人気なようです。
タイは雪が降らない熱帯性気候の国ですが、約10年前にバンコクに屋内スキーレッスン施設がオープンするなど、ウインタースポーツが注目を集めています。こうした施設は日本のスキー場とも連携しており、訪日時にタイ語でスキーレッスンを受けることもできます。
また、タイ人はフォトジェニックなスポットや体験に高い関心をもっており、訪日時にSNS映えする写真を撮りたいといった願望も非常に強いです。ウインタースポーツ用品を一式そろえ、ウェアを着てゲレンデで楽しむ様子や、桜などとともに撮影した写真をInstagramなどに投稿するといった行動も、訪日旅行中や帰国後の醍醐味だといえます。
タイ人の最新滞在・買い物スタイルは?
観光庁の「インバウンド消費動向調査(2025年暦年)」によると、訪日タイ人の平均泊数は前年比0.6泊増の8.6泊となっています。1週間強の滞在期間でタイ人はどんな行動をするのか、過ごし方や買い物の最新トレンドをお伝えします。
タイ人は健康意識が高め マラソンのための長期滞在需要も
地方にまで足を運び、訪日時の行動範囲が広いのがタイ人の特徴ですが、近年は健康意識の高まりから、マラソン大会に出場するために訪日するといった需要も増えているようです。
特に人気なのは、東京マラソンや富士山マラソン、大阪マラソン、京都マラソンで、近年はスポーツツーリズムを専門とする現地旅行会社がパッケージツアーを組んだり、大会がタイ人インフルエンサーや著名ランナーをゲストとして招待したりといった取り組みも広がっています。
マラソン大会に出場する訪日タイ人のなかには、実際のコースを走って練習するなど現地の気候に身体を慣らすため、大会の1~2週間ほど前から日本に滞在する人もいます。こうした人々は食事に気を遣い、良質な飲食店で魚や肉を食べたり、訪日時にランニングウェアやシューズを調達したりと、さまざまな消費行動を起こしてくれるため、近隣の飲食・小売店舗などにも波及効果があります。
シューズは「On」に加え、アシックス「GEL-KAYANO」が人気
以前、訪日タイ人のショッピング事情を解説した際に、スイス発のスニーカーブランド「On」が人気を集めていると説明しました。Onも相変わらずタイ人から人気なブランドですが、最近はアシックスの「GEL-KAYANO」シリーズ(通称:カヤノ)も注目されています。どちらも軽くて歩きやすいシューズですが、SNSではOn派とカヤノ派に分かれるほど、どちらも熱狂的な支持を集めている商品です。
いずれもタイで販売されているブランドですが、国内では関税の関係から値段が高く、日本のほうが安価で購入できます。また、店舗で取り扱っているデザインやサイズも豊富なため、最新のラインアップから自分が気に入った商品を選べるのも大きな魅力です。
関連記事:訪日タイ人の最新旅行トレンド&ショッピング事情【訪日ラボコンサルタントが教える「超実践的」インバウンド対策 vol.1】
訪日タイ人向けプロモーション、いつどこから始める?
コミュニティ育成ならPantip SNSならショート動画施策を
ここまでタイ人の訪日旅行スタイルや消費傾向についてお伝えしましたが、最後にこうした実際の行動につながる情報収集を彼らがどこでしているのか紹介します。
もっともメジャーなのは、やはりSNSです。FacebookやYouTubeといった世界共通のプラットフォームは世代を問わず広く浸透しており、旅マエの情報収集手段として活用されています。
なお、近年特に若年層を中心に広がっているのは、ショート動画です。興味関心、比較検討フェーズでTikTok、Lemon8などが活用されています。
これらに加え、タイ独自のプラットフォームとして根づいているのが、「Pantip(パンティップ)」と呼ばれる掲示板サイトです。SimilarWebのトップWebサイトランキングによると、PantipはInstagramやXよりも総訪問者数が多く、タイ国内5位のポジションに位置しています。また、Googleでも「○○ Pantip」といったキーワードで多くのユーザーが情報を探しており、調べものをする際の拠りどころとして支持されていることがわかります。
Pantipは、三世代旅行の主導権を握る30〜40代も多く活用し、タイでは「旅行の図書館」と呼ばれるほど大事なチャネルです。日本の文化に興味がある人や訪日旅行に行く人が集うコミュニティも数多く存在しています。企業も公式アカウントを作成して発信ができるため、上手に使えば訪日前から情報に触れる機会を生み、日本滞在時の来店や施設利用、購買などにつなげることが可能です。
関連記事:
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タイ最大の掲示板サイトPantip(パンティップ)とは?タイ向けの訪日プロモーションを効果的に実施するには
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タイ向けの訪日プロモーション施策のキホン&2025年の情報発信タイミングまで徹底解説!【訪日ラボコンサルタントが教える「超実践的」インバウンド対策 vol.2】
旅マエから見つけてもらうには、旅行フェア開催時期を意識しよう
訪日外国人に向けた対策を進めるには、旅マエ・旅ナカ・旅アトのフェーズとタイミングを意識した情報発信が欠かせません。
下記のインバウンドカレンダーからもわかるように、タイ人の訪日旅行のピークはソンクラーンの時期のほかに、紅葉や雪が楽しめる10月~12月にも存在します。旅マエを意識したアクションは、こうしたピークの半年から遅くとも2~3か月前に行うことをおすすめします。

また、タイでは日本政府観光局(JNTO)バンコク事務所が開催する「FITフェア」(11月ごろ開催)やタイ旅行業協会(TTAA)が主催する「タイ国際旅行博(TITF)」(1月開催)など、旅行フェアの開催時期と情報収集タイミングが連動しています。こうしたフェアのお知らせを目にすると、「そろそろ日本旅行の計画を立てる時期か」と奮起する人が多いのでしょう。訪日タイ人対策を進める際には、このタイミングにPantipやSNSにホットな情報を出すよう意識してみてください。
繰り返しになりますが、タイは高い訪日意欲と日本愛をもつ人が多く、リピーター率も非常に高い可能性ある市場です。2027年には日タイ修好140周年を控えているため、国を挙げて交流を深める動きも今後予想されます。ぜひこれから対策を進め、ポテンシャルの最大化に取り組んでみてはいかがでしょうか。
著者プロフィール:ウオンサタン ジェサダーポン

株式会社mov コンサルティング部 コンサルタント
タイ国チェンマイ県出身。チェンマイ大学卒。 2016年から地方自治体・民間企業への企画案件提案、海外現地イベントや旅行博出展、タイ現地旅行会社・メディアへのセールス業務、海外現地でのセミナー・商談会開催、タイメディアへの広告出稿、外国語SNS運用等、訪日インバウンドマーケティング及び海外プロモーション案件に従事。イベント運営ディレクターからメディアや旅行会社招請のアテンドまで幅広く担当し、訪日インバウンド事業ディレクター実績多数。2022年より株式会社movに参画し、民間企業・地方自治体への提案、東南アジアのメディアやインバウンドコンサルティングなどを行う。
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<参照>
- 観光庁
- 日本政府観光局(JNTO):日本の観光統計データ
- World Bank:Made a digital payment
- Mordor Intelligence:THAILAND MOBILE PAYMENTS MARKET SIZE & SHARE ANALYSIS - GROWTH TRENDS AND FORECAST (2026 - 2031)
- Bank of Thailand:PS_PT_018 Use of PromptPay 1/
- DataReportal:Digital 2026: Thailand
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