アメリカ・ポートランドの観光案内所を視察 地域との共存、DMOのあり方など日本の観光産業が学べる点は?【ココが違う!海外DMOのリアル vol.7】

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連載:ココが違う!海外DMOのリアル

北米を中心とした海外DMOの事情に詳しい公益社団法人日本観光振興協会 大須賀氏より、海外DMOの「リアルな取り組み」をお届けしていく連載。海外DMOとの違いから日本のDMOにおける課題をあぶり出すとともに、今後取るべき方針や具体的な施策について考える。

2026年7月21日から23日にかけて、北米を本拠地とする世界的なDMOの統括団体 Destinations International(DI)が主催する年次総会「2026 Annual Convention(DIAC2026)」が、アメリカのオレゴン州ポートランドで開催された。

筆者は同総会に参加するために渡米したが、開催日前日の7月20日にポートランドのDMO Travel Portlandが運営する観光案内所「Portland Visitor Center」を視察する機会を得た。

この観光案内所は、日本の一般的なものとは運営方法やコンセプト、活用方法に関して大きな違いがあった。日本で観光案内所の運営に携わるDMOや観光協会、コンベンションビューローの人々にも大きな示唆を与えるものと感じたので、本稿で紹介しようと思う。

文/大須賀 信(公益社団法人日本観光振興協会)

これまでの連載:

専属雇用で「接客したい人」を集めるDMO運営の観光案内所

今回Portland Visitor Centerを案内してくれたのは、Travel Portlandの職員であるDesmond Clancy-Vu氏だ。彼はマレーシア・サバ州コタキナバルで生まれたマレーシア系アメリカ人である。

▲Portland Visitor Centerを案内してくれたTravel Portlandの職員Desmond Clancy-Vu氏/Travel Portland提供
▲Portland Visitor Centerを案内してくれたTravel Portlandの職員Desmond Clancy-Vu氏/Travel Portland提供

彼から説明を受けてまず驚いたのが、観光案内所の運営形態と人員配置の仕方だ。

Portland Visitor CenterはDMOが運営しているため、財源は100%DMOから供給されている。しかし、観光案内所の職員は専属で雇用されており、DMO本体とのローテーションはない。これによって専門性が担保され、「接客をしたい」という積極的かつ意欲の高い人材が応募し、雇用されるシステムが確立されている。

筆者はこれを聞き、行政やDMO、観光協会の職員が当番制で窓口対応にあたったり、一定の語学力や資格・素養を有する有期契約職員を採用したりといった運営形態が一般化する日本との大きな違いだと感じた。

また、来訪者数について聞いたところ、繁忙期は1日100人程度、閑散期は10人強とのことだった。しかし、繁閑差があることを前提に人の少ない時期・時間帯の施設利用についてもしっかり考えているのが印象的であった。これについては、後ほど詳細を記そうと思う。

ポートランドを象徴する場所に設置 アクセスの工夫は?

まずは、観光案内所の立地から説明しよう。LGBTQ+の人々にフレンドリーな街としても知られるポートランドには、Pride Plazaと呼ばれる象徴的なスポットが存在する。観光案内所はここにほど近く、地元の老舗書店「Powell's City of Books」や多くのホテルがあるダウンタウンのWest End地区に位置している。

この一帯は、誰もが受け入れられる街・ポートランドのなかでも地元の人に愛される施設が多くある地区となっている。つまり、ここに観光案内所を置くことで、人が来やすいだけでなく、街を象徴するという役割も果たしている。

なお、この施設の運営目的のなかにはコロナ禍の旅行需要の減少や、2020年以降の社会的混乱によって影響を受けたダウンタウンに明るく前向きな情報発信拠点をつくる、といった内容も含まれているそうだ。そのため、観光案内所は単なる「旅行者に向けたサービス施設」ではなく、次のような役割も担うことになっている。

  • ダウンタウンへの人流を回復する
  • 街に対する否定的なイメージを現地体験によって更新する
  • 周辺の飲食店や小売店へ人を送り出す
  • 地元住民にも街の魅力を再認識してもらう

この内容からもわかるように、Portland Visitor Centerは都市再生とレピュテーション・マネジメントの役割を果たす場所としても機能している。

ポートランドは碁盤の目状の街で、一見すると遠くから観光案内所を視認するのは難しく感じる。しかし、実際に足を運んでみると視認性の低さを補う工夫が施されていた。

写真からもわかるように、案内所のあるブロックの角には看板が置かれている。看板は複数存在し、さらに観光案内所の前の歩道には目印となるペインティングがされていた。これらは行政(道路交通局)から歩道使用の許可を得て実施しているとのことで、DMOと行政がしっかり協力、連携していることの表れだと感じた。

▲Portland Visitor Centerのアクセス視認性を高めるための工夫/筆者撮影
▲Portland Visitor Centerのアクセス視認性を高めるための工夫/筆者撮影

日本と異なる窓口のつくりでローカルのように楽しむ方法を提案

Portland Visitor Centerで働くスタッフは「Portland experts」と名付けられている。来訪者の滞在日数、関心、移動手段などを聞きながら、次のような相談に対応するのが主な仕事だ。

  • 当日の過ごし方や旅程づくり
  • レストラン、フードトラック、コーヒー・クラフトビールが飲める店舗などの紹介
  • 観光施設、イベント、ツアーの案内
  • 各地区への行き方や公共交通の案内
  • ポートランド市内だけでなく、オレゴン州内の観光情報の提供

とくに注目したいのが、来訪者の希望を踏まえながら「ローカルのように楽しむ方法」を提案している点だ。有名観光地を機械的に紹介するのではなく、地域の小規模事業者や個性的な地区も含めて案内することで、来訪者をさまざまなスポットに誘導する役割を担っている。

また、筆者は観光案内所のつくりにも日本との違いを感じた。「MAP DESK」と呼ばれる案内スペースはカウンターで仕切られておらず、スタッフが手前に立つという完全にオープンなスタイル。日本ではカウンターに座り、受け身の姿勢で相談が来るのを待っているケースが多いが、ここでは「迎え入れる」「前に出ていく」といった能動的な雰囲気を感じ取ることができた。

▲Portland Visitor CenterのスタッフがMAP DESKで来訪者の観光相談に乗る様子/筆者撮影
▲Portland Visitor CenterのスタッフがMAP DESKで来訪者の観光相談に乗る様子/筆者撮影

DMOと事業者で役割分担 紙・デジタルの棲み分けも

Portland Visitor Centerには、市内・州内の地図と数百におよぶ観光施設のパンフレットや雑誌などが用意されている。地域の小規模事業者などの紹介も行っていると先述したが、パンフレット類の設置は有料で、Travel Portlandのパートナー事業者になると通常料金から割引を受けてスペースに置くことができるようになる。オレゴン州DMOや州内の他のDMOのパンフレットも例外なく有料で設置されているので、日本のようになんでも無料で置かせてくれるケースのほうが珍しいといえる。

なお、こうしたパンフレットや雑誌の設置管理は専門事業者のCertified Folderが担当し、設置枚数などをコントロールしている。こうすることで、Travel Portlandはパートナー事業者に情報発信・送客チャネルとしての観光案内所活用を促しながらも、余分な在庫を持たずに済む環境を構築しているのだ。

ちなみに、ポートランドでは英語の市内マップを廃止し、すべてデジタルに移行しているが、それ以外の言語では紙での提供を継続している。もちろんTravel PortlandのWebサイト、デジタル版ビジターガイド、地図型案内スマートフォンアプリ「Near Me Now」など、デジタルでも多言語で情報発信が行われており、紙、対面、デジタルを相互に連携させている点が特徴だ。

実際、ポートランドの街を歩くと、あらゆる場所に「Near Me Now」のQRコードが貼られていることに気がつく。これをスキャンしアプリと連動させると、今自分がいる場所の周辺情報をスムーズに収集でき、非常に便利である。

▲ポートランドの街中に貼られている「Near Me Now」のステッカー/筆者撮影
▲ポートランドの街中に貼られている「Near Me Now」のステッカー/筆者撮影

紙とデジタルの使い分けについては、「高品質な渾身の紙媒体1種類を、お金をかけてしっかりつくる」が北米全体のスタンダードであるように感じられた。日本のように「なんでもデジタルにしよう」といった動きはほとんどない。

また、英語の情報発信に関してはDMOと事業者の棲み分けができており、「高品質なものをすでにつくっている人がいるのなら、DMOがわざわざ同じものを作成する必要はない」と割り切って判断している様子が見受けられる。日本のように、「行政や観光協会、DMOがなんでもつくる」という動きではないのも印象的だった。

▲ポートランドのガイドブック(日本語版)/筆者撮影
▲ポートランドのガイドブック(日本語版)/筆者撮影

情報提供にとどまらない「ホスピタリティ」としての拠点づくり

また、Portland Visitor Centerには次の無料設備が用意されている。

  • Wi-Fi
  • 携帯電話などの充電設備
  • 飲料水の補給設備
  • ベンチや椅子などの休憩スペース
  • 雨天時や暑い日の一時的な休憩場所

ここからうかがえるのは、案内所を「情報を受け取ったらすぐ出る場所」ではなく、旅行者が一度落ち着き、次の行動を考えられる都市のホスピタリティ拠点として捉える考え方だ。また、環境にも配慮しており、再利用可能な容器を持ってくれば、来訪者は飲料水の補給設備で水を汲むこともできる。

▲Portland Visitor Centerに設置されている給水機。来訪者は自由に使うことができる/筆者撮影
▲Portland Visitor Centerに設置されている給水機。来訪者は自由に使うことができる/筆者撮影

Inspire・Explore・Connectを実現するコミュニケーション設計とは

Portland Visitor Centerは、施設運営の中心に次の3つの考え方を据えている。

  • Inspire:来訪者にポートランドへの興味を持ってもらう
  • Explore:市内や各地区を実際に歩き、体験してもらう
  • Connect:来訪者と地域、人、事業者をつなぐ

各所にこの考え方が反映されているからこそ、カウンター中心の観光案内所ではなく、相談、閲覧、休憩、交流、イベントといったさまざまな用途に使える空間として成立していた。壁際にはスタジアム式の椅子があり、事業者から提供された塗り絵やゲームを来訪者が楽しめる。用が済んだら出ていく場所ではなく、旅行者を含む人々がとどまって休めるスペースをつくりあげているのが印象的だった。

なお、大きな交流スペースはイベントスペースとしても転用でき、消防規定上80人まで収容が可能だという。物販は行わないが、このスペースで市内の事業者が展示を実施し、事業者のイベントに誘客するなど、タッチポイントとして活用している様子が見受けられた。

▲Portland Visitor Centerの交流スペース。子どもたちが遊ぶ玩具は「四目並べ(コネクトフォー)」と呼ばれるもので、事業者がTravel Portlandのテーマカラー(青、白)にカスタマイズしてくれたそうだ/筆者撮影
▲Portland Visitor Centerの交流スペース。子どもたちが遊ぶ玩具は「四目並べ(コネクトフォー)」と呼ばれるもので、事業者がTravel Portlandのテーマカラー(青、白)にカスタマイズしてくれたそうだ/筆者撮影

開設時からアクセシビリティを考慮 すべての人を受け入れる空間に

Portland Visitor Centerでは、木製の縦格子を使って館内を3つのエリアに分けている。壁で完全に遮断はせず、緩やかに区分けすることで、自然光と人の気配を共有しながらも落ち着いて相談できる場がつくられていた。

壁面には収納できる折り畳み式テーブルが設けられており、通常時は少人数の相談に、混雑時は受付・案内スペースの増設に、イベント時は交流会やプレゼンテーションに転用できるようになっていた。

写真のように、訪れた人の話をじっくり聞けるよう相談窓口のようなデスク配置で、モニターも用意されている。ここでは、気軽に話ができるMAP DESKよりもパーソナルな対応が可能だ。

▲柔軟性の高いPortland Visitor Centerのフロアレイアウト/筆者撮影
▲柔軟性の高いPortland Visitor Centerのフロアレイアウト/筆者撮影

また、施設全体のつくりにも注目したい。米国障害者法(ADA:Americans with Disabilities Act)に配慮した設計で、車椅子や移動補助具を使用する人も利用しやすい動線が確保されていた。加えて、弱視の人が位置や方向を認識しやすいよう、明るい木材と暗い木材のコントラストを空間内の目印として使用するといった工夫も施されている。

アクセシビリティへの配慮は細やかで、年齢、身体的条件、体格の異なる利用者に対応できるよう、高さや形状の異なる椅子・ベンチが複数用意されていた。先述した折り畳み式テーブルのブースの椅子も、ひじ掛けがあるもの、ないものが1つずつ用意されており、座りやすいほうを選べるようになっている。

MAP DESKのスタイルも、すべての人を受け入れる姿勢の表れだ。先に掲載したMAP DESKで相談に乗る写真を見ると、職員の隣に背の低い別のカウンターが設けられているのが見えるだろう。これは車椅子の来訪者も気軽に相談できるよう設けられたもので、多様な人々がアクセスできることを示している。

古さも活かしながら「ポートランドらしさ」を空間全体で表現

「ポートランドの魅力を伝える場」として、Portland Visitor Centerでは館内で使用する木材や壁面に飾るアートにもこだわっている。

館内のデザインは都市と自然が近接するポートランドの特徴を表現するため、植物や自然を感じさせるバイオフィリックデザインが取り入れられ、太平洋岸北西部産のダグラスファー(ベイマツ)をはじめとする木材や大型のモスウォールなどが用いられている。

また、古い建物を一律に新しくせず、既存建物の歴史や都市の記憶をデザインに残す考え方も反映されており、構造材に残る火災の痕跡も新しい木材と組み合わせ、デザインとして見せているのが興味深かった。

▲バイオフィリックデザインが要所に取り入れられたPortland Visitor Center/筆者撮影
▲バイオフィリックデザインが要所に取り入れられたPortland Visitor Center/筆者撮影

なお、写真にもたびたび写り込んでいる壁面のアートは、ポートランドのアーティスト Nia Musiba氏によるものだ。アーティスト自身は、このアートで来訪者を観光案内所だけでなく「ポートランドそのもの」へ迎え入れること、街のエネルギー、創造性、精神を表現したと説明している。

つまり、これは単なる装飾ではなく、地域の文化や多様な人々を視覚的に表現することで、DMOが発信したい「誰もが歓迎される都市」というメッセージを伝えるブランド媒体として機能している。

旅行者と接する市民全員を「分散型の案内所」として育成

繰り返しになるが、Travel Portlandは観光案内所を旅行者に限らず、関連事業者や地元住民にも開かれたコミュニティ拠点として位置づけている。

これを体現するため、設計段階から展示会、プレゼンテーション、交流会などに使えるような構造を採用し、地域の事業者とDMOをつなぐような仕組みを取り入れるなど、業界内コミュニケーションの場づくりに取り組んできた。実際にパートナー事業者の交流会、オープンハウス、地域の飲食事業者やアーティストを紹介する催しなどが定期的に開催されている。

DMOからの情報提供としては、これまで紹介したもの以外にホテルでの案内、各種SNSでの発信などを行っているほか、無料のオンライン研修「Rose City Certified」を実施している。この研修では、次のような内容を学ぶことができる。

  • 歓迎する会話の始め方
  • ポートランドの観光情報
  • 移動案内
  • ポートランド特有の社会的な話題への対応
  • 文化的理解
  • アクセシビリティ
  • EDI(公平性・ダイバーシティ・インクルージョン)

これはホテル、飲食店、小売店、ライドシェア運転手、ツアーガイド、博物館職員などを対象としたもので、旅行者と接する市民を教育することで「分散型の案内所」として機能させたいという考えが垣間見えた。

また、2025年にはPortland Visitor Centerを起点とし、歩行者向けの案内サインと印刷地図を組み合わせた実証事業「Walk Portland」も行われた。観光案内所は地図配布と歩行観光の出発地として機能しており、1施設の枠組みを越え、都市全体の案内システムに組み込まれていたのが特徴的だった。

ポートランドの事例から日本の観光産業が得るべき学び

今回の視察をふまえ、日本の自治体やDMO、観光協会、コンベンションビューローが学べる点を筆者なりに整理してみた。

1. 観光案内所自体を「デスティネーション・ブランドの体験施設」にする

ただパンフレットを並べるだけでなく、建材、アート、家具、接客、アクセシビリティのすべてによって「この街はどのような街か」を表現する。

観光案内所に入った時点で、その土地らしい観光体験が始まることを意識した設計にすると良いのではないだろうか。

2. 観光施設ではなく「地域への送客装置」として考える

観光案内所では、「来訪者をどれだけ地域の飲食店、小売店、文化施設、周辺地区に送り出せたか」という視点が重要だ。とくに知名度や集客に課題のある地域事業者への送客は、自治体やDMO、観光協会、コンベンションビューローが果たすべき役割である。

これを実現するには、成果を示す指標(KPIなど)を来訪者数やパンフレット配布数に限らないようにする必要があるといえる。

3. 「基本的な安心」を提供する

旅行者が求めているのは、詳細な観光情報だけではない。見知らぬ土地で「座れる」「通信できる」「充電できる」「水を補給できる」「天候から一時的に避難できる」といった小さな安心を得られるかどうかも、目的地全体の満足度を大きく左右する。

観光案内所がこうした基本的な安心を得られるスポットとして機能すれば、旅行者の満足度も上がるだろう。

4. 「アクセシビリティ」を基本仕様にする

配慮が必要な人々への対応を、要望があった際の個別対応や付加サービスにとどめず、設計の時点から組み込むのも肝要だ。

日本の観光案内所でも、身体の不自由な人に限らず、視覚・聴覚障がい者、認知特性のある人、年齢・体格などさまざまな特徴や特性をもった人が訪れる。家具の設置位置や動線、照明や色彩、サインの使い方などを配慮したつくりにできると、より多くの人に支持される場となるだろう。

5. 「可変性のある空間」にする

「観光案内カウンターを設けた専用施設」ではなく、さまざまな目的で利用できる設計にすると、施設の公共的・経済的価値を高められる。

たとえば、旅行者が少ない時間帯や時期には地域事業者のミーティングや研修、交流会やイベントに活用するなど、工夫次第でスペースの活用方法は広がる。

6. デジタル化しても「対面相談」はなくさない

観光案内所とデジタルツールを競合させず、きちんと役割分担をすることも大切だ。一般的な情報はWebサイトやアプリで提供し、円滑な情報収集を可能にしたうえで、対面では個別相談に価値を集中させる。これによって「私の場合はどこに行くべきか」といったオーダーメイドの提案が可能になり、満足度も向上する。

なお、ご存じの人も多いと思うが、日本国内では日本政府観光局(JNTO)が外国人観光案内所の認定制度を設けている。JNTOは通訳サービスや研修会の実施など支援サービスを提供することで、全国の案内所の機能充実と質の向上を図っているという。認定は3年ごとの更新制で、次のようなカテゴリーに分類されている。

カテゴリー3

常時英語による対応が可能。その上で、英語以外にも2言語以上での案内が常時可能な体制がある。
全国レベルの観光案内を提供。原則年中無休。Wi-Fiあり。国際空港等交通の要衝や著名な観光地など、外国人来訪者の多い立地

カテゴリー2

少なくとも英語で対応可能なスタッフが常駐、またはビデオ通話による案内が常時可能。広域の案内を提供

カテゴリー1

常駐でなくとも何らかの方法で英語対応可能。地域の案内を提供

パートナー施設

観光案内を専業としない施設であっても、外国人旅行者を積極的に受け入れる意欲があり、公平・中立な立場で地域の案内を提供

この制度は言語を中心に据えたもので、外国人向けの対応が基本となっている。しかし、観光案内所は外国人旅行者だけのものではなく、国内の旅行者、地域住民や事業者などさまざまな人々が利用し、必要とされる場となるのが望ましい。

観光立国として成熟していくには、誰もが受け入れられる環境が欠かせない。筆者は、認定制度の目的を「デスティネーション全体の案内システムとして重要な拠点を育てること」とし、先ほど説明した6つの観点を盛り込むのが、訪日外国人数6,000万人時代を見据えた先進国の観光案内所整備を行ううえで必須だと考えている。

著者プロフィール:大須賀 信

公益社団法人 日本観光振興協会 事業推進グループ 観光地域づくり・人材育成部長


千葉県出身。米系航空会社などを経て2018年より地域連携DMOの(一社)秋田犬ツーリズムへ。2022年3月まで事務局長を務めた後、同年4月より(公社)日本観光振興協会へ。企画政策や交流促進を担当した後、観光地域づくり・人材育成部門観光地域マネジメント担当としてDMOのサポート、海外事例などの情報発信などを手がける。

観光庁「地域周遊・長期滞在促進のための専門家派遣事業」登録専門家、東京都 観光まちづくり アドバイザー(東京都・東京観光財団)。

Destinations InternationalのSocial Impact Committee、Global Leadership Committeの2つに所属。PDM(Professional in Destination Management)、Intellectual Capital、Business Intelligence (Sales, Services, Marketing and Communications)、Foundational Principles of Impactful Leadershipの6種全種の資格取得。Tourism For All 第1期修了。

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<参照>
日本政府観光局(JNTO):外国人観光案内所の認定

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この記事の筆者

大須賀信

大須賀信

公益社団法人 日本観光振興協会 事業推進グループ 観光地域づくり・人材育成部長

千葉県出身。米系航空会社などを経て2018年より地域連携DMOの(一社)秋田犬ツーリズムへ。2022年3月まで事務局長を務めた後、同年4月より(公社)日本観光振興協会へ。企画政策や交流促進を担当した後、観光地域づくり・人材育成部門観光地域マネジメント担当としてDMOのサポート、海外事例などの情報発信などを手がける。

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